看護

看護技術

ガーグルベースン: ベッドサイドの必需品

- ガーグルベースンとはガーグルベースンは、寝たままの状態でも楽にうがいができるように設計された、湾曲した形状をした洗面器のような道具です。ベッドの上や横に置いても安定するため、患者さんの負担を軽減することができます。主に、医療機関や介護施設で、口内を清潔に保つ必要がある方や、嘔吐しやすい方のために使用されます。口をすすいだ水や嘔吐物を安全に受け止めることができるため、周囲を汚さずに済み、衛生的です。また、患者さん自身も、周りを気にすることなく落ち着いてうがいをすることができます。近年では、在宅介護の現場でもガーグルベースンの利用が広がっています。自宅で介護を行う際にも、患者さんの負担を軽減し、衛生的な環境を保つために役立つアイテムとして注目されています。ガーグルベースンは、素材や大きさ、形状もさまざまです。患者さんの状況や用途に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
看護技術

寝たきりでも快適な入浴を:ハーバード浴とは

- ハーバード浴とは寝たきりなどで、自力で入浴することが難しい方でも、安全かつ快適に入浴できるように工夫された方法を、ハーバード浴と言います。この入浴方法は、アメリカのマサチューセッツ州にあるハーバード大学医学部付属病院で考案されたことから、その名が付けられました。ハーバード浴では、専用のストレッチャーを使用します。このストレッチャーは、防水加工が施されており、寝たままの状態の患者を安全に移動させることができます。まず、患者はベッドからこのストレッチャーに移されます。そして、ストレッチャーごと浴槽にゆっくりと沈められます。この時、浴槽の温度は体温に近い温度に保たれており、患者は身体への負担を最小限に抑えながら、入浴を楽しむことができます。ハーバード浴は、身体を清潔にするだけでなく、血行促進やリラックス効果も期待できます。また、温浴効果によって筋肉の緊張が和らぐため、関節の可動域の改善にも繋がると言われています。さらに、寝たきりの患者にとって、入浴は気分転換にもなり、生活の質の向上に大きく貢献します。
看護技術

医療現場におけるサイフォニング現象:その危険性と予防策

- サイフォニング現象とはサイフォニング現象とは、医療現場において、シリンジポンプを使った薬剤投与中に起こる可能性のある現象です。シリンジポンプは、決められた量を時間をかけてゆっくりと点滴する医療機器ですが、この現象が起こると、意図せず薬剤が急速に注入されてしまうことがあります。では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?ポイントは、シリンジポンプと患者さんの体の位置関係です。シリンジポンプが患者さんの体よりも高い位置にある場合、その高低差によってサイフォニング現象が起きる危険性があります。例えば、点滴中に何らかの原因でシリンジがポンプから外れてしまったとします。すると、ポンプよりも低い位置にある患者さんの体内に向かって、高低差による圧力がかかります。この圧力によって、シリンジ内の薬剤が勢いよく患者さんの体内へ流れ込んでしまうのです。しかも、注意が必要なのは、高低差が比較的小さい場合でも、サイフォニング現象が起こる可能性があるという点です。シリンジ内部の圧力が、何らかの理由で外部の圧力よりも極端に低くなると、たとえわずかな高低差であっても、薬剤が急速に注入されてしまうことがあります。サイフォニング現象は、患者さんの体にとって大きな負担となる可能性があります。医療現場では、シリンジポンプの位置を患者さんの体よりも低く設定する、点滴中は常に状態をよく観察するなど、この現象を防ぐための対策を徹底することが重要です。
看護技術

褥瘡治癒の客観的評価:DESIGN®

褥瘡は、寝たきりや車椅子での生活を長く続けることなどによって、体の同じ場所に体重がかかり続けることで起こる皮膚の損傷です。このような状態が続くと、皮膚やその下の組織が傷ついてしまい、痛みや炎症を引き起こし、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 褥瘡のケアにおいては、傷の治り具合を正しく見極め、適切な治療方針を立てることが非常に重要になります。しかし、褥瘡は見た目の変化がわかりにくく、経験の浅い医療従事者にとってはその評価が難しい場合もあります。 そこで開発されたのがDESIGN®というツールです。DESIGN®は、褥瘡の大きさや深さ、傷の状態などを数値化することで、褥瘡の治り具合を客観的に評価することを可能にしました。このツールは、医療従事者間での情報共有をスムーズにするだけでなく、患者さん自身にもわかりやすく褥瘡の状態を説明できるというメリットもあります。 現在、DESIGN®は日本の褥瘡ケアの現場で広く活用されており、多くの医療機関で褥瘡ケアの質向上に貢献しています。特に、高齢化社会が進む日本において、褥瘡は重要な医療問題となっており、DESIGN®のような効果的なツールの活用は、患者さんの生活の質の向上に大きく寄与するものと期待されています。
看護技術

手術室の必需体位:トレンデレンブルグ体位

- 体位の概要手術や医療処置において、患者さんの体を適切な姿勢に保つことは非常に重要です。これを「体位」と呼びます。適切な体位は、手術や処置を円滑に進めるだけでなく、患者さんの安全を確保するためにも欠かせません。数ある体位の中でも、「トレンデレンブルグ体位」は頻繁に用いられる体位の一つです。この体位は、患者さんを仰向けの状態で寝かせ、足側を頭側よりも高くした状態を指します。例えるなら、傾斜のある台の上に寝ているような状態です。一見すると特殊な体位に思えるかもしれませんが、手術や特定の医療処置においては重要な役割を担っています。例えば、手術中に血圧が急激に低下した場合、この体位をとることで、血液を心臓や脳など、生命維持に重要な臓器に送り込みやすくなる効果があります。また、下腹部の手術や処置の際にも、この体位を用いることで、手術部位への血液循環を改善し、医師がより見やすく、処置しやすくすることができます。このように、トレンデレンブルグ体位は一見シンプルながらも、患者さんの状態を改善し、手術や処置を安全かつ円滑に進めるために重要な役割を果たしているのです。
看護技術

安全な側臥位:患者さんのための基礎知識

- 側臥位とは?側臥位とは、身体を横に向けて寝る姿勢のことを指します。 楽な姿勢に思えますが、患者さんの状態によっては注意が必要です。特に、全身麻酔後や集中治療室に入室中の患者さんの場合、意識が朦朧としていたり、身体を動かす力が入らなかったりすることがあります。 また、脳梗塞などで片麻痺のある患者さんの場合も、自分の意思で身体を動かすことが難しい場合があります。 このような場合、長時間同じ姿勢を続けていると、体重で圧迫される部分に負担がかかり続け、血流が悪くなってしまいます。 その結果、皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたりする褥瘡(床ずれ)や、神経が圧迫されることによる神経障害などの合併症のリスクが高まります。そのため、患者さんが楽な姿勢だと感じていても、定期的に体位変換を行うことが重要です。 体位変換を行うことで、身体への負担を分散し、褥瘡や神経障害などの合併症を予防することができます。 また、体位変換は、呼吸を楽にしたり、誤嚥を予防したりする効果も期待できます。患者さんの状態に合わせて、適切なケアを行うように心がけましょう。
看護技術

ファウラー位:目的と注意点

- ファウラー位とはファウラー位は、ベッドに横になった状態を基本とする仰臥位から、上半身を起こした姿勢のことを指します。具体的には、背もたれを45度程度に傾けることで、この体位をとることができます。一見すると、楽に座っている状態と変わりないように思えるかもしれません。しかし、医療現場においてファウラー位は、単に座っているのとは異なる意味合いを持ちます。ファウラー位は、上半身の角度を細かく調整できるという特徴があります。角度を変えることで、患者さんの状態に合わせて、より効果的な体位にすることが可能です。例えば、呼吸が苦しい患者さんの場合は、上半身を起こすことで、肺への圧迫を軽減し、呼吸を楽にする効果が期待できます。また、心臓への負担を軽減する効果も期待できるため、心臓病の患者さんにも用いられます。さらに、食事や経管栄養の際には、誤嚥のリスクを減らすためにファウラー位が有効です。上半身を起こすことで、食べ物が気管に入りにくくなり、安全に食事や栄養摂取を行うことができます。このように、ファウラー位は、一見シンプルな体位に見えますが、医療現場においては、患者さんの状態に合わせて角度を調整することで、様々な効果を発揮する重要な体位と言えます。
呼吸器

医療現場におけるバイトブロック:その役割と重要性

- バイトブロックとはバイトブロックは、手術や治療の際に、患者さんの安全を守るために口の中に挿入する医療器具です。主に、全身麻酔や集中治療室 (ICU) で使用されます。全身麻酔中は、患者さんは意識がなく、自分の体を動かすことができません。また、手術や治療の内容によっては、気管挿管といって、口から気管までチューブを挿入し、人工呼吸器で呼吸を管理する場合があります。この気管挿管に用いるチューブは、柔らかく、患者さんの体内にスムーズに入るよう設計されています。しかし、その柔らかさゆえに、患者さんが無意識に噛んでしまうと、チューブがつぶれてしまうことがあります。もし、気管挿管チューブがつぶれてしまうと、呼吸が困難になり、最悪の場合、窒息してしまう危険性があります。バイトブロックは、患者さんが気管挿管チューブを噛んでしまうことを防ぎ、呼吸を確保するための重要な役割を担っているのです。バイトブロックは、患者さんの口の大きさに合わせて様々なサイズがあり、材質も硬質なものから軟質なものまであります。また、最近では、患者さんの負担を軽減するために、より人間工学に基づいた形状のバイトブロックも開発されています。このように、バイトブロックは、一見、小さな器具ですが、患者さんの安全を守る上で非常に重要な役割を果たしています。
看護技術

褥瘡評価ツール DESIGN-R®️とは

- DESIGN-R®️の概要DESIGN-R®️(でざいんあーる)は、高齢者施設や病院などで広く利用されている、褥瘡のリスク評価ツールです。2008年に日本褥瘡学会によって提唱され、褥瘡発生の危険因子を多角的に評価することで、褥瘡の予防や早期発見、そして適切な治療計画の立案に役立てることを目的としています。従来、褥瘡のリスク評価には、海外で開発されたBradenスケールやNortonスケールなどが用いられてきました。しかし、これらのスケールは日本の医療現場や患者の特性に必ずしも合致しない側面がありました。そこで、日本人の体格や生活習慣、医療体制などを考慮し、より日本人に適した評価ツールとしてDESIGN-R®️が開発されました。DESIGN-R®️の特徴は、褥瘡発生に関与する6つの因子(体格、日常生活動作、皮膚の状態、栄養状態、活動量、精神状態)を、それぞれ具体的な項目で評価する点にあります。各項目は点数化されており、合計点によって褥瘡の発生リスクが低リスク、中等度リスク、高リスクの3段階に分類されます。DESIGN-R®️を用いることで、医療従事者は、患者一人ひとりの褥瘡リスクを客観的に把握し、個別の予防策や治療計画を立案することができます。また、評価結果を記録することで、褥瘡発生の予防効果や治療効果の検証にも役立ちます。DESIGN-R®️は、褥瘡ケアの質向上に貢献する重要なツールと言えるでしょう。
看護技術

患部を優しく保護する:離被架の役割と種類

- 離被架とは何か離被架とは、病気や怪我をしてしまった部分に布団や毛布などの重みが直接かからないようにする、アーチ状の形をした道具です。例えば、骨折してギプスを巻いている時や、手術の後で傷口が痛む時、点滴の針が刺さっている時などに、この離被架が役立ちます。離被架を使う最大のメリットは、患部に触れることによる痛みや不快感を和らげることができる点です。布団の重みが直接患部にかかると、痛みが増したり、傷口が開いてしまったりする可能性があります。しかし、離被架を使うことで、患部と布団の間に空間を作ることができるため、そのような心配をせずに済みます。また、離被架は患部の治療効果を高める上でも役立ちます。例えば、ギプスを巻いている場合、患部を清潔に保ち、風通しを良くすることが重要です。離被架を使うことで、患部が布団で覆われることを防ぎ、清潔で乾燥した状態を保ちやすくなるため、治療をスムーズに進めることができます。さらに、離被架は患者の負担を軽減する効果もあります。痛みや不快感が減ることで、睡眠をしっかりとることができ、体力の回復を促します。また、寝返りを打つ際にも、患部への負担を軽減することができます。このように、離被架は、病気や怪我の治療において、患者の負担を軽減し、治療効果を高める上で重要な役割を果たしています。
看護技術

患者の身体を観察する技術:フィジカルアセスメント

- フィジカルアセスメントとはフィジカルアセスメントは、医療従事者が患者さんの健康状態を総合的に評価するために欠かせない診察方法です。これは、患者さんの訴えを丁寧に聞き取りながら、視診、触診、聴診、打診といった五感を駆使して身体の情報をくまなく集める作業を指します。このプロセスは、単に身体的な異常を発見するだけでなく、患者さんの言葉だけでは伝えきれない問題点や、病気の背景にある要因を明らかにする上で非常に重要です。例えば、患者さんが「頭が痛い」と訴えていたとします。フィジカルアセスメントによって、頭痛の原因が単なる風邪ではなく、頭部外傷や脳腫瘍といった深刻な疾患である可能性も見えてきます。また、患者さんの顔色や呼吸の状態を観察することで、貧血や呼吸器疾患などの隠れた病気を発見できることもあります。このように、フィジカルアセスメントは、患者さんの全体像を把握するためのパズルのピースを一つ一つ丁寧に集めていくような作業と言えるでしょう。そして、集めた情報に基づいて適切な検査や治療方針を決定することで、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供することに繋がります。
看護技術

看護の基本: ベッドバスで快適な療養を

- ベッドバスとは病気や怪我によって、浴室まで移動して入浴することが難しい患者さんにとって、清潔を保つことは容易ではありません。このような場合に、医療現場では「ベッドバス」と呼ばれるケアが行われます。これは、温めたタオルやクロスを用いて、患者さんの体を拭くことで清潔を保つ方法で、「清拭(せいしき)」とも呼ばれます。ベッドバスは、単に体を清潔にする以上の効果をもたらします。たとえば、体を拭かれることで、患者さんは爽やかな気分になり、精神的なリフレッシュにつながります。また、皮膚の汚れや古い角質が除去されることで、皮膚の呼吸が促進され、健康な状態を保つことができます。さらに、温めたタオルやクロスの刺激によって血行が促進され、体の機能維持にも役立ちます。ベッドバスを実施する際には、室温や水温に注意し、患者さんの体に負担をかけないように優しく行うことが重要です。また、プライバシーにも配慮し、体を拭いている部分以外はタオルやシーツで覆うなどして、安心してケアを受けられるようにすることが大切です。

医療現場における『禁忌』とは?

- 禁忌の定義医療現場で頻繁に耳にする「禁忌」という言葉。これは一体何を意味するのでしょうか? 禁忌とは、患者さんの状態が悪化する可能性が高いと判断されるため、特定の薬の使用、治療、検査、看護ケアなどが推奨されない状況を指します。平易な言葉で言い換えれば、「やってはいけないこと」と言えるでしょう。例えば、ある特定の薬に対して重いアレルギー反応を起こした経験のある患者さんにとって、その薬の使用は禁忌となります。なぜなら、再びその薬を使用した場合、命に関わるような重篤なアレルギー反応を引き起こす可能性が非常に高いからです。禁忌には、大きく分けて「絶対的禁忌」と「相対的禁忌」の二つがあります。絶対的禁忌とは、その行為を行うことで患者さんの生命に危険が及ぶ可能性が極めて高く、絶対に避けるべき行為を指します。例えば、妊娠中の女性に対する、胎児に重篤な影響を及ぼす薬剤の投与などが挙げられます。一方、相対的禁忌とは、その行為を行うことで患者さんの状態が悪化する可能性はあるものの、状況によっては行わざるを得ない場合もある行為を指します。例えば、出血傾向のある患者さんに対する注射は、通常は出血のリスクを高めるため禁忌となりますが、緊急性の高い手術などの場合には、止血処置を十分に行なった上で実施する場合もあります。医療現場において、禁忌に関する知識は、患者さんの安全を守る上で非常に重要です。医療従事者は、常に最新の知識を習得し、患者さん一人ひとりの状態を適切に評価した上で、最善の医療を提供するよう努めなければなりません。
看護技術

プライマリーナーシング:一貫した看護の提供

- プライマリーナーシングとは 病院に入院すると、検査や治療、食事や身の回りの世話など、様々な場面で看護師と接する機会があります。このような状況下で、患者さん一人ひとりに、より質の高い看護を提供するために生まれたのがプライマリーナーシングという看護方式です。 プライマリーナーシングでは、入院から退院まで、患者さん一人ひとりに担当の看護師がつきます。担当看護師は、患者さんの病気や症状、生活習慣、価値観などを理解し、患者さんにとって最適な看護計画を立てます。そして、計画に基づいて、患者さんやその家族とのコミュニケーションを密にとりながら、責任を持って看護を提供していきます。 この看護方式は、1970年代にアメリカのミネソタ大学病院で初めて導入されました。当時は、入院期間が長期化する傾向にあり、入院中に担当する看護師が頻繁に変わることが問題視されていました。そこで、患者さんとの継続的な関係を重視し、質の高い看護を提供するために、プライマリーナーシングが導入されたのです。 プライマリーナーシングでは、患者さんとの信頼関係を築くことができるため、安心して治療や療養に専念することができます。また、担当看護師が変化を早期に発見し、対応することで、合併症の予防や早期発見にもつながります。
看護技術

医療現場で活躍するNGチューブ:その役割と重要性

- NGチューブとはNGチューブとは、鼻から胃に挿入する細い管のことを指し、正式には経鼻胃管と呼ばれます。この管は、口から胃までつながる消化管の一部を一時的にバイパスするために使用されます。材質は柔らかく、柔軟性があるため、鼻腔や食道などのデリケートな部分に挿入しても、比較的苦痛が少ないという特徴があります。 NGチューブは、主に医療現場において、患者さんの治療やケアを目的として使用されます。その用途は多岐にわたり、大きく分けて検査と治療の二つの目的で使用されます。 検査の目的で使用される場合、NGチューブを通じて胃の内容物を採取し、その成分を分析することで、消化器官の状態や病気の診断に役立てます。例えば、胃液の酸性度を測定したり、出血の有無を確認したりする検査などが挙げられます。 一方、治療の目的で使用される場合には、NGチューブは主に栄養補給の手段として用いられます。口から食事を摂るのが難しい患者さん、例えば意識障害のある方や、手術後などで口から食事をとることができない患者さんに対して、栄養剤や水分を直接胃に送り込むことで、必要な栄養を補給することができます。また、薬剤を投与する際にも、NGチューブが使用されることがあります。 このように、NGチューブは多様な目的で医療現場において重要な役割を担っています。患者さんの負担を軽減し、適切な治療やケアを提供するために、欠かせない医療機器の一つと言えるでしょう。
その他

病気の経過: 慢性期とは

病気は一般的に、その経過によって大きく三つの段階に分けられます。発症から間もない時期で、症状が激しく変化しやすい時期を急性期、急性期を乗り越えたものの完治には至らず、症状が安定している時期を慢性期、そして慢性期から更に時間が経過し、身体機能や認知機能が低下していく時期を終末期と呼びます。 今回は、この三つの段階のうち、慢性期について詳しく説明します。慢性期は、急性期のような急激な症状の悪化は見られないものの、完全に治癒する見込みが少ない状態が長く続く期間を指します。慢性期に入るまでの期間や、慢性期における症状、期間は、病気の種類や患者さん一人ひとりの状態によって大きく異なります。例えば、風邪やインフルエンザなどのように、多くの場合、数日から数週間で治癒する病気もあれば、慢性閉塞性肺疾患や糖尿病などのように、慢性期が長期に渡る病気もあります。 慢性期における治療の目標は、病気の進行を出来るだけ抑え、症状を和らげながら、患者さんがその状況に適応し、生活の質を維持・向上できるようにすることです。そのため、患者さん自身の病気に対する理解を深め、セルフケアを積極的に取り入れていくことが重要になります。また、医師や看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者と協力し、継続的な医療や支援を受けることも大切です。
看護技術

回復期:病気からの復活を支える大切な期間

病気は、その経過によって大きく三つの段階に分けられます。まず、発症直後で、最も症状が激しく、命の危険さえ伴う可能性のある時期を急性期と呼びます。この山場ともいえる急性期を乗り越えると、次の段階である回復期に入ります。回復期に入ると、症状は落ち着きをみせ、危険な状態からは脱します。この時期は、低下した身体の機能を回復させることに専念できる時期といえます。そして、回復期は、その後の人生を健やかに過ごすため、また、社会復帰を果たすために非常に重要な時期となります。ただし、病気によっては、完全に回復せず、長期間にわたって症状が続く慢性期に移行する場合もあります。慢性期は、急性期のような命の危険は少ないものの、病気と長く付き合っていくための工夫や、生活の質を維持するための努力が必要となります。
看護技術

腹臥位のすべて:利点から注意点まで

- 腹臥位とは何か腹臥位とは、簡単に言うと「うつぶせ」の状態を指します。医療現場では頻繁に用いられる体位の一つで、患者さんの背中全体をベッドに密着させ、顔を横に向けて呼吸を確保します。この体位は、手術や治療、検査など、様々な場面で選択されます。例えば、背中や腰の手術の場合、腹臥位にすることで手術部位へのアクセスが容易になります。また、呼吸療法においても、肺の後ろ側の換気を促すために腹臥位が有効な場合があります。ただし、腹臥位は妊婦や心臓に疾患を持つ方など、体勢によっては負担が大きくなってしまう場合もあります。そのため、医療従事者は患者さんの状態をしっかりと見極め、適切な体位を選択する必要があります。腹臥位は医療現場において、患者さんの負担を軽減し、より安全で効果的な治療や検査を行うために欠かせない体位の一つと言えるでしょう。
看護技術

日常生活の自立を支える:BADLとその評価

- BADLとはBADLは「基本的日常生活動作能力」の略称で、人が健康で自立した生活を送るために欠かせない、日常生活における基本的な動作を指します。私たちは毎日何気なく体を動かして生活していますが、その中には意識せずに行っている動作も数多く存在します。BADLは、そうした動作の中でも特に基本的なものを表しており、具体的には以下の6つが挙げられます。1. -家の中での歩行や移動- これは、部屋から部屋へ移動したり、椅子から立ち上がったりといった動作を指します。自分の足で安全に移動できることは、生活の質を大きく左右します。2. -食事- これは、食事を自分の力で口に運び、飲み込む動作を指します。栄養を摂取し、生命を維持する上で欠かせない動作です。3. -衣服の着脱- これは、衣服を自分で着たり脱いだりする動作を指します。季節や状況に合わせた服装を選ぶことは、健康で文化的な生活を送る上で重要です。4. -入浴- これは、浴槽に入ったり出たり、体を洗ったりする動作を指します。清潔を保ち、健康的な生活を送るために必要な動作です。5. -トイレの使用- これは、トイレに行って排泄し、後始末をする動作を指します。基本的な生理現象を適切に処理することは、衛生面からも重要です。これらの動作は、私たちが普段意識せずにできているものばかりですが、病気や怪我、加齢などによってできなくなることもあります。BADLは、人の自立度を測る指標の一つとして、医療や介護の現場で広く用いられています。BADLが低下した場合は、適切なリハビリテーションや介護支援を受けることで、できる動作を増やし、自立した生活を維持・向上させることが重要です。
看護技術

医療現場の「ラウンド」とは?

病院で働く人なら、誰もが耳にする「ラウンド」。これは、患者さんの病室を定期的に訪問して回ることを指す言葉です。 患者さんの様子に変化がないか、治療やケアはきちんと行われているかなどを確認するのが目的です。 以前は、主に看護師が患者さんの状態確認や身の回りの世話を行うためにラウンドを行っていました。しかし、近年では、医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、多くの医療専門職が協力して治療にあたる「チーム医療」が重要視されるようになっています。それに伴い、それぞれの専門家がチームで協力してラウンドを行う機会も増えています。 ラウンドは、患者さん一人ひとりの状態を細かく把握し、変化に素早く対応するためにとても大切なことです。顔色や表情、体調、食事の摂取量など、些細な変化も見逃さずに対応することで、重大な病気の兆候を早期に発見できる可能性があります。また、患者さんの訴えに耳を傾け、不安や疑問を解消することで、安心して治療に専念できる環境を作ることもできます。 このように、ラウンドは、患者さんの安全を確保し、一日も早く回復できるようにするために欠かせない取り組みといえます。
看護技術

日常生活における基本動作:BADL

- 日常生活動作とBADL 私たちは毎日、朝起きてから夜寝るまで、様々な動作を行っています。 例えば、ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、服を着替えたりと、これらはごく当たり前の行為であり、特に意識することなく行っている方がほとんどでしょう。 これらの動作は「日常生活動作」、英語で「Activities of Daily Living」、略して「ADL」と呼ばれ、健康を維持し、自立した生活を送る上で非常に重要です。 ADLは大きく分けて「BADL(Basic Activity of Daily Living基本的日常生活動作)」と「IADL(Instrumental Activity of Daily Living手段的日常生活動作)」の2つに分類されます。 BADLは、生命を維持するために必要不可欠な動作であり、具体的には食事、排泄、移動などが挙げられます。 食事は栄養を摂取するために、排泄は体内の老廃物を排出するために、移動は自分の意志で場所を移動するために、それぞれ欠かせない動作です。 一方、IADLは、より複雑な動作や社会生活を送る上で必要となる動作を指し、掃除、洗濯、料理、買い物、金銭管理などが挙げられます。 これらの動作は、必ずしも自分一人で行う必要はなく、家族や周囲の人の助けを借りることで、自立した生活を送ることができる場合もあります。
看護技術

看護の標準化:NICとその役割

- NICとはNICは「Nursing Interventions Classification」を略したもので、日本語では「看護介入分類」といいます。これは、看護師が患者さんに対して行うケアや処置を、統一された言葉で表現し、分類したものです。例えば、患者さんの痛みを和らげるために、看護師は様々な行動を起こします。患部の状態を観察したり、楽な姿勢を一緒に考えたり、医師の指示に従って痛み止めを投与したりするなど、その方法は多岐に渡ります。NICは、このような看護師の行動一つ一つに具体的な名前を与え、分類することで、看護の内容を明確に記録したり、他の看護師と共有したりすることを可能にします。NICは、看護師であれば誰でも理解できる共通言語として、看護記録や研究など、様々な場面で広く活用されています。これにより、看護の質の向上や、より安全で効果的な看護の提供につながると期待されています。
看護技術

エンゼルケア:故人との最後の時間を大切に

- エンゼルケアとは人は誰しも、その生涯に幕を閉じるときを迎えます。その時、残された家族は深い悲しみに包まれながらも、故人との最後のお別れの時を迎えなければなりません。エンゼルケアとは、そんな大切な方の旅立ちを穏やかで美しいものにするための、最後の贈り物と言えるでしょう。具体的には、まず温かいお湯とタオルを使い、身体を丁寧に拭き清めます。これは、まるで生きているかのように、故人を慈しむ気持ちで行うことが大切です。そして、生前と同様に化粧を施したり、髪を整えたりすることで、安らかな顔つきに近づけていきます。闘病の痛みや苦しみを偲ばせる傷跡がある場合は、それらを目立たなくする処置を施すこともあります。エンゼルケアは、単なる遺体の処置ではありません。それは、故人に対する敬意と愛情の表れであり、ご遺族が穏やかな気持ちで最後のお別れをするための大切なプロセスです。穏やかな表情の故人と対面することで、ご遺族は深い悲しみの中でも、安らぎと癒しを感じることができるでしょう。それは、故人が残してくれた最後の愛情表現とも言えるかもしれません。
看護技術

看護の基盤:アセスメントを理解する

- アセスメントとは看護師は、患者さんの状態をより良くするために、計画を立てて行動します。その計画を立てるための土台となるのが、アセスメントです。アセスメントとは、患者さんの状態を可能な限り正確に把握することであり、看護師にとって最初の、そして非常に重要なステップと言えます。看護師は、患者さんの状態を把握するために、まず情報を集めます。情報を集める際には、患者さんから直接伺う必要があります。例えば、「熱っぽい」「頭が痛い」「吐き気がする」といった訴えや、「不安だ」「家族が心配だ」といった気持ちは、患者さん自身にしかわからない主観的な情報であり、とても重要です。しかし、患者さんの言葉だけに頼るのではなく、看護師自身の目で見て、耳で聞いて、手で触れて得られる情報も大切です。これらの情報は、客観的な情報と呼ばれ、表情やしぐさ、体温や脈拍、皮膚の状態やお腹の音などを、医療者としての知識や経験に基づいて確認します。さらに、血液検査やレントゲンなどの検査結果も、客観的な情報として加わります。このように、アセスメントでは、患者さんから直接伺う主観的な情報と、看護師が自身の五感や検査結果から得る客観的な情報を組み合わせて、総合的に判断します。このプロセスを通じて、患者さんの状態をより深く理解することができ、その後の看護計画へと繋げていくことができるのです。
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