自家移植:自分の体の一部を使って治す
- 自家移植とは自家移植とは、病気や怪我によって損傷を受けたり機能しなくなったりした組織や臓器を、健康な状態に戻すための治療法の一つです。 具体的には、患者さん自身の体の一部を採取し、治療を必要とする別の部位に移植します。移植に用いられる組織や臓器はさまざまです。例えば、重度の火傷を負った場合には、自身の健康な皮膚を採取し、損傷を受けた部位に移植します。 また、骨髄移植では、健康な骨髄液を採取し、血液の病気の治療に役立てます。自家移植の最大のメリットは、拒絶反応のリスクが極めて低い点にあります。 通常の臓器移植では、他人の臓器を移植するため、体内の免疫システムが、移植された臓器を「異物」と認識し攻撃してしまうことがあります。これが拒絶反応です。しかし、自家移植では、移植片は元は自分の体の一部であるため、免疫システムが攻撃することはありません。このため、自家移植では、拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤を長期間にわたって服用する必要性が低く、感染症などの副作用のリスクを軽減することができます。自家移植は、患者さん自身の細胞や組織を利用することで、身体への負担を最小限に抑えながら、さまざまな病気や怪我の治療に貢献できる可能性を秘めた治療法と言えるでしょう。