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蒙古斑:生まれたての証

- 蒙古斑とは? 蒙古斑とは、生まれたばかりの赤ちゃんや幼児の肌に現れる青みがかったアザのことです。その名の通りモンゴル民族の人々に多く見られることから名付けられましたが、アジア系の赤ちゃんに広く見られる一般的なものです。 特に、お尻や腰のあたりに現れやすく、まるで誰かがうっかりインクをこぼしてしまったかのような、少しぼんやりとした形をしているのが特徴です。 蒙古斑の原因は、皮膚の下にあるメラノサイトと呼ばれる細胞にメラニン色素が密集してしまうことにあります。 メラニン色素は、私たちの肌や髪、瞳の色を決める色素ですが、蒙古斑の場合は、皮膚の奥深くにメラノサイトが集まってしまうために、青みがかって見えるのです。 多くの場合、蒙古斑は成長とともに薄くなり、小学校に上がる頃には自然に消えてしまいます。治療の必要もなく、健康に害を及ぼすこともありません。 蒙古斑は、赤ちゃんにとっての一つの個性とも言えるでしょう。
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美肌への道:スキンケアの基本

- スキンケアとは毎日の生活の中で、私たちは顔や体についた汚れを落とすために洗顔を行います。スキンケアとは、この洗顔のように、肌を健やかに保つために行う全てのケアのことを指します。美しい肌を保つ、あるいは肌の悩みを改善するために欠かせないものです。スキンケアと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは化粧水や乳液などの化粧品を使うことでしょう。しかし、スキンケアは単に化粧品を使うことだけを意味するわけではありません。健康な肌を保つためには、肌の汚れを落とす洗顔、肌の水分を保つ保湿、そして紫外線から肌を守る紫外線対策など、様々な行為が必要です。毎日のスキンケアによって、肌の潤いを保ち、乾燥を防ぐことができます。また、過剰な皮脂の分泌を抑え、ニキビなどの肌トラブルのリスクを軽減することも期待できます。さらに、紫外線から肌を守ることで、シミやしわの予防にも繋がります。適切なスキンケアは、年齢を重ねても美しい肌を保つための第一歩と言えるでしょう。毎日の積み重ねによって、未来の自分の肌が変わっていくのです。
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夏の悩み、あせもについて

あせもは、一般的に「あせも」と呼ばれる皮膚の炎症です。医学的には「汗疹(かんしん)」と言い、汗の出口となる管である汗管が何らかの理由で詰まってしまい、皮膚の中に汗が溜まってしまうことで炎症を引き起こします。 高温多湿の環境は汗をかきやすく、汗管が詰まりやすくなるため、あせもは特に夏場に多く見られます。 あせもは、乳幼児から大人まで、年齢に関係なく誰でも発症する可能性があります。しかし、乳幼児は大人に比べて汗腺の密度が高く、体温調節機能も未熟なため、あせもができやすい傾向にあります。また、肥満体型の人や、汗をかきやすい体質の人も、あせもができやすいと言われています。 あせもは、適切なケアを行えば、通常は数日で症状が改善します。しかし、症状が悪化したり、なかなか治らない場合は、皮膚科専門医を受診するようにしましょう。
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爪の構造と役割、疾患について

- 爪の構造爪は、硬くて丈夫なタンパク質の一種であるケラチンでできており、私たちの日常生活で重要な役割を担っています。指先を保護する役割はもちろんのこと、物を掴んだり、細かい作業をする際にも役立ちます。一見単純に見える爪ですが、実はいくつかの重要な部分から構成された複雑な構造をしています。爪の最も目立つ部分は「爪甲」と呼ばれ、一般的に「爪」と聞いてイメージされる部分です。爪甲は、指先の皮膚を覆うように存在し、外部からの衝撃から指先を守っています。この爪甲の下には「爪床」と呼ばれる組織があり、爪甲と密着しています。爪床は、血管が豊富に分布しており、爪甲に栄養を供給する役割を担っています。爪甲の根元には、白い半円形の「爪半月」が見られます。爪半月は、新しく生まれた爪細胞が keratinization(角質化)する前の状態のもので、爪の成長と共に爪甲へと変化していきます。爪半月の下には、「爪母基」と呼ばれる爪の成長を司る重要な部分が存在します。爪母基は、常に新しい爪細胞を生み出し続け、爪の成長を促しています。爪甲の周囲は「爪郭」と呼ばれる皮膚が覆っており、爪甲と外部環境との間を隔てる役割をしています。爪郭は、細菌や異物の侵入を防ぐとともに、爪甲を乾燥から守る役割も担っています。また、爪郭の下には「爪上皮」と呼ばれる薄い皮膚が存在し、爪甲と爪郭を繋ぐ役割をしています。このように、爪は一見シンプルな構造に見えますが、それぞれ重要な役割を持つ複数の部位が組み合わさることで、指先を保護し、私たちの生活を支える機能を果たしているのです。
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脂漏性皮膚炎:症状と原因、そして対策とは?

脂漏性皮膚炎は、皮膚に存在する皮脂を栄養源とするマラセチア菌というカビの一種が関係していると考えられています。このカビは誰の皮膚にも存在しますが、過剰に増殖すると皮膚に炎症を引き起こし、脂漏性皮膚炎を発症すると考えられています。 脂漏性皮膚炎は、頭皮や顔のTゾーン、耳の周り、胸や背中など、皮脂の分泌が多い場所に発症しやすいという特徴があります。症状としては、かゆみ、赤み、フケのような皮膚の落屑などが挙げられます。頭皮に症状が現れると、かゆみやフケがひどく、抜け毛の原因となることもあります。顔面に症状が現れると、赤みや皮むけが生じ、見た目の問題から精神的なストレスを感じる方も少なくありません。 脂漏性皮膚炎は、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。乳児期に発症する脂漏性皮膚炎は、生後数週間から数ヶ月で自然に治ることが多いですが、成人期に発症する場合は慢性化しやすい傾向があります。また、脂漏性皮膚炎は、気候やストレス、ホルモンバランスなどの影響を受けやすく、症状が悪化したり、改善したりを繰り返すことがあります。
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紫外線と健康:その影響と対策

太陽から降り注ぐ光は、私たち人間にとって欠かせないものです。この光には、私たちに見えているものと見えていないものが含まれています。人間の目には見えない光の一つに、紫外線と呼ばれるものがあります。紫外線は、人間の目に見える光よりも波長が短いという特徴があります。波長が短いということは、その分エネルギーが強いことを意味します。 紫外線は、浴びる量によっては私たちの体に様々な影響を与えます。適量の紫外線を浴びることは、体内でビタミンDを生成するために必要なため、骨の健康を保つ上で重要です。しかし、過度な紫外線を浴びると、肌に炎症を起こし、赤く腫れたり、水ぶくれができたりすることがあります。これがいわゆる「日焼け」です。さらに、長期間にわたって過度な紫外線を浴び続けると、シミやそばかすの原因となり、皮膚がんのリスクも高まると言われています。また、目に対しても影響があり、白内障などの眼病を引き起こす可能性も指摘されています。 このように、紫外線は私たちの健康に大きな影響を与える可能性があるため、その特性を理解し、適切な対策をすることが重要です。
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蜂窩織炎:皮膚の奥深くで起こる感染症

- 蜂窩織炎とは蜂窩織炎は、皮膚の奥深くにある組織に細菌が感染することで起こる病気です。皮膚は大きく分けて3つの層でできており、表面から順に表皮、真皮、皮下組織と呼ばれています。蜂窩織炎は、このうち真皮や皮下組織に細菌が感染し、炎症を起こした状態を指します。 蜂窩織炎の特徴は、その進行の速さです。感染が始まると、患部は急速に赤く腫れ上がり、熱を持ちます。また、痛みやかゆみなどの症状が現れることもあります。重症化すると、水ぶくれや膿が出たり、発熱や倦怠感などの全身症状が現れたりすることもあります。 蜂窩織炎は体のどこにでも起こる可能性がありますが、特に脚、顔、腕に多く見られます。これは、これらの部位は怪我や虫刺されなどで皮膚のバリア機能が低下しやすく、細菌が侵入しやすいためと考えられています。また、糖尿病や免疫力の低下などがある場合も、蜂窩織炎のリスクが高まります。 蜂窩織炎は、適切な治療を行えば多くの場合治癒する病気です。しかし、放置すると重症化し、入院が必要になったり、まれに命に関わることもあります。少しでも蜂窩織炎の疑いがある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
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アトピー性皮膚炎:その特徴と対策

- アトピー性皮膚炎とはアトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる皮膚の病気です。この湿疹は、一時的に症状が治まることはあっても、再び悪化することが多く、慢性的に経過していく場合がほとんどです。アトピー性皮膚炎を発症する原因は、はっきりとは解明されていませんが、皮膚のバリア機能が生まれつき弱く、外部からの刺激に過敏に反応してしまうことが関係していると考えられています。例えば、ダニやハウスダスト、花粉、汗、衣類の繊維、特定の食べ物などが、人によっては刺激となり、炎症を引き起こすことがあります。この病気は、乳児期に症状が現れることが多く見られますが、年齢に関係なく、どの年代でも発症する可能性があります。近年、食生活や生活環境の変化、ストレスの増加など、様々な要因が重なり、アトピー性皮膚炎を発症する人は増加傾向にあります。現代社会において、関心の高い皮膚疾患の一つと言えるでしょう。
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寒冷蕁麻疹とその対処法

- 寒冷蕁麻疹とは 寒冷蕁麻疹は、冷たい空気や水、物に触れることで皮膚に蕁麻疹が出る、少し変わったアレルギー反応です。蕁麻疹は一時的に皮膚が赤く腫れ上がり、かゆみも伴います。かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、さらに症状が悪化してしまうこともあります。 この寒冷蕁麻疹は、他の蕁麻疹と異なり、寒さに触れた部分だけに症状が現れるのが特徴です。例えば、冷たい水に手を浸けると、手だけに蕁麻疹が出ますし、冷たい風に当たると、顔や首など、風に当たった部分だけに蕁麻疹が現れます。 症状は数分から数時間で治まることが多いですが、中には数日続く場合もあります。原因はまだはっきりとは解明されていませんが、寒さによって皮膚にある肥満細胞という細胞からヒスタミンなどの物質が放出されることで起こると考えられています。 寒冷蕁麻疹は、気温が急激に下がる冬場や、プールなど冷たい水に入る際に発症しやすい傾向があります。また、冷たい飲み物やアイスクリームなどを口にした際に、口の中や喉に症状が現れることもあります。
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知って防ごう!身近な感染症:疱疹

- 疱疹とは? 疱疹は、皮膚に小さな水ぶくれや膿を含んだ発疹が多数現れる病気です。その原因となるウイルスは、大きく分けて単純ヘルペスウイルスと水痘帯状疱疹ウイルスの二種類が存在します。 単純ヘルペスウイルスは、口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどを引き起こす、非常にありふれたウイルスです。多くの人が一度は感染を経験するほど、身近なものといえます。例えば、唇の周りに水ぶくれができたり、ピリピリとした痛みを感じたりするのが、口唇ヘルペスの特徴です。 一方、水痘帯状疱疹ウイルスは、子供の頃に水ぼうそうを引き起こした後に、体内に潜伏するという特徴があります。そして、加齢や免疫力の低下といった体の変化がきっかけで再び活性化し、帯状疱疹を発症します。帯状疱疹は、体の左右どちらか一方に、帯状に広がる赤い発疹と強い痛みを生じます。 このように、疱疹は原因となるウイルスによって症状や特徴が異なります。どちらも再発を繰り返す可能性があり、生活の質に影響を与える場合もあるため、適切な治療が必要です。
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皮膚からのサイン:発疹の種類と意味

- 発疹ってどんなもの? 発疹は、皮膚に現れる様々な変化のことを指します。赤い斑点やブツブツ、水ぶくれなど、その見た目も症状も実に様々です。まるで体が発するサインのように、発疹は体の内部の状態を反映していることがあります。 例えば、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかった時、特定の食べ物や花粉に対するアレルギー反応を起こした時、あるいは、はしかやおたふく風邪などの特定の病気にかかった時などに、発疹が現れることがあります。 発疹が現れた際の対処法としては、まず原因を特定することが重要です。自己判断せず、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。原因によっては、塗り薬を処方されたり、内服薬を処方されたりします。 発疹は、時に強い痒みを伴うことがありますが、掻きむしってしまうと、症状が悪化したり、細菌感染を起こしたりする可能性があります。掻かずに、冷やしたり、清潔なタオルで優しく押さえたりするなどして、痒みを抑えるようにしましょう。
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やけどの基礎知識

やけどは、高温の物体に触れたり、熱湯や薬品、放射線などに触れることで、皮膚や組織が傷つくことをいいます。 日常生活でよく見られる怪我の一つですが、その程度は軽いものから命に関わる重いものまで様々です。 熱い鍋やアイロンなどに触れてしまい、皮膚が赤くなる程度であれば、多くは軽度のやけどです。しかし、熱湯を浴びてしまったり、火災に巻き込まれたりするなど、広範囲にわたって皮膚が損傷した場合には、重度のやけどとなる可能性があります。 やけどの症状は、損傷の程度によって大きく異なります。皮膚が赤くなる、水ぶくれができる、皮膚がむけてしまうといった症状が見られることがあります。重度のやけどの場合には、痛みやしびれだけでなく、体内の水分や電解質のバランスが崩れ、ショック状態に陥ることもあります。 やけどは、適切な処置を速やかに行うことが重要です。もしも、やけどをしてしまった場合には、まずは流水で冷やすことが大切です。そして、症状に応じて医療機関を受診するようにしましょう。やけどは、後遺症が残ってしまう可能性もあるため、自己判断せずに、医師の診断を受けることが重要です。
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人体を守る防護壁:皮膚

人間の体は、一番外側を皮膚という薄い膜で覆われています。まるで洋服のように体全体を包み込む皮膚は、単なる体の表面を覆うものではなく、私達が健康に生きていく上で、非常に重要な役割を担っています。 まず、皮膚は外界と体内を隔てる壁の役割を果たし、体にとって有害な細菌やウイルスなどの侵入を防いでいます。もし皮膚がなかったら、私達の体は無防備な状態に置かれ、あらゆる病原体が容易に侵入してしまうでしょう。また、皮膚は、強い日差しや寒暖差、乾燥といった外部環境の変化からも体を守っています。 さらに、皮膚は触覚、圧覚、温度覚、痛覚といった感覚器としての役割も担っています。熱いものに触れたときに瞬時に手を引っ込めることができるのも、皮膚が温度を感じ取って脳に信号を送っているからです。また、物体に触れたときの感触や、痛みを感じることによって危険を察知し、体を守ることもできます。 このように皮膚は、私達が健康で安全な生活を送るために、非常に重要な役割を果たしているのです。
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夏の悩みにさよなら!あせもの原因と対策

- あせもってどんな病気?あせもは、高温多湿な環境下で発症しやすいため、特に気温と湿度が上がる夏場に多くみられます。人間の身体には、体温調節のために汗を分泌する機能が備わっています。しかし、高温多湿な環境下では、汗が過剰に分泌されたり、汗の出口である汗管が詰まりやすくなることがあります。その結果、皮膚の中に汗が溜まってしまい、周囲の皮膚に炎症を引き起こしてしまうのです。これが、あせもの正体です。医学的には「汗疹」と呼ばれ、乳幼児から大人まで、幅広い年齢層で発症する可能性があります。 特に、汗腺の機能が未発達な赤ちゃんは、あせもになりやすい傾向があります。赤ちゃんの肌はデリケートで、大人よりも汗腺の密度が高いため、汗をかきやすく、あせももできやすいのです。しかし、あせもは適切なケアを行うことで症状が改善する病気なので、過度に心配する必要はありません。日頃から、汗をかいたらこまめに拭いたり、通気性の良い服装を心がけたりすることで、あせもの予防に努めましょう。また、あせもの症状が出てしまった場合には、皮膚科を受診し、医師の指示に従って適切な治療を受けるようにしてください。
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皮膚への刺激で起こる蕁麻疹 – 機械性蕁麻疹

- 機械性蕁麻疹とは機械性蕁麻疹は、皮膚に何らかの物理的な刺激が加わることで、かゆみのある赤い膨らみが現れる症状です。蕁麻疹は一時的に皮膚が赤く腫れ上がる病気ですが、その中でも機械性蕁麻疹は、衣服の擦れや、皮膚を掻いたり擦ったりするなどの刺激が原因で起こります。例えば、締め付けのきついズボンやベルトのせいで、お腹や腰にかゆみと赤い膨らみが出ることがあります。また、運動などで汗をかいた後、汗で濡れた衣服と皮膚が擦れ合って、同じような症状が現れることもあります。この病気の原因は、皮膚への圧迫や摩擦などの刺激によって、皮膚の中のヒスタミンなどの物質が放出されることだと考えられています。ヒスタミンは、血管を広げて permeability (透過性)を高める作用があり、その結果として皮膚が赤く腫れ上がったり、かゆみが生じたりすると考えられています。機械性蕁麻疹は、特定の原因となる刺激を避けることで症状を抑えることができます。例えば、締め付けの強い衣服を避けたり、汗をかいたらこまめに着替えたりするなどの対策が有効です。症状が重い場合には、医師の診察を受けて、適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
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皮膚の色に変化?色素沈着について解説

- 色素沈着とは私たちの肌の色を決めているのは、メラニンと呼ばれる色素です。メラニンは、肌の表皮にあるメラノサイトという細胞で作られます。紫外線などの刺激を受けると、メラノサイトはメラニンを生成し、肌を守ろうとします。このメラニンが過剰に作られ、皮膚に沈着してしまう現象を、色素沈着と呼びます。色素沈着は、一部分に集中して起こる場合もあれば、広範囲に及ぶ場合もあります。シミやそばかすは、色素沈着が部分的に起こったものであり、顔にできやすいのが特徴です。一方、肝斑は、頬骨の高い位置などに左右対称に現れる、ぼんやりとした色の濃い部分として現れます。色素沈着の原因は様々ですが、紫外線による影響が大きいと言われています。紫外線を浴びると、メラノサイトが活性化し、メラニンが大量に作られます。日焼けはその典型的な例ですが、長年紫外線を浴び続けることで、シミやそばかす、くすみなどの原因にもなります。また、ホルモンバランスの乱れも、色素沈着を引き起こす要因の一つです。妊娠中やピルの服用によってホルモンバランスが変化すると、メラニンの生成が促進され、シミなどができやすくなることがあります。その他、炎症や傷が原因で色素沈着が起こることもあります。ニキビや虫刺されなどが治った後、その部分が茶色く残ってしまうことがあります。これは、炎症によってメラノサイトが刺激され、メラニンが過剰に作られるために起こります。
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手術の傷跡を目立たなく?皮膚割線の話

私たちの体は、全身を皮膚が包み込んでいます。この皮膚は、一見するとどこも同じように見えますが、実はある一定の方向に引っ張られる力が働いています。 この力の向きによってできる線が存在し、それを皮膚割線と呼びます。19世紀に活躍したオーストリアの解剖学者であるカール・ランガー氏によって提唱されたことから、ランガー線とも呼ばれています。 皮膚割線は、皮膚の下にあるコラーゲン線維やエラスチン線維といった結合組織の配列によって決まります。これらの線維は、体の部位や動きに合わせて、縦方向や横方向など、様々な方向に走っています。そのため、皮膚割線も体の部位によって向きが異なり、例えば、顔では縦方向、腕や脚では横方向に走っています。 この皮膚割線は、手術の傷跡を目立たなくするために重要な役割を果たします。皮膚割線に沿って切開すると、傷口にかかる力が分散され、傷跡が小さく、きれいに治りやすいと言われています。逆に、皮膚割線に対して垂直に切開すると、傷口が引っ張られてしまい、傷跡が目立ちやすくなってしまいます。 そのため、外科手術、特に美容外科などでは、皮膚割線を考慮して切開を行うことが一般的です。
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傷口の守護者:痂皮の役割

私たちの体は、常に周囲の環境にさらされており、日常生活の中で小さな傷は避けられません。例えば、何かに擦れたり、物を触って切ったり、熱いものにうっかり触れてしまったりと、皮膚に損傷が生じることがあります。このような場合、損傷した皮膚からは血液が流れ出てきます。 出血は、体にとって大切な血液が外に流れ出てしまうだけでなく、傷口から細菌などの異物が侵入しやすくなるため、体にとって危険な状態です。そこで、傷口を塞ぎ、外部からの細菌の侵入を防ぐために重要な役割を果たすのが痂皮です。 痂皮は、血液中の血小板や凝固因子が傷口に集まり、複雑な反応を起こすことで形成されます。この反応によって、血液中のフィブリンというタンパク質が網目状に固まり、傷口を覆うことで出血を止めます。これがかさぶたとなって、傷口を保護する役割を果たします。痂皮の下では、新しい皮膚細胞が活発に作られ、傷口を修復していきます。 痂皮は自然に剥がれ落ちますが、無理に剥がすと、せっかく修復された皮膚を傷つけてしまい、細菌感染のリスクを高める可能性があります。痂皮が剥がれた後も、完全に皮膚が再生するまでには時間がかかります。 傷跡を残さないためには、皮膚の再生を促すために傷口を清潔に保ち、保湿することが大切です。
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びらん:皮膚の浅い傷と治癒について

- びらんとは何か 私たちの体は、外界からの様々な刺激から身を守るために、皮膚というバリアで覆われています。皮膚は、場所や役割によって厚さが異なりますが、大きく分けて3つの層で構成されています。 一番外側にあるのが表皮と呼ばれる層です。この層は、細菌やウイルスなどの病原体や、紫外線などの有害な刺激から体を守る、まさに最前線の防御壁としての役割を担っています。その内側には、真皮と呼ばれる層があります。真皮は、コラーゲンやエラスチンといった線維状のタンパク質を豊富に含み、皮膚に弾力と強度を与えています。また、血管や神経などもこの層に分布しています。そして、最も内側にあるのが皮下組織です。皮下組織は、主に脂肪細胞からなり、体温の維持や外部からの衝撃を吸収する役割を担っています。 「びらん」とは、この皮膚のうち、最も外側にある表皮だけが傷ついた状態を指します。つまり、真皮よりも深くまでは達していない浅い傷のことです。カミソリ負けや靴擦れなどが、びらんの代表的な例です。びらんは、適切な処置を行えば、通常は跡を残さずに綺麗に治癒します。
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傷口の保護膜:瘡蓋の役割

- 瘡蓋ってなに?瘡蓋(かさぶた)は、すり傷や切り傷など、皮膚にできた傷口を保護するために自然にできるものです。まるで傷口に蓋をするようにして、細菌やウイルスなどの外敵から守る役割を担っています。色は赤褐色や黒っぽいことが多く、これは瘡蓋の中に血液の色素が含まれているためです。触ると硬く感じますが、これは傷口が治る過程で線維という成分が新しく作られるためです。瘡蓋ができる前は、傷口は痛みやヒリヒリ感がありますが、瘡蓋ができると、これらの不快な症状は感じにくくなります。これは、瘡蓋が傷口を覆うことで、外部からの刺激を和らげてくれるからです。このように、瘡蓋は傷口を外部環境から守り、体が本来持つ自然治癒力を高めるために重要な役割を果たしているのです。
皮膚科

診断の鍵となる皮膚症状:ニコルスキー現象

- ニコルスキー現象とは 健康な肌は、通常、多少の摩擦や圧力では傷ついたり剥がれたりしません。これは、皮膚の表面にある表皮と、その下の真皮がしっかりと結びついているからです。しかし、特定の病気や皮膚の状態によって、この結びつきが弱くなってしまうことがあります。その結果、少し触れただけでも皮膚が薄く剥がれ落ちてしまう現象が起こります。これがニコルスキー現象です。 ニコルスキー現象は、まるで薄い紙や膜が剥がれるように、皮膚の表面だけが剥がれ落ちるのが特徴です。これは、皮膚の層構造を維持する上で重要な役割を果たす、デスモソームという細胞結合に異常が生じているために起こります。デスモソームは、細胞同士をしっかりと結びつける役割を担っていますが、ニコルスキー現象が起こると、この結合が壊れやすくなっているのです。 この現象は、皮膚が赤くなる、水ぶくれができる、痛みやかゆみがあるといった他の皮膚症状と同時に現れることが多いです。ニコルスキー現象が見られる代表的な病気としては、天疱瘡やSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)などが挙げられます。これらの病気は、細菌感染や自己免疫反応などが原因で起こると考えられており、早期の診断と適切な治療が必要となります。
皮膚科

傷跡の隆起:ケロイドについて

- ケロイドとは?ケロイドとは、傷が治った後に皮膚にできる、赤みや茶色みを帯びた硬いしこりのようなものです。まるでミミズ腫れのようになってしまうため、見た目が気になるという方も少なくありません。ケロイドは、傷口を修復しようとする体の働きが過剰に働いてしまうことで発生すると考えられています。通常、傷が治る過程で、線維芽細胞という細胞がコラーゲンというタンパク質を生成し、傷口を塞ぎます。しかし、ケロイドの場合、この線維芽細胞が過剰にコラーゲンを生成してしまうため、皮膚が異常に盛り上がってしまうのです。ケロイドは体のどこにでもできる可能性がありますが、胸、肩、耳たぶ、頬など、皮膚の張力が強い部位にできやすい傾向があります。また、やけどや手術の傷跡、ニキビ跡など、傷の種類によってはケロイドになりやすいものもあります。ケロイドは、痛みやかゆみなどの症状が出ることはほとんどありませんが、見た目の問題から精神的なストレスを感じてしまう方もいます。また、関節付近にできたケロイドは、関節の動きを制限してしまうこともあります。ケロイドは自然に治ることはほとんどなく、治療が必要となるケースが多いです。
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褥瘡:予防と早期発見のために

- 褥瘡とは 褥瘡は、寝たきり状態や車椅子生活など、長時間同じ姿勢を続けることで発生しやすくなります。体の特定の部位に体重が集中し続けることで、その部分の血流が悪くなってしまうのです。すると、皮膚やその下の組織(皮下組織)に必要な酸素や栄養が十分に届かなくなり、組織が損傷を受けてしまいます。これが褥瘡であり、一般的には「床ずれ」とよばれることもあります。 褥瘡は、誰でも発症する可能性がありますが、特に骨が出っ張っている部分にできやすいという特徴があります。なぜなら、骨が出っ張っている部分は、周りの組織よりも圧力がかかりやすく、血流が阻害されやすいためです。具体的には、お尻の尾骨の少し上の部分にある仙骨、かかと、くるぶし、肩甲骨などが挙げられます。 褥瘡は、初期段階では皮膚が赤くなる程度ですが、悪化すると皮膚がめくれてしまったり、潰瘍になったりすることがあります。さらに重症化すると、筋肉や骨まで損傷を受けることもあり、治療が困難になる場合もあります。そのため、褥瘡は早期発見と予防が非常に重要です。
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そばかす:太陽の贈り物?

- そばかすとはそばかすは、医学的には雀卵斑(じゃくらんはん)と呼ばれる、皮膚に現れる小さな茶色の斑点のことを指します。 その大きさは直径1~5ミリ程度で、円形や楕円形をしていることが多いです。色は薄い茶色から濃い茶色まで、人によって様々です。そばかすは顔にできやすく、特に鼻筋や頬の高い位置、額など、日光に当たりやすい場所に集中して見られる傾向があります。 紫外線を浴びると、肌は自らを防御するためにメラニン色素を生成します。そばかすは、このメラニン色素が皮膚の一箇所に集中して沈着することで生じます。遺伝的な要因も大きく、生まれつきそばかすができやすい体質の人もいます。 幼少期からそばかすが目立つ場合もありますが、思春期になるとともに濃くなることもあります。 また、日焼け後などに一時的にそばかすが濃くなることもありますが、これは紫外線への防御反応の一種です。そばかす自体は無害で、健康に影響を与えることはありません。 むしろ、チャームポイントとして捉える人も多くいます。 しかし、気になる場合は、紫外線対策をしっかり行うことが大切です。 日焼け止めクリームを塗ったり、帽子や日傘を使用したりして、紫外線から肌を守りましょう。
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