消化とホルモン分泌の要:膵臓
私たちの体の中心、胃の後ろ側、背骨の前に静かに佇む長さ約15cmほどの臓器、膵臓。みぞおちの少し上に位置していますが、体の奥深くに隠れているため、その存在を意識することはほとんどありません。触診で確認することも難しい、まさに“秘めたる臓器”と言えるでしょう。しかし、普段は意識することのないこの臓器こそ、私たちの生命維持に欠かせない、二つの重要な役割を担う“縁の下の力持ち”なのです。
一つは、食べ物を消化する上で欠かせない膵液を作り出す働きです。私たちが口にした食べ物は、胃で消化された後、小腸へと送られます。膵臓は、この小腸で食べ物を効率よく消化するために、様々な消化酵素を含む膵液を分泌し、胃から送られてきた食べ物がスムーズに消化されるよう、陰ながらサポートしています。
もう一つの重要な役割は、血糖値の調節です。食事をすると、血液中のブドウ糖の濃度である血糖値が上昇します。膵臓は、血糖値の上昇を抑えるホルモンであるインスリンを分泌することで、血液中のブドウ糖が適切な値に保たれるよう調節しています。インスリンは、ブドウ糖をエネルギーとして利用したり、貯蔵したりするのを助ける役割を担っており、私たちの体が正常に活動するために欠かせないホルモンの一つです。このように、膵臓は、消化と血糖値の調節という二つの大きな役割を担い、私たちの健康を支える上で非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。