気道

耳鼻科

咽頭:呼吸と消化の交差点

- 咽頭の位置と構造咽頭は、頭蓋骨の底部から、およそ首の骨の6番目にあたる第6頸椎の高さまで続く、長さ約12cmの管状の器官です。その壁は筋肉でできており、食べ物を飲み込むなどの動きに関わっています。形は漏斗を逆さにしたような形で、上の方は広がっていて、下に行くにつれて狭くなっていきます。咽頭は、鼻の奥にあたる鼻腔と、口の奥にあたる口腔の後ろ側に位置しています。そして、下は喉頭と食道につながることで、呼吸と食事という二つの重要な役割を担っています。鼻で吸い込んだ空気は、鼻腔を通って咽頭を通り、喉頭から気管へと送られます。一方、口から入った食べ物は、口腔から咽頭を通り、食道へと送られます。このように、咽頭は空気と食物の共通の通路となっているため、誤って食べ物が気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)が起こることがあります。咽頭は、その上部から上咽頭、中咽頭、下咽頭の3つに分けられます。上咽頭は鼻腔の奥に位置し、中咽頭は口腔の奥に位置します。下咽頭は喉頭と食道の入り口に位置し、食物と空気の通り道を分ける重要な役割を担っています。
呼吸器

聴診のポイント:断続性ラ音とは

聴診器を用いて呼吸音を評価する際、健常な状態では聞こえない音が聴取されることがあります。これらの音は、医学用語で副雑音と呼ばれ、その発生源や性質によって分類されます。肺や気道で発生する副雑音の一つにラ音があり、さらに連続性ラ音と断続性ラ音に分類されます。 連続性ラ音は、比較的長く続く音である点が特徴です。例として、高音でピーピーと聞こえる笛を吹くような音や、低音でグーグーといったいびきのように聞こえる音が挙げられます。これらの音は、気道が狭くなっている箇所を空気が通過する際に発生すると考えられています。 一方、断続性ラ音は、連続性ラ音とは対照的に、短く途切れ途切れに聞こえる音です。こちらは、ポツポツ、パチパチといった音で表現されることが多く、水ぶくれが弾けるような音に例えられることもあります。断続性ラ音は、閉塞していた気道が急に開く際に発生すると考えられています。
呼吸器

呼吸のデッドスペース:死腔

私たちは生きるために、常に呼吸を繰り返しています。息を吸うことで体内に酸素を取り込み、反対に息を吐くことで二酸化炭素を排出しています。この一連の動作を呼吸と呼びますが、体内に入った酸素と体外へ排出される二酸化炭素の交換が行われるのは、肺という臓器の中にある、肺胞という小さな袋状の器官です。 肺胞はブドウの房のように無数に存在し、毛細血管と呼ばれる細い血管が網の目のように張り巡らされています。吸い込んだ空気は、まず鼻や口から気管を通って肺へ、そしてさらに細かく枝分かれした気管支を通って肺胞へと届けられます。肺胞に届けられた空気中の酸素は、肺胞を取り巻く毛細血管に取り込まれ、血液によって全身へと運ばれていきます。同時に、体内で使われた後の二酸化炭素は、血液によって肺胞まで運ばれ、肺胞から気管支、気管を通って体外へ排出されます。 さて、ここで「死腔」について説明しましょう。空気の通り道である気管支は、肺の中で幾重にも枝分かれして、最終的に肺胞へとつながっています。しかし、気管支の一部の領域では、ガス交換が行われません。このガス交換に関与しない気道の部分を「死腔」と呼びます。
呼吸器

誤嚥:食べ物や液体が気管に入ってしまうこと

- 誤嚥とは私たちは普段、食事をするとき、食べ物を口の中でよく噛み砕き、唾液と混ぜ合わせて飲み込みやすくしています。このとき、飲み込んだものは食道という管を通って胃へと送られます。しかし、何らかの原因で、飲み込んだものが食道ではなく、気管の方に誤って入ってしまった場合、これを「誤嚥」と呼びます。気管は空気の通り道であるため、ここに食べ物や飲み物が入ると、むせてしまいます。多くの場合、この反射によって異物を吐き出すことができます。しかし、乳幼児や高齢者、病気などで飲み込む機能が低下している方の場合、うまく吐き出すことができずに、誤嚥性肺炎などの深刻な病気に繋がる可能性があります。誤嚥は誰にでも起こりうることですが、特に注意が必要なのは、乳幼児と高齢者、そして病気などで飲み込む機能が低下している方です。乳幼児は飲み込む機能が未発達なため、注意が必要です。高齢者は、加齢に伴い飲み込む機能が低下しやすくなるため、注意が必要です。また、脳卒中やパーキンソン病などの病気により、飲み込む機能が低下している方も注意が必要です。誤嚥のリスクを減らすためには、食事の際はよく噛んでから飲み込む、姿勢を正して食べる、一口の量を少なくするなどの工夫が大切です。また、周囲の人が誤嚥のリスクを理解し、注意深く見守ることも重要です。
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