検査

目・眼科

眼底検査:眼の奥からわかる健康状態

- 眼底検査とは何か眼底検査は、眼科で行われる一般的な検査の一つです。人間の目は、カメラに例えられることがあります。カメラのレンズに当たる部分が水晶体、フィルムに当たる部分が網膜と呼ばれています。眼底検査は、瞳孔という眼の奥にある小さな入り口から、眼底と呼ばれる部分を観察する検査です。眼底には、カメラのフィルムに相当する、光を感知する網膜や、情報を脳に伝える視神経といった、視覚にとって重要な組織が存在します。眼底検査では、これらの組織の状態を詳しく調べることで、様々な病気の兆候を発見することができます。例えば、網膜に異常が見られる病気としては、糖尿病網膜症、網膜剥離、加齢黄斑変性などがあります。また、視神経に異常が見られる病気としては、緑内障、視神経萎縮などがあります。これらの病気は、放置すると失明に至る可能性もあるため、早期発見、早期治療が非常に重要です。眼底検査は、痛みや discomfort を伴わない検査です。検査時間は5分程度で、点眼薬を使用して瞳孔を開いてから行います。検査後は、しばらくの間、まぶしさが残ることがありますので、車の運転は控えるようにしてください。眼底検査を受けることで、自覚症状のない病気の早期発見につながることがあります。定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けるようにしましょう。
検査

クレアチニンクリアランス:腎臓の働きを測る

- クレアチニンクリアランスとはクレアチニンクリアランスは、私たちの体にとって重要な臓器である腎臓の働きを調べる検査の一つです。腎臓は、血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する役割を担っています。この腎臓がどれくらいしっかりと血液をろ過できているかを数値で表したものが、クレアチニンクリアランスです。簡単に言うと、クレアチニンクリアランスは腎臓のフィルター機能を測るものと言えます。健康な腎臓は、このフィルター機能が高く、血液を効率的にろ過して、老廃物を尿として排出することができます。しかし、腎臓の機能が低下すると、このフィルター機能も低下してしまい、血液中の老廃物を十分に取り除くことができなくなります。検査では、クレアチニンという物質が使われます。クレアチニンは、筋肉が活動する時に作られる老廃物で、通常は腎臓でろ過されて尿として排出されます。腎臓の機能が低下すると、このクレアチニンが血液中に多く残ってしまうため、クレアチニンクリアランスの値は低くなります。クレアチニンクリアランスの値が低い場合は、腎臓の機能が低下している可能性があり、放置すると体に老廃物が溜まり、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。そのため、早期発見・早期治療のためにも、定期的な検査を受けることが大切です。
泌尿器

糸球体濾過量:腎臓の健康を知る指標

- 糸球体濾過量とは 糸球体濾過量(GFR)は、腎臓の働き具合を測る上で非常に重要な指標です。腎臓は、毎日休むことなく血液を濾過し、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出することで、私たちの体の健康を維持しています。この濾過が行われる場所は、腎臓の中にある無数の小さな構造物である糸球体です。 糸球体は、毛細血管が球状に集まったもので、血液がここを通る際に、まるで網目のように老廃物や余分な水分を濾し取ります。この濾過された液体が原尿となり、その後、尿細管という管を通る中で必要な成分が再吸収され、最終的に尿として排出されます。 GFRは、この糸球体が1分間にどれだけの量の血液を濾過できるかを示す数値であり、単位はmL/分/1.73m²で表されます。GFRの値が高いほど、腎臓の濾過機能が高いことを意味し、逆に低い場合は、腎機能の低下が疑われます。腎機能の低下は、自覚症状が出にくい場合もありますが、放置すると人工透析が必要となるなど、深刻な事態に陥る可能性もあります。 そのため、健康な状態を保つためには、GFRの値を定期的に測定し、腎臓の健康状態を把握することが重要です。
呼吸器

気管支鏡検査:肺の奥をのぞく

- ブロンコとは?「ブロンコ」とは、気管支鏡検査の通称で、鼻や口から細い管状の機器を挿入し、肺へと続く空気の通り道(気管や気管支)を直接観察する検査です。 検査には、「気管支ファイバースコープ」という医療機器を用います。この機器の先端には、とても小さなカメラとライトが付いており、気管や気管支の内部を鮮明に映し出すことができます。医師は、モニターに映し出された画像を見ながら、腫瘍や炎症、分泌物の有無など、様々な角度から診断を行います。 ブロンコは、咳や血痰が続く場合の原因究明、肺炎、気管支炎、気管支拡張症といった様々な呼吸器疾患の診断に役立ちます。特に、肺がんの疑いがある場合には、気管支鏡を通して組織を採取する「生検」を行うことで、より確実な診断が可能となります。
検査

生体組織診断:病気の真相に迫る顕微鏡検査

- 生体組織診断とは生体組織診断とは、患者さんの体から採取した組織の一部を顕微鏡などで詳しく調べることで、病気の原因や状態を明らかにする検査方法です。 例えるならば、皆さんは名探偵シャーロック・ホームズをご存知でしょうか? ホームズが虫眼鏡を使って事件の手がかりを探すように、医師は顕微鏡を使って病気の手がかりを探します。具体的には、手術で患部を切除したり、内視鏡を使って組織の一部を採取します。採取した組織は特殊な方法で処理され、薄くスライスされてプレパラートと呼ばれる観察用の試料となります。このプレパラートを顕微鏡で観察することで、組織や細胞の形や状態を詳しく調べることができます。生体組織診断によって、がん、炎症、感染症など、様々な病気を正確に診断することができます。 また、がんの場合には、がんの進行度合いや種類を特定することも可能です。 これらの情報は、適切な治療法を選択するために非常に重要となります。生体組織診断は、病気の診断に欠かせない重要な検査方法と言えるでしょう。
検査

ガストロ検査:消化管を視る検査

「ガストロ」という言葉を耳にしたことがありますか? 病院で耳にすることはあっても、日常生活ではあまり馴染みがないかもしれませんね。 「ガストロ」は、正式には「ガストログラフィン」と呼ばれるお薬を使った検査のことを指します。 「ガストログラフィン」は、バリウムのようにレントゲン写真に写りやすい性質を持つ液体で、これを飲むことで、レントゲン写真に消化管がはっきりと写し出されるのです。 つまり、「ガストロ検査」とは、「ガストログラフィン」を使って、食道、胃、十二指腸などの消化管の状態を詳しく調べる検査のことを言います。 この検査では、消化管の形や動きを観察することで、潰瘍やポリープ、腫瘍などの病気がないか、また炎症が起きていないかなどを調べることができます。 「ガストロ」という言葉は、医療現場では日常的に使われていますが、一般的にはあまり知られていない言葉の一つと言えるでしょう。
脳・神経

上肢拳上試験とバレー徴候

- バレー徴候とはバレー徴候は、脳卒中などの病気によって、手足の動きに麻痺が見られる際に、その麻痺の程度を詳しく調べるために行う検査で現れる体の反応のことです。 フランスの神経学者であるジャン・アレクサンドル・バレーの名前から名付けられました。この検査は、患者さんに両腕をまっすぐ前に伸ばしてもらい、目を閉じた状態でその姿勢を保ってもらいます。すると、麻痺のある側の腕は、徐々に下に下がってきたり、手のひらが内側に回ってしまったり、指が開いてしまうといった症状が現れます。これがバレー徴候と呼ばれるものです。なぜこのようなことが起きるのでしょうか?私たちの脳は、体全体に運動の指令を出しています。この指令は、脳から脊髄を通って筋肉へと伝えられます。この脳から脊髄、そして筋肉へと繋がる神経の通り道を錐体路と呼びます。脳卒中などで脳に損傷を受けると、この錐体路がうまく機能しなくなり、運動の指令が正しく伝わらなくなってしまいます。その結果、麻痺が起こったり、バレー徴候のような特有の症状が現れたりするのです。バレー徴候が見られるということは、脳から筋肉への運動指令の伝達経路である錐体路に障害が生じている可能性を示唆しています。 バレー徴候は、脳卒中の早期発見や、麻痺の程度を正確に把握するために重要な手がかりとなるため、医療現場で広く用いられています。
検査

アストラップ:血液ガス分析でわかること

- アストラップとはアストラップとは、動脈から血液を採取し、その血液に溶けている酸素や二酸化炭素の量、そして血液の酸性度を調べる検査のことです。正式には「動脈血ガス分析」と呼ばれ、体の呼吸状態や酸塩基平衡状態を評価するために重要な検査です。私たちが呼吸によって体内に取り込んだ酸素は、肺の中で血液中に溶け込み、全身に運ばれます。同時に、細胞が活動した後に排出される二酸化炭素は、血液によって肺に運ばれ、呼吸によって体外へ排出されます。この、酸素と二酸化炭素のやり取りが正常に行われているか、また体内の酸とアルカリのバランスが適切に保たれているかを調べるのがアストラップの目的です。アストラップでは、血液中の酸素の量を示す「酸素分圧」、二酸化炭素の量を示す「二酸化炭素分圧」、そして血液の酸性度を示す「pH」などが測定されます。これらの値を見ることで、肺が正常に機能しているか、呼吸器疾患の可能性があるか、体内の酸塩基平衡が乱れていないかなどを判断することができます。アストラップは、肺炎や喘息などの呼吸器疾患、心不全、糖尿病ケトアシドーシスなどの様々な病態の診断や治療効果の判定に用いられます。また、手術中や集中治療室などにおいて、患者の状態を把握するためにも重要な検査です。
呼吸器

肺の奥をのぞく:気管支肺胞洗浄とは?

- 気管支肺胞洗浄の目的 呼吸によって体内に取り込まれた空気は、鼻や口から気管を通って肺へと送られます。そして、肺の奥にある無数の小さな袋状の器官である肺胞に到達します。この肺胞こそが、血液中に酸素を取り込み、体内で発生した二酸化炭素を排出する、ガス交換の重要な役割を担う場所です。 気管支肺胞洗浄は、この肺胞の状態を詳しく調べるために行われる検査です。細い管を鼻や口から挿入し、気管支を通って肺胞に到達させます。そして、あらかじめ用意した少量の生理食塩水を肺胞内に注入し、その後、その液体を吸引して回収します。この回収した液体を「肺胞洗浄液」と呼びます。 肺胞洗浄液には、肺胞内に存在する細胞や細菌、異物などが含まれています。そのため、顕微鏡で観察したり、培養検査を行ったりすることで、肺胞に炎症が起きていないか、どのような種類の細胞が増えているのか、感染症の原因となる細菌やウイルスが存在するのかなどを調べることができます。 このように、気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くにある肺胞の状態を直接調べることのできる、非常に有用な検査方法と言えるでしょう。原因不明の咳や呼吸困難、間質性肺炎などの病気の診断、治療効果の判定などに役立てられています。
脳・神経

下顎反射:そのメカニズムと臨床的意義

- 下顎反射とは顎の先端をハンマーなどで軽く叩くと、反射的に口が開いたり閉じたりすることがあります。これを下顎反射と言い、医学的には咬筋反射とも呼ばれます。この反射は、私たちが普段意識していないところで起こる不随意運動の一種です。熱いものに触れたときに思わず手を引っ込めてしまうのと同じように、外部からの刺激に対して体が自動的に反応する仕組みを示しています。下顎反射は、三叉神経と顔面神経という二つの神経が関与しています。ハンマーで顎の先端を叩打すると、その刺激はまず三叉神経を伝わって脳幹へと送られます。脳幹では、受け取った刺激を分析し、顔面神経へと指令を出します。その指令が顔面神経を通じて顎の筋肉に伝わることで、口が開閉する反応が引き起こされるのです。この反射は、神経系の状態を評価する上で重要な指標の一つとされています。通常、軽く叩打しただけで反応が見られる場合は正常と判断されます。しかし、反射が過剰に強かったり、逆に弱かったり、あるいは全く反応が見られない場合は、神経系に何らかの異常が疑われます。例えば、脳卒中や脳腫瘍、顔面神経麻痺などが挙げられます。下顎反射は、私たちが健康な生活を送る上で重要な役割を担っている神経系の働きを理解する上で、大変興味深い現象と言えるでしょう。
呼吸器

肺の奥を覗く:気管支肺胞洗浄とは

- 気管支肺胞洗浄とは 気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くにある小さな袋状の組織「肺胞」に溜まっているものを採取し、顕微鏡などで詳しく調べる検査です。 肺胞は、私たちが呼吸によって体内に取り込んだ空気中の酸素と、血液中の二酸化炭素を交換するという、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。 この検査では、まず鼻や口から細い管を挿入し、気管支という空気の通り道を進みます。そして、目的の肺胞に到達したら、管の先から少量の生理食塩水を注入します。その後、注入した生理食塩水を吸引して回収し、その中に含まれている細胞や物質を分析します。 気管支肺胞洗浄は、咳や痰では排出されない肺胞内の状態を直接調べることのできる検査であり、原因不明の咳や呼吸困難、肺炎などの呼吸器疾患の診断に役立ちます。具体的には、感染症の原因となる細菌やウイルス、がん細胞、炎症細胞などを特定することができます。また、病気の活動性や治療効果の判定にも有用です。 気管支肺胞洗浄は、肺の奥深くまで管を挿入するため、患者さんにとって負担が大きい検査です。 検査中は医師や看護師が付き添い、患者さんの状態を注意深く観察しながら行います。また、検査前に十分な説明を受け、不安や疑問を解消しておくことが大切です。
検査

心臓超音波検査:心臓の働きを目で見えるようにする検査

心臓超音波検査は、超音波を用いて心臓の状態を詳しく調べる検査です。身体に害の少ない超音波を用いるため、痛みや負担が少なく、繰り返し検査を受けることが可能です。検査中は、左胸に検査機器を当てて、心臓の動きを超音波で捉えます。この超音波は、人間の耳には聞こえない音波であり、身体に害を与える心配はありません。検査で得られた超音波の反射波は、コンピューターで処理され、心臓の断面図や動画として映し出されます。 心臓超音波検査では、心臓の大きさや形、壁の厚さ、動き、弁の状態などを確認することができます。これにより、心臓弁膜症や心筋症、心不全などの心臓病の診断、病状の進行度、治療効果の判定などに役立ちます。さらに、心臓内の血流をカラーで表示するカラードプラ法や、血流の速度を測定するドプラ心エコー法などの検査方法を組み合わせることで、より詳細な情報を得ることができ、心臓の病気の早期発見・早期治療に繋がります。
検査

超音波:音の波が拓く医療の未来

- 超音波とは超音波は、人間の耳では聞くことのできない、高い周波数を持つ音波のことです。私たちは、空気の振動によって音を聞いていますが、この振動が1秒間に何回繰り返されるかを表すのが周波数で、単位はヘルツ(Hz)を用います。人間が耳で聞くことのできる音の周波数は、一般的に20ヘルツから2万ヘルツ程度とされています。これに対し、超音波は2万ヘルツを超える高い周波数を持つ音波のことを指します。この高い周波数を持つ超音波は、様々な分野で利用されていますが、特に医療分野における活躍が目覚ましいと言えるでしょう。医療分野では、超音波は主に画像診断に用いられています。人体に超音波を当てると、その一部は体内の組織や臓器の境界面で反射されて戻ってきます。この反射された超音波を捉え、画像化することで、体内の様子を詳しく観察することが可能となります。超音波検査は、放射線を使用しないため人体への負担が少なく、安全性の高い検査方法として広く普及しています。また、リアルタイムで体内の様子を観察できるため、心臓などの動きの速い臓器の診断にも適しています。
検査

CRP値でわかる体の炎症

- CRPとはCRPは、C反応性蛋白(しーはんのうせいたんぱく)を省略した呼び方で、血液の中に存在する蛋白質の一種です。このCRPは、普段は私達の体の中にごく少量しか存在していません。しかし、体内で炎症が起こったり、組織の損傷が起こると、肝臓で作られ、血液中に放出されて急激に増加します。 CRPは、炎症や組織の損傷に反応して増加するため、体の状態を知るための重要な指標となります。例えば、風邪などの感染症、関節リウマチなどの自己免疫疾患、心筋梗塞などの病気になると、CRPの値が上昇します。検査は血液検査で行われ、採血した血液中のCRP濃度を測定します。CRPの値が上昇している場合は、炎症や組織の損傷が suspected されている可能性があり、医師は他の検査結果と合わせて、診断を行います。CRPは、病気の診断だけでなく、治療の効果判定や再発の兆候を捉えるためにも用いられます。このように、CRPは、様々な病気と関連して変化する指標であり、健康状態を把握する上で非常に重要なものです。
検査

HbA1cでわかる!過去1~2ヶ月の血糖値コントロール

- HbA1cとはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という言葉を耳にしたことはありますか? これは、過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を把握するための重要な指標です。 日々の血糖値を測ることも大切ですが、HbA1cを調べることで、より長期的な血糖コントロールの状態を知ることができるのです。私たちの体内にある赤血球には、酸素を全身に運ぶ役割を担うヘモグロビンというタンパク質が存在します。 グルコース(ブドウ糖)は、食事から摂取されエネルギー源となる重要な栄養素ですが、血液中のグルコースがヘモグロビンと結合するとHbA1cが生成されます。 血液中のグルコース値が高い状態が続けば、それだけ多くのグルコースがヘモグロビンと結合するため、HbA1cの値も高くなります。 HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値を反映して変化するため、日々の血糖値の変動に左右されにくく、安定した指標として糖尿病の診断や治療効果の判定に広く用いられています。
検査

腫瘍マーカー:がん診断の羅針盤

- 腫瘍マーカーとは 腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す特殊な物質、あるいはがん細胞の影響を受けて体内で作られる物質のことです。 これらの物質は、血液や尿、組織などの中にごく微量ながら存在しており、その量を測定することで、がんの診断や治療効果の判定などに役立てることができます。 例えるならば、池に鯉が住み着くと、池の水質が変化する様子に似ています。普段は澄んでいる池に鯉が住み始めると、鯉の排泄物などによって水が濁ったり、特定の成分が増えたり減ったりするでしょう。 私たちの体も、がん細胞という“異物”が存在することで、内部環境が変化し、特定の物質が増減するのです。この変化を捉えるのが腫瘍マーカー検査です。 ただし、腫瘍マーカーは、がん細胞だけが作り出すとは限りません。正常な細胞からもごく微量ながら分泌されるものもあり、炎症や臓器の機能障害など、がん以外の原因でも数値が上昇することがあります。 そのため、腫瘍マーカー検査だけで、がんの確定診断を行うことはできません。あくまでも、がんの可能性を評価する指標の一つとして、画像検査や病理検査などと組み合わせて総合的に判断されます。
検査

免疫の謎を探る: 抗原検査

- 抗原検査とは私たちの体は、外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守るために、免疫という優れたシステムを持っています。この免疫システムは、体内に入ってきた異物をいち早く見つけ出し、それを排除しようと働きます。では、免疫システムはどのようにして、体にとって害となる病原体と、そうでないものを見分けているのでしょうか?その鍵となるのが抗原です。抗原とは、細菌やウイルスなど、主に体外から侵入してくる異物の表面にある物質で、免疫システムはこれを「敵の目印」として認識します。抗原検査とは、この免疫システムの仕組みを利用した検査方法です。例えば、特定のウイルスに感染しているかどうかを調べたい場合、そのウイルスが持つ特有の抗原と結合する検査薬を用います。もし、検査対象者の体内にそのウイルスが存在すれば、ウイルス表面の抗原と検査薬が結合し、陽性反応を示します。逆に、ウイルスが体内に存在しなければ、検査薬は反応せず、陰性という結果になります。このように、抗原検査は、体内に特定の病原体が存在するかどうかを、比較的短時間で調べることができるため、病気の早期発見や感染拡大の防止に役立っています。
検査

梅毒検査の基礎:STSとは?

- 梅毒検査STSの概要梅毒は、「トレポネーマ・パリダム」という細菌が原因で発症する性感染症です。感染すると、皮膚や粘膜に病変が現れ、放置すると全身に様々な症状を引き起こします。早期発見・早期治療が重要となるため、梅毒の感染を調べるための検査がいくつかあります。 その中でも、「STS」は、Serologic Test for Syphilisの略称で、梅毒の感染を調べるための血液検査の一つです。STSは、トレポネーマ・パリダム自体を検出するのではなく、感染によって体内で作られる抗体を検出することで、間接的に梅毒の感染を診断します。 体内に梅毒トレポネーマが侵入すると、私たちの体はこれに対抗するために「抗体」と呼ばれるタンパク質を作ります。STSでは、この抗体の有無を調べることで、過去に梅毒に感染したことがあるか、現在感染しているかを判断します。 STSには、「非特異的抗体検査」と「特異的抗体検査」の二種類があります。非特異的抗体検査は、梅毒トレポネーマ以外の細菌感染でも陽性反応が出る可能性がありますが、検査費用が安く、広く実施されています。一方、特異的抗体検査は、梅毒トレポネーマに特異的な抗体を検出するため、より正確性が高い検査と言えます。 STSは、梅毒の診断に有効な検査ですが、検査結果だけで梅毒感染の確定診断はできません。医師は、STSの結果と合わせて、症状や診察 findings、その他の検査結果などを総合的に判断して診断を下します。
検査

免疫の記憶を探る:抗体検査とは

- 抗体検査とは抗体検査とは、血液などを用いて、体の中に特定の病原体に対する抵抗力となる物質が存在するかどうかを調べる検査です。私たちの体には、外から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から身を守る仕組みが備わっています。この仕組みを「免疫」と呼びます。病原体が体内に侵入してくると、私たちの体はそれと戦うための特別な物質を作ります。これを「抗体」と言います。抗体は、特定の病原体だけを攻撃する性質を持っています。例えば、はしかウイルスに対する抗体は、はしかウイルスだけを攻撃し、インフルエンザウイルスには作用しません。このように、抗体は鍵と鍵穴の関係のように、特定の病原体だけにぴったりと結合して、それを攻撃します。一度病気に感染すると、その病原体に対する抗体が体の中に作られ、その後も長い間、体内に残る場合があります。このため、再び同じ病原体に感染したときに、体はすばやく病原体を撃退することができます。これを「免疫記憶」と呼びます。抗体検査は、この免疫記憶を利用した検査です。血液中に特定の病原体に対する抗体が存在するかどうかを調べることで、過去にその病気に感染したことがあるかどうかを調べることができます。ただし、抗体検査はあくまでも過去の感染の可能性を示唆するものであり、現在の感染状態や病気の診断を確定するために行うものではありません。
検査

検査に欠かせないスピッツ

- スピッツとは病院や検査機関で行われる血液検査や尿検査。これらの検査には、採取した血液や尿を検査機器にかけるまで、衛生的に保管する必要があります。そのために用いられるのが「スピッツ」と呼ばれる試験管です。注射器を使って採取された血液や尿は、まずこのスピッツに移し替えられます。スピッツには、検査内容や目的に応じて様々な種類があります。例えば、血液検査では、血液を固まらせないようにするための凝固防止剤が入ったスピッツや、特定の成分を分離するための分離剤が入ったスピッツなどが使用されます。スピッツの材質は、主にガラスやプラスチックが用いられています。ガラス製のスピッツは、透明度が高く、内容物を確認しやすいという利点があります。一方、プラスチック製のスピッツは、軽量で割れにくいという特徴があり、近年では主流になりつつあります。スピッツは、検査対象となる血液や尿を清潔な状態で保ち、正確な検査結果を得るために必要不可欠な器具と言えるでしょう。
検査

腹水検査:病気のサインを見つける手がかり

お腹に水が溜まることを腹水と言いますが、これは病気の名前ではなく、様々な病気の結果として現れる症状です。そのため、腹水が見られる場合には、その背後にある原因を突き止めることが非常に重要です。 腹水をきたす病気として代表的なものには、肝臓の病気、心臓の病気、腎臓の病気などが挙げられます。肝臓は、タンパク質の合成や解毒など、多くの重要な役割を担っていますが、肝硬変などの病気になると、腹水が溜まりやすくなります。また、心臓は、体中に血液を循環させるポンプの役割を担っていますが、心不全になると、心臓の働きが低下し、体内に水が溜まりやすくなり、腹水を引き起こすことがあります。さらに、腎臓は、血液中の老廃物を濾過して尿として排出する役割を担っていますが、腎不全になると、この機能が低下し、体内に水が溜まり、腹水が生じることがあります。 このように、腹水は命に関わる病気のサインであることも少なくありません。そのため、お腹に水が溜まったと感じた場合には、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。
検査

健康のバロメーター:クレアチニン値を理解する

- クレアチニンとはクレアチニンとは、筋肉が活動するために必要なエネルギーを作り出す過程で生じる老廃物のことです。 私たちの体は、毎日、運動をしている時だけでなく、安静にしている時でも筋肉を使ってエネルギーを作り出し、生命活動を行っています。その過程で、クレアチニンは常に一定量産生され続けています。血液中に放出されたクレアチニンは、腎臓へと運ばれます。腎臓は、血液を濾過して、老廃物や余分な水分を尿として体外へ排出する役割を担っています。クレアチニンも、腎臓で血液中から濾し出され、尿として排出されます。腎臓の機能が正常に働いていれば、血液中のクレアチニン濃度は、ほぼ一定に保たれます。 しかし、腎臓の働きが低下すると、血液中のクレアチニン濃度が上昇します。これは、腎臓が正常にクレアチニンを濾過し、排出することができなくなるためです。そのため、血液検査や尿検査でクレアチニン値を調べることは、腎臓の働きを評価する上で非常に重要な指標となります。 クレアチニン値の上昇は、腎臓病の早期発見や、病状の進行度合いを把握する上で役立ちます。
検査

健康のバロメーター!CRP値を読み解こう

- CRPって何?CRPは、C反応性タンパク質(C-reactive protein)を省略した呼び方です。これは、私達の血液の中に常にわずかに存在しているタンパク質の一種です。普段は肝臓で作られており、血液中に一定量を保っています。CRPが特に注目されるのは、体の中で炎症や組織の損傷が起こった時です。例えば、風邪をひいたり、怪我をしたり、肺炎や膀胱炎などの病気を発症したりすると、体の中ではそれに対抗しようと炎症反応が起きます。すると、CRPは肝臓で盛んに作られ、血液中のCRP濃度が急上昇するのです。このCRPの量を調べることで、体の中でどれくらい炎症が起きているのかを知ることができます。CRPの値が高いほど、炎症の程度が強いと判断されます。そのため、CRPは医療現場において、炎症反応の程度を測る指標、すなわち炎症マーカーとして広く用いられています。CRP検査は、採血によって行われ、比較的短時間で結果が得られます。検査結果を参考に、医師は患者さんの病状を把握し、適切な治療法を決定します。ただし、CRPは様々な要因で変動するため、CRP値だけで病気を診断することはできません。医師は、CRP値だけでなく、他の検査結果や症状なども総合的に判断して診断を行います。
検査

クボステック徴候:低カルシウム血症のサイン

- クボステック徴候とはクボステック徴候とは、顔面神経と呼ばれる、顔の表情筋を動かす神経を軽く叩いたり、頬を軽く刺激したりした際に、顔面の筋肉が瞬間的に痙攣し、ピクピクと動く反射現象のことです。この現象は、健康な人では通常見られません。クボステック徴候が現れる原因として最も多いのは、血液中のカルシウム濃度が低下した状態、すなわち低カルシウム血症です。カルシウムは、神経や筋肉の興奮を抑える働きをする重要なミネラルです。そのため、血液中のカルシウム濃度が低下すると、神経や筋肉が過剰に興奮しやすくなり、顔面神経を軽く叩くなどの刺激に対して、顔面の筋肉が過剰に反応して痙攣してしまうのです。低カルシウム血症は、副甲状腺機能低下症やビタミンD欠乏症などの病気によって引き起こされることがあります。そのため、クボステック徴候が見られた場合には、これらの病気を疑い、血液検査などによってカルシウム濃度をはじめとした様々な項目を調べる必要があります。クボステック徴候自体は、痛みや日常生活に支障をきたすものではありませんが、低カルシウム血症が進行すると、手足のしびれや痙攣、意識障害などを引き起こす可能性があります。そのため、クボステック徴候が見られた場合には、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが大切です。
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