新生児

産婦人科

周産期医療:母子のための総合的な医療体制

- 周産期医療とは妊娠は女性にとって人生の一大イベントであり、新しい命の誕生は喜びに満ち溢れています。しかしそれと同時に、妊娠・出産は母体と胎児にとって様々なリスクを伴うものでもあります。周産期医療は、このような大切な時期を安心して過ごせるよう、母親と赤ちゃんを支える医療体制です。具体的には、妊娠22週(妊娠中期後半)から生後1週間未満までの期間を指し、この期間における母親と胎児、そして生まれたばかりの新生児に対して、医師や看護師、助産師などの専門家が連携して、総合的な医療を提供します。周産期医療の主な目的は、妊娠中の健康管理を通して合併症や早産などを予防し、安全なお出産を実現することです。そして、生まれたばかりの赤ちゃんが健やかに成長できるように、その後の健康管理までをサポートします。近年、医療技術の進歩や周産期医療体制の充実により、母子の死亡率は著しく低下しました。しかし、早産や低出生体重児の割合は依然として高く、周産期医療の重要性はますます高まっています。妊娠・出産は、母親と赤ちゃんの未来を左右する重要な節目です。安心して出産を迎え、新しい命との未来を笑顔で歩んでいけるよう、周産期医療は、これからも進化し続けます。
皮膚科

蒙古斑:生まれたての証

- 蒙古斑とは? 蒙古斑とは、生まれたばかりの赤ちゃんや幼児の肌に現れる青みがかったアザのことです。その名の通りモンゴル民族の人々に多く見られることから名付けられましたが、アジア系の赤ちゃんに広く見られる一般的なものです。 特に、お尻や腰のあたりに現れやすく、まるで誰かがうっかりインクをこぼしてしまったかのような、少しぼんやりとした形をしているのが特徴です。 蒙古斑の原因は、皮膚の下にあるメラノサイトと呼ばれる細胞にメラニン色素が密集してしまうことにあります。 メラニン色素は、私たちの肌や髪、瞳の色を決める色素ですが、蒙古斑の場合は、皮膚の奥深くにメラノサイトが集まってしまうために、青みがかって見えるのです。 多くの場合、蒙古斑は成長とともに薄くなり、小学校に上がる頃には自然に消えてしまいます。治療の必要もなく、健康に害を及ぼすこともありません。 蒙古斑は、赤ちゃんにとっての一つの個性とも言えるでしょう。
小児科

新生児:誕生から28日間の大切な命

生まれたばかりの赤ちゃんを指す言葉として、「新生児」という言葉が使われます。医学的には、生後28日未満の赤ちゃんを指し、これは世界保健機関(WHO)も同じ定義を採用しています。つまり、新生児期とは、誕生から生後28日目までの期間のことを指します。 この時期の赤ちゃんはまだ身体的な機能が未熟で、外界の環境に適応していくための準備段階にあります。呼吸や体温調節、免疫機能などは発達段階にあり、外からの影響を受けやすい状態です。そのため、この時期の赤ちゃんは、感染症にかかりやすく、注意深く観察し、適切なケアを行うことが非常に重要となります。 具体的には、体温や呼吸数、哺乳の状態などをこまめにチェックし、少しでも異常が見られたらすぐに医療機関を受診する必要があります。また、新生児期は、親子にとって大切な絆を育む時期でもあります。赤ちゃんと肌を触れ合わせたり、優しく声をかけたりすることで、赤ちゃんは安心感を得ることができ、健やかな発達を促すことに繋がります。新生児期は、赤ちゃんにとって、そして親にとっても、特別な時間と言えるでしょう。
小児科

GCU:小さな命を育む成長の場

- GCUとは GCUは、Growing Care Unitの頭文字をとった略語で、日本語では「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」など、様々な呼ばれ方をします。 GCUは、NICU(新生児集中治療室)で集中的な治療を受け、状態が安定し、生命の危機を脱したものの、まだ専門的なケアや観察が必要な赤ちゃんが、安心して成長できるようサポートする場です。 具体的には、呼吸や循環器系の機能が未熟であったり、体重増加が順調でない、母乳やミルクの飲み込みがうまくできない、発達に遅れがみられるなど、様々な理由でGCUに入室となります。 GCUでは、常時モニター監視は必要ないものの、赤ちゃんの状態に合わせて、呼吸や心拍数のチェック、体温調節、授乳のサポート、発達を促すケアなどが行われます。 また、GCUでは、赤ちゃんが安心して過ごせる環境づくりにも力を入れており、保育器ではなく、できるだけコットで過ごせるようにしたり、照明を調整したり、抱っこやおむつ交換の際に優しく声をかけたりするなど、きめ細やかなケアが提供されます。 GCUは、赤ちゃんが自宅に帰るための準備段階として、重要な役割を担っています。
小児科

小さな命を守る箱:クベース

クベースとは、妊娠期間が十分ではなく、小さく生まれてきた赤ちゃん、いわゆる早産児や未熟児の赤ちゃんの発育を助けるために作られた、特別な保育器のことです。赤ちゃんはお母さんのお腹の中で約10ヶ月間かけて、肺や心臓などの臓器を成熟させ、体温調節機能などを獲得していきます。しかし、何らかの理由で予定よりも早く生まれてきた赤ちゃんは、これらの機能が未発達なため、クベースの中で、お母さんのお腹の中と同じような環境で保護されながら成長していく必要があります。 クベースは、主に新生児集中治療室(NICU)で使用されています。NICUは、高度な医療設備と専門知識を持つ医療従事者が24時間体制で、早産児や病気の赤ちゃんをケアする特別な場所です。クベースは、このNICUにおいて、赤ちゃんの命を守るための重要な役割を担っています。 クベースは、単に赤ちゃんを保温するだけの装置ではありません。温度や湿度を一定に保つだけでなく、赤ちゃんの呼吸を助ける酸素供給や、栄養を補給するための点滴など、様々な機能が搭載されています。さらに、外部からの光や音、振動などを最小限に抑え、赤ちゃんに安心できる環境を提供します。クベースは、まさに小さく生まれてきた赤ちゃんにとって、お母さんのお腹の代わりとなる、もう一つの大切な命のゆりかごと言えるでしょう。
小児科

GCU: NICU後の赤ちゃんの成長を支える場所

- GCUとはGCU(ジーシーユー)は、Growing Care Unitの略称で、日本語では「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」など、様々な呼ばれ方をします。 GCUは、NICU(新生児集中治療室)で集中的な治療を受け、状態が安定した赤ちゃんが、次の段階である一般病棟に移る前に利用する場所です。 GCUでは、NICUほど手厚い医療ケアは必要なくなったものの、まだ自立して生活することが難しい赤ちゃんに対し、専門的なケアを提供します。具体的には、GCUでは次のようなケアが行われます。* -呼吸管理のサポート- 自発呼吸が安定しない赤ちゃんには、鼻にチューブを通して酸素を供給したり、呼吸を助ける機械を使用したりします。* -栄養管理- 口から十分にミルクを飲めない赤ちゃんには、胃にチューブを通して栄養を供給します。また、哺乳力の発達を促すための支援も行います。* -体温調節のサポート- 自力で体温を維持することが難しい赤ちゃんのために、保育器を使用したり、こまめに体温を測定したりして適切な温度を保ちます。* -発達促進のサポート- 赤ちゃんの成長段階に合わせて、発達を促す遊びや運動などを行います。GCUでの滞在期間は、赤ちゃんの状態や発達の進み具合によって異なります。医師や看護師、理学療法士などの専門スタッフが連携し、赤ちゃん一人ひとりに合わせたケアを提供することで、一日も早く自宅に帰れるようにサポートします。
産婦人科

新生児を守る移動式ベッド:コット

- コットとは産婦人科や小児科で生まれたばかりの赤ちゃんを寝かせるために、移動式のベッドが使われています。このベッドは「コット」と呼ばれ、病院内で赤ちゃんを安全に移動させたり、お母さんのベッドのすぐそばに寄せて赤ちゃんのお世話や授乳をしやすくするために使われています。コットの特徴は、上段が透明なケースのようになっていることです。これにより、赤ちゃんをあらゆる角度から観察することができます。また、外部からの刺激や感染から赤ちゃんを守る役割も果たします。コットは、赤ちゃんの安全と快適さを考慮して設計されています。ベッドの高さは調節可能で、お母さんが無理のない姿勢で赤ちゃんのお世話ができるようになっています。また、ベッドの側面には柵が設けられており、赤ちゃんが誤って転落するのを防ぎます。さらに、コットの下部には収納スペースが設けられており、おむつやおしりふきなどのベビー用品を収納することができます。このように、コットは病院において、新生児の安全と快適な環境を提供するために欠かせないものです。そして、お母さんにとっても、安心して赤ちゃんのお世話ができる環境を提供してくれる、心強い味方といえるでしょう。
産婦人科

授乳:母と子の大切な時間

- 授乳とは生まれたばかりの赤ちゃんにとって、外界と関わり、自身の体を通して栄養を取り入れる初めての体験となるのが授乳です。これは、母親の母乳、もしくは育児用ミルクを赤ちゃんに与える行為を指します。小さな体にとって、授乳は生命維持に欠かせない行為と言えるでしょう。授乳を通して赤ちゃんは、成長に必要な栄養素を摂取します。母乳には、赤ちゃんの発達段階に合わせた最適な栄養素がバランス良く含まれています。また、免疫力を高める成分も含まれており、病気から赤ちゃんを守ってくれる役割も果たします。育児用ミルクは、母乳が出ない、あるいは十分に出ない場合に母乳の代わりとして用いられます。近年では、母乳に含まれる栄養素を参考に、赤ちゃんの健康な成長を助ける成分が配合された製品も数多く販売されています。一般的に、赤ちゃんが生まれてから1歳頃までを授乳期間と呼びます。この時期の赤ちゃんは、授乳を通して栄養を摂取するだけでなく、母親との愛着関係を築き、安心感を得ながら成長していきます。授乳は、単に栄養補給としての役割だけでなく、赤ちゃんが健やかに成長するために重要な意味を持つ行為と言えるでしょう。
小児科

新生児特定集中治療室:小さな命を守るための最先端医療

新生児特定集中治療室(NICU)は、生まれたばかりの赤ちゃんのうち、病気や未熟さなどにより特別な治療やケアが必要な赤ちゃんのための、病院内にある特別な施設です。日本でNICUが導入され始めたのは1970年代頃からで、当初は未熟児医療を中心に発展してきました。現在では多くの病院に設置されており、医師や看護師だけでなく、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、栄養士など、様々な専門知識を持った医療スタッフがチームを組んで、24時間体制で赤ちゃんたちのケアにあたっています。 NICUでは、赤ちゃんの呼吸や心拍数を常に監視するモニター、体温を一定に保つ保育器、呼吸を助ける人工呼吸器など、高度な医療機器が揃えられており、赤ちゃんの状態に合わせて適切な治療やケアが提供されます。また、赤ちゃんによっては、点滴による栄養補給や、薬剤投与などが必要となることもあります。 NICUは、小さな命を守るための最後の砦といえます。医療技術の進歩により、かつては助からなかった命が救えるようになり、NICUで治療を受けていた多くの赤ちゃんが元気に成長し、社会に巣立っています。
看護技術

新生児を守る移動式ベッド:コット

- コットとは病院の産婦人科や小児科でよく見かける、生まれたばかりの赤ちゃんを寝かせておく小さなベッド。それが「コット」です。大人のベッドとは違い、赤ちゃんのためにと考え抜かれた様々な工夫が凝らされています。生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ体温調節機能が未熟です。そのため、コットには保温性の高い素材が使われており、急な温度変化から赤ちゃんをやさしく守ります。また、移動に便利なようにキャスターが付いているのも特徴です。病院内での移動はもちろん、お母さんのベッドサイドに赤ちゃんを連れてくる際にも、スムーズに移動できます。コットは、赤ちゃんの安全にも配慮して作られています。柵は高く設計されており、赤ちゃんが誤って転落するリスクを最小限に抑えます。また、素材も赤ちゃんに優しいものが選ばれており、肌触りが良く、アレルギーの心配も軽減されます。このように、コットは赤ちゃんの安全と快適さを第一に考えられた、病院になくてはならない存在と言えるでしょう。
小児科

赤ちゃんの不思議な動き:非対称性緊張性頸反射

生まれたばかりの赤ちゃんはまだ自分で思い通りに体を動かすことはできません。しかし、周りの環境からの特定の刺激に対して、決まった反応を示すことが知られています。これらの反応は原始反射と呼ばれ、赤ちゃんの神経系が正常に発達しているかどうかを判断する上で重要な手がかりとなります。 例えば、赤ちゃんの手のひらに指や物を軽く触れると、ぎゅっと握り返してくることがあります。これは把握反射と呼ばれる原始反射の一つです。また、赤ちゃんの顔を軽く触れて顔を横に向けさせると、口をパクパクさせながら顔を触れられた方向に slowly 向けてきます。これは探索反射や吸啜反射と呼ばれる原始反射で、授乳に関連していると考えられています。 これらの原始反射は、赤ちゃんが成長し、脳や神経系がさらに発達するにつれて、徐々に統合されていきます。そして、赤ちゃんの意識的な運動が出来るようになると共に、原始反射は消失していきます。これらの反射は、一時期しか見られない行動ですが、赤ちゃんの発達段階を知る上で非常に重要な意味を持っています。
小児科

新生児の呼吸 distress:新生児呼吸窮迫症候群とは

新生児呼吸窮迫症候群(NRDS)は、生まれたばかりの赤ちゃん、特に早く生まれてきた赤ちゃんに多く見られる、命に関わる可能性もある呼吸器の病気です。この病気は、赤ちゃんの肺が十分に発達していないために起こります。 赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間、肺の中では呼吸に必要な物質が作られています。その中でも特に重要なのがサーファクタントと呼ばれる物質です。サーファクタントは、肺の中にある小さな空気の袋である肺胞が、呼吸のたびにぺちゃんこにつぶれてしまわないように、表面張力を弱める働きをしています。 NRDSの赤ちゃんは、このサーファクタントが足りていないため、呼吸をするたびに肺胞がつぶれてしまい、十分に酸素を取り込むことができません。そのため、生まれた直後や生後数時間以内に呼吸が速くなったり、苦しそうに息をするなどの症状が現れます。 NRDSは、早産で生まれるほど発症のリスクが高くなります。なぜなら、赤ちゃんが肺を成熟させ、十分な量のサーファクタントを作るには、ある程度の時間が必要だからです。
小児科

先天性股関節脱臼:赤ちゃんの股関節の病気

- 先天性股関節脱臼とは?生まれたばかりの赤ちゃんの股関節は、骨盤の受け皿となる部分(臼蓋)と太ももの骨(大腿骨)の先端にある丸い骨(大腿骨頭)が組み合わさってできています。先天性股関節脱臼とは、この大腿骨頭が臼蓋から外れてしまっている状態を指します。医学用語では「先天性股関節脱臼」または「発育性股関節形成不全」とも呼ばれます。この状態は、股関節を形成する骨や軟骨が十分に発達していない、または正常な位置にないために起こります。赤ちゃんの骨はやわらかく、成長の過程で形が変わっていくものですが、先天性股関節脱臼の場合、股関節の形が不安定なために、大腿骨頭が臼蓋から外れやすくなっています。先天性股関節脱臼は、女の子に多く見られ、男の子の7~8倍の発生率です。これは、女の子の方が骨盤の成長が遅く、股関節が不安定になりやすいことが理由の一つと考えられています。また、左右どちらかの股関節に起こることもありますが、左側に多い傾向があります。これは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中で、左側を下にしていた場合、左の股関節に負担がかかりやすいためと考えられています。先天性股関節脱臼は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、ほとんどの場合、後遺症を残さずに治すことができます。そのため、赤ちゃんの股関節に異常がないか、定期的に健診を受けることが重要です。
看護技術

カンガルーケア:母子の絆を深める温かな接触

- カンガルーケアとはカンガルーケアとは、生まれたばかりの赤ちゃんを、お母さん、あるいは場合によっては、お父さんの裸の胸元に直接抱っこし、肌と肌で触れ合いながら過ごすケアのことを指します。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいた時と同じような温かさや、心臓の鼓動、呼吸のリズム、そして優しい声を感じ取ることができます。この安心できる環境は、まるでカンガルーがお腹の袋で子供を育てる姿に似ていることから、「カンガルーケア」と名付けられました。カンガルーケアは、単に赤ちゃんを温めるだけでなく、様々な効果が期待されています。まず、赤ちゃんの体温や呼吸、心拍数を安定させ、体重増加を促します。また、母乳分泌を促進し、母乳育児を成功に導く効果も期待できます。さらに、母子の愛着形成を促し、情緒の安定にも繋がると考えられています。カンガルーケアの実施頻度や時間は、赤ちゃんの状態やお母さんの体調によって異なりますが、可能な限り、赤ちゃんと触れ合い、密接な時間を過ごすことが大切です。
小児科

新生児特定集中治療室:小さな命を守るための最先端医療

- 新生児特定集中治療室とは新生児特定集中治療室(NICU)は、生まれたばかりの赤ちゃんが病気や未熟さで特別な治療を必要とする場合に、入院して集中的な医療ケアを受けることができる、病院内にある特別な場所です。まるで、小さな赤ちゃんのための病院のようなところを想像してみてください。NICUでは、24時間体制で医師や看護師が常駐し、赤ちゃんの状態を注意深く観察しています。赤ちゃんの小さな変化も見逃さないよう、心拍数や呼吸数、体温、血液中の酸素濃度などを測る機械が使われています。そして、その時の状態に合わせて、点滴や呼吸の補助、体温調節など、必要な治療やケアを随時行っています。NICUは、赤ちゃんが安心して成長し、一日も早く家族の元に帰ることができるように、専門的な知識と技術を持った医療スタッフが愛情を込めて赤ちゃんに寄り添い、サポートする場所なのです。
産婦人科

新生児室:新しい命の始まりの場所

新生児室とは、病院で新しく命を受けたばかりの赤ちゃんが、退院するまでの間、安全かつ快適に過ごすことができるように設けられた、特別な部屋のことです。ここでは、生まれたばかりの赤ちゃん、つまり新生児を専門的にケアする医師や看護師が、昼夜を問わず、常に赤ちゃんたちのそばで見守っています。新生児室は、一般の病棟とは異なり、感染症などのリスクから赤ちゃんを守るため、衛生管理が徹底されています。また、赤ちゃんの発育段階に合わせて、体温や湿度が細かく調整され、快適な環境が保たれています。さらに、赤ちゃんたちは、授乳やオムツ交換など、生活リズムを整えるためのサポートも受けることができます。このように、新生児室では、医師や看護師による手厚いケアと、徹底した環境管理のもと、赤ちゃんたちは健やかに成長していくことができるのです。
小児科

GCUってどんな場所?

- GCUとは GCU(ジー・シー・ユー)は、Growing Care Unitの略称で、日本語では「継続保育室」「回復治療室」「発育支援室」など、様々な呼ばれ方をします。 GCUは、NICU(新生児集中治療室)よりも赤ちゃんの容体が安定し、専門的な治療は必要なくなったものの、まだ入院して発達段階に応じたケアが必要な赤ちゃんが移ってくる場所です。 具体的には、呼吸や循環器系の機能が未熟で、まだ自力でミルクを飲んだり、呼吸を安定させたりすることが難しい赤ちゃんや、体重が少なく、体温調節や感染症への抵抗力が弱い赤ちゃんなどがGCUでケアを受けます。 GCUでは、医師や看護師だけでなく、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士など、多職種の専門スタッフが連携して赤ちゃんの発達をサポートします。 GCUでの主なケアの目標は、 * 呼吸や循環器系の機能の改善 * 体重増加と栄養状態の改善 * 哺乳力や嚥下機能の向上 * 発達段階に応じた運動機能の発達促進 * 親子関係の構築 などです。 GCUでの滞在期間は、赤ちゃんの状態や発達段階によって異なり、数日から数ヶ月に及ぶこともあります。そして、状態が安定し、自宅での生活に問題ないと判断されれば退院となります。
耳鼻科

舌根沈下:睡眠時無呼吸症候群との関係

- 舌根沈下とは私たちの口の中に存在する舌は、食事をする際に食べ物を喉の奥に送り込んだり、言葉を話す際に複雑な動きをしたりと、重要な役割を担っています。舌の中でも、特に奥まった部分を舌根と呼びますが、この舌根が重力によって喉の奥(医学用語では咽頭と呼びます)に沈み込んでしまう状態を -舌根沈下- と言います。本来、舌は口の中に位置しているものですが、舌根沈下が起こると、気道の一部が塞がれてしまい、スムーズな呼吸を妨げてしまうことがあります。特に、睡眠中は体の筋肉が弛緩してしまい、起きている時に比べて舌を支える力が弱くなるため、舌根沈下が起こりやすくなります。舌根沈下は、睡眠時無呼吸症候群の原因の一つとしても知られています。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう、あるいは呼吸が浅くなってしまう病気です。舌根沈下によって気道が狭くなることで、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる可能性があります。舌根沈下の症状としては、大きないびき、日中の眠気、起床時の頭痛などが挙げられます。これらの症状が見られる場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
看護技術

新生児の小さな寝台:コット

- コットとは病院の新生児室や小児科でよく見かける、赤ちゃん用の小さなベッドをコットと呼びます。このベッドは移動式で、新生児の安全な睡眠場所として、病院で広く使われています。コットの特徴は何と言っても、透明なケース状の上段部分でしょう。これは、赤ちゃんをあらゆる角度から観察できるように設計されたもので、医療従事者は赤ちゃんの様子を常に確認することができます。呼吸の様子や顔色、体の動きなどを細かく観察することで、赤ちゃんの健康状態を素早く把握することができるのです。また、コットは移動式であるため、病院内での移動もスムーズに行えます。検査や処置のために赤ちゃんを移動させる必要がある場合でも、コットごと移動させることができるので、赤ちゃんへの負担を最小限に抑えられます。これは、繊細な新生児にとって大きなメリットと言えるでしょう。このように、コットは新生児の安全と快適さ、そして医療従事者の業務効率化を両立させた、病院にとって欠かせない設備なのです。
小児科

新生児特定集中治療室:小さな命を守るための最先端医療

新生児特定集中治療室(NICU)は、生まれたばかりの赤ちゃんの中でも、病気や発達上の問題を抱え、特別な治療が必要な赤ちゃんのための専門的な施設です。まるで大きな病院の中に作られた小さな病院のように、高度な医療機器と、新生児医療に精通した医師や看護師が24時間体制で赤ちゃんたちのケアにあたっています。 NICUでは、呼吸に問題がある赤ちゃんのための人工呼吸器、栄養を補うための点滴、体温を一定に保つ保育器など、赤ちゃんの命を守るための様々な医療機器が揃っています。その他にも、心臓の動きを監視するモニターや、黄疸治療のための光線療法装置など、赤ちゃんの状態に合わせて必要な機器が常に使用されています。 この集中治療室は、医師や看護師だけでなく、薬剤師、臨床工学技士、理学療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなど、様々な専門家がチームを組んで赤ちゃんをサポートする体制が整っています。生まれて間もない時期に適切な治療やケアを受けることで、赤ちゃんの命を守り、健やかな成長を支援することを目的としています。
産婦人科

母から子への贈り物? 垂直感染を知る

- 垂直感染とは妊娠と出産は、新しい命の誕生という感動的な出来事ですが、同時に感染症のリスクも伴います。その中でも、母親からお腹の赤ちゃんへ、病原体が伝わってしまう感染経路を「垂直感染」と呼びます。まるで橋を渡るように、病原体が母親の体から赤ちゃんの体へと移動していくイメージです。この感染は、妊娠中の様々な時期に起こる可能性があります。例えば、赤ちゃんがお腹の中にいる間、胎盤を通して病原体が侵入することがあります。また、出産時には、赤ちゃんが産道を通る際に感染する可能性もあります。さらに、出産後も油断はできません。授乳を通して、母乳から赤ちゃんに病原体が移ってしまうケースもあるのです。このように、赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる時から、外の世界に出た後も、垂直感染のリスクにさらされています。代表的な感染症としては、風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、HIVなどが挙げられます。これらの感染症は、赤ちゃんに深刻な影響を及ぼす可能性があります。垂直感染のリスクを減らすためには、妊娠前に風疹やB型肝炎などのワクチンを接種しておくことが重要です。また、妊娠中は定期的な妊婦健診を受け、医師の指示に従って適切な処置を受けることが大切です。出産後も、赤ちゃんの健康状態を注意深く観察し、少しでも異常を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。
小児科

胎児循環と卵円孔:その役割と閉鎖

人間の心臓は、体中に血液を送るために休むことなく働き続ける重要な臓器です。大人の心臓は二つの心房と二つの心室、合わせて四つの部屋に分かれており、それぞれの部屋が連携して全身に血液を送り出しています。しかし、お母さんのお腹の中にいる間の赤ちゃんの心臓は、大人の心臓とは少し構造が異なります。大人の心臓では左右の心房は壁で仕切られていますが、胎児の心臓には左右の心房の間を繋ぐ小さな穴が開いています。この穴は「卵円孔」と呼ばれ、胎児の成長にとって重要な役割を担っています。 卵円孔は、胎児が母親の胎盤から酸素を豊富に含んだ血液を受け取るために必要な構造です。胎児は肺で呼吸ができないため、母親の胎盤から酸素を受け取っています。卵円孔があるおかげで、胎盤から送られてきた血液は、心臓の右側から左側へ直接流れ込み、全身に送られます。 通常、卵円孔は赤ちゃんが生まれて肺呼吸を始めると自然に閉じます。これは、肺で呼吸が始まることで心臓内の圧力が変化し、卵円孔を塞いでいた弁が自然と閉じるためです。しかし、何らかの理由で卵円孔が閉じずに残ってしまうことがあります。これを「卵円孔開存」と呼びます。卵円孔開存は、場合によっては健康上の問題を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
小児科

新生児呼吸窮迫症候群:小さな命を脅かす呼吸の危機

- 新生児呼吸窮迫症候群とは 新生児呼吸窮迫症候群は、生まれたばかりの赤ちゃんに、呼吸困難を引き起こす病気です。この病気は、赤ちゃんの肺が十分に発達していないことが原因で起こります。 人の肺の中では、肺胞と呼ばれる小さな袋で、空気中の酸素を取り込み、体内の二酸化炭素を排出しています。肺胞の表面は、肺サーファクタントと呼ばれる物質で覆われており、この物質が、肺胞がうまく膨らんだり縮んだりするのを助ける働きをしています。 新生児呼吸窮迫症候群の赤ちゃんは、この肺サーファクタントが足りません。そのため、肺胞はうまく膨らむことができず、呼吸が速く、浅くなります。また、呼吸をするたびに胸がへこんだり、苦しそうなうなり声をあげたりすることもあります。 この病気は、特に妊娠37週より前に生まれた赤ちゃん、つまり早産児に多くみられます。これは、妊娠期間が短いほど、肺サーファクタントの量が少なくなるためです。生まれてくるのが早ければ早いほど、この病気にかかりやすく、重症化する傾向があります。 新生児呼吸窮迫症候群は、適切な治療を行えば、多くの赤ちゃんが回復します。治療法としては、酸素投与や人工呼吸器による呼吸の補助、サーファクタントの補充などがあります。
産婦人科

カンガルーケア:母子の絆を育む温かな接触

- カンガルーケアとはカンガルーケアとは、お母さんと赤ちゃんの肌を直接触れ合わせることで、赤ちゃんをお母さんの体温で温め、安心感を与える育児法です。お母さんは上半身の衣服を脱ぎ、赤ちゃんを裸のまま自分の胸元に抱っこします。まるでカンガルーがお腹の袋で赤ちゃんを育てるように、お母さんの胸元にぴったりと寄り添う赤ちゃんの様子から、この名前が付けられました。カンガルーケアは、特に早産で生まれた赤ちゃんや、低体重で生まれた赤ちゃんに対して、多くの利点をもたらします。お母さんの体温で温められることで、赤ちゃんの体温は安定し、呼吸や心拍も落ち着きやすくなります。また、お母さんの心臓の音を間近で聞くことで、赤ちゃんは安心感に包まれ、落ち着いて眠りにつくことができます。さらに、カンガルーケアは、母乳育児を促進する効果も期待できます。肌と肌の触れ合いは、お母さんの体内での母乳分泌を促し、赤ちゃんにとっても、自然な形で母乳を飲むことができるようになります。カンガルーケアは、特別な器具や技術を必要としない、お母さんと赤ちゃんにとって自然で優しいケアの方法です。肌と肌で触れ合い、温もりを分かち合うことで、親子の絆を育むだけでなく、赤ちゃんの成長と発達をサポートします。
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