心に生じる歪み:統合失調症を知る
- 統合失調症とは統合失調症は、思考、感情、行動といった、私たちが普段当たり前に使っている心の働きに影響を及ぼす病気です。複雑な形で症状が現れるだけでなく、経過も人によってさまざまで、完治が難しい病気として知られています。この病気では、脳の情報処理機能に乱れが生じることで、周囲の状況を正しく理解したり、筋道立てて考えたりすることが困難になります。そのため、現実と異なることを考えてしまったり、周囲の人々に理解されないような発言をしてしまったりすることがあります。統合失調症の症状は、陽性症状、陰性症状、認知機能障害の3つのグループに分けられます。「幻覚」や「妄想」といった、健康な時には見られない症状が現れるのが陽性症状です。一方、感情の動きが乏しくなったり、意欲が低下したりといった、本来あるべき状態から減ってしまう症状を陰性症状と呼びます。さらに、注意や記憶、計画といった認知機能に障害が生じることもあります。日本では約80万人が統合失調症を抱えていると推定されており、決して珍しい病気ではありません。早期に診断を受け、薬物療法や精神療法といった適切な治療を受けることで、症状をコントロールし、社会生活を送ることも十分に可能です。統合失調症は、周りの理解と適切な治療によって、より良い方向へ進んでいける病気なのです。