悪液質:慢性疾患による代謝の悪循環
- 悪液質とは悪液質は、がん、エイズ、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性疾患に伴って現れる深刻な状態です。 多くの人が、体重が減ったり、食欲がなくなったりすることを「悪液質」と誤解していますが、実際には全く異なるものです。 悪液質は、単なる体重減少や食欲不振ではなく、体のエネルギーを作り出す仕組みに異常が生じることで、筋肉が落ちてしまったり、疲れやすくなったり、常にだるさを感じたりする病気です。例えば、健康な人であれば、食事をきちんと摂り、安静にしていれば、体重や筋肉量は自然と維持されます。しかし、悪液質の患者さんの場合、十分な栄養を摂取し、安静にしていても、体重や筋肉量が減り続けてしまうのです。これは、体の代謝という仕組みに異常が生じ、エネルギーを効率的に利用できなくなっているためと考えられています。悪液質は、患者さんの日常生活に大きな負担をかけるだけでなく、病気の治療効果を下げてしまったり、病気の経過を悪化させてしまうことが知られています。そのため、悪液質に対する正しい理解と適切な対応が非常に重要です。