病気の経過: 慢性期とは
病気は一般的に、その経過によって大きく三つの段階に分けられます。発症から間もない時期で、症状が激しく変化しやすい時期を急性期、急性期を乗り越えたものの完治には至らず、症状が安定している時期を慢性期、そして慢性期から更に時間が経過し、身体機能や認知機能が低下していく時期を終末期と呼びます。
今回は、この三つの段階のうち、慢性期について詳しく説明します。慢性期は、急性期のような急激な症状の悪化は見られないものの、完全に治癒する見込みが少ない状態が長く続く期間を指します。慢性期に入るまでの期間や、慢性期における症状、期間は、病気の種類や患者さん一人ひとりの状態によって大きく異なります。例えば、風邪やインフルエンザなどのように、多くの場合、数日から数週間で治癒する病気もあれば、慢性閉塞性肺疾患や糖尿病などのように、慢性期が長期に渡る病気もあります。
慢性期における治療の目標は、病気の進行を出来るだけ抑え、症状を和らげながら、患者さんがその状況に適応し、生活の質を維持・向上できるようにすることです。そのため、患者さん自身の病気に対する理解を深め、セルフケアを積極的に取り入れていくことが重要になります。また、医師や看護師、薬剤師、理学療法士などの医療従事者と協力し、継続的な医療や支援を受けることも大切です。