感染症

泌尿器

よくある病気:尿道炎について

- 尿道炎とは?尿道炎は、尿の通り道である尿道に炎症が起こる病気です。尿道は、体内で作られた尿を膀胱から体の外に排出する役割を持つ、細い管のような器官です。この尿道に、細菌やウイルスなどの病原体が侵入し、感染することで炎症を引き起こします。その結果、排尿時の痛みや残尿感、尿道の不快感など、様々な症状が現れます。尿道炎は、原因となる病原体によって大きく二つに分けられます。一つは、淋菌という細菌が原因となる淋菌性尿道炎です。もう一つは、大腸菌やクラミジアなどの細菌、あるいはウイルスが原因となる非淋菌性尿道炎です。淋菌性尿道炎は、性感染症の一つとして広く知られています。尿道炎は、適切な治療を行えば、多くの場合、完治する病気です。しかし、治療が遅れたり、放置したりすると、炎症が慢性化したり、前立腺炎や精巣上体炎などの合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、尿道炎が疑われる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが大切です。
血液

造血幹細胞移植後のリスク:移植合併症

- 移植合併症とは移植手術は、病気や事故によって機能を失ってしまった臓器や組織を、健康な臓器や組織に入れ替えることで、患者さんの命を救ったり、生活の質を向上させたりする画期的な治療法です。しかし、体にとって「自分以外のもの」が入ってくるため、どうしても避けられない問題が起こることがあります。これが「移植合併症」です。移植合併症は、大きく分けて二つの原因によって起こります。一つ目は、移植された臓器や組織に対する拒絶反応です。私たちの体は、生まれつき「自己」と「非自己」を見分ける力を持っています。これは、細菌やウイルスなどの病原体から体を守るために非常に重要な機能です。しかし、この機能が、移植された臓器や組織に対しても働いてしまうことがあります。免疫細胞が、移植された臓器や組織を「非自己」と認識し、攻撃してしまうことで、様々な症状が現れます。二つ目は、移植手術に伴う感染症です。移植手術後には、免疫抑制剤と呼ばれる薬を使って、拒絶反応を抑える必要があります。しかし、免疫抑制剤を使うことで、体の免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。また、移植された臓器や組織自体が、ウイルスや細菌に感染している場合もあります。移植合併症は、発症時期や症状も様々です。発熱や痛み、倦怠感といった比較的軽い症状から、臓器機能の低下や、命に関わるような重篤な症状まで、様々なものが知られています。移植合併症のリスクを減らすためには、患者さん自身が健康的な生活習慣を心がけること、担当医の指示に従ってきちんと薬を服用することが重要です。また、定期的な検査を受けることで、早期発見・早期治療に繋げることが大切です。
脳・神経

致死の感染症:狂犬病とは

狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる恐ろしい感染症です。このウイルスは、感染した動物の唾液中に存在し、主に動物に噛まれたり、引っ掻かれたりすることで人に感染します。 傷口から体内に入ったウイルスは、神経を伝って脳に到達し、そこで増殖して脳炎を引き起こします。 感染すると、初期には発熱や頭痛など、風邪に似た症状が現れます。その後、興奮、錯乱、幻覚、麻痺などの神経症状が現れ、最終的には昏睡状態に陥り、死に至ることがほとんどです。 狂犬病は、適切な治療を行わなければほぼ100%死に至る恐ろしい病気ですが、ワクチン接種によって予防することができます。 狂犬病は世界中でみられる病気ですが、日本では犬に対する徹底したワクチン接種と野犬対策の結果、現在では国内での発生はほとんどみられません。 しかし、海外では依然として流行している地域もあるため、これらの地域へ渡航する際には注意が必要です。 渡航前に狂犬病の予防接種を受けることや、動物との接触を避けるなどの予防策を講じることが重要です。
その他

知っていますか?保菌者の存在

- 保菌者とは保菌者とは、病気の原因となる微生物を体内に宿しているにもかかわらず、発熱や咳などの病気の兆候が全く現れていない人のことを指します。風邪やインフルエンザのように、私たちがよくかかる病気でも、保菌者は存在します。 保菌者は、自覚できる症状がないため、自分が感染源となっていることに気づかない場合があり、知らず知らずのうちに周囲の人々に病気を広げてしまう可能性があります。咳やくしゃみなどの症状がなくても、日常的な会話や接触を通じて、微生物が体外へ排出され、周りの人々に感染することがあります。 保菌者にならないために、また、保菌者から病気がうつらないようにするためには、こまめな手洗いやうがいを心がけ、健康的な生活習慣を維持することが重要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動は、体の免疫力を高め、感染症への抵抗力を高めるために役立ちます。また、人混みを避ける、マスクを着用するなどの予防策も有効です。 保菌者という概念は、感染症の予防と拡大防止を考える上で非常に重要です。自分自身が感染源となる可能性を認識し、周囲の人々に感染させないように注意を払うことが大切です。
消化器

命に関わる胆管の炎症:急性胆管炎

- 急性胆管炎とは急性胆管炎は、生命にかかわる可能性もある危険な病気です。胆汁の流れが悪くなることで細菌感染を起こし、胆管に強い炎症を引き起こします。胆汁は、肝臓で作られる消化液で、脂肪の分解を助ける重要な役割を担っています。肝臓で作られた胆汁は、いったん胆嚢に蓄えられ、その後、胆管と呼ばれる管を通って十二指腸に送られます。ところが、この胆管が胆石や腫瘍などによって塞がってしまうと、胆汁の流れが滞ってしまいます。すると、胆汁が溜まり、そこに細菌が繁殖しやすくなるのです。細菌が繁殖すると、胆管に炎症が起こり、これが急性胆管炎の始まりです。急性胆管炎になると、発熱、腹痛、黄疸といった症状が現れます。特に右上腹部には激しい痛みが生じることが多く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。また、重症化すると意識障害やショック状態に陥ることもあり、迅速な治療が必要です。急性胆管炎は、早期に発見し、適切な治療を行えば、多くの場合、治癒する病気です。しかし、放置すると重症化し、命に関わる危険性も高まります。そのため、腹痛や発熱、黄疸などの症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
脳・神経

日本脳炎について

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスが原因となる感染症で、脳に炎症を起こす病気です。このウイルスは、主にブタなどの体内で増殖し、それを吸血した蚊によって人へと媒介されます。人は、日本脳炎ウイルスに感染した蚊に刺されることで感染します。 感染初期には、高熱、頭痛、嘔吐、倦怠感などの症状が現れます。多くの場合、これらの症状は軽度で、数日で回復します。しかし、一部の人は、ウイルスが脳に侵入し、髄膜炎や脳炎などの重い症状を引き起こすことがあります。 重症化した場合、意識障害、けいれん、言語障害、神経麻痺などの神経系の症状が現れ、後遺症が残る可能性もあります。最悪の場合、死に至ることもあります。日本脳炎は、ワクチンで予防できる病気です。流行地域に住んでいる人や、流行地域へ旅行する人は、ワクチン接種を検討することが重要です。
呼吸器

1957年世界を襲ったパンデミック:アジアかぜ

- アジアかぜとはアジアかぜは、1957年に初めて確認された、新型のインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。このウイルスは、それまで人間の体内に存在しなかった、A型インフルエンザウイルスのH2N2亜型として分類されました。この新型ウイルスは、鳥類の間で流行していたインフルエンザウイルスが変異し、人間にも感染する能力を獲得したことで出現したと考えられています。アジアかぜという名前が付けられた理由は、この病気が初めて確認された地域がアジアだったからです。具体的には、1957年2月に中国で最初の流行が報告され、その後、シンガポール、香港、そして世界中に感染が拡大していきました。アジアかぜの症状は、一般的な季節性インフルエンザと類似しており、高熱、咳、喉の痛み、筋肉痛、倦怠感などが挙げられます。多くの人々は1週間程度で回復しますが、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ人などでは、肺炎などの合併症を引き起こし、重症化するケースも見られました。アジアかぜのパンデミックは、世界中で多くの人々の命を奪いました。正確な死者数は不明ですが、世界保健機関(WHO)は、少なくとも100万人以上が死亡したと推定しています。このパンデミックは、新型インフルエンザウイルスに対する脅威を世界に知らしめ、公衆衛生対策の重要性を改めて認識させる出来事となりました。
その他

リケッチア感染症:小さな侵入者による大きな脅威

- リケッチア感染症とはリケッチア感染症は、リケッチアと呼ばれる微小な細菌によって引き起こされる感染症です。この細菌は、単独で増殖することができず、他の生物の細胞内に寄生して生きていきます。そのため、リケッチアは、マダニ、ノミ、シラミといった節足動物を介して、私たち人間の体内に侵入してきます。感染経路としては、これらの節足動物に咬まれたり、刺されたりすることが挙げられます。感染すると、数日の潜伏期間を経て、発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感といったインフルエンザに似た症状が現れます。また、発疹が現れることも多く、リケッチア感染症の診断に役立ちます。リケッチア感染症は、世界中で発生しており、特に、気温の高い時期や地域で多く見られます。適切な治療が行われなければ、重症化し、髄膜炎や脳炎、腎不全、呼吸不全などを引き起こす可能性もあります。リケッチア感染症の治療には、抗生物質が有効です。早期に診断し、適切な治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。リケッチア感染症を予防するためには、節足動物に咬まれないようにすることが重要です。草むらや森に入る際には、長袖、長ズボンを着用し、虫除けスプレーを使用するなどの対策を心がけましょう。また、ペットを飼育している場合は、定期的にノミやダニの駆除を行うことも大切です。

感染症治療の立役者:抗生物質

抗生物質は、微生物が作り出した、他の微生物の増殖を抑える物質です。例えるなら、目に見えない小さな生き物が、別の小さな生き物を退治する武器を作り出すようなものです。この武器は、人間にとって悪い影響を与える細菌を退治するために使われます。私達が普段かかる病気の中にも、抗生物質が有効なものがたくさんあります。例えば、肺炎は肺に炎症を起こす病気ですが、細菌が原因で起こる肺炎には抗生物質がよく効きます。また、おしっこを出す時に痛みを伴う尿路感染症や、皮膚に炎症を起こす病気も、抗生物質で治療できる場合があります。抗生物質は、細菌の種類によって効果が異なります。細菌を退治するための武器も、敵の種類に合わせて変える必要があるのです。ですから、自己判断で抗生物質を使うのは大変危険です。医師の診察を受け、適切な抗生物質を処方してもらうことが重要です。
その他

黄熱とは?症状と予防策

黄熱は、黄熱ウイルスという病原体によって引き起こされる、急性のウイルス性出血熱です。このウイルスは、主にネッタイシマカやヤブカなどの蚊によって媒介されます。感染すると、高熱や筋肉痛、頭痛、嘔吐などの症状が現れます。多くの場合、これらの症状は数日で治まりますが、一部の患者さんでは、出血や黄疸、腎不全などの重篤な症状を引き起こし、死に至ることもあります。黄熱は、主にアフリカや中南米の熱帯地域で流行しており、日本ではほとんど発生していません。しかし、近年では、海外旅行やビジネスなどでこれらの地域を訪れる人が増えているため、日本でも他人事ではありません。 黄熱は、ワクチンで予防できる病気です。流行地域に渡航する際には、事前にワクチン接種を受けることが重要です。また、蚊に刺されないように、長袖、長ズボンを着用する、虫よけスプレーを使用するなどの対策も有効です。黄熱は、早期に診断し、適切な治療を行えば、救命できる可能性があります。流行地域から帰国後、発熱などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、渡航歴を伝えてください。
検査

免疫の記憶を探る:抗体検査とは

- 抗体検査とは抗体検査とは、血液などを用いて、体の中に特定の病原体に対する抵抗力となる物質が存在するかどうかを調べる検査です。私たちの体には、外から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から身を守る仕組みが備わっています。この仕組みを「免疫」と呼びます。病原体が体内に侵入してくると、私たちの体はそれと戦うための特別な物質を作ります。これを「抗体」と言います。抗体は、特定の病原体だけを攻撃する性質を持っています。例えば、はしかウイルスに対する抗体は、はしかウイルスだけを攻撃し、インフルエンザウイルスには作用しません。このように、抗体は鍵と鍵穴の関係のように、特定の病原体だけにぴったりと結合して、それを攻撃します。一度病気に感染すると、その病原体に対する抗体が体の中に作られ、その後も長い間、体内に残る場合があります。このため、再び同じ病原体に感染したときに、体はすばやく病原体を撃退することができます。これを「免疫記憶」と呼びます。抗体検査は、この免疫記憶を利用した検査です。血液中に特定の病原体に対する抗体が存在するかどうかを調べることで、過去にその病気に感染したことがあるかどうかを調べることができます。ただし、抗体検査はあくまでも過去の感染の可能性を示唆するものであり、現在の感染状態や病気の診断を確定するために行うものではありません。
その他

身近に潜む脅威:溶連菌感染症

- 溶連菌とは溶連菌は、正式には溶血性レンサ球菌と呼ばれる細菌の一種です。顕微鏡で観察すると、丸い形をした菌が鎖のようにつながって見えることから、この名前が付けられました。この細菌は、私たちの身の回りにも普通に存在しています。空気中に漂っていたり、ドアノブや電気のスイッチなど、いろいろな物に付着していることがあります。そのため、誰でも溶連菌に感染する可能性がありますが、健康な状態であれば、体内に入る菌の数が少なかったり、体の抵抗力で撃退することができるので、必ずしも発症するわけではありません。 しかし、免疫力が低下している時や、疲労が溜まっている時などは、溶連菌に対する抵抗力が弱くなってしまうため、注意が必要です。特に、幼児や小学生など、小さな子供は免疫力が発達段階にあり、溶連菌に感染しやすいため、集団生活の中で流行しやすくなります。溶連菌に感染すると、代表的な症状として、喉の痛みや発熱を伴う咽頭炎や扁桃炎などを引き起こします。その他、発疹や舌の炎症などが現れることもあります。症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
耳鼻科

溶連菌感染症とは?

- 溶連菌感染症の概要溶連菌感染症は、溶血性連鎖球菌という細菌によって引き起こされる感染症です。この細菌は、人の喉や皮膚に普通に存在していることがあり、感染している人が咳やくしゃみをすると、空気中に含まれる小さな水滴(飛沫)を介して周りの人に感染します。また、感染者の皮膚や粘膜に直接触れることによっても感染します。溶連菌感染症の代表的な症状は、突然始まる喉の痛みと高い熱です。喉の奥を見ると、扁桃腺が赤く腫れ上がり、白い膿が付着していることもあります。その他、頭痛、倦怠感、吐き気、腹痛などを伴う場合もあります。 通常、咳はみられません。多くは軽症で、適切な治療を行えば数日で改善します。しかし、まれに重症化し、猩紅熱やリウマチ熱、急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こすことがあります。特に、猩紅熱は、発疹と高熱を特徴とする病気で、合併すると治療が長引く場合があります。溶連菌感染症は、子ども、特に幼児や小学校低学年によくみられますが、大人でも感染することがあります。適切な予防と早期治療が重要です。
皮膚科

知っておきたい梅毒の知識

- 梅毒とは梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる螺旋状の細菌が原因で発症する感染症です。この病気は、主に性行為によって感染します。具体的には、感染している人の性器、口、または肛門との直接的な接触によって菌が体内に侵入します。稀ではありますが、感染した母体から胎児に感染する可能性もあります。梅毒の恐ろしい点は、感染初期には症状が現れないか、現れても非常に軽いため、感染に気づかない場合が多いことです。初期症状として、性器に硬くて痛みのない潰瘍(しこり)ができることがありますが、痛みがないため、放置してしまうことがあります。しかし、治療せずに放置すると、細菌は体内に留まり続け、やがて全身に様々な症状を引き起こします。具体的には、発疹、発熱、リンパ節の腫れなどが現れることがあります。さらに進行すると、心臓、脳、神経などに深刻な合併症を引き起こし、生命を脅かす可能性もあります。梅毒は早期に発見し、適切な治療を行えば完治する病気です。疑わしい症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。また、性行為の際にはコンドームを正しく使用することで、感染のリスクを減らすことができます。
血液

免疫力を奪うHIVとは?

- HIVとはHIVは「ヒト免疫不全ウイルス」の略称で、人間の免疫システムを攻撃するウイルスです。免疫システムは、私たちの体を病気から守るために非常に重要な役割を担っています。HIVはこの免疫システムの中で、特に重要な役割を果たす「CD4陽性T細胞」という細胞に感染します。CD4陽性T細胞は、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を攻撃し、排除する司令塔のような役割を担っています。HIVはこのCD4陽性T細胞に感染し、細胞の中で増殖を繰り返します。その結果、CD4陽性T細胞は破壊され、免疫システムが正常に機能しなくなってしまいます。HIVは、感染した人の血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液に含まれており、これらの体液が他の人に移ることによって感染します。具体的には、性交渉、血液を介した感染(注射針の共用など)、母子感染(妊娠中、出産時、授乳時)などの経路で感染します。HIVは空気感染や接触感染はしません。日常生活で感染する可能性は極めて低いと言えます。
皮膚科

牛痘:人にも感染する動物由来の感染症

- 牛痘とは牛痘は、牛痘ウイルスによって感染する病気です。主に牛などの動物がかかりますが、人間にも感染することがあります。このウイルスは、オルソポックスウイルスというグループに属しており、かつて猛威を振るった天然痘ウイルスと同じ仲間です。しかし、人間にとって命に関わることもある天然痘とは異なり、牛痘は比較的症状が軽く、ほとんどの場合、重症化することはありません。牛痘の症状として、まず、感染した場所にかゆみのある赤い発疹が現れます。これは通常、手にできることが多いですが、顔や体など、体の他の部分に現れることもあります。その後、発疹は水ぶくれになり、かさぶたとなって治っていきます。発熱や倦怠感などの全身症状が現れることもありますが、多くは軽度です。牛痘は、感染した動物との接触によって感染します。具体的には、感染した牛の乳を搾ったり、傷口に触れたりすることで感染する可能性があります。また、ウイルスが付着した物に触れることによっても間感染することがあります。かつて、牛痘は人間にとって身近な病気でしたが、現在では、世界中で牛の予防接種が進み、人間への感染は非常にまれになっています。ただし、牛などの動物を扱う職業の人や、動物園や牧場などで動物と触れ合う機会が多い人は、感染のリスクに注意する必要があります。牛痘は通常、特別な治療を必要とせず、自然に治癒します。症状を和らげるために、かゆみ止めや解熱鎮痛剤を使用することもできます。ただし、症状が重い場合や、心配な症状がある場合は、医療機関を受診してください。
消化器

B型肝炎:沈黙のウイルスとの闘い

- ウイルスによる肝臓の病気肝臓は、栄養の分解や貯蔵、有害物質の解毒など、生命維持に欠かせない役割を担う重要な臓器です。この肝臓は、沈黙の臓器とも呼ばれ、初期段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。しかし、ウイルスなどの影響で炎症が起き、放置すると徐々に機能が低下し、肝硬変や肝臓がんといった重い病気へと進行する可能性があります。ウイルスによる肝臓の病気の一つに、B型肝炎が挙げられます。これは、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液を介して肝臓に感染することで発症する病気です。HBVに感染すると、肝臓に炎症が起こり、倦怠感や食欲不振、黄疸などの症状が現れます。HBVの主な感染経路は、血液感染、性行為感染、母子感染の3つです。血液感染は、HBVに汚染された血液を輸血したり、注射針を共用したりすることで感染します。性行為感染は、HBVに感染している人と性交渉を持つことで感染します。母子感染は、HBVに感染している母親から出産時に赤ちゃんに感染します。B型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝臓がんのリスクが高まるため、早期発見・早期治療が重要となります。ワクチンを接種することで、HBVの感染を予防することができますので、医療機関に相談するようにしてください。
消化器

沈黙の脅威: C型肝炎を理解する

- C型肝炎とはC型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が血液を介して肝臓に感染し、炎症を引き起こす病気です。感染すると、急性肝炎と慢性肝炎の二つの段階があります。急性肝炎は、HCVに感染してから約2週間~6ヶ月の間に発症します。症状としては、だるさや食欲不振、吐き気、発熱、黄疸などがみられます。しかし、自覚症状が現れない場合も多く、気づかないうちに慢性肝炎に移行してしまうケースが多い点が特徴です。慢性肝炎は、急性肝炎から移行した状態が6か月以上続いている状態を指します。慢性肝炎も、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、長期間にわたって肝臓で炎症が続くことで、徐々に肝臓の細胞が破壊され、肝臓が硬くなってしまう肝硬変や、肝臓がんを発症するリスクが高まります。C型肝炎は、早期発見と適切な治療によって、慢性肝炎への移行や、肝硬変、肝臓がんへの進行を予防できる可能性があります。そのため、過去にC型肝炎ウイルスに感染した可能性がある人や、肝機能検査で異常値がでた人は、医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。
その他

アウトブレイク:感染症の集団発生

- アウトブレイクとはアウトブレイクは、特定の地域や期間において、ある感染症の患者数が、普段その地域でみられる患者数を明らかに上回って発生する現象を指します。これは、まるでダムが決壊したように、突発的に患者数が増加することから、日本語では「集団発生」とも呼ばれます。例えば、ある地域で特定の時期にインフルエンザが流行し、短期間のうちに、学校や職場などで多くの人がインフルエンザに感染するケースが考えられます。このような場合、インフルエンザの流行はアウトブレイクとみなされます。アウトブレイクは、その規模や影響範囲によって、「集団発生」以外にも、「流行」や「世界的流行(パンデミック)」といった言葉で表現されることもあります。一般的に、限られた地域や集団内で発生する場合には「集団発生」、より広範囲に広がった場合には「流行」、そして世界中に広がり、多くの人が感染する状況になった場合には「世界的流行」と呼び分けられます。アウトブレイクが発生すると、医療機関は患者の治療に追われ、場合によっては医療現場が逼迫する可能性もあります。また、学校閉鎖やイベント中止といった社会活動の制限が必要となる場合もあるため、私たちの生活にも大きな影響を与える可能性があります。
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