完全置換型人工心臓:心臓移植を待つ希望
- 完全置換型人工心臓とは
人間の心臓は、全身に血液を送り出すために休むことなく動き続けている、とても重要な臓器です。しかし、病気や怪我などによって心臓の機能が低下してしまうことがあります。心臓の機能が低下すると、体全体に十分な血液を送ることができなくなり、生命維持が困難になる場合もあります。このような場合に、心臓の代わりとなる医療機器として用いられるのが「完全置換型人工心臓」です。
完全置換型人工心臓は、機能しなくなった心臓を完全に取り出し、その場所に埋め込む人工臓器です。人工心臓は体内埋め込み型のポンプで、血液を循環させるという心臓本来の役割を担います。この人工心臓によって、心臓の機能が低下した患者さんの生命を維持し、生活の質を向上させることが期待できます。英語では「Total Artificial Heart」といい、TAHと略されることもあります。
完全置換型人工心臓は、主に重症心不全の患者さんに対して使用されます。重症心不全とは、心臓の機能が著しく低下し、薬物治療などの一般的な治療法では効果が期待できない状態を指します。従来の治療法では救命が難しい場合でも、完全置換型人工心臓を移植することで、患者さんの生命を救い、生活の質を向上させることが期待できます。