平衡感覚

耳鼻科

めまい:その原因と症状

- めまいとはめまいは、自分自身の身体感覚と周囲の空間認識にずれが生じることで起こる錯覚や異常感覚です。まるで自分が静止しているのに、周りの景色だけが回転しているように感じたり、あるいは、実際には動いていないにもかかわらず、体がふわふわと宙に浮いたり沈んだりするような感覚を覚えることがあります。このような感覚に加えて、歩行中に体がふらついたり、左右どちらかに傾いたりするのも、めまいの症状の一つです。めまいの感じ方は人によってさまざまで、「ふわふわする」「目が回る」といった表現のほか、「意識が遠のく」「地面に引き込まれる」など、実に多様な訴えがあります。めまいは、その原因となる病気によって大きく二つに分けられます。一つは、耳の奥にある平衡感覚をつかさどる器官、あるいはその情報を脳に伝える神経に異常が生じることで起こる「末梢性めまい」です。もう一つは、脳梗塞や脳出血など、脳に異常が生じることで起こる「中枢性めまい」です。めまいは、日常生活に支障をきたすだけでなく、背後に深刻な病気が潜んでいる可能性もあります。そのため、自己判断せずに、めまいの症状を感じたら、速やかに医療機関を受診することが大切です。
耳鼻科

聴覚と平衡感覚の要:耳の構造と機能

耳は、私たちが周囲の世界を認識する上で、なくてはならない役割を担っています。その役割は大きく分けて二つあります。一つは「聴覚」です。音は空気の振動として耳に届き、耳の中の鼓膜という薄い膜を振動させます。この振動は耳小骨と呼ばれる小さな骨の連鎖によって増幅され、内耳へと伝わります。内耳には、蝸牛と呼ばれるカタツムリのような器官があり、その中には音の振動を神経信号に変換する聴細胞が並んでいます。聴細胞が神経信号を発することで、私たちは音を感じ、音楽を楽しんだり、言葉を理解したりすることができるのです。 耳のもう一つの重要な役割は「平衡感覚」です。 内耳には、蝸牛以外にも、三半規管と耳石器と呼ばれる器官があります。これらの器官は、頭部の動きや傾きを感知する役割を担っています。三半規管は、それぞれが異なる方向を向いた3つの輪状の管からなり、内部にはリンパ液が満たされています。頭が回転すると、このリンパ液の流れが変化し、その変化を感覚毛が感知することで、回転の方向や速度を認識します。一方、耳石器は、炭酸カルシウムの結晶である耳石と、感覚毛からなります。頭部の傾きや直線的な動きによって耳石が移動し、感覚毛がその刺激を受けることで、私たちは体のバランスを保つことができるのです。
脳・神経

運動を司る脳の神秘:小脳の役割

- 運動機能の司令塔私たちは日常生活で、歩く、物を掴む、言葉を話すなど、様々な動作を何気なく行っています。これらの動作は、意識しなくてもスムーズに行うことができますが、実はその裏側では「小脳」と呼ばれる器官が重要な役割を担っています。小脳は、脳の後ろ側に位置する器官で、その形がカリフラワーに似ていることから「小さい脳」という意味の名前が付けられています。しかし、その役割は小さくありません。小脳は、まるで運動の司令塔のように、全身の筋肉の動きを調整し、滑らかで正確な動作を実現させているのです。私たちが体を動かす時、脳はまず、どのような動作をしたいのかという指令を出します。この指令は、まず大脳皮質と呼ばれる部分から発せられ、脊髄を通って筋肉に伝えられます。同時に、この指令は小脳にも送られます。小脳は、目や耳、筋肉などから送られてくる感覚情報と、大脳皮質から送られてきた運動指令とを照らし合わせ、体のバランスや筋肉の緊張を細かく調整します。そして、その調整情報を再び大脳皮質へとフィードバックすることで、私たちはスムーズで正確な動作を行うことができるのです。もし、小脳が正常に機能しなくなると、運動やバランスに障害が現れます。例えば、歩くときにふらついたり、字を書くときに手が震えたり、言葉が不明瞭になったりします。これは、小脳が損傷を受けることで、筋肉の動きを滑らかに調整する機能が失われてしまうためです。このように、小脳は私たちが意識することなく、運動機能を円滑に行うために重要な役割を担っています。普段は意識することが少ないかもしれませんが、小脳の働きによって、私たちは複雑な動作をスムーズに行うことができているのです。
耳鼻科

平衡感覚の鍵、内耳の迷路

私たちは、無意識のうちに体のバランスを取って生活しています。たとえば、電車の中で急ブレーキがかかっても、すぐに体勢を立て直すことができます。また、目をつぶっていても、体がどちらに傾いているのかを感じ取ることができます。 この体の傾きを感じる感覚を「平衡感覚」と呼びますが、この感覚を司っているのが、耳の奥深くに存在する「迷路」と呼ばれる器官です。迷路は、複雑な形をした小さな器官で、その中には「三半規管」と「耳石器」と呼ばれる感覚器官が存在します。 三半規管は、体の回転を感知する器官です。三半規管は、それぞれが異なる方向にループ状に配置されており、体の回転する方向や速度を感知します。 一方、耳石器は、体の傾きや直線運動を感知する器官です。耳石器は、炭酸カルシウムでできた小さな石「耳石」を持っています。体が傾いたり、動きが変化したりすると、この耳石が重力によって移動し、その刺激が神経を通じて脳に伝えられます。 このように、迷路は体の傾きや回転、直線運動といった情報を感知し、脳に伝えています。脳は、これらの情報に基づいて体のバランスを保つために必要な指令を筋肉に送り、私たちがスムーズに動くことができるように調節しているのです。
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