立体視の仕組み:世界を奥行きで捉える
- 立体視とは私たちが普段、物体をただ眺めるのではなく、奥行きや立体感を感じながら捉えることができるのは「立体視」という機能のおかげです。この機能は、両方の目で見たわずかに異なる像を、脳内で処理し統合することによって生まれます。人間の目は顔の正面に並んでついているため、右目と左目では、同じものを見ても、わずかに異なる角度から見ていることになります。このとき、左右の目それぞれに映る像のわずかなずれのことを「両眼視差」と呼びます。脳は、この両眼視差という情報を巧みに利用して、奥行きや距離感を認識しています。 例えば、近くの物を見るとき、両目はより内側に寄せるように動きます。このとき、両眼視差は大きくなります。反対に、遠くの物を見るときは、両目は平行に近くなり、両眼視差は小さくなります。脳は、このような両眼視差の変化を、奥行きや距離という情報に変換しているのです。立体視は、私たちが日常生活を送る上で欠かせない機能です。物を掴む、階段を上り下りする、スポーツを楽しむなど、あらゆる場面で、無意識のうちに立体視を活用しています。この機能が損なわれると、空間を正確に把握することが困難になり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。