災害医療の基礎:3Tとは?
災害時における医療活動は、平時とは大きく異なります。地震や津波など、大規模な災害が発生すると、同時に多数の負傷者や病人が発生し、医療現場は極めて厳しい状況に置かれます。病院の収容能力を超える患者が押し寄せ、医療従事者や物資も不足するという、まさに非常事態です。このような極限状態において、限られた医療資源を最大限に活用し、一人でも多くの命を救うために、災害医療では「3つのT」と呼ばれる重要な概念が用いられます。「3つのT」とは、「選別」「治療」「搬送」の頭文字をとったもので、災害医療における最優先事項を表す言葉です。
まず「選別」とは、傷病者の重症度や緊急度に応じて、治療や搬送の優先順位を決定する作業です。限られた医療資源の中で、より多くの命を救うために、救命の可能性が高い人から優先的に治療を行うという、大変厳しい判断を迫られます。次に「治療」は、選別に基づき、現場でできる限りの応急処置や手術などを施すことです。そして「搬送」は、適切な医療機関へ患者を搬送する作業を指します。病院の状況や患者の重症度に応じて、搬送先を適切に判断する必要があります。災害医療においては、これらの「選別」「治療」「搬送」を、状況に合わせて迅速かつ的確に実行していくことが、非常に重要となります。