大脳辺縁系

脳・神経

記憶の番人、海馬の謎を探る

脳の深部には、記憶を司る重要な領域が存在します。それが、側頭葉の奥底に左右対称に位置する海馬です。海馬という名前は、その形がギリシャ神話に登場する海神ポセイドンの馬車に由来しています。海馬は、まるで巻貝のような、あるいは三日月のような、独特の湾曲した形状をしています。この特徴的な形から、ギリシャ語で「馬」を意味する「ヒポス」と「海の怪物」を意味する「カンポス」を組み合わせた「ヒポカンパス」とも呼ばれています。小さく見える海馬ですが、実は脳の働きの中でも特に複雑な記憶の形成に深く関わっています。海馬は、新しい情報の学習や記憶の固定、空間記憶、感情的な出来事の記憶など、多岐にわたる記憶プロセスにおいて重要な役割を担っています。この小さな器官が、私たちの豊かな記憶体験を支えているのです。
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