多発性骨髄腫

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静かに広がる脅威:多発性骨髄腫

- 多発性骨髄腫とは多発性骨髄腫は、血液のがんである造血器腫瘍の一種です。 私たちの体には、細菌やウイルスなどの病原体から身を守る免疫システムが備わっています。この免疫システムで重要な役割を果たす細胞の一つに、形質細胞と呼ばれるものがあります。形質細胞は、体内に侵入してきた病原体を攻撃する抗体というたんぱく質を作り出す働きをしています。 骨髄は、骨の内部にあるやわらかい組織で、赤血球や白血球、血小板など、血液の細胞を作り出す重要な場所です。この骨髄の中で、形質細胞が何らかの原因でがん化し、異常に増殖してしまう病気を、多発性骨髄腫と呼びます。 多発性骨髄腫は、骨髄の機能を徐々に損なっていくため、健康な血液細胞が十分に作られなくなり、貧血や感染症のリスクが高まります。 また、がん化した形質細胞は、骨を溶かす物質を放出するため、骨がもろくなって骨折しやすくなるのも特徴です。さらに、腎臓の機能が低下したり、高カルシウム血症などの症状が現れたりするなど、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

骨を守る薬!ビスホスホネートとは?

- ビスホスホネートってどんな薬?私たちの骨は、一見硬く変化がないように思えますが、実際には常に生まれ変わっています。古い骨が壊される「骨吸収」と、新しい骨が作られる「骨形成」を繰り返し、常に新しい状態を保っているのです。この骨吸収と骨形成のバランスが崩れてしまうと、骨はもろく弱くなってしまいます。 ビスホスホネートは、骨の代謝、特に骨吸収に作用する薬です。骨吸収を抑制することで、骨密度を維持または増加させる効果があります。 骨粗鬆症の治療では、骨吸収を抑制することで骨折を防ぐことを目的としてビスホスホネートが用いられます。骨粗鬆症は、骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。 ビスホスホネートは、骨粗鬆症の治療薬として広く使われており、その有効性と安全性が確認されています。

サリドマイド:多面的な薬の光と影

- サリドマイドとはサリドマイドは、1950年代に開発された薬で、当時は画期的な睡眠薬やつわりの薬として世界中で広く使われていました。特に、妊娠初期のつわりに効果があるとされ、多くの妊婦が服用していました。しかし、サリドマイドを服用した妊婦から、腕や脚の発達に障害がある赤ちゃんが多数生まれるという悲劇が起こりました。これは、サリドマイドが胎児の正常な発育を阻害することが原因でした。この薬害は世界中に衝撃を与え、サリドマイドは販売中止となりました。その後、長い年月を経て、サリドマイドは思わぬ効能を持つことが明らかになりました。それは、ハンセン病の一種であるらい菌性結節性紅斑や、血液のがんである多発性骨髄腫に対する効果です。サリドマイドはこれらの病気に対して優れた効果を示し、現在では、厳重な管理の下、特定の病気の治療薬として再び使用されています。サリドマイドの物語は、薬の光と影を浮き彫りにしています。画期的な薬も、使い方を誤れば大きな悲劇を生み出す可能性があり、薬の開発には、有効性と安全性の両面を常に考慮することが不可欠です。
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