呼吸困難

呼吸器

犬吠様咳嗽:小児に見られる特徴的な咳

「犬の鳴き声のような咳」と聞いて、一体どんな咳なのか想像できるでしょうか?医学用語では「クループ」と呼ばれるこの咳は、まるで犬が吠えているようなガラガラとした乾いた咳が特徴です。 この咳が出やすいのは、主に乳幼児や小さなお子さんです。そして、夜や朝早くなど、気温が低くなってくる時間帯に悪化する傾向があります。咳に加えて、声がれや息苦しさを感じたりすることもあります。 このような症状が出ると、保護者の方々は当然不安に感じることでしょう。しかし、「犬の鳴き声のような咳」自体は、多くの場合、命にかかわるような重い病気ではありません。ただし、症状が重い場合や、呼吸が速くなったり、唇の色が悪くなったりする場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
循環器

心臓からのSOS?知っておきたい心不全

私たちの体は、心臓がまるで休むことなく動き続けるポンプのように、血液を全身に送り届けることで、生命を維持しています。この血液は、体にとって欠かせない酸素や栄養分を体の隅々まで運び、老廃物を運び出すという重要な役割を担っています。 心臓は、私たちの体にとって、まさに生命の源泉といえるでしょう。 しかし、様々な要因によって、この重要な心臓のポンプ機能が低下してしまうことがあります。これが「心不全」と呼ばれる状態です。 心不全は、心臓の筋肉そのものが弱ってしまう場合、心臓の弁が正常に開閉しなくなる場合、あるいは心臓を包む袋に水が溜まってしまう場合など、さまざまな原因によって引き起こされます。いずれの場合も、心臓は十分な量の血液を送り出すことができなくなり、息切れやむくみ、疲労感といった症状が現れます。 心不全は、決して軽視できる病気ではありません。放置すると命に関わることもあります。 症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
呼吸器

鼻カニューレ:呼吸を楽にする医療器具

- 鼻カニューレとは鼻カニューレは、呼吸に問題を抱えている患者さんに酸素を供給するための医療器具です。細いチューブの先端に、鼻の穴に優しくフィットする柔らかい素材で作られた二股に分かれた部分があり、これを鼻腔に挿入して使用します。鼻カニューレは、その形状から「メガネ型カニューラ」とも呼ばれ、マスクタイプに比べて患者さんの負担が少ないという利点があります。そのため、呼吸困難、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎など、様々な疾患の患者さんに使用されています。鼻カニューレを通して供給される酸素は、血液中の酸素濃度を上昇させます。これにより、呼吸が楽になるだけでなく、臓器の機能維持にも役立ちます。また、息苦しさから解放されることで、患者さんの不安軽減にもつながります。鼻カニューレは、医師の指示のもと、適切な流量で酸素を供給することが重要です。流量が少なすぎると効果が得られず、多すぎると副作用が現れる可能性があります。酸素を使用する際は、火気に近づかないなど、安全にも十分注意する必要があります。
呼吸器

意外と知らない?肺虚脱「気胸」について

- 気胸とは気胸は、肺を取り囲むように存在する胸腔と呼ばれる空間に空気が入り込むことで、肺が正常に膨らむことができなくなる病気です。通常、呼吸をする際には、肺は空気を取り込むことで膨らみ、息を吐き出すことで縮むという運動を繰り返しています。しかし、気胸になると、肺の外側から圧力がかかるため、肺は十分に膨らむことができなくなります。その結果、呼吸をする際に苦しさを感じたり、胸に痛みを感じたりするようになります。気胸の原因は様々ですが、大きく分けて自然気胸と外傷性気胸の二つに分類されます。自然気胸は、肺に小さな穴が開いてしまうことによって発生し、特に痩せ型の若い男性に多く見られます。一方、外傷性気胸は、肋骨骨折や胸部への衝撃など、外部からの強い力によって肺に穴が開いてしまうことで発生します。気胸の症状は、空気の量や肺の圧迫具合によって異なります。軽度の場合は、自覚症状がほとんどない場合もありますが、重症化すると、呼吸困難や胸の激痛、さらには意識消失に至ることもあります。気胸は、適切な治療を行えば治癒する病気です。治療法としては、安静や酸素吸入、胸腔ドレナージなどがあります。症状が軽い場合は、安静にしていれば自然に治癒することもありますが、重症の場合は、入院して集中的な治療が必要となることもあります。
呼吸器

過呼吸:その原因と対処法

- 過呼吸とは過呼吸とは、呼吸の回数が増えたり、深く呼吸をしすぎたりすることで、体の中の二酸化炭素が必要以上に出ていってしまう状態を指します。私たちは普段、息を吸うことで酸素を体に取り込み、息を吐くことで二酸化炭素を体外に出しています。この一連の呼吸運動によって、体の中の酸素と二酸化炭素のバランスが保たれています。 しかし、過呼吸になると、このバランスが崩れてしまい、血液中の二酸化炭素の濃度が異常に低くなってしまうのです。二酸化炭素は、私たちの体にとって不要なものと思われがちですが、実は体の機能を正常に保つために重要な役割を担っています。 血液中の二酸化炭素が減ってしまうと、体が酸性に傾き、様々な症状が現れます。 めまいや息苦しさ、手足のしびれなどは、過呼吸によって起こる代表的な症状です。過呼吸は、精神的なストレスや不安、パニックなどによって引き起こされることが多いとされています。 過呼吸発作は、周囲の人にとっては、落ち着いていないように見えるかもしれませんが、本人にとっては非常に苦しい状態です。 適切な対処法を知っておくことが重要です。
耳鼻科

舌根沈下:睡眠時無呼吸症候群との関係

- 舌根沈下とは私たちの口の中に存在する舌は、食事をする際に食べ物を喉の奥に送り込んだり、言葉を話す際に複雑な動きをしたりと、重要な役割を担っています。舌の中でも、特に奥まった部分を舌根と呼びますが、この舌根が重力によって喉の奥(医学用語では咽頭と呼びます)に沈み込んでしまう状態を -舌根沈下- と言います。本来、舌は口の中に位置しているものですが、舌根沈下が起こると、気道の一部が塞がれてしまい、スムーズな呼吸を妨げてしまうことがあります。特に、睡眠中は体の筋肉が弛緩してしまい、起きている時に比べて舌を支える力が弱くなるため、舌根沈下が起こりやすくなります。舌根沈下は、睡眠時無呼吸症候群の原因の一つとしても知られています。睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう、あるいは呼吸が浅くなってしまう病気です。舌根沈下によって気道が狭くなることで、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる可能性があります。舌根沈下の症状としては、大きないびき、日中の眠気、起床時の頭痛などが挙げられます。これらの症状が見られる場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
呼吸器

喘息について

- 喘息とは喘息は、空気の通り道である気管支に炎症が起こり、気道が狭くなることで、息苦しさや咳などの症状が出る病気です。この炎症は慢性的に続くもので、一時的な風邪などとは異なります。気道が狭くなると、息を吸ったり吐いたりするのが難しくなり、特に息を吐く際に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が聞こえることがあります。これが喘鳴と呼ばれる喘息の特徴的な症状です。咳もまた一般的な症状で、特に夜間や早朝に悪化することがあります。喘息の症状は、発作的に起こることが特徴です。症状がない状態が続くこともあれば、ある日突然、激しい咳や息苦しさに襲われることもあります。発作の引き金となるものは人それぞれで、ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛、タバコの煙、気温や湿度の変化、運動などが挙げられます。喘息は、乳幼児期から成人まで、どの年齢でも発症する可能性があります。また、日本を含む先進国で増加傾向にあり、現代では国民病の1つとされています。喘息は完治が難しい病気ですが、適切な治療を続けることで症状をコントロールし、日常生活に支障なく過ごすことが可能です。
呼吸器

知っておきたい肺気腫:症状と予防

- 肺気腫とは肺気腫は、呼吸をする上で重要な役割を担う肺の組織が壊れてしまう病気で、長い期間にわたって症状が現れます。肺は、体の中に酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出する役割を担っています。この働きを担うのが「肺胞」と呼ばれる小さな空気の袋で、肺の中に無数に存在しています。肺気腫では、この肺胞の壁が壊れて弾力を失ってしまうため、うまく空気を出し入れすることが難しくなります。まるで、使い古して伸びてしまった風船のように、肺胞は膨らんだ状態になり、十分に縮まなくなってしまいます。そのため、息を吐くことが特に困難になります。新鮮な空気を取り込むことができず、息苦しさを感じるようになります。肺気腫は、長年の喫煙習慣や有害な物質の吸入、また、まれに遺伝などが原因で発症すると考えられており、一度壊れてしまった肺胞は元に戻ることはありません。そのため、早期発見と治療、そして禁煙などの予防策が非常に重要となります。
呼吸器

呼吸困難のサイン?ストライダーについて解説

- ストライダーとはストライダーとは、呼吸をする際に、喉や気管から「グーグー」や「ゼーゼー」といった低い音が聞こえる症状のことです。まるで笛を吹くような音であることから、笛声呼吸とも呼ばれます。この音は、息を吸う時に顕著に現れることが特徴です。息を吸う際に胸が凹むような様子が見られることもあります。これは、空気の通り道である気道が狭くなっているために、空気がスムーズに体内に入ってこられないために起こります。ストライダーは、特に乳幼児によく見られる症状です。これは、乳幼児の気道が大人に比べて狭く、柔らかくできているため、炎症や異物などによって塞がりやすいことが原因です。軽度のストライダーは、風邪やインフルエンザなどの一般的なウイルス感染によって引き起こされることが多く、自然に治癒することも少なくありません。しかし、症状が重い場合や、呼吸困難を伴う場合には、気管支炎や肺炎、クループ症候群といった、より深刻な病気が隠れている可能性もあります。また、誤って小さな異物を飲み込んでしまい、気道に詰まっている場合にもストライダーの症状が現れることがあります。そのため、乳幼児がストライダーの症状を示す場合には、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
呼吸器

ビオー呼吸:不規則なリズムを刻む呼吸の謎

私たちは普段、呼吸をすることを意識していません。これは、健康な状態であれば呼吸が規則的に、自然と行われているからです。しかし、病気になると、この滑らかな呼吸リズムが乱れ、普段とは異なる奇妙な呼吸パターンが現れることがあります。呼吸が速くなったり、遅くなったり、深くなったり浅くなったりと、その症状はさまざまです。今回は、このような異常呼吸の一つである「ビオー呼吸」について詳しく解説していきます。 ビオー呼吸は、まるで波打つように、呼吸が周期的に変化するのが特徴です。深い呼吸と浅い呼吸を交互に繰り返したり、呼吸が一時的に停止する「無呼吸」を伴うこともあります。このような呼吸の変化は、脳や肺、心臓など、体の重要な器官に異常が起きているサインである可能性があります。具体的には、脳腫瘍や脳卒中、心不全、肺炎などが原因として考えられます。 ビオー呼吸は、命に関わる病気のサインであることも少なくありません。そのため、もしも自分自身や周りの人が、普段とは異なる呼吸をしていることに気づいたら、すぐに医療機関を受診する必要があります。自己判断は危険ですので、必ず専門家の診察を受けて、適切な診断と治療を受けるようにしてください。
呼吸器

クスマウル呼吸:深く速い呼吸が生む意味

- クスマウル呼吸とは普段、私たちが意識することなく行っている呼吸は、吸って吐いてというリズムと深さが自然と調節されています。しかし、病気やケガなどによって体が弱っている時などには、呼吸が速くなったり、深くなったり、普段とは異なる状態になることがあります。その中でも、「クスマウル呼吸」と呼ばれる呼吸パターンは、まるで空気中に酸素が足りない場所で必死に呼吸をしているかのように、深く速い呼吸を繰り返すのが特徴です。この特徴的な呼吸は、体の中の酸性度、つまりpHと呼ばれる値が、酸性に傾きすぎた状態を改善しようとする体の防御反応です。私たちの体は、健康な状態を保つために、常に弱アルカリ性に保たれています。しかし、糖尿病などの病気や、激しい運動、脱水症状などによって、体が酸性に傾いてしまうことがあります。この状態を「アシドーシス」と呼びます。「アシドーシス」になると、体は酸性に傾いた状態を改善するために、肺から二酸化炭素を多く排出しようとします。二酸化炭素は体内では酸として働くため、これを排泄することで、血液中のpHを正常に戻そうとするのです。その結果、呼吸中枢が刺激され、深く速い呼吸、つまりクスマウル呼吸が出現します。クスマウル呼吸は、体が酸性に傾いているサインであり、放置すると命に関わる危険性もはらんでいます。そのため、もしも周囲にクスマウル呼吸をしている人がいたら、速やかに医療機関を受診する必要があります。
呼吸器

異常呼吸を見つける: その種類と意味

私たちは普段、息を吸ったり吐いたりすることを特に意識していません。これは、体が自動的に呼吸を調整しているからです。しかし、病気にかかったり、体の状態が悪くなったりすると、この呼吸の仕方に変化が現れることがあります。 呼吸の速さや、一回の呼吸で吸ったり吐いたりする量、さらに呼吸のリズムが、いつもと違うと感じる場合は注意が必要です。 このような、健康な状態とは異なる呼吸のされ方を「異常呼吸パターン」と呼びます。異常呼吸パターンは、体が酸素を十分に取り込めていない、あるいは、体から二酸化炭素をうまく排出できていないサインである可能性があります。例えば、呼吸が速くなる、呼吸が浅くなる、呼吸をするたびに肩で息をする、呼吸と呼吸の間に pauses が入る、など、様々なパターンがあります。 これらの異常呼吸パターンは、肺炎や喘息、心臓病など、様々な病気が原因で起こる可能性があります。そのため、普段とは異なる呼吸の変化に気付いたら、自己判断せずに、医療機関を受診することが大切です。呼吸の変化を早期に発見し、適切な治療を受けることで、病気を悪化させずに済む可能性が高まります。
呼吸器

周期的な呼吸の謎:チェーンストークス呼吸

- チェーンストークス呼吸とはチェーンストークス呼吸は、まるで波のように呼吸が周期的に変化する、特異な呼吸パターンです。 大きく息を吸っては吐くという呼吸の深さが、だんだん深く速くなっていき、まるで山の頂上を目指すようにピークを迎えます。 ピークに達すると、今度は徐々に呼吸が浅くゆっくりになっていきます。 そして、まるで静かな湖面のように、一時的に呼吸が停止してしまうことさえあります。 この静寂の後、再び呼吸が始まり、これまでと全く同じサイクルを繰り返します。まるで海の波のような、この規則的な呼吸の変化は、見ている人に不思議な印象を与えます。 チェーンストークス呼吸は、健康な人でも、睡眠中や高地にいる時などに一時的に見られることがありますが、心不全や脳卒中などの病気のサインである可能性もあるため、注意が必要です。 特に、普段見られない呼吸パターンが現れた場合には、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。
呼吸器

静かなる脅威:アスベスト関連疾患

- アスベストとはアスベストとは、天然に存在する繊維状の鉱物の総称です。非常に細く、肉眼では確認できないほど小さな繊維が集まってできています。この繊維は、熱や摩擦に強く、電気を通しにくいといった特性を持つため、かつては「奇跡の鉱物」とも呼ばれ、様々な用途で重宝されていました。建材としては、屋根材や壁材、断熱材、床材などに広く利用されていました。その他にも、自動車のブレーキやクラッチ、電気製品の絶縁材など、その用途は多岐に渡りました。しかし、アスベストは、その微細な繊維を吸い込むことで、健康に深刻な影響を及ぼすことが明らかになりました。アスベストの繊維は非常に細いため、吸い込んでも肺の奥深くまで入り込みやすく、長期間にわたって肺に留まり続けます。そして、長い年月を経て、肺がんや中皮腫、じん肺といった深刻な病気を引き起こす可能性があります。これらの健康被害が明らかになったことを受け、現在では、アスベストの製造、使用、及び除去などは法律によって厳しく規制されています。
呼吸器

複数の肋骨骨折で起こる胸郭動揺

私たちの胸部を守る骨格、胸郭。これは複数の肋骨と胸骨が組み合わさってできています。強い衝撃によって、これらの骨が複数箇所で折れてしまう重傷があります。これが「胸郭動揺」と呼ばれる状態です。別名で「フレイルチェスト」や「胸壁動揺」とも呼ばれます。 交通事故や高所からの転落などが原因で、強い衝撃を受けた時に発生しやすいため、重篤な胸部外傷の一つとされています。 胸郭動揺になると、呼吸のたびに骨折した肋骨や胸骨が不安定に動き、激しい痛みを伴います。さらに、肺や心臓などの重要な臓器を傷つける危険性も高まります。 呼吸困難や、皮膚の下で空気が漏れる皮下気腫、出血などの症状が現れることもあります。胸郭動揺は、見た目にも胸郭の動きに異常が見られることが多く、医療従事者は、患者の呼吸状態や胸郭の動き、レントゲン検査などを通じて診断を行います。 胸郭動揺は命に関わる危険な状態であるため、早期の診断と適切な治療が不可欠です。治療法としては、痛みを和らげ呼吸をサポートするために、酸素吸入や人工呼吸器の装着、肋骨を固定する手術などが行われます。
呼吸器

終末期に見られる呼吸困難:下顎呼吸

- 下顎呼吸とは下顎呼吸とは、呼吸困難に陥った際に、なんとか呼吸を続けようとして、あごを上下に動かしながら口をパクパクと開ける呼吸法のことです。その様子がまるで水面で呼吸をする魚に似ていることから、「魚口呼吸」や「死戦期呼吸」と呼ばれることもあります。健康な状態では、呼吸は主に横隔膜の動きによって行われますが、病気などで横隔膜が十分に機能しなくなった場合、代わりに首や肩、胸などの筋肉を使って呼吸をするようになります。 これが、あごと口を大きく動かす呼吸、すなわち下顎呼吸につながります。下顎呼吸は、肺炎や心不全、喘息発作など、さまざまな病気によって引き起こされる可能性があります。 特に、意識レベルの低下に伴って見られることが多く、重症な状態を示唆している場合も少なくありません。そのため、下顎呼吸が見られた場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。
呼吸器

運動誘発性喘息:運動で息苦しさを感じたら

- 運動誘発性喘息とは運動誘発性喘息は、激しい運動や運動後に、息苦しさや咳、喘鳴といった、喘息と同様の症状が現れる病気です。普段は健康な人でも、激しい運動をすることで発症する可能性があります。この病気の原因ははっきりと解明されていませんが、運動中に呼吸が速くなり、大量の冷たい空気を吸い込むことで、気道が刺激されて狭くなることが一つの要因として考えられています。この時、気道が炎症を起こし、過敏な状態になっていると、さらに症状が悪化しやすくなります。運動誘発性喘息は、通常の喘息とは異なり、運動時にのみ症状が現れることが特徴です。そのため、運動以外の日常生活では、ほとんどの場合、症状が現れることはありません。しかし、症状が現れた時には、通常の喘息と同様に、呼吸が苦しくなったり、咳が止まらなくなったりするため、注意が必要です。適切な治療や対策を行うことで、症状をコントロールし、安全に運動を楽しむことができます。運動中に息苦しさや咳、喘鳴などの症状が現れた場合には、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。
呼吸器

喘息発作:命に関わることもある呼吸困難

- 喘息発作とは喘息発作は、気管支喘息という病気を抱えている人に起こる、発作性の呼吸困難のことを指します。発作は突然起こり、激しい息苦しさに襲われます。同時に、「ゼーゼー」という喘鳴音や咳が出るのも特徴です。この発作は、気管支と呼ばれる、肺に空気を送り込むための管が狭くなってしまうことが原因で起こります。気管支が狭くなると、肺に十分な空気を吸い込んだり、吐き出したりすることが難しくなり、息苦しさや喘鳴、咳などの症状が現れるのです。喘息発作のきっかけは人それぞれで、例えば、ダニやハウスダスト、ペットの毛、花粉などのアレルギー物質を吸い込むことや、風邪やタバコの煙、激しい運動、天候の変化、ストレスなどが挙げられます。喘息発作は、適切な治療を行えば症状を和らげ、コントロールすることができます。しかし、重症化すると呼吸困難がさらに悪化し、命に関わる危険性もあります。そのため、喘息と診断された場合は、医師の指示に従ってきちんと治療を続けることが重要です。また、発作の兆候を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
呼吸器

鼻カニューレ:その役割と使い方

- 鼻カニューレとは鼻カニューレは、呼吸に十分な酸素を取り込むことが難しい際に、外部から酸素を鼻へ送り込むための医療器具です。透明で柔らかく細い2本のチューブの先端が鼻の穴に差し込まれ、そのチューブを通して酸素が供給されます。このチューブは、眼鏡のフレームのように耳にかけ、さらにチューブの下部に付いたスライドで調節することで、顔から外れにくく工夫されています。 鼻カニューレは、酸素マスクと比較して、装着時の圧迫感が少なく、会話や飲食も比較的容易に行えるというメリットがあります。そのため、酸素療法が必要な患者さんにとって、身体的にも精神的にも負担が少ない医療器具として広く使用されています。 しかし、鼻カニューレは、口呼吸が多い場合や鼻の疾患がある場合は、十分な酸素を供給できない可能性があります。また、長時間の使用により、鼻の粘膜が乾燥したり、耳に痛みを感じたりする場合もあります。このような場合は、医師や看護師に相談し、適切な対処法について指示を受けるようにしましょう。
呼吸器

ガス交換の壁:肺胞-毛細管ブロック症候群

私たちは、生きていくために絶えず呼吸をしています。この呼吸によって、体が必要とする酸素を取り込み、不要となった二酸化炭素を排出しています。この重要なガス交換の舞台となるのが、呼吸器系です。 呼吸器系の中で、特に重要な役割を担っているのが肺です。肺は、胸郭と呼ばれる肋骨で囲まれた空間に左右一対存在し、スポンジのような弾力性を持つ臓器です。肺の内部には、肺胞と呼ばれる小さな袋状の構造が無数に存在します。肺胞は、まるでブドウの房のように集まっており、その表面は毛細血管と呼ばれる細い血管でびっしりと覆われています。 肺胞と毛細血管の間は、非常に薄い壁で仕切られており、ガス交換はこの薄い壁を通して行われます。呼吸によって肺に取り込まれた空気中の酸素は、肺胞から毛細血管の中へと移動します。そして、酸素を多く含んだ血液は、心臓から全身へと送り届けられます。逆に、体の中で使われた血液は、二酸化炭素を多く含んでおり、毛細血管から肺胞へと移動します。そして、二酸化炭素は、肺胞から気道を通って体外へと排出されます。 このように、肺は、体中に酸素を供給し、二酸化炭素を排出するという重要な役割を担っています。
呼吸器

肺挫傷:胸部外傷による呼吸困難

- 肺挫傷とは肺挫傷は、交通事故や高所からの転落など、胸部に強い衝撃を受けた際に、肺に損傷が生じる病気です。 肺は呼吸に欠かせない臓器ですが、外部からの強い力によって傷つくことがあります。この傷によって、肺の中の毛細血管が破れ、血液や体液が肺胞(はいほう空気の入った小さな袋)に漏れ出てしまいます。すると、肺胞は酸素を十分に取り込めなくなり、呼吸が困難になります。 症状としては、息切れや胸の痛み、咳、血痰(けったん血の混じった痰)などが見られます。軽い場合は安静にしていれば自然に治癒することもありますが、重症化すると、呼吸不全に陥り、酸素マスクや人工呼吸器が必要になることもあります。さらに、肺挫傷が原因で肺炎などの合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、胸に強い衝撃を受けた場合は、たとえ症状が軽くても、速やかに医療機関を受診することが重要です。 早期に適切な治療を受けることで、重症化を防ぎ、後遺症を残さずに治すことができます。
呼吸器

ガス交換を阻む壁:肺胞-毛細管ブロック症候群

私たちは、生きていくために常に呼吸をし続けています。呼吸によって、体の中に酸素を取り込み、代わりに二酸化炭素を体の外に出しています。この、酸素と二酸化炭素の入れ替えは、肺という臓器の奥深くで行われます。 肺の中には、肺胞と呼ばれる小さな袋状のものが無数に存在します。肺胞の壁は非常に薄く、そのすぐ外側には、体中に張り巡らされた血管の中でも特に細い毛細血管が網の目のように広がっています。 呼吸によって肺の中に取り込まれた酸素は、この薄い肺胞の壁を通り抜け、毛細血管の中に入ります。そして、酸素を含んだ血液は、心臓のポンプ作用によって全身に送り届けられます。 一方、体の中で酸素が使われると、代わりに二酸化炭素が発生します。二酸化炭素を多く含んだ血液は、再び心臓のポンプ作用によって肺まで運ばれ、今度は毛細血管から肺胞の中へと移動します。そして、肺胞の中に移動した二酸化炭素は、呼吸によって体の外へと排出されます。 このように、肺は、体に取り入れた酸素を全身に送り届け、代わりに発生した二酸化炭素を排出するという、生きていく上で欠かせない重要な役割を担っています。
呼吸器

肺挫傷:胸部外傷による呼吸困難

- 肺挫傷とは肺挫傷は、胸部に強い衝撃や圧力が加わることで、肺に損傷が生じる状態を指します。交通事故や高所からの転落、スポーツ中の接触など、胸に強い衝撃を受けることで発生しやすくなります。私たちの肺は、呼吸をするための重要な臓器であり、無数の小さな空気の袋(肺胞)で構成されています。肺挫傷では、この肺胞や周囲の組織、血管が損傷を受けます。その結果、損傷した血管から血液や体液が肺胞に漏れ出し、肺胞内に出血やむくみが生じます。肺胞に血液や体液が溜まると、酸素を十分に取り込めなくなり、呼吸困難を引き起こします。症状としては、息切れや胸の痛み、咳、血痰などがみられます。重症の場合には、呼吸不全に陥り、生命に関わることもあります。肺挫傷は、胸部レントゲンやCT検査によって診断されます。治療は、安静と酸素吸入が基本となります。重症例では、人工呼吸器による呼吸管理が必要になることもあります。肺挫傷は、早期に発見し適切な治療を行うことが重要です。胸部に強い衝撃を受けた場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
耳鼻科

犬吠様咳嗽:小児に見られる特徴的な咳

「犬の鳴き声のような咳」と聞いて、一体どんな咳なのか想像できるでしょうか?その名の通り、まるで犬が吠えているかのような、かん高い乾いた咳のことを指します。医学用語では「犬吠様咳嗽」と呼ばれ、主に乳幼児や小さなお子さんに多く見られます。 この咳の特徴は、夜や朝方など、気温が下がる時間帯に悪化しやすいことです。咳き込む時に「ゼーゼー」といった苦しそうな呼吸音を伴うこともあり、保護者の方は不安に思うかもしれません。しかし、犬吠様咳嗽自体は命に関わるような病気ではありませんので、落ち着いて対処しましょう。 犬吠様咳嗽を引き起こす原因は、ほとんどの場合、風邪などのウイルス感染症です。ウイルスが喉や気管支に炎症を起こし、腫れや刺激によって咳が出やすくなります。特に、喉頭蓋炎やクループ症候群といった病気では、声帯の下にある気道が狭くなるため、特徴的な犬の鳴き声のような咳が出現します。 ほとんどの場合、適切な治療によって症状は改善されます。加湿や水分補給などで喉を潤したり、安静にすることで自然と治ることも多いです。ただし、呼吸困難や高熱などの症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
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