医療安全

看護技術

医療現場における閉鎖式輸液システム

病院に入院したり、手術を受けたりすると、多くの人が経験する点滴。正式には輸液療法と呼ばれ、体内に必要な水分や栄養を補給する方法です。この輸液療法を行うために欠かせないのが輸液システムです。 輸液システムは、大きく分けて輸液バッグ、輸液ルート、針の三つの要素で構成され、それぞれ重要な役割を担っています。まず、輸液バッグは、患者さんの体内に投与する薬剤や栄養を含む液体を貯蔵する役割を果たします。このバッグには、投与する量や種類に応じて様々な大きさや形状のものがあります。次に、輸液ルートは、輸液バッグ内の液体を患者さんの体内へと運ぶ管の役割を果たします。このルートには、途中に流量調整器やフィルターなどが取り付けられており、安全かつ適切な量の液体を投与できるように工夫されています。そして最後に、針は、輸液ルートの先端に接続され、患者さんの血管に直接接続するためのものです。針を刺す際には、痛みを最小限に抑えるために、血管の状態や患者さんの体格に合わせて適切な太さのものが選択されます。 このように、輸液システムは、複数の要素が組み合わさり、患者さんの状態に合わせて適切な輸液が行えるように設計されています。日々の医療現場において、輸液療法は欠かせない治療法の一つであり、輸液システムはその重要な役割を担っています。
看護技術

医療現場におけるサイフォニング現象:その危険性と予防策

- サイフォニング現象とはサイフォニング現象とは、医療現場において、シリンジポンプを使った薬剤投与中に起こる可能性のある現象です。シリンジポンプは、決められた量を時間をかけてゆっくりと点滴する医療機器ですが、この現象が起こると、意図せず薬剤が急速に注入されてしまうことがあります。では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?ポイントは、シリンジポンプと患者さんの体の位置関係です。シリンジポンプが患者さんの体よりも高い位置にある場合、その高低差によってサイフォニング現象が起きる危険性があります。例えば、点滴中に何らかの原因でシリンジがポンプから外れてしまったとします。すると、ポンプよりも低い位置にある患者さんの体内に向かって、高低差による圧力がかかります。この圧力によって、シリンジ内の薬剤が勢いよく患者さんの体内へ流れ込んでしまうのです。しかも、注意が必要なのは、高低差が比較的小さい場合でも、サイフォニング現象が起こる可能性があるという点です。シリンジ内部の圧力が、何らかの理由で外部の圧力よりも極端に低くなると、たとえわずかな高低差であっても、薬剤が急速に注入されてしまうことがあります。サイフォニング現象は、患者さんの体にとって大きな負担となる可能性があります。医療現場では、シリンジポンプの位置を患者さんの体よりも低く設定する、点滴中は常に状態をよく観察するなど、この現象を防ぐための対策を徹底することが重要です。
看護技術

医療現場におけるインシデントレポートの重要性

- インシデントレポートとは医療現場では、患者さんの安全を最優先に、日々、最善の医療を提供しようと努めています。しかし、予期せぬ出来事や、一歩間違えれば患者さんに危害が及ぶ可能性があった事象が発生してしまうこともあります。このような出来事を「インシデント」と呼びます。インシデントには、点滴の投与速度が誤って設定されていた、薬剤の名称が似ていて別の薬剤と取り違えそうになった、医療機器の操作を誤りそうになったなど、実際に患者さんに危害が及ばなかったケースも含まれます。もちろん、医療行為によって患者さんに怪我や病気を負わせてしまう「医療事故」もインシデントに含まれます。「インシデントレポート」は、このような医療現場で起こったインシデントについて記録するための報告書です。インシデントレポートを作成し、記録し、分析することで、医療現場全体でインシデントの発生原因を究明し、再発防止に役立てることができます。インシデントレポートは、単に医療ミスを責めるための書類ではありません。患者さんの安全を守るための、医療現場における重要なツールといえるでしょう。
その他

ヒヤリハットで事故防止

- ヒヤリハットとは日常生活の中で、誰もが経験する「ヒヤッ」としたり「ハッ」としたりする瞬間。例えば、階段を下りる際に一歩踏み外しそうになったり、自転車に乗っていて車とすれ違う時に接触しそうになったり、熱い鍋にうっかり触れてしまいそうになった経験はありませんか? これらの出来事は、大事には至らなかったものの、一歩間違えれば大きな事故や怪我に繋がっていた可能性があります。このような、重大な事故や怪我には至らなかったものの、危険と隣り合わせであったという体験を「ヒヤリハット」と呼びます。 「ヒヤリハット」という言葉は、文字通り「ヒヤリ」とした経験と「ハッ」と気づいた経験から生まれました。 「ヒヤリ」とした瞬間は、危険な状況に直面したことを意味し、「ハッ」とした瞬間は、その危険に気がつき、事なきを得たことを意味します。 つまり、「ヒヤリハット」は単なる偶然ではなく、危険が潜んでいたことを示す重要なサインなのです。 日常生活の中で「ヒヤリハット」に意識を向けることは、私たち自身の安全を守る上で非常に大切です。 日頃から「ヒヤリハット」に注意し、その原因を分析することで、同様の危険を回避するための対策を立てることができます。
その他

医療安全とインシデント:ヒヤリ・ハットから学ぶ

- インシデントとは医療現場では、患者さんの安全を最優先に考え、日々業務にあたっています。しかし、どんなに注意深くても、予期せぬ出来事や、小さなミスが起こってしまう可能性は避けられません。このような、患者さんに怪我や不利益が生じる可能性があった出来事のうち、結果として重大な事態に至らなかったものを「インシデント」と呼びます。例えば、点滴の投与速度を誤って設定してしまうことは、患者さんの容態に大きな影響を与える可能性があります。しかし、看護師がすぐに誤りに気付き、投与速度を修正できた場合は、インシデントとして報告されます。同様に、手術中に誤って使用される可能性のあった器具に、医師が事前に気付いた場合もインシデントです。医療現場では、インシデントは「ヒヤリ・ハット」と呼ばれることもあります。これは、医療従事者が日々の業務の中で経験する、危険を予知させるような出来事や、実際に小さなミスをしてしまったが、幸いにも患者さんに重大な影響を与えなかった出来事を指します。インシデントは、患者さんに直接的な被害がなかったとしても、医療現場の安全性や業務プロセスに潜む問題点を明らかにする重要な手がかりとなります。インシデントを報告し、分析することで、同様の事象の発生を予防し、より安全な医療体制を構築することが可能になります。
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