医療器具

検査

聴診器:医師の耳となる道具

聴診器は、医師が診察を行う際に欠かせない道具の一つです。体の表面に直接当てることで、心臓や肺など、体の内部から発生する音を聞くことができます。レントゲン写真のように体の中を直接見ることができるわけではありませんが、聴診器を通して聞こえる音は、医師にとって患者の状態を知るための重要な手がかりとなります。 聴診器は、大きく分けて集音部と伝音部に分かれています。集音部は、患者の体に直接当てる部分で、ここから体の内部の音を集めます。伝音部は、集めた音を医師の耳に伝える部分で、チューブや耳当てなどが含まれます。 聴診器を使うことで、心臓の音を聞いて脈拍の速さやリズムの異常を調べたり、肺の音を聞いて呼吸の状態を確認したりすることができます。また、お腹の音を聞くことで、消化器官の状態を判断することもできます。 聴診器は、医療現場において、患者を診察する際に欠かせない道具であり、医師は聴診器で得られた情報を他の診察方法と組み合わせることで、より正確な診断を下すことができます。
看護技術

医療現場で活躍する膿盆:その役割と種類

- 膿盆とは膿盆とは、そら豆のような形をした、医療現場で幅広く使われている金属製の浅いお皿のことです。手術や処置、患者のケアなど、様々な場面で活用されています。その名前から、膿を受けるために使われると思われがちですが、実際には膿だけでなく、嘔吐物や手術で取り出した臓器、腫瘍などを入れるのにも使われます。また、処置に使う器具を置いておく場所としても活用されます。膿盆の形状は、縁が少しだけ外側に反っていることが特徴です。これは、中の液体がこぼれにくいように工夫されているためで、医療現場で安全に使用する上で重要なポイントです。また、金属製であるため、煮沸消毒や薬液消毒が可能で、繰り返し使用できるという利点もあります。このように、膿盆は医療現場における様々な場面で活躍する、まさに必需品と言えるでしょう。
外科

手術の必需品:ケリー鉗子

- ケリー鉗子とは外科手術において、出血を制御し、組織を安全に分離することは非常に重要です。これらの操作をスムーズに行うために欠かせない器具の一つが、ケリー鉗子です。その名の由来は、20世紀初頭に活躍したアメリカの外科医、ハワード・アトウッド・ケリー博士です。彼が考案したこの鉗子は、現在も世界中の手術室で使われています。ケリー鉗子最大の特徴は、先端部分が緩やかに湾曲している点にあります。この独特の形状によって、術野の奥深くにある血管や組織に対しても、的確にアプローチすることが可能となりました。従来のまっすぐな鉗子では届かなかった部分にもアクセスできるため、より安全かつ精密な手術操作を実現できます。ケリー鉗子は、その用途の広さから、様々なサイズが用意されています。小さな血管を挟む際には繊細な作りの小型のもの、より大きな組織を把持する際には頑丈な大型のものといったように、状況に応じて適切なサイズを選択することが重要です。このように、ケリー鉗子は、外科医にとって無くてはならない、まさに「手術の必需品」と言えるでしょう。
泌尿器

医療現場の必需品:フォーリーカテーテル

- フォーリーカテーテルとは フォーリーカテーテルとは、尿が出にくい、または自分の意思で排尿することが難しい場合に、膀胱内に直接挿入して尿を体外に排出するための医療用カテーテルです。 このカテーテルは、細い管状の形をしており、その先端には小さな風船(バルーン)が付いています。カテーテルを尿道から挿入し、膀胱内に到達したら、この風船に水または生理食塩水を注入して膨らませます。すると、風船が膀胱内で固定されるため、カテーテルが自然に抜け落ちてしまうことを防ぐことができます。この特徴的な構造から、フォーリーカテーテルはバルーンカテーテルとも呼ばれています。 フォーリーカテーテルは、尿閉、前立腺肥大症、脊髄損傷、神経因性膀胱などの疾患、あるいは手術中や手術後、重篤な状態の患者さんなど、様々な場面で使用されています。 カテーテルを留置したままにする期間は、患者さんの状態や治療の目的によって異なりますが、長期間にわたる使用では、尿路感染症などの合併症のリスクも考慮する必要があります。そのため、医師は定期的にカテーテルの交換や、必要であればカテーテルを抜去するタイミングを判断します。
検査

医療現場の縁の下の力持ち:ブジー

- ブジーとは何かブジーとは、体内にある管状の臓器、例えば食べ物を胃に送るための器官や便を体外に排出するための器官、尿を排出するための器官、鼻と涙の通り道などを広げるために用いられる医療器具です。 これらの器官は、病気や怪我などによって狭くなってしまうことがあります。 このような場合に、ブジーを用いることで、狭くなった部分を広げ、再び正常な状態に戻すことができます。 ブジーは、「消息子」と呼ばれることもあります。 主に金属や硬質な素材で作られており、その形状は管状の臓器の通り道を確保したり、拡張したりするのに適しています。 ブジーの先端は丸みを帯びており、体内に入れる際に臓器を傷つけないように工夫されています。 また、太さも様々で、症状や治療目的に合わせて適切なものが選択されます。 ブジーは、医療現場において、様々な疾患の治療や検査に役立っています。 例えば、食道の狭窄に対しては、ブジーを用いて拡張する治療が行われます。 また、尿道が狭くなっている場合には、ブジーを通して尿道カテーテルを挿入し、尿を排出できるようにします。 このように、ブジーは、体内の管状の臓器の機能を回復させるために欠かせない医療器具と言えるでしょう。
看護技術

ガーグルベースン: ベッドサイドの必需品

- ガーグルベースンとはガーグルベースンは、寝たままの状態でも楽にうがいができるように設計された、湾曲した形状をした洗面器のような道具です。ベッドの上や横に置いても安定するため、患者さんの負担を軽減することができます。主に、医療機関や介護施設で、口内を清潔に保つ必要がある方や、嘔吐しやすい方のために使用されます。口をすすいだ水や嘔吐物を安全に受け止めることができるため、周囲を汚さずに済み、衛生的です。また、患者さん自身も、周りを気にすることなく落ち着いてうがいをすることができます。近年では、在宅介護の現場でもガーグルベースンの利用が広がっています。自宅で介護を行う際にも、患者さんの負担を軽減し、衛生的な環境を保つために役立つアイテムとして注目されています。ガーグルベースンは、素材や大きさ、形状もさまざまです。患者さんの状況や用途に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。
看護技術

注射針の太さの秘密: ゲージについて解説

- ゲージとは注射や採血の際に使用する注射針には、さまざまな太さのものがあります。この注射針の外径の太さを表す単位のことを、-ゲージ-と言います。ゲージはアルファベットの「G」を記号として用い、数字と組み合わせて「21G」や「18G」のように表記します。少し意外に感じるかもしれませんが、ゲージは数字が大きくなるほど針が細くなります。つまり、「21Gの注射針よりも18Gの注射針の方が太い」ということになります。これは、ゲージが注射針の内径ではなく、外径を基準にしているためです。一般的に、数字が大きい方がサイズも大きいというイメージを持つことが多いでしょう。しかし、ゲージに関しては逆になっていることを覚えておきましょう。注射針を選ぶ際には、このゲージの数字に注意することが大切です。なぜなら、注射針の太さは、投与する薬液の種類や量、そして患者さんの体格などによって適切なものを選ぶ必要があるからです。例えば、粘性の高い薬液を投与する場合には、細い針だと詰まってしまう可能性があるため、太い針が適しています。また、筋肉注射のように深い場所に注射する場合には、ある程度の太さを持った針が適しています。このように、ゲージは注射針の太さを表す重要な指標です。注射針を選ぶ際には、ゲージの数字に注意し、適切な太さのものを選ぶようにしましょう。そして、疑問点があれば、遠慮なく医師や看護師に相談するようにしてください。
看護技術

皮膚や爪のトラブルに!グラインダー治療とは?

- グラインダーとは?グラインダーは、皮膚や爪の表面を滑らかに整えるために用いられる医療機器です。この機器には回転するヤスリのような部分が付いており、これを患部に当てることで、皮膚や爪の厚くなった部分を削り取ったり、形を整えたりすることができます。グラインダーは、主に爪や皮膚の肥厚を伴う様々な症状の治療に用いられます。例えば、白癬菌というカビが原因で爪が厚く濁ってしまう爪白癬や、皮膚の一部が慢性的な刺激や圧迫によって硬くなってしまう胼胝(たこ)の治療に効果を発揮します。また、ウイルス感染によって皮膚にイボができる疣贅(ゆうぜい)や、爪が内側に湾曲してくる爪甲鉤彎症の治療にも用いられます。グラインダー治療は、患部を直接削り取るため、即効性がある点が特徴です。しかし、痛みを伴う場合もあるため、医師は患者の状態に合わせて回転速度や使用するヤスリの種類を調整します。また、治療後は患部を清潔に保ち、適切なケアを行うことが重要です。自己判断でグラインダーを使用することは大変危険ですので、必ず医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
看護技術

医療現場における閉鎖式輸液システム

病院に入院したり、手術を受けたりすると、多くの人が経験する点滴。正式には輸液療法と呼ばれ、体内に必要な水分や栄養を補給する方法です。この輸液療法を行うために欠かせないのが輸液システムです。 輸液システムは、大きく分けて輸液バッグ、輸液ルート、針の三つの要素で構成され、それぞれ重要な役割を担っています。まず、輸液バッグは、患者さんの体内に投与する薬剤や栄養を含む液体を貯蔵する役割を果たします。このバッグには、投与する量や種類に応じて様々な大きさや形状のものがあります。次に、輸液ルートは、輸液バッグ内の液体を患者さんの体内へと運ぶ管の役割を果たします。このルートには、途中に流量調整器やフィルターなどが取り付けられており、安全かつ適切な量の液体を投与できるように工夫されています。そして最後に、針は、輸液ルートの先端に接続され、患者さんの血管に直接接続するためのものです。針を刺す際には、痛みを最小限に抑えるために、血管の状態や患者さんの体格に合わせて適切な太さのものが選択されます。 このように、輸液システムは、複数の要素が組み合わさり、患者さんの状態に合わせて適切な輸液が行えるように設計されています。日々の医療現場において、輸液療法は欠かせない治療法の一つであり、輸液システムはその重要な役割を担っています。
外科

手術の必需品:持針器

- 持針器とは持針器は、外科手術において縫合を行う際に必要不可欠な医療器具です。手術では、傷ついた組織を縫い合わせるために縫合糸と縫合針が用いられますが、縫合針は非常に小さく、素手で扱うには滑りやすく危険が伴います。そこで、安全かつ確実に縫合針を保持するために持針器が用いられます。持針器の先端部分は、短い顎のような形をしています。この顎の部分で縫合針を挟み込むことで、針をしっかりと固定し、術者が思い通りに操作することを可能にしています。また、持針器は、握りやすく、指先の微妙な動きを針先に伝えることができるよう、人間工学に基づいて設計されています。持針器には、さまざまな種類があります。使用する縫合針の太さや手術部位、手術の種類などに応じて、適切な形状やサイズ、材質のものが使い分けられます。例えば、開腹手術のように深く広い範囲の手術には、長い持針器が適しています。一方、腹腔鏡手術のように小さな穴から器具を挿入して行う手術には、短く細い持針器が用いられます。このように、持針器は、外科手術において精密な作業を安全に行うために欠かせない存在と言えるでしょう。
検査

カテーテルの太さ「Fr」ってなに?

「Fr(ふれんち)」という単位を耳にしたことはありますか? これは、医療現場において、カテーテルやドレーンといった管の太さを表す単位です。 「フレンチ」と呼ぶこともあり、「F」と表記されることもありますが、会話では「10Fr=10フレ」のように「フレ」と略されることが多いです。 この「Fr」は、フランスの外科医であるジョセフ・フレデリク・ブノワ・シャルリエールの名前に由来しています。 1Frは、おおよそ0.33mmの太さに相当し、数字が大きくなるほど太い管であることを示します。 例えば、10Frであれば約3.3mm、20Frであれば約6.6mmの太さとなります。 医療現場では、患者さんの体格や治療内容に応じて、適切な太さのカテーテルやドレーンが選択されます。 例えば、尿道カテーテルの場合、成人男性では16~18Fr、成人女性では14~16Frのものが使用されることが多いです。 また、胸腔ドレーンの場合、ドレナージする量が多い場合は太いもの、少ない場合は細いものが選択されます。 このように、「Fr」は医療現場において、患者さんにとって最適な治療を提供するために欠かせない単位の一つとなっています。
外科

手術には欠かせない!ドレープの役割と種類

手術は患者さんの体を切開し、体内を操作するため、傷口から細菌などの微生物が侵入し、感染症を引き起こすリスクが常に伴います。安全な手術を行う上で、手術野と呼ばれる患部とその周囲を清潔に保つことは非常に重要です。そのために用いられるのが手術用ドレープです。 手術用ドレープは、患者の体に直接触れる滅菌された布で、手術を行う部分以外を覆うことで、手術野を清潔に保つ役割を担います。具体的には、患者の皮膚には常在菌と呼ばれる無数の細菌が存在しますが、ドレープはこれらの細菌が手術創に到達することを防ぎます。また、手術中の医療従事者の衣服や体から落下する細菌、空気中を浮遊する細菌などからも手術野を隔離することで、感染リスクを最小限に抑えます。 ドレープは、一枚の布全体で覆うだけでなく、手術部位の形に合わせて開口部が設けられているものや、体の一部だけに使用する部分用、血液や体液を受け止める吸収性の高いものなど、様々な種類があります。状況や手術内容に応じて適切なドレープを使用することで、より効果的に感染を防ぐことができます。 このように、一見シンプルな布切れであるドレープですが、手術における感染リスクを低減するために非常に重要な役割を果たしているのです。
看護技術

医療現場の小さな立役者:留置針

- 留置針とは?留置針とは、繰り返し注射や点滴が必要な場合に、血管に針を刺し続ける負担を和らげるための医療器具です。読んで字の如く、血管内に留置しておくための針のことを指します。従来、注射や点滴を行う度に、その都度、針を血管に刺す必要がありました。しかし、治療や検査のために何度も針を刺すことは、患者にとって大きな負担となります。特に、長期にわたる入院や治療が必要な場合、その痛みや負担は計り知れません。そこで、血管に一度針を刺せば、その後は針を刺し直すことなく繰り返し薬液投与や採血などができる留置針が開発されました。留置針は、主に細いプラスチック製の管であるカテーテルと、針が一体となった構造をしています。留置針を使用する際は、まず針を血管に刺します。そして、針が血管内に到達したことを確認後、針だけを抜き取り、カテーテルだけを血管内に留置します。カテーテルの先端は血管内に留まり、もう一方の先端は体外に固定されます。このように、留置針を使用することで、患者は注射や点滴の度に針を刺される苦痛から解放されるだけでなく、医療従事者にとっても、より安全かつ効率的に医療行為を行うことが可能となります。
外科

手術室の頼れる存在:メイヨー剪刀

- メイヨー剪刀とはメイヨー剪刀は、外科手術において組織を切開するために用いられる、無くてはならない医療器具の一つです。 その名の由来は、20世紀初頭にアメリカで活躍した医師であり、世界的に有名なメイヨークリニックを創設した、メイヨー兄弟に由来します。数ある剪刀の中でも、メイヨー剪刀は特に組織を切開する能力に優れており、その切れ味の鋭さから、外科医にとって信頼のおける道具となっています。刃先は、組織をスムーズに切開できるよう、鋭く滑らかな曲線を描いており、先端は尖っているものと丸みを帯びているものの二種類があります。 この形状の違いにより、それぞれ用途が異なってきます。例えば、尖った先端のものは、皮膚のように比較的硬い組織を切開する際に使用されます。一方、丸みを帯びた先端のものは、血管や神経など、繊細な組織を傷つけずに周囲の組織だけを切開する際に使用されます。このように、メイヨー剪刀は、その用途に合わせて形状が工夫されており、外科医は手術の内容や部位に応じて使い分けることで、安全かつ正確な手術を行うことができるのです。 メイヨー剪刀は、まさに外科医にとって無くてはならない「右手」とも呼べる存在と言えるでしょう。
外科

手術後の頼もしい味方:スキンステープラー

- スキンステープラーとは? 手術後などに傷ついた皮膚を縫い合わせる方法として、昔から糸を用いた縫合が行われてきました。しかし近年、糸の代わりに金属製の針を用いる「スキンステープラー」と呼ばれる医療器具が普及しています。 スキンステープラーは、その名の通り、まるでホッチキスのように皮膚を金属製の針で留めていくことから、医療現場では「ステープラー」と簡略化して呼ばれることも少なくありません。 従来の糸を用いた縫合と比べて、スキンステープラーには以下のような利点があります。 * 手術時間の短縮糸を通すという細かい作業が不要になるため、迅速に皮膚を閉じることができます。 * 患者さんの負担軽減手術時間の短縮は、麻酔の時間短縮にも繋がり、患者さんの体への負担を軽減することに繋がります。 * 傷跡が目立ちにくい糸で縫合するよりも傷跡が小さく、目立ちにくくなる傾向があります。 これらの利点から、スキンステープラーは、近年多くの医療機関で採用されており、患者さんにとってもメリットの大きい医療器具と言えるでしょう。
外科

手術に欠かせない道具:鑷子の種類と使い方

- 鑷子とは鑷子(せっし)は、一般的にはピンセットとして知られており、医療現場で幅広く使用されている器具です。二つの金属片が支点を中心につながっており、ちょうど指先のように先端を閉じたり開いたりすることで、物を掴んだり、繊細な作業を行ったりすることができます。医療現場、特に手術や無菌操作においては欠かせない道具の一つと言えるでしょう。 薬品やガーゼを扱う際、患部に触れることなく処置を行う際など、衛生面を保ちながら安全に作業を進める上で非常に重要な役割を担います。鑷子は、その用途や対象となる組織に合わせて様々な種類が存在します。例えば、手術で使用する場合は、組織を傷つけずにしっかりと保持できるよう、先端が鋭利なものや、曲がっているものなどがあります。また、眼科手術など、非常に細かい作業が必要な場合には、先端が極めて細く作られた鑷子が用いられます。このように、鑷子は医療現場において、なくてはならない道具の一つと言えるでしょう。その種類は多岐に渡り、医療従事者は、それぞれの用途に合わせて適切な鑷子を使い分ける必要があります。
呼吸器

気管挿管に必須!スタイレットの役割とは?

- スタイレットとはスタイレットは、呼吸困難に陥った患者さんの気道を確保するために気管挿管という処置が行われますが、その際に気管チューブの中に挿入する医療器具のことを指します。気管挿管は、口あるいは鼻から気管までチューブを挿入し、肺に直接空気を送り込む処置です。この時、気管チューブはそれ自体に硬さがあまりないため、挿入時に曲がったり、折れ曲がったりしてしまうことがあります。そこで活躍するのがスタイレットです。スタイレットは金属やプラスチックで作られており、柔軟性があります。この柔軟性によって、チューブの形状に沿ってスタイレットを挿入することができます。そして、スタイレットをチューブに通すことで、チューブに適度な硬さを与え、スムーズに気管内へ挿入することを助けます。スタイレットを挿入した後は、気管チューブを所定の位置まで挿入し、スタイレットは抜き取ります。このようにスタイレットは、気管挿管を円滑に進めるために欠かせない器具と言えるでしょう。特に、意識がない、あるいは意識レベルが低い患者さんに行う場合は、気管挿管の難易度が高くなるため、スタイレットの存在はより重要になります。
呼吸器

医療現場におけるバイトブロック:その役割と重要性

- バイトブロックとはバイトブロックは、手術や治療の際に、患者さんの安全を守るために口の中に挿入する医療器具です。主に、全身麻酔や集中治療室 (ICU) で使用されます。全身麻酔中は、患者さんは意識がなく、自分の体を動かすことができません。また、手術や治療の内容によっては、気管挿管といって、口から気管までチューブを挿入し、人工呼吸器で呼吸を管理する場合があります。この気管挿管に用いるチューブは、柔らかく、患者さんの体内にスムーズに入るよう設計されています。しかし、その柔らかさゆえに、患者さんが無意識に噛んでしまうと、チューブがつぶれてしまうことがあります。もし、気管挿管チューブがつぶれてしまうと、呼吸が困難になり、最悪の場合、窒息してしまう危険性があります。バイトブロックは、患者さんが気管挿管チューブを噛んでしまうことを防ぎ、呼吸を確保するための重要な役割を担っているのです。バイトブロックは、患者さんの口の大きさに合わせて様々なサイズがあり、材質も硬質なものから軟質なものまであります。また、最近では、患者さんの負担を軽減するために、より人間工学に基づいた形状のバイトブロックも開発されています。このように、バイトブロックは、一見、小さな器具ですが、患者さんの安全を守る上で非常に重要な役割を果たしています。
看護技術

グラインダー:皮膚や爪の治療に役立つツール

- グラインダーとはグラインダーは、皮膚や爪の表面を滑らかにするために使用される医療用の器具です。回転する研磨石やダイヤモンドバーが高速で回転し、硬くなった皮膚や爪を削り取ります。この器具は、主に足病医や皮膚科医などの専門家によって使用されます。彼らは、魚の目、たこ、厚くなった爪など、様々な皮膚や爪のトラブルを治療するためにグラインダーを使用します。例えば、足の裏にできる硬い皮膚の塊である魚の目は、歩行時に痛みを生じさせることがありますが、グラインダーを使用することで、痛みを伴わずに除去することができます。また、爪が厚くなって変形してしまう爪水虫の治療にも、グラインダーは有効です。厚くなった爪をグラインダーで薄くすることで、薬剤の効果を高めることができます。近年では、家庭用の小型グラインダーも販売されています。これらのグラインダーは、専門家用よりもパワーは劣りますが、日常的なケアとして、硬くなったかかとや爪の表面を滑らかにするのに役立ちます。しかし、家庭用グラインダーを使用する際には、取り扱い説明書をよく読み、安全に注意して使用することが重要です。特に、回転する研磨石やダイヤモンドバーは、皮膚を傷つける可能性があるため、注意が必要です。また、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、使用前に医師に相談することをお勧めします。
外科

医療現場における「トラカール」とは?

- トラカールとは?医療現場において、体内に安全かつ容易に管を挿入するために欠かせない医療器具、それがトラカールです。英語では「Trocar」と表記され、套管針という別名も持ちます。トラカールは、主に二つの部分から構成されています。一つは、先端が鋭く尖った針です。この針を用いることで、皮膚や組織を容易に穿刺することができます。もう一つは、その針を覆うように設計された筒状の器具です。この筒状の部分は、カニューレと呼ばれ、針を体内に刺した後、針だけを抜き取り、カニューレを体内に残すことで、安全に管を挿入するための経路を確保します。トラカールは、主に胸腔や腹腔といった体腔内にチューブやカテーテルを留置する際に使用されます。例えば、肺に水が溜まってしまった場合に、その水を排出するためのチューブを挿入する際や、お腹の中に溜まった血液や膿などを排出するためのカテーテルを挿入する際に、トラカールが活躍します。このように、トラカールは、医療現場において欠かせない医療器具であり、患者さんの負担を軽減し、安全な医療を提供するために大きく貢献しています。
看護技術

患部を優しく保護する:離被架の役割と種類

- 離被架とは何か離被架とは、病気や怪我をしてしまった部分に布団や毛布などの重みが直接かからないようにする、アーチ状の形をした道具です。例えば、骨折してギプスを巻いている時や、手術の後で傷口が痛む時、点滴の針が刺さっている時などに、この離被架が役立ちます。離被架を使う最大のメリットは、患部に触れることによる痛みや不快感を和らげることができる点です。布団の重みが直接患部にかかると、痛みが増したり、傷口が開いてしまったりする可能性があります。しかし、離被架を使うことで、患部と布団の間に空間を作ることができるため、そのような心配をせずに済みます。また、離被架は患部の治療効果を高める上でも役立ちます。例えば、ギプスを巻いている場合、患部を清潔に保ち、風通しを良くすることが重要です。離被架を使うことで、患部が布団で覆われることを防ぎ、清潔で乾燥した状態を保ちやすくなるため、治療をスムーズに進めることができます。さらに、離被架は患者の負担を軽減する効果もあります。痛みや不快感が減ることで、睡眠をしっかりとることができ、体力の回復を促します。また、寝返りを打つ際にも、患部への負担を軽減することができます。このように、離被架は、病気や怪我の治療において、患者の負担を軽減し、治療効果を高める上で重要な役割を果たしています。
看護技術

医療現場で活躍するNGチューブ:その役割と重要性

- NGチューブとはNGチューブとは、鼻から胃に挿入する細い管のことを指し、正式には経鼻胃管と呼ばれます。この管は、口から胃までつながる消化管の一部を一時的にバイパスするために使用されます。材質は柔らかく、柔軟性があるため、鼻腔や食道などのデリケートな部分に挿入しても、比較的苦痛が少ないという特徴があります。 NGチューブは、主に医療現場において、患者さんの治療やケアを目的として使用されます。その用途は多岐にわたり、大きく分けて検査と治療の二つの目的で使用されます。 検査の目的で使用される場合、NGチューブを通じて胃の内容物を採取し、その成分を分析することで、消化器官の状態や病気の診断に役立てます。例えば、胃液の酸性度を測定したり、出血の有無を確認したりする検査などが挙げられます。 一方、治療の目的で使用される場合には、NGチューブは主に栄養補給の手段として用いられます。口から食事を摂るのが難しい患者さん、例えば意識障害のある方や、手術後などで口から食事をとることができない患者さんに対して、栄養剤や水分を直接胃に送り込むことで、必要な栄養を補給することができます。また、薬剤を投与する際にも、NGチューブが使用されることがあります。 このように、NGチューブは多様な目的で医療現場において重要な役割を担っています。患者さんの負担を軽減し、適切な治療やケアを提供するために、欠かせない医療機器の一つと言えるでしょう。
看護技術

医療現場の必需品:リストンとは?

リストンは、病院や診療所などで日々使用されている、医療用の特別なはさみです。みなさんが、病院で包帯を巻いてもらったり、点滴の管を固定するテープを貼ってもらったりした際に、医師や看護師さんが使っていた小さく、少し変わった形のはさみを見たことがありませんか?それが、リストンです。 リストンは、包帯やテープ、糸などを切るために作られています。医療現場では、患者の体に直接触れるため、清潔さや安全性が非常に重要になります。リストンは、先端部分が丸みを帯びているという特徴があります。これは、万が一、患者の肌に先端が当たってしまっても、傷つけないようにという工夫がされているためです。また、切れ味が非常に鋭いことも、リストンの大きな特徴の一つです。切れ味が良いことで、処置を素早く行うことができ、患者さんの負担を減らすことにもつながります。 このように、リストンは医療従事者にとって、患者さんの安全を確保しながら、日々の業務を円滑に行うために欠かせない道具の一つと言えるでしょう。
呼吸器

ミニトラック:気管切開後の呼吸ケア

- ミニトラックとは?ミニトラックとは、呼吸に困難をきたしている患者さんの気管に挿入する細い管のことを指します。 気管は、鼻や口から吸い込んだ空気を肺へと送るための重要な器官ですが、病気や怪我などによって、その機能が十分に働かなくなることがあります。 このような場合には、「気管切開」と呼ばれる手術を行うことがあります。気管切開は、首の前方に小さな穴を開け、そこから直接気管に管を挿入する処置です。 この穴を「気管切開孔」と呼び、挿入された管を通して呼吸を補助したり、分泌物を吸引したりすることが可能になります。ミニトラックは、この気管切開孔を通して気管内に留置する目的で用いられます。 材質は柔らかく、患者さんの身体への負担を最小限に抑えるように設計されています。 主な役割としては、気道の確保、痰や分泌物の吸引、そして乾燥を防ぐための保湿などが挙げられます。このように、ミニトラックは呼吸困難に直面する患者さんにとって、円滑な呼吸を維持し、合併症を予防するために非常に重要な役割を担っています。
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