分子生物学

血液

分子生物学的完全寛解とは?

- 分子生物学的完全寛解の概要分子生物学的完全寛解とは、急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病といった血液のがんの治療において、治療の効果が非常に高く、検査で発見できる限界までがん細胞が減少した状態を指します。従来の顕微鏡を用いた検査では、血液や骨髄中に一定の数のがん細胞が存在する場合に限り、白血病と診断され、治療の効果を判定していました。しかし、顕微鏡検査では発見できないごくわずかながん細胞が体内に残存している可能性があり、これが後に再発の原因となることがありました。そこで近年、PCR法などの遺伝子検査を用いて、ごくわずかな量のがん細胞特有の遺伝子変化を検出することで、従来の検査では見つけることが難しい、ごくわずかな数の白血病細胞の存在を明らかにできるようになりました。これを分子生物学的手法と呼びます。分子生物学的手法を用いることで、従来の検査では判定できなかった、より深いレベルでの寛解状態を評価することが可能となりました。この状態は、白血病細胞が極めて少ないレベルに抑えられているため、再発のリスクが低い状態であると考えられています。しかし、分子生物学的完全寛解を達成しても、ごくわずかながら残存するがん細胞が、再び増殖を開始し、再発に至る可能性はゼロではありません。そのため、分子生物学的完全寛解後も、経過観察や治療の継続が重要となります。
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