免疫グロブリン

泌尿器

IgA腎症:沈黙の腎臓病

- IgA腎症とはIgA腎症は、腎臓に障害が起こる病気の一つで、日本で最も患者数の多い慢性糸球体腎炎として知られています。腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として体の外に出す役割を担っています。このろ過を行う際に重要な役割を果たすのが、糸球体と呼ばれる毛細血管の集まりです。IgA腎症では、この糸球体に「免疫グロブリンA(IgA)」と呼ばれるタンパク質が沈着することで、腎臓に炎症が引き起こされます。免疫グロブリンA(IgA)は、本来は細菌やウイルスなどの病原体から体を守るために働く免疫物質です。しかし、何らかの原因でIgAの働きが異常をきたすと、本来攻撃すべきでない自分の体の組織、つまり糸球体を攻撃してしまうことがあります。これがIgA腎症の発症メカニズムです。IgA腎症になると、糸球体における血液のろ過がうまくいかなくなり、血液中に本来排出されるべき老廃物や水分が過剰に溜まってしまうことがあります。また、尿の中にタンパク質が漏れ出てしまう、蛋白尿と呼ばれる症状が現れることもあります。さらに、腎臓の機能が低下すると、血圧が上昇したり、貧血になったりするなど、様々な症状が現れる可能性があります。IgA腎症は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断などで尿検査の異常を指摘されて初めて気づくケースが多く見られます。しかし、放置すると腎機能が徐々に低下し、最終的には人工透析が必要となる場合もあります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
アレルギー

免疫の主役、IgG:その働きと重要性

- 免疫グロブリンIgGとは免疫グロブリンIgGは、Immunoglobulin Gを省略した呼び方で、私たちの体を守る免疫システムにおいて、中心的な役割を担うタンパク質です。免疫グロブリンは抗体とも呼ばれ、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を異物として認識し、排除する働きをします。IgGは、血液や組織液など体液中に最も多く存在する免疫グロブリンです。その量は、血液中に含まれる免疫グロブリン全体の約80%を占め、細菌やウイルスなど、様々な種類の病原体に対して攻撃を仕掛けることができます。例えるなら、IgGは敵を特定して攻撃するミサイルのようなもので、私たちの体を病気から守るために働いています。IgGは、一度感染した病原体を記憶する能力も持ち合わせています。再び同じ病原体が侵入してきた際には、IgGは過去の経験を生かして、迅速かつ効果的に病原体を攻撃します。これは、予防接種によって免疫を獲得する仕組みにも深く関わっています。予防接種では、あらかじめ病原体を弱毒化または無毒化したもの(ワクチン)を体内に注入することで、IgGに病原体の特徴を記憶させます。その結果、実際に病原体が侵入してきた際に、体は効果的に病原体を撃退することができるようになるのです。このように、IgGは私たちの健康を守る上で欠かせない存在と言えるでしょう。
血液

免疫の門番:IgMの役割

私たちの体には、外から侵入してくる病原体やウイルスなどから体を守る、巧妙な防御システムが備わっています。これを免疫と呼びますが、この免疫システムにおいて中心的な役割を担っているのが、免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質です。免疫グロブリンは、抗体とも呼ばれ、体内に侵入してきた異物(抗原)を認識し、結合することで、その異物を排除する働きがあります。 免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMの5つの種類が存在し、それぞれ形や性質が異なっており、役割分担をしている点が特徴です。 まず、IgAは、唾液や鼻汁、母乳などに含まれており、粘膜の表面で病原体の侵入を防ぐという重要な役割を担っています。IgDは、まだその役割が完全には解明されていませんが、B細胞と呼ばれる細胞の表面に存在し、抗原を認識する役割に関わっていると考えられています。IgEは、アレルギー反応を引き起こす原因物質であるアレルゲンに結合し、アレルギー反応を引き起こす役割を担っています。 IgGは、免疫グロブリンの中で最も多く存在し、様々な病原菌やウイルスに対して攻撃を行います。また、胎盤を通過することができるため、母親から胎児へ免疫が受け継がれる役割も担っています。IgMは、感染の初期段階に作られ、病原体やウイルスと結合し、その排除を助けます。 このように、免疫グロブリンは、種類ごとに異なる役割を担い、私たちの体を守るために活躍しています。免疫グロブリンの働きによって、私たちは日々健康に過ごすことができていると言えるでしょう。
アレルギー

粘膜を守る免疫の主役IgA

- 免疫グロブリンAとは?私たちの体は、常に外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守る仕組みを持っています。これを免疫と呼びますが、その中でも重要な役割を果たしているのが免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質です。免疫グロブリンには、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEといった種類があり、それぞれ異なる役割を担っています。 免疫グロブリンA(IgA)は、特に鼻や口、喉、消化管、気道といった、外界と接する粘膜で多く分泌されているのが特徴です。粘膜は、体内への病原体の侵入を防ぐ最初の防衛線としての役割を担っていますが、IgAは粘膜の表面で病原体と結合し、体内への侵入を防ぐことで、感染症の発症を防ぐために働きます。例えば、風邪やインフルエンザなどのウイルスが体内に入ろうとした際に、IgAがウイルスに結合することで、ウイルスが細胞に侵入することを防ぎます。 IgAは、母乳にも多く含まれており、生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ自分の免疫システムが未熟なため、母乳を通してIgAを摂取することで、様々な感染症から身を守っています。このように、IgAは、私たちの体を病原体の侵入から守るために、非常に重要な役割を果たしているのです。
アレルギー

アレルギーを引き起こすIgE

- 免疫グロブリンEとは免疫グロブリンE(IgE)は、私たちの体を守るために働いている免疫システムにおいて、重要な役割を果たすたんぱく質の一つです。 免疫グロブリンは、体内に入ってきた細菌やウイルスなどの異物から体を守るために作られます。その中でもIgEは、血液中にわずかしか存在しませんが、アレルギー反応において中心的な役割を担っていることで知られています。アレルギー反応とは、本来無害な花粉や食べ物などが体内に入ってきた際に、体が過剰に防御反応を起こしてしまうことを指します。この過剰な反応を引き起こす原因となる物質をアレルゲンと呼びます。体内に入ってきたアレルゲンは、まず免疫細胞によって認識されます。すると、免疫細胞はIgE抗体を産生し、肥満細胞や好塩基球といった特定の細胞の表面に結合します。一度アレルゲンに反応したIgE抗体が、再び同じアレルゲンと出会うと、肥満細胞や好塩基球の表面で結合が起こります。 この結合をきっかけに、肥満細胞や好塩基球はヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質を放出します。これらの化学物質が、くしゃみや鼻水、皮膚の炎症といったアレルギー症状を引き起こす原因となります。このように、IgEはアレルギー反応において重要な役割を果たしており、IgEの量を測定することは、アレルギー疾患の診断や治療方針の決定に役立ちます。
アレルギー

非特異的IgE:アレルギー検査の指標

- 非特異的IgEとは非特異的IgEとは、血液中に含まれる、特定の原因物質に反応しないIgE抗体の総量を指します。IgEは免疫グロブリンEとも呼ばれ、私たちの体を守る免疫システムにおいて、アレルギー反応を引き起こす重要な役割を担うタンパク質の一種です。通常、私たちの体は、外部から侵入してきたウイルスや細菌などの異物に対して、これに対抗する抗体を作ります。IgEは、花粉やダニ、食べ物など、本来であれば無害な物質を、体にとって有害な異物だと誤って認識してしまった際に作られます。そして、IgEが特定のアレルゲンと結びつくことで、くしゃみや鼻水、皮膚の発疹など、アレルギー特有の症状が現れるのです。非特異的IgE検査は、血液中のIgEの総量を測定することで、アレルギー体質かどうかを判断する一つの指標となります。ただし、この検査はあくまでも目安であり、数値が高いからといって必ずしもアレルギー疾患であると断定できるわけではありません。逆に、数値が低くてもアレルギー症状が現れることもあります。非特異的IgE検査は、他のアレルギー検査と組み合わせて総合的に判断することで、より正確な診断に役立ちます。アレルギーが疑われる場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
血液

免疫の立役者:B細胞の働き

私たちの体には、ウイルスや細菌などの病原体や、体内で発生するがん細胞から身を守る、免疫という優れた防御システムが備わっています。この免疫システムにおいて、中心的な役割を担うのがリンパ球です。リンパ球は、血液やリンパ液に乗って体中を巡り、異物を発見すると攻撃します。 リンパ球には、大きく分けてT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の3種類が存在します。それぞれの細胞は、異なる方法で異物を攻撃し、私たちの体を守っています。 T細胞は、免疫反応の中心的な役割を担っています。ヘルパーT細胞は、他の免疫細胞を活性化することで、免疫反応全体を指揮します。キラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を直接攻撃して破壊します。 B細胞は、抗体と呼ばれるタンパク質を作り出すことで異物を攻撃します。抗体は、特定の異物と結合し、その異物を無力化したり、他の免疫細胞による攻撃の標的にしたりします。 NK細胞は、生まれつき備わっている免疫システムの一部で、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を早期に発見し、攻撃します。NK細胞は、他の免疫細胞のように特定の異物を認識する必要がないため、即座に攻撃を開始することができます。
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