CO2ナルコーシス:酸素過剰の落とし穴
- CO2ナルコーシスとはCO2ナルコーシスは、血液中の二酸化炭素濃度が異常に高くなることで、意識がもうろうとしたり、思考力が低下したりする状態を指します。人間の呼吸は、通常、血液中の酸素と二酸化炭素の濃度に応じて無意識に調整されています。酸素が不足したり、二酸化炭素が過剰になると、脳は呼吸中枢に指令を送り、呼吸の速さや深さを調整して、血液中のガス濃度を一定に保とうとします。しかし、肺の病気や呼吸筋の麻痺、閉鎖空間での酸素不足など、様々な原因によってこの呼吸による調整機能がうまく働かなくなると、血液中の二酸化炭素濃度が上昇し始めます。すると、二酸化炭素は血液に溶け込んで酸性を示すようになり、脳を含む全身の細胞の働きが阻害されてしまいます。これが、CO2ナルコーシスの状態です。初期症状としては、頭痛やめまい、吐き気などが現れ、さらに症状が進むと、意識がもうろうとしたり、判断力が鈍ったり、筋肉の痙攣や昏睡状態に陥ることがあります。CO2ナルコーシスは、適切な治療を行わなければ命に関わる危険な状態です。治療には、酸素投与や人工呼吸器による呼吸管理、原因となっている病気の治療などが行われます。