予防接種

人類を救った種痘:天然痘の歴史とワクチンの偉業

- 種痘とは?種痘は、かつて人類を恐怖に陥れた天然痘という恐ろしい病気を予防するための、画期的な方法でした。天然痘は、高い熱と体中にできる特徴的な発疹が特徴で、多くの人が命を落としたり、後遺症に苦しんだりしていました。種痘は、天然痘ウイルスと似たウイルスを持つ牛の病気「牛痘」を利用します。 牛痘に感染した人の膿を、健康な人の体に少しだけ入れることで、軽い症状で済む牛痘にかからせるのです。すると、不思議なことに、一度牛痘にかかった人は、その後天然痘にかかっても発症を防ぐか、軽症で済むようになることが分かりました。種痘は、18世紀後半にイギリスの医師ジェンナーによって発見されました。そして、その有効性が世界中に広まると、人々はこぞって種痘を受けました。その後、長い時間をかけて世界中で種痘の普及が進められました。20世紀に入り、世界保健機関(WHO)が中心となって天然痘の撲滅活動が本格化すると、種痘はその大きな効果を発揮し、ついに1980年、WHOは天然痘の根絶を宣言しました。これは、人類が感染症を地球上から完全に消し去った初めての例であり、現在でも唯一の例です。 種痘は、人類の歴史を大きく変えた医学の偉大な功績の一つと言えるでしょう。
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