恐怖:その正体と向き合い方
恐怖とは、私たちが危険や脅威を感じた時に、心の中に自然と湧き上がる感情のことです。例えば、夜遅くに人気のない道を一人で歩いている時、背後から不審な物音が聞こえてきたとします。その時、心臓がドキドキと高鳴り、足がすくんでしまうような感覚を覚えることはないでしょうか。あるいは、高い場所に立った時に、足が震えてその場から動けなくなってしまう、そんな経験をしたことはありませんか?こうした、ゾッとするような、言い知れぬ不安感。それがまさに、恐怖という感情なのです。
しかし、恐怖は決して恥ずべきものではありません。むしろ、私たち人間が危険から身を守るために、生まれながらにして持ち合わせている、大切な心の働きなのです。はるか昔、自然の中で暮らしていた私たちの先祖は、常に野生動物の襲撃や、地震や洪水といった自然災害の危険に晒されていました。そんな厳しい環境の中で、彼らは恐怖を感じることで危険をいち早く察知し、危険な場所から逃げたり、身を隠したりすることで、生き延びてきたのです。恐怖は、私たち人類が今日まで生き延びてくることができた、まさに生存の鍵と言えるでしょう。そして、現代社会においても、この恐怖という感情は、私たちの命を守る上で重要な役割を担っています。例えば、車のスピードを出し過ぎたり、火の元に近づき過ぎたりした時に感じる恐怖心は、私たちが事故や怪我から身を守るために、なくてはならないものなのです。