ワクチン

肺炎球菌ワクチンで肺炎を予防しよう

肺炎球菌ワクチンは、肺炎の原因となる細菌の一つである肺炎球菌による感染症を予防するためのワクチンです。 肺炎球菌は、肺炎以外にも、髄膜炎や中耳炎などを引き起こす可能性があり、特に高齢者や小さな子供では重症化するリスクが高いと言われています。 肺炎球菌ワクチンは、これらの病気の原因となる肺炎球菌の一部の種類に効果があります。 肺炎球菌ワクチンには、2種類あります。一つは、より多くの種類の肺炎球菌に効果がある多糖体ワクチンです。もう一つは、より新しいタイプの結合型ワクチンです。結合型ワクチンは、多糖体ワクチンよりも効果が長く続くと言われています。 肺炎球菌ワクチンは、任意接種です。つまり、ワクチンを接種するかどうかは、各自の判断になります。しかし、肺炎球菌感染症は、重症化すると命に関わることもあるため、ワクチンを接種することが推奨されています。 特に、高齢者や基礎疾患を持つ人、小さな子供などは、肺炎球菌ワクチンを接種することで、肺炎球菌感染症による重症化や死亡のリスクを減らすことができます。
小児科

結核予防の切り札:BCGワクチン

結核は、結核菌という細菌によって引き起こされる感染症です。主に肺に感染しますが、リンパ節や骨、脳など、体の様々な場所に病巣を作ることもあります。症状としては、咳や痰、微熱などが挙げられます。初期症状は風邪に似ており、自覚症状が少ない場合もあるため、感染に気付かない場合もあります。 結核は、適切な治療を行えば治癒する病気です。しかし、治療が遅れたり、中断したりすると、症状が悪化し、呼吸困難や胸痛、血痰などが現れることがあります。さらに重症化すると、呼吸不全や心臓への負担増加など、命に関わる合併症を引き起こす可能性もあります。 BCGワクチンは、この結核を予防するために開発されたワクチンです。日本では、生後1歳未満の乳幼児に接種することが推奨されています。BCGワクチンは、結核菌に対する免疫を体内に作り出すことで、発病のリスクを減らし、重症化を防ぐ効果が期待できます。 結核は、空気感染によって人から人に感染します。感染者の咳やくしゃみ、会話などによって空気中に飛び散った結核菌を吸い込むことで感染します。感染を防ぐためには、咳エチケットを徹底することや、換気をこまめに行うなど、日常生活の中で予防対策を心がけることが重要です。
その他

根絶された感染症:天然痘

天然痘は、天然痘ウイルスという病原体によって引き起こされる感染症で、かつては世界中で猛威を振るい、多くの人々の命を奪いました。日本では「疱瘡(ほうそう)」という名で恐れられてきた歴史があります。 主な症状としては、高熱が出現し、その後、全身に特徴的な発疹が現れます。この発疹は、赤い斑点状から始まり、徐々に水疱へと変化していきます。また、発熱や発疹に加えて、強い倦怠感や頭痛、筋肉痛なども伴います。 天然痘の恐ろしい点は、その高い致死率です。感染者の約30%が命を落としており、治療法が確立されていなかった時代には、まさに「死の病」として恐れられていました。 天然痘は、人から人への接触感染によって広がります。患者の咳やくしゃみの飛沫を吸い込んだり、発疹に触れたりすることで感染します。空気感染はしませんが、感染力は非常に強く、一度流行すると、多くの人が感染してしまうという特徴がありました。
脳・神経

日本脳炎について

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスが原因となる感染症で、脳に炎症を起こす病気です。このウイルスは、主にブタなどの体内で増殖し、それを吸血した蚊によって人へと媒介されます。人は、日本脳炎ウイルスに感染した蚊に刺されることで感染します。 感染初期には、高熱、頭痛、嘔吐、倦怠感などの症状が現れます。多くの場合、これらの症状は軽度で、数日で回復します。しかし、一部の人は、ウイルスが脳に侵入し、髄膜炎や脳炎などの重い症状を引き起こすことがあります。 重症化した場合、意識障害、けいれん、言語障害、神経麻痺などの神経系の症状が現れ、後遺症が残る可能性もあります。最悪の場合、死に至ることもあります。日本脳炎は、ワクチンで予防できる病気です。流行地域に住んでいる人や、流行地域へ旅行する人は、ワクチン接種を検討することが重要です。

人類を救った種痘:天然痘の歴史とワクチンの偉業

- 種痘とは?種痘は、かつて人類を恐怖に陥れた天然痘という恐ろしい病気を予防するための、画期的な方法でした。天然痘は、高い熱と体中にできる特徴的な発疹が特徴で、多くの人が命を落としたり、後遺症に苦しんだりしていました。種痘は、天然痘ウイルスと似たウイルスを持つ牛の病気「牛痘」を利用します。 牛痘に感染した人の膿を、健康な人の体に少しだけ入れることで、軽い症状で済む牛痘にかからせるのです。すると、不思議なことに、一度牛痘にかかった人は、その後天然痘にかかっても発症を防ぐか、軽症で済むようになることが分かりました。種痘は、18世紀後半にイギリスの医師ジェンナーによって発見されました。そして、その有効性が世界中に広まると、人々はこぞって種痘を受けました。その後、長い時間をかけて世界中で種痘の普及が進められました。20世紀に入り、世界保健機関(WHO)が中心となって天然痘の撲滅活動が本格化すると、種痘はその大きな効果を発揮し、ついに1980年、WHOは天然痘の根絶を宣言しました。これは、人類が感染症を地球上から完全に消し去った初めての例であり、現在でも唯一の例です。 種痘は、人類の歴史を大きく変えた医学の偉大な功績の一つと言えるでしょう。
その他

種痘の父、ジェンナー

1749年、イギリスの片田舎にある小さな村、バークレーに後の医学界を大きく変えることになる一人の男の子が生まれました。彼の名は、エドワード・ジェンナー。ジェンナーは、幼い頃から自然に囲まれた環境で育ち、その豊かな自然の中で動植物と触れ合うことを何よりも好む少年でした。彼は、特に生物の仕組みに強い興味を示し、その探究心は尽きることがありませんでした。 成長したジェンナーは、医師を志し、医学の道へと進みます。ジェンナーが医師として活躍していた18世紀後半、ヨーロッパでは天然痘が猛威を振るっていました。天然痘は、高熱、体の痛み、そして特徴的な発疹を伴う恐ろしい病気で、感染者の多くが命を落としていました。当時、有効な治療法は確立されておらず、人々はこの病におびえながら暮らしていました。ジェンナーは、そんな人々の苦しみを目の当たりにし、医師として、そして人間として、この恐ろしい病から人々を救いたいと強く願うようになりました。そして、彼は天然痘の治療法を見つけることに生涯を捧げることを決意したのでした。

生物学的製剤:生物由来の革新的治療薬

- 生物学的製剤とは 従来の医薬品とは異なる製造方法によって作られる生物学的製剤は、医療の世界に新たな可能性をもたらしています。従来の医薬品、例えば解熱鎮痛剤などが化学合成によって作られるのに対し、生物学的製剤は私たちの体の中に存在する細胞を利用して作られます。 生物学的製剤の多くは、タンパク質や核酸といった私たちの体内で重要な役割を担う物質からできています。これらの物質は、もともと体内で作られるものなので、体内での働きが良く知られています。そのため、生物学的製剤は従来の医薬品よりも高い効果と副作用の少なさが期待されています。 生物学的製剤は、がんや関節リウマチなどの難病の治療薬として開発が進み、多くの患者さんに福音をもたらしています。従来の医薬品では効果が得られなかったり、強い副作用が出てしまったりするケースでも、生物学的製剤を用いることで症状の改善や進行の抑制が期待できる場合があります。 生物学的製剤は、これからの医療においてますます重要な役割を担っていくと考えられます。
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