リンパ腫

血液

移植片対腫瘍効果:希望の治療法

- 移植片対腫瘍効果とは移植片対腫瘍効果とは、骨髄移植などの造血幹細胞移植を受けた後に、移植されたドナー由来の免疫細胞が、患者の体内に残存する腫瘍細胞を攻撃し、排除しようとする現象を指します。造血幹細胞移植は、血液のがんや免疫不全症などの治療法として行われます。この治療では、まず、患者さん自身のもしくはドナーからの健康な造血幹細胞を移植します。造血幹細胞は、血液中の様々な免疫細胞の元となる細胞です。移植された造血幹細胞は、患者の骨髄に定着し、新たな血液細胞を作り出すようになります。この時、ドナーの免疫細胞は、患者の体内環境を「異物」として認識することがあります。特に、がん細胞は、正常な細胞とは異なる特徴的なタンパク質(抗原)を持つため、ドナーの免疫細胞によって攻撃されやすくなります。例えるなら、新しい兵士(ドナーの免疫細胞)が、敵が潜む地域(患者の体内)に送り込まれ、潜んでいる敵(腫瘍細胞)を攻撃するイメージです。移植片対腫瘍効果は、従来の抗がん剤治療とは異なるメカニズムで作用するため、新たな治療法として期待されています。しかし、一方で、ドナーの免疫細胞が患者の正常な組織を攻撃してしまう「移植片対宿主病」といったリスクも存在します。このため、移植片対腫瘍効果を高めつつ、副作用を抑制するための研究が進められています。

免疫の守護神:CD22分子の役割

私たちの体には、外部から侵入してくる病原体から身を守る、免疫と呼ばれる防御システムが備わっています。このシステムは、様々な種類の細胞が連携して成り立っており、その中でもB細胞は、抗体と呼ばれる武器を作り出すことで、病原体に対する攻撃を担う重要な役割を担っています。 B細胞の表面には、様々な分子が存在していますが、CD22分子はその中でも特に重要な役割を担っています。CD22分子は、例えるならば、B細胞の活動を抑えたり、促進したりする、いわば番人のような役割を担っています。この分子は、B細胞が抗体を産生する段階になると、その表面に多く現れます。そして、B細胞が産生する抗体の量を調整することで、免疫反応が過剰になりすぎないように抑制し、適切なバランスを保つ働きをしています。 もし、CD22分子が正常に機能しなくなると、B細胞は過剰に活性化し、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまう可能性があります。このような状態は、自己免疫疾患と呼ばれる病気の一因となると考えられています。 CD22分子は、免疫システムのバランスを維持する上で非常に重要な役割を担っており、その機能を解明することは、自己免疫疾患などの新たな治療法の開発に繋がると期待されています。
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