気分安定薬の落とし穴:急性リチウム中毒
気分の波が激しく、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害。この病気の治療において、炭酸リチウムという薬は、長年にわたり、なくてはならない存在でした。この薬は、躁状態を抑え、気分の波を穏やかにすることで、多くの患者さんを苦しみから救ってきました。しかし、どんな薬にも、表裏一体のように、効果と副作用が存在します。炭酸リチウムも例外ではなく、使用には注意が必要です。
特に、急性リチウム中毒は、命に関わることもあるため、十分な注意が必要です。炭酸リチウムは、体内の水分や電解質のバランスに影響を与えるため、服用量が多すぎたり、体内の水分量が減ったりすると、中毒症状が現れやすくなります。初期症状としては、吐き気やだるさ、手の震えなどが見られますが、重症化すると、意識障害や痙攣などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
そのため、炭酸リチウムを使用する際には、医師の指示をしっかり守り、決められた量を正しく服用することが重要です。また、体内の水分量が減りやすい夏場や運動後などは、特に注意が必要です。少しでも異常を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。