ホルモン

血糖値を下げるホルモン、インスリン

私たちの体には、血糖値を調節する重要なホルモンが存在します。それは、膵臓で作られるインスリンと呼ばれるホルモンです。 食事をすると、ご飯やパンなどに含まれる炭水化物が分解され、ブドウ糖が作られます。ブドウ糖は血液中に流れ込み、全身の細胞に運ばれてエネルギー源として利用されます。 しかし、細胞がブドウ糖を取り込むためには、インスリンの助けが必要です。インスリンは、細胞の扉を開けて、ブドウ糖を細胞内に取り込むように促す働きをします。 もし、インスリンの分泌量が不足したり、働きが悪くなったりすると、細胞はブドウ糖を十分に取り込めなくなります。その結果、血液中のブドウ糖濃度である血糖値が上昇してしまいます。 このように、インスリンは、血糖値を適切に保つために非常に重要な役割を担っています。血糖値が適切に保たれていることで、私たちは健康的に過ごすことができるのです。
その他

小さな臓器、大きな役割:副腎について

私たちの体内で、静かに、しかし重要な働きを担う臓器、腎臓。その腎臓に寄り添うように存在するのが副腎です。ちょうど腎臓の上にちょこんと帽子のように乗っている姿から、その名が付けられました。左右の腎臓に一つずつ、合計二つあり、大きさは3センチから5センチほど、重さはわずか5グラムから10グラムしかありません。一見すると、とても小さく目立たないこの臓器ですが、実は生命維持に欠かせないホルモンを作り出す、重要な役割を担っているのです。 副腎は、外側を覆う皮質と、内側の髄質という二つの部分から成り立っています。皮質からは、体の電解質バランスを調整するホルモンや、糖質の代謝を調整するホルモン、そして性ホルモンなど、様々なホルモンが分泌されます。これらのホルモンは、私たちの体がストレスに対抗したり、血圧を調整したり、健康な状態を維持するために欠かせません。一方、髄質からは、アドレナリンというホルモンが分泌されます。アドレナリンは、心臓の働きを活発にしたり、血管を収縮させて血圧を上昇させたりするなど、緊急時に体が素早く対応するのを助ける働きをしています。このように、副腎は小さくても、私たちの体にとって非常に重要な役割を担う臓器なのです。

血糖値を下げるホルモン、インスリン

- インスリンの役割食事をすると、体内に取り込まれた食べ物が分解され、エネルギー源となるブドウ糖が血液中に放出されます。この時、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が上昇します。インスリンは、この血糖値の上昇を抑え、体内のエネルギーバランスを整えるために重要な役割を担うホルモンです。インスリンは、お腹の奥にある膵臓という臓器の中の、ランゲルハンス島という部分にあるβ細胞で作られます。そして、血液中に放出されたインスリンは、血液の流れに乗って全身を巡ります。細胞の表面には、インスリンと結びつくことのできるレセプターと呼ばれる鍵穴のようなものがあります。インスリンがこのレセプターに結びつくことで、細胞内にブドウ糖を取り込むための扉が開きます。筋肉細胞では、取り込まれたブドウ糖は主に運動のためのエネルギー源として利用されます。また、一部はグリコーゲンという形で蓄えられ、必要な時に再びブドウ糖に分解されてエネルギー源となります。肝臓でも同様に、ブドウ糖はグリコーゲンとして蓄えられます。脂肪細胞では、取り込まれたブドウ糖は中性脂肪に変換され、エネルギーの貯蔵庫としての役割を担います。このように、インスリンは血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むことで、血糖値を適切な範囲に保つために重要な役割を担っているのです。もし、インスリンの分泌量が不足したり、インスリンが正常に働かなくなったりすると、血液中のブドウ糖が細胞内に取り込まれずに血糖値が上昇し、糖尿病などの病気を引き起こす原因となります。
泌尿器

体内の水分量を調整する抗利尿ホルモン

- 抗利尿ホルモンとは私たちの身体は、体内をめぐる血液中の水分量を常に一定に保つことで、健康な状態を維持しています。この水分のバランス調整に重要な役割を果たしているのが、脳の下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種である「抗利尿ホルモン」です。抗利尿ホルモンは、その名の通り、尿の量を調整する働きを持っています。例えば、激しい運動や発汗によって体内の水分量が低下すると、血液の濃度が上昇します。この変化を感知すると、脳は喉の渇きを感じさせると同時に、下垂体後葉からの抗利尿ホルモンの分泌を促します。抗利尿ホルモンは、血液によって腎臓に運ばれ、腎臓の集合管という場所に作用します。すると、集合管の細胞膜にある水の通り道が広がり、尿中の水分が血液中に再吸収されやすくなります。その結果、尿量は減少し、濃縮された尿が作られるようになります。こうして抗利尿ホルモンは、体内の水分を保持し、血液の濃度を正常な状態に戻す働きをしているのです。抗利尿ホルモンの分泌量が適切に調節されないと、体内の水分バランスが崩れ、様々な体調不良を引き起こす可能性があります。例えば、抗利尿ホルモンの分泌量が不足すると、尿量が異常に増加する尿崩症という病気を発症することがあります。反対に、抗利尿ホルモンが過剰に分泌されると、体内の水分量が過剰になり、血液中のナトリウム濃度が低下する低ナトリウム血症を引き起こす可能性もあります。
産婦人科

更年期障害:知っておきたい体の変化と心のケア

更年期とは、一般的に45歳から55歳頃の、閉経の前後10年間を指します。閉経とは、女性の体が妊娠できる状態からそうでなくなる状態へと移行する過程を意味し、卵巣の機能が衰えて女性ホルモンの分泌が急激に減少することが特徴です。 この時期には、ホルモンバランスが乱れることで、体と心に様々な変化が現れます。代表的な症状としては、ほてりやのぼせ、発汗、不眠、イライラなどの症状が挙げられます。その他にも、肩こり、頭痛、疲労感、めまい、動悸など、多岐にわたる症状が現れる可能性があります。 更年期症状は個人差が大きく、症状が現れない人もいれば、日常生活に支障が出るほど辛い症状に悩まされる人もいます。また、症状の種類や程度、期間も人それぞれです。更年期は病気ではありませんが、体の大きな変化であることは間違いありません。この時期を健やかに過ごすためには、自分の体と心の変化に気を配り、セルフケアを心がけたり、必要に応じて医療機関を受診するなど、適切な対応をすることが重要です。
産婦人科

基礎体温でわかること

- 基礎体温とは目が覚めてすぐの時間帯、身体が活動状態に入る前の安静な状態で測定する体温のことを基礎体温と言います。私達の体温は、日中活動している間は自律神経の働きによって常に変化しており、気温や食事、運動、感情などの影響を大きく受けます。しかし、睡眠中は体温を調節する機能が低下するため、これらの外部環境による影響を受けにくくなります。そのため、基礎体温は身体本来のリズムを反映した体温を測ることができると考えられています。 基礎体温を毎日同じ時間に測定し、記録していくことで、月経周期に伴う女性ホルモンの変化を知ることができます。一般的に、月経周期の前半は卵胞ホルモンの分泌が盛んになるため体温が低く、排卵日を境に黄体ホルモンの分泌が増加すると体温が高くなるという二相性の変化が見られます。この体温の変化を利用することで、排卵日の予測や妊娠の可能性、生理不順やホルモンバランスの乱れの有無などを知る手がかりとなります。 基礎体温は、自分の身体と向き合い、健康状態を把握するための簡便な方法の一つです。日々のわずかな変化に気づくことで、より健康的な生活を送ることに繋がるでしょう。
産婦人科

性ステロイドホルモン:体の発達と機能の鍵

人間の体は、まるで精巧に組み立てられた機械のように、様々な部品が協調して働いています。その中で、ホルモンは、それぞれの部品へ情報を伝え、体が正しく動くように調整する役割を担っています。 ホルモンには様々な種類がありますが、今回は「性ステロイドホルモン」についてお話します。性ステロイドホルモンは、男性らしさや女性らしさといった特徴に深く関わるだけでなく、子供を作る能力にも大きく影響を与えます。 思春期に差し掛かると、性ステロイドホルモンの影響で、男女それぞれに特有の変化が現れ始めます。男性では声が低くなり、髭が生え始めます。女性では胸がふくらみ、月経が始まります。 性ステロイドホルモンは、心や体の健康にも密接に関わっています。しかし、そのバランスが崩れてしまうと、様々な不調が現れることもあります。 今回の記事では、性ステロイドホルモンの働きや、それが私たちの体に及ぼす影響について、詳しく解説していきます。
産婦人科

多嚢胞性卵巣症候群:女性ホルモンの乱れと症状

- 多嚢胞性卵巣症候群とは多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣の中に通常よりも多くの卵胞(らんぽう)と呼ばれる小さな袋状の構造ができてしまう病気です。卵胞は、本来は卵子を育てるためのものです。しかし、この病気になると、卵胞の中で卵子がうまく成長せず、排卵が起こりにくくなってしまいます。この病気の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、女性ホルモンのバランスが乱れることが深く関わっていると考えられています。具体的には、男性ホルモンと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されたり、インスリンという血糖値を調整するホルモンがうまく働かなくなったりすることが影響していると言われています。多嚢胞性卵巣症候群の症状は人によって様々ですが、代表的なものとしては、月経不順や無月経、にきび、多毛、肥満などが挙げられます。また、排卵が起こりにくくなるため、妊娠しにくくなるのも特徴です。この病気は、命に関わるような病気ではありませんが、適切な治療を受けずに放置すると、子宮体がんや糖尿病、脂質異常症などのリスクが高まる可能性があります。そのため、少しでも気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
産婦人科

命の神秘:排卵の仕組み

- 排卵とは女性のカラダでは、毎月妊娠の可能性に備えて、驚くべき変化が起きています。その中心となるのが「排卵」です。排卵とは、簡単に言うと、卵巣から成熟した卵子が飛び出してくる現象のことを指します。卵巣は、子宮の左右に一つずつある、小さな臓器です。ここには、生まれた時からたくさんの卵子が眠ったような状態で蓄えられています。そして、思春期を迎えると、毎月いくつかの卵子が目覚め、成長を始めます。その中でも特に大きく育った卵子が、やがて卵巣の表面から飛び出して、卵管へと送り出されます。これが排卵です。卵子は、精子と出会うために、卵管の中で数日間待機します。この間に性交渉によって精子が体内へ入ってくると、卵管の中で出会うことができ、受精が成立します。受精卵はその後、子宮へと移動し、子宮内膜に着床することで、妊娠が成立します。排卵は、妊娠するために必要不可欠な現象です。そのため、妊娠を希望する場合は、自分の排卵日を把握しておくことが重要となります。基礎体温を測ったり、市販の排卵検査薬を使用したりすることで、自分の排卵日をある程度予測することができます。
産婦人科

基礎体温でわかること

- 基礎体温とは朝、目を覚ましてすぐに測る体温のことを基礎体温と言います。睡眠中は体温を調節する機能が低下するため、周りの温度に影響を受けにくい状態になります。そのため、基礎体温を測ることで、より体に備わっている本来のリズムを反映した体温を知ることができるのです。夜、眠っている間に体温は低下し、朝が来るにつれて再び上昇していきます。この体温の変化は、女性ホルモンの分泌と密接に関わっていることが知られています。女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、排卵前に多く分泌され、体温を低く保つ働きがあります。一方、排卵後に多く分泌されるプロゲステロンには、体温を高く保つ働きがあります。つまり、基礎体温を記録していくことで、体温が低温期から高温期に移り変わるタイミングを把握することができます。このことから、基礎体温は排卵日を予測したり、妊娠の可能性を探ったりする上で重要な指標となります。 基礎体温は、毎日同じ時間帯に、同じ方法で測定することが大切です。毎日忘れずに記録することで、自身の体のリズムをより深く理解することに繋がります。そして、その変化にいち早く気づくことで、健康管理にも役立てることができるのです。

睡眠ホルモン、メラトニンの役割とは?

私たちの体は、約24時間周期で変化する体内時計を持っています。そして、この体内時計に合わせて、睡眠と覚醒のリズムを刻んでいるのが、メラトニンと呼ばれるホルモンです。 メラトニンは、脳の中にある「松果体」という小さな器官で作られます。日中は、太陽の光を浴びることで分泌が抑えられますが、夜になると分泌量が増え、自然な眠気を誘います。 まるでオーケストラの指揮者のように、メラトニンは体のさまざまな機能に働きかけ、眠りにつく準備を整えます。体温を低下させたり、心拍数をゆっくりにしたりすることで、リラックス状態へと導きます。そして、深い眠りへと誘い、朝までぐっすりと眠れるようにサポートしてくれるのです。 しかし、夜遅くまで明るい光を浴び続けたり、寝る直前までスマートフォンやパソコンを使ったりすると、メラトニンの分泌が阻害されてしまいます。その結果、体内時計が乱れてしまい、睡眠不足や質の悪い睡眠につながる可能性があります。 質の高い睡眠を得るためには、メラトニンの分泌リズムを整えることが重要です。規則正しい生活を心がけ、夜になったら部屋の照明を落とし、リラックスして過ごすようにしましょう。

ステロイド治療:効果と副作用

- ステロイドとは私たちの体の中には、様々な調整を行うホルモンが存在します。その中でも、副腎という臓器で作られるホルモンの中に、副腎皮質ホルモンと呼ばれるものがあります。 このホルモンは、体内で炎症が起きた際にそれを抑えたり、免疫の働きを調整したり、その他にも体の様々な機能を正常に保つために重要な役割を担っています。 ステロイドとは、この副腎皮質ホルモンと似た構造を持つ薬のことを指します。 ステロイドは、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を持つため、様々な病気の治療に用いられています。例えば、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、関節リウマチなどの自己免疫疾患、そして臓器移植後の拒絶反応を抑えるためなど、その用途は多岐に渡ります。 しかし、ステロイドは強力な効果を持つ反面、副作用も少なくありません。長期的に使用すると、感染症にかかりやすくなったり、骨粗鬆症のリスクが高まったり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が悪化する可能性もあります。 そのため、ステロイドは医師の指示のもと、適切な量と期間で使用することが非常に重要です。
産婦人科

妊娠を支えるホルモン、プロゲステロン

- プロゲステロンとは プロゲステロンは、女性の体内で働く重要なホルモンの一つで、ステロイドホルモンという種類に分類されます。 プロゲステロンは、主に卵巣でつくられますが、妊娠中は胎盤からも分泌されます。また、副腎皮質や脳からも少量ですが分泌されています。 プロゲステロンは、月経周期に合わせて分泌量が変化し、子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい状態にしたり、妊娠を維持する役割を担っています。このことから、プロゲステロンは「妊娠ホルモン」とも呼ばれています。 具体的には、プロゲステロンは子宮内膜に働きかけて、受精卵の着床を助ける分泌液を増やしたり、子宮の収縮を抑えたりします。また、基礎体温を上昇させる作用も持っています。 プロゲステロンは、妊娠以外にも、乳腺の発達や、情緒の安定にも関わっていると考えられています。 このように、プロゲステロンは女性の体にとって非常に重要な役割を果たしているホルモンです。
産婦人科

母乳とホルモンの関係:プロラクチンの役割

- プロラクチンとは?私たちの体内には、様々な器官や組織が複雑に連携し合いながら、生命活動が維持されています。この連携を円滑に行うために、ホルモンと呼ばれる化学物質が重要な役割を担っています。ホルモンは、特定の器官から分泌され、血液に乗って全身を巡り、特定の細胞に情報を伝達することで、体の機能を調整しています。プロラクチンも、こうしたホルモンの一つであり、脳の底部にある下垂体前葉と呼ばれる器官から分泌されます。プロラクチンは、様々な臓器に作用することが知られていますが、特に乳腺に対して強い作用を持ちます。妊娠すると、女性の体内でプロラクチンの分泌量が増加し始めます。そして、出産後には、その分泌量はピークに達し、乳腺を発達させて母乳の産生を促します。母乳は、赤ちゃんにとって、成長に必要な栄養素が豊富に含まれているだけでなく、免疫力を高める成分も含まれており、赤ちゃんの健やかな成長を支える上で欠かせないものです。このように、プロラクチンは、母親と赤ちゃんの絆を結ぶために重要な役割を担っていると言えるでしょう。

生命のバランスを保つアルドステロン

- アルドステロンとは私たちの体の中には、様々な器官や組織が複雑に連携し合いながら、生命活動が維持されています。この複雑な体の働きを調節するために、ホルモンと呼ばれる化学物質が重要な役割を担っています。ホルモンは、特定の器官から分泌され、血液を通して全身に運ばれ、それぞれの標的となる器官や組織に作用します。 アルドステロンも、こうしたホルモンの一種であり、主に腎臓という臓器に作用し、体内の水分と塩分のバランスを調整する働きを担っています。 腎臓は、血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として排出する役割を担っています。アルドステロンは、腎臓の働きに作用することで、ナトリウムと呼ばれる塩分を体内に留め、カリウムと呼ばれるミネラルを体外に排出するように促します。ナトリウムは体内の水分量を調節する上で重要な役割を担っており、アルドステロンによってナトリウムが体内に保持されると、水分も一緒に体内に保持されることになります。 このように、アルドステロンは、腎臓でのナトリウムとカリウムの調節を通して、体内の水分と塩分のバランスを保ち、健康維持に貢献しています。
その他

アジソン病:知っておきたい体のサイン

- アジソン病とはアジソン病は、腎臓の上にある小さな臓器である副腎が、正常に機能しなくなることで発症する病気です。 副腎は、私たちの体にとって非常に重要な役割を担っています。体内でのストレス反応や塩分と水分のバランス、血圧の調整など、様々な機能を制御するホルモンを分泌しています。 アジソン病では、この副腎がコルチゾールやアルドステロンといった重要なホルモンを十分に作り出すことができなくなってしまうのです。コルチゾールは、ストレスに対する体の反応を調整するホルモンです。例えば、病気や怪我をした時、体への負担を和らげるために、コルチゾールが分泌されます。また、血糖値や血圧を維持するのにも役立っています。 アルドステロンは、体内の塩分と水分のバランスを調整するホルモンです。アルドステロンが不足すると、体内の塩分濃度が低下し、脱力感や疲労感を引き起こすことがあります。アジソン病を発症すると、これらのホルモンの不足によって、様々な症状が現れます。主な症状としては、疲労感、体重減少、食欲不振、低血圧、皮膚の色素沈着などがあります。 アジソン病は、適切な治療を行えば、日常生活を送ることができます。しかし、治療を行わないと、重篤な状態に陥る可能性もあります。そのため、早期発見・早期治療が重要です。
その他

体の代謝を支える甲状腺

首の前側、ちょうど喉仏の下あたりに、蝶々が羽を広げたような形をした小さな器官があります。これが甲状腺です。蝶々の羽に例えられる左右対称の部分は、それぞれ右葉と左葉と呼ばれています。 甲状腺の大きさは個人差があり、一概には言えませんが、健康な成人であれば、縦と横が4~5cmほどです。これはちょうど親指と人差し指で丸を作ったくらいの大きさです。重さは15~20gほどしかありません。 甲状腺は一見小さく目立たない器官ですが、体内の代謝を調整するという重要な役割を担っています。代謝とは、体内に取り入れた栄養素をエネルギーに変えたり、不要なものを排出したりといった、生命活動の根幹となる活動のことです。甲状腺は、この代謝活動をスムーズに行うために必要なホルモンを分泌しています。そのため、甲状腺に異常が生じると、体重や体温調節、脈拍、消化機能など、体の様々な機能に影響が出てしまうことがあります。
その他

生命の炎を燃やす甲状腺ホルモン

- 甲状腺ホルモンとは人間の首の前側、喉仏の下あたりに位置する、蝶が羽を広げたような形をした小さな器官、それが甲状腺です。小さくても、この甲状腺から分泌されるホルモンは、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。それが、「甲状腺ホルモン」です。甲状腺ホルモンは、体のほぼ全ての細胞に作用し、細胞の代謝をコントロールする働きを持っています。例えるならば、全身の細胞たちがオーケストラだとすると、甲状腺ホルモンは指揮者のような存在と言えるでしょう。指揮者の指示によって演奏の速度が変わるように、甲状腺ホルモンの量によって体の代謝速度も変化します。甲状腺ホルモンが適切に分泌されている状態では、心拍数や体温、エネルギー産生などが正常に保たれ、健康的な状態を維持できます。消化や呼吸、脳の活動、そして子供の成長など、多岐にわたる生命活動に影響を与えているため、甲状腺ホルモンのバランスが崩れると様々な不調が現れる可能性があります。
その他

甲状腺機能低下症:知っておきたい体のサイン

- 甲状腺機能低下症とは甲状腺機能低下症は、体の代謝に重要な役割を果たす甲状腺ホルモンの分泌量が低下することで起こる病気です。 甲状腺ホルモンは、体のエネルギーを作り出して消費する働きである代謝に大きく関わっています。このホルモンは、まるで体全体のエンジンオイルのようなもので、円滑な体の機能維持に欠かせません。しかし、何らかの原因で甲状腺ホルモンの分泌量が低下すると、体全体のエンジンがスムーズに動かなくなり、様々な不調が現れます。 具体的には、疲れやすさ、寒がり、体重増加、便秘、皮膚の乾燥、むくみ、思考力や集中力の低下など、多岐にわたる症状が現れることがあります。甲状腺機能低下症は、男女問わず、あらゆる年齢層で発症する可能性があります。 特に女性や高齢者に多くみられる傾向があります。 また、自己免疫疾患や甲状腺の手術などが原因で発症することもあります。甲状腺機能低下症は、適切な治療を行えば、症状を改善し、日常生活に支障なく過ごせるようになる場合がほとんどです。 気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
その他

成長ホルモン:体の成長を支える大切な物質

- 成長ホルモンとは私たちの体には、様々な働きを調節するホルモンと呼ばれる物質が存在します。その中でも、成長ホルモンは骨や筋肉の成長、そして代謝など、体の様々な機能に重要な役割を果たしています。成長ホルモンは、脳の下にある「下垂体前葉」という小さな器官から分泌されます。 その名の通り、体の成長に欠かせないホルモンです。特に子供の頃に活発に分泌され、骨の成長を促すことで身長を伸ばす、成長期になくてはならない働きをしています。しかし、成長ホルモンの役割は子供の成長だけに留まりません。大人になってからも、成長ホルモンは分泌され続け、骨や筋肉の量を維持したり、エネルギー代謝を調節したりと、健康を維持するために重要な役割を担っています。成長ホルモンの分泌量が不足すると、子供の成長障害や大人の代謝異常などを引き起こす可能性があります。反対に、過剰に分泌されると、巨人症や末端肥大症などの病気を引き起こす可能性があります。このように、成長ホルモンは私たちの体の成長と健康維持に欠かせない大切なホルモンと言えるでしょう。
消化器

消化とホルモン分泌の要:膵臓

私たちの体の中心、胃の後ろ側、背骨の前に静かに佇む長さ約15cmほどの臓器、膵臓。みぞおちの少し上に位置していますが、体の奥深くに隠れているため、その存在を意識することはほとんどありません。触診で確認することも難しい、まさに“秘めたる臓器”と言えるでしょう。しかし、普段は意識することのないこの臓器こそ、私たちの生命維持に欠かせない、二つの重要な役割を担う“縁の下の力持ち”なのです。 一つは、食べ物を消化する上で欠かせない膵液を作り出す働きです。私たちが口にした食べ物は、胃で消化された後、小腸へと送られます。膵臓は、この小腸で食べ物を効率よく消化するために、様々な消化酵素を含む膵液を分泌し、胃から送られてきた食べ物がスムーズに消化されるよう、陰ながらサポートしています。 もう一つの重要な役割は、血糖値の調節です。食事をすると、血液中のブドウ糖の濃度である血糖値が上昇します。膵臓は、血糖値の上昇を抑えるホルモンであるインスリンを分泌することで、血液中のブドウ糖が適切な値に保たれるよう調節しています。インスリンは、ブドウ糖をエネルギーとして利用したり、貯蔵したりするのを助ける役割を担っており、私たちの体が正常に活動するために欠かせないホルモンの一つです。このように、膵臓は、消化と血糖値の調節という二つの大きな役割を担い、私たちの健康を支える上で非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
産婦人科

妊娠中の血糖値にご注意を:妊娠糖尿病

- 妊娠糖尿病とは?妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見される、あるいは発症する糖代謝の異常を指します。つまり、妊娠前には健康で糖尿病とは無縁だった方が、妊娠中にだけ血糖値が異常に高くなってしまう状態のことです。妊娠中は、お腹の中で成長する赤ちゃんに栄養を送り届けるため、お母さんの体には様々な変化が起こります。その変化の一つとして、血糖値をコントロールするホルモンであるインスリンの働きが、妊娠中に分泌量が増える胎盤ホルモンなどの影響を受けて弱まってしまうことがあります。通常はインスリンが分泌されることで血液中の糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されたり、貯蔵されたりするのですが、インスリンの働きが弱いと、血液中の糖がうまく利用されず、血糖値が上昇してしまうのです。これが、妊娠糖尿病を引き起こす大きな要因の一つと考えられています。妊娠糖尿病は、適切な管理を行わないと、お母さんや赤ちゃんに様々な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、妊娠中の血糖値コントロールは非常に重要です。妊娠糖尿病と診断された場合は、医師や管理栄養士の指導のもと、食事療法や運動療法など適切な治療や生活習慣の改善に取り組む必要があります。
食生活

三大栄養素の一つ、脂質の役割とは?

- 脂質とは?脂質は、炭水化物やたんぱく質と並ぶ三大栄養素の一つであり、私達の身体にとって欠かせない栄養素です。 食事から摂取した脂質は、体内で様々な働きをしています。脂質の大きな役割の一つに、エネルギー源としての働きがあります。脂質は、炭水化物やたんぱく質と比べて、グラムあたりのエネルギー量が2倍以上と、非常に効率の良いエネルギー源です。体内に蓄積された脂質は、必要な時に分解されてエネルギーとして利用されます。また、脂質は細胞膜の主要な構成成分でもあります。 細胞膜は、細胞の内と外を隔てる重要な役割を担っており、脂質はその構造を維持する上で欠かせません。さらに、脂質の中には、ホルモンなどの生理活性物質の材料となるものもあります。ホルモンは、体の様々な機能を調節する重要な役割を担っており、脂質はその働きを支えるために必要不可欠です。このように、脂質は私達の健康を維持するために欠かせない栄養素です。バランスの取れた食生活を通して、必要な量の脂質を摂取するように心がけましょう。

血糖値を下げるホルモン、インスリン

私たちの体内では、食事から摂取した栄養素をエネルギーに変えて活動していますが、このエネルギー生成において中心的な役割を担っているのがブドウ糖という物質です。食事をすると、米やパンなどに含まれる炭水化物が分解されてブドウ糖が血液中に放出され、全身の細胞に運ばれてエネルギー源として利用されます。 インスリンは、膵臓と呼ばれる臓器から分泌されるホルモンの一種で、血液中のブドウ糖を細胞に取り込むのを助ける働きがあります。食事をして血液中のブドウ糖濃度が高くなると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは、細胞の表面にあるインスリン受容体と呼ばれる場所に結合し、細胞内にブドウ糖を取り込むように指令を出します。すると、細胞はブドウ糖を吸収し、エネルギーとして利用したり、グリコーゲンという形で肝臓や筋肉に貯蔵したりします。この一連の作用によって、食後の上昇した血糖値は速やかに低下し、適正な範囲に戻ります。このように、インスリンは、体内のブドウ糖濃度を調節することで、常に一定のエネルギー供給を可能にするという重要な役割を担っています。もし、インスリンの分泌や働きが低下すると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれずに血糖値が高い状態が続きます。これが、糖尿病と呼ばれる病気です。
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