ハンセン病

皮膚科

ハンセン病:正しく理解するその実態

- ハンセン病とはハンセン病は、らい菌という細菌が体に侵入することによって発症する、慢性の経過をたどる感染症です。古くから「らい」という名で知られ、恐れられてきた病気ですが、現代医学においては適切な治療を行うことで完全に治癒する病気となっています。 らい菌は、主に皮膚や手足の末梢神経に感染し、その部分に様々な症状を引き起こします。皮膚では、赤褐色の斑点ができたり、しこりができたりすることがあります。これらの斑点は、知覚が鈍くなったり、全く感じなくなったりすることがあります。また、末梢神経が侵されると、手足の感覚が鈍くなる、力が入らなくなるといった症状が現れます。さらに、病状が進行すると、顔面の変形や視力障害、手指の変形などの重い後遺症が残ってしまうこともあります。 ハンセン病は、感染した人から咳やくしゃみなどによって飛散するらい菌を、長期間にわたって大量に吸い込むことで感染すると考えられています。しかし、らい菌は感染力が弱いため、感染者と接触したとしても、すぐに発症するわけではありません。また、現在では効果の高い治療薬が開発されており、早期に発見し適切な治療を行えば、後遺症が残ることもほとんどありません。 ハンセン病は、決して過去の病気ではありません。正しい知識を持ち、偏見や差別をなくしていくことが大切です。

サリドマイド:多面的な薬の光と影

- サリドマイドとはサリドマイドは、1950年代に開発された薬で、当時は画期的な睡眠薬やつわりの薬として世界中で広く使われていました。特に、妊娠初期のつわりに効果があるとされ、多くの妊婦が服用していました。しかし、サリドマイドを服用した妊婦から、腕や脚の発達に障害がある赤ちゃんが多数生まれるという悲劇が起こりました。これは、サリドマイドが胎児の正常な発育を阻害することが原因でした。この薬害は世界中に衝撃を与え、サリドマイドは販売中止となりました。その後、長い年月を経て、サリドマイドは思わぬ効能を持つことが明らかになりました。それは、ハンセン病の一種であるらい菌性結節性紅斑や、血液のがんである多発性骨髄腫に対する効果です。サリドマイドはこれらの病気に対して優れた効果を示し、現在では、厳重な管理の下、特定の病気の治療薬として再び使用されています。サリドマイドの物語は、薬の光と影を浮き彫りにしています。画期的な薬も、使い方を誤れば大きな悲劇を生み出す可能性があり、薬の開発には、有効性と安全性の両面を常に考慮することが不可欠です。
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