ナラティブ・ベイスト・メディスン

看護技術

患者の語りに耳を傾ける医療:ナラティブとは

ナラティブは、英語で「語り」を意味する言葉であり、医療現場においては、患者さんが経験した病気や治療、日常生活での出来事などをありのままに語ってもらうことを指します。 患者さん一人ひとりの背景や価値観、想いは異なります。病気の症状や治療に対する反応だけでなく、生活習慣や家族構成、仕事、趣味、将来に対する不安など、患者さんを取り巻く状況は実に様々です。ナラティブは、まさにそうした一人ひとりの患者さんの物語に耳を傾けることの大切さを強調する言葉と言えるでしょう。 医師は、検査データや画像診断に基づいて病状を把握しますが、患者さんの心の内側を理解するには、言葉を通して語られる物語に耳を傾けることが不可欠です。患者さんの言葉に込められた感情や経験を理解することで、初めて患者さん中心の医療を実践することが可能になります。 ナラティブを医療現場に取り入れることで、医師と患者間の信頼関係を築き、より良い治療法を選択し、患者さんの生活の質の向上を目指せる可能性があります。
その他

患者中心の医療:ナラティブ・ベイスト・メディスンの実践

- ナラティブ・ベイスト・メディスンとは ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)は、患者さんの語りに真摯に耳を傾けることを重視した医療です。従来の医療では、病気の原因や症状、治療法といった科学的な側面ばかりに焦点が当てられてきました。検査値や画像診断の結果といった客観的なデータに基づいて診断や治療方針が決定され、患者さんはまるで「治療を受ける対象」として扱われているように感じることも少なくありませんでした。 しかし、NBMでは、患者さんが病気によってどのような経験をしてきたのか、どのような影響を受けているのか、そしてどんな思いで日々を過ごしているのか、その人自身の物語に目を向けます。患者さんがこれまで歩んできた人生や、その人を取り巻く環境、価値観、そして病気に対する思いや感情を理解することで、医療者はより深く患者さんに共感し、信頼関係を築くことができます。 NBMは、決して科学的な医療を否定するものではありません。検査データやエビデンスに基づいた治療は引き続き重要ですが、NBMは、そこに患者さんの物語という温かみを添えることで、患者さん一人ひとりに寄り添った、より人間的な医療の実現を目指します。NBMは、医療者と患者さんの間に新たなコミュニケーションの形を生み出し、医療そのもののあり方を見つめ直すきっかけを与えてくれるでしょう。
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