サリドマイド:多面的な薬の光と影
- サリドマイドとはサリドマイドは、1950年代に開発された薬で、当時は画期的な睡眠薬やつわりの薬として世界中で広く使われていました。特に、妊娠初期のつわりに効果があるとされ、多くの妊婦が服用していました。しかし、サリドマイドを服用した妊婦から、腕や脚の発達に障害がある赤ちゃんが多数生まれるという悲劇が起こりました。これは、サリドマイドが胎児の正常な発育を阻害することが原因でした。この薬害は世界中に衝撃を与え、サリドマイドは販売中止となりました。その後、長い年月を経て、サリドマイドは思わぬ効能を持つことが明らかになりました。それは、ハンセン病の一種であるらい菌性結節性紅斑や、血液のがんである多発性骨髄腫に対する効果です。サリドマイドはこれらの病気に対して優れた効果を示し、現在では、厳重な管理の下、特定の病気の治療薬として再び使用されています。サリドマイドの物語は、薬の光と影を浮き彫りにしています。画期的な薬も、使い方を誤れば大きな悲劇を生み出す可能性があり、薬の開発には、有効性と安全性の両面を常に考慮することが不可欠です。