アレルギー

呼吸器

喘息について

- 喘息とは喘息は、空気の通り道である気管支に炎症が起こり、気道が狭くなることで、息苦しさや咳などの症状が出る病気です。この炎症は慢性的に続くもので、一時的な風邪などとは異なります。気道が狭くなると、息を吸ったり吐いたりするのが難しくなり、特に息を吐く際に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が聞こえることがあります。これが喘鳴と呼ばれる喘息の特徴的な症状です。咳もまた一般的な症状で、特に夜間や早朝に悪化することがあります。喘息の症状は、発作的に起こることが特徴です。症状がない状態が続くこともあれば、ある日突然、激しい咳や息苦しさに襲われることもあります。発作の引き金となるものは人それぞれで、ダニやハウスダスト、花粉、ペットの毛、タバコの煙、気温や湿度の変化、運動などが挙げられます。喘息は、乳幼児期から成人まで、どの年齢でも発症する可能性があります。また、日本を含む先進国で増加傾向にあり、現代では国民病の1つとされています。喘息は完治が難しい病気ですが、適切な治療を続けることで症状をコントロールし、日常生活に支障なく過ごすことが可能です。
皮膚科

蕁麻疹:皮膚の赤い腫れの謎に迫る

- 蕁麻疹とは蕁麻疹は、皮膚に突然赤く腫れ上がった発疹が現れる、よくある皮膚の病気です。この発疹は、まるでみみず腫れのように見えたり、地図のように広がったり、輪っかのように見えたりと、様々な形に変化します。多くの場合、激しいかゆみを伴い、場合によっては、チクチクするような、焼けるような感覚を覚えることもあります。この発疹は、医学的には「膨疹」と呼ばれ、皮膚の一部分が一時的に盛り上がった状態を指します。蕁麻疹は、アレルギー反応の一種として起こることが多く、特定の食べ物、薬、虫刺されなどが原因となることがあります。例えば、卵や牛乳、小麦、そば、甲殻類などが原因となることがあります。また、風邪や疲労、ストレスなどによって体の抵抗力が落ちているときに発症しやすくなることも知られています。しかし、蕁麻疹の原因はさまざまで、検査をしても特定できない場合も少なくありません。蕁麻疹は、一般的に数時間から一日以内で症状が治まることがほとんどですが、中には数週間、数ヶ月にわたって症状が続く場合もあります。このような場合は慢性蕁麻疹と呼ばれ、日常生活に支障をきたすこともあります。原因や症状に合わせた適切な治療が必要となるため、自己判断せずに、皮膚科専門医を受診するようにしましょう。
皮膚科

接触性皮膚炎:原因と症状、予防策を解説

- 接触性皮膚炎とは接触性皮膚炎は、特定の物質が肌に触れることで、その部分が赤くなったり、かゆみを伴ったり、水ぶくれができたりする、ありふれた皮膚の病気です。 この炎症は、原因となる物質に触れた部分だけに現れ、一般的に「かぶれ」と呼ばれる状態です。原因となる物質は実に様々で、私たちの身の回りにあふれています。例えば、化粧品、洗剤、金属、ゴム製品、植物などは、日常生活で触れる機会が多く、誰にでも発症する可能性があります。また、特定の職業の人に多く見られるものもあります。例えば、美容師ではシャンプーやパーマ液、医療従事者では消毒薬やゴム手袋、建築作業員ではセメントや塗料などが原因となることがあります。接触性皮膚炎は大きく分けて、刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の2つのタイプに分けられます。刺激性接触皮膚炎は、触れた瞬間に強い刺激を感じるような物質が原因で起こり、ほとんどの人に発症する可能性があります。一方、アレルギー性接触皮膚炎は、特定の物質に対してアレルギー反応を起こしやすい人が、その物質に繰り返し触れることで発症します。接触性皮膚炎の治療は、まず原因となる物質を特定し、それから遠ざかることが重要です。症状を抑えるためには、ステロイド外用薬などが処方されます。症状が重い場合は、ステロイドの内服薬や注射薬が使用されることもあります。日頃から、身に付けるものや使用するものに注意し、皮膚に異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。
皮膚科

寒冷蕁麻疹とその対処法

- 寒冷蕁麻疹とは 寒冷蕁麻疹は、冷たい空気や水、物に触れることで皮膚に蕁麻疹が出る、少し変わったアレルギー反応です。蕁麻疹は一時的に皮膚が赤く腫れ上がり、かゆみも伴います。かゆみを我慢できずに掻いてしまうと、さらに症状が悪化してしまうこともあります。 この寒冷蕁麻疹は、他の蕁麻疹と異なり、寒さに触れた部分だけに症状が現れるのが特徴です。例えば、冷たい水に手を浸けると、手だけに蕁麻疹が出ますし、冷たい風に当たると、顔や首など、風に当たった部分だけに蕁麻疹が現れます。 症状は数分から数時間で治まることが多いですが、中には数日続く場合もあります。原因はまだはっきりとは解明されていませんが、寒さによって皮膚にある肥満細胞という細胞からヒスタミンなどの物質が放出されることで起こると考えられています。 寒冷蕁麻疹は、気温が急激に下がる冬場や、プールなど冷たい水に入る際に発症しやすい傾向があります。また、冷たい飲み物やアイスクリームなどを口にした際に、口の中や喉に症状が現れることもあります。
皮膚科

手湿疹:原因と対策を知って手肌を守ろう

- 手湿疹とはどんな病気?手湿疹とは、その名の通り、手に炎症が起こる皮膚の病気を指します。 主な症状としては、我慢できないほどの強いかゆみ、皮膚の赤み、そして小さな水ぶくれなどが挙げられます。 これらの症状は、初期段階では一時的なものとして現れることもありますが、症状が悪化すると、皮膚の乾燥やひび割れ、さらには皮膚が厚くなってしまうなどの変化が見られることもあります。 手は日常生活で頻繁に使うため、手湿疹の症状が出ると、様々な場面で不便を感じることがあります。例えば、洗い物や洗濯などの家事や、パソコン作業や字を書くなどの仕事、趣味の活動など、多くの場面で支障が出てしまう可能性があります。 このような不便さは、日常生活の質を低下させるだけでなく、精神的なストレスにもつながりかねません。 そのため、手湿疹の症状が出た場合は、自己判断で対処するのではなく、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
呼吸器

運動誘発性喘息:運動で息苦しさを感じたら

- 運動誘発性喘息とは運動誘発性喘息は、激しい運動や運動後に、息苦しさや咳、喘鳴といった、喘息と同様の症状が現れる病気です。普段は健康な人でも、激しい運動をすることで発症する可能性があります。この病気の原因ははっきりと解明されていませんが、運動中に呼吸が速くなり、大量の冷たい空気を吸い込むことで、気道が刺激されて狭くなることが一つの要因として考えられています。この時、気道が炎症を起こし、過敏な状態になっていると、さらに症状が悪化しやすくなります。運動誘発性喘息は、通常の喘息とは異なり、運動時にのみ症状が現れることが特徴です。そのため、運動以外の日常生活では、ほとんどの場合、症状が現れることはありません。しかし、症状が現れた時には、通常の喘息と同様に、呼吸が苦しくなったり、咳が止まらなくなったりするため、注意が必要です。適切な治療や対策を行うことで、症状をコントロールし、安全に運動を楽しむことができます。運動中に息苦しさや咳、喘鳴などの症状が現れた場合には、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。
皮膚科

皮膚への刺激で起こる蕁麻疹 – 機械性蕁麻疹

- 機械性蕁麻疹とは機械性蕁麻疹は、皮膚に何らかの物理的な刺激が加わることで、かゆみのある赤い膨らみが現れる症状です。蕁麻疹は一時的に皮膚が赤く腫れ上がる病気ですが、その中でも機械性蕁麻疹は、衣服の擦れや、皮膚を掻いたり擦ったりするなどの刺激が原因で起こります。例えば、締め付けのきついズボンやベルトのせいで、お腹や腰にかゆみと赤い膨らみが出ることがあります。また、運動などで汗をかいた後、汗で濡れた衣服と皮膚が擦れ合って、同じような症状が現れることもあります。この病気の原因は、皮膚への圧迫や摩擦などの刺激によって、皮膚の中のヒスタミンなどの物質が放出されることだと考えられています。ヒスタミンは、血管を広げて permeability (透過性)を高める作用があり、その結果として皮膚が赤く腫れ上がったり、かゆみが生じたりすると考えられています。機械性蕁麻疹は、特定の原因となる刺激を避けることで症状を抑えることができます。例えば、締め付けの強い衣服を避けたり、汗をかいたらこまめに着替えたりするなどの対策が有効です。症状が重い場合には、医師の診察を受けて、適切な薬を処方してもらうようにしましょう。
呼吸器

喘息発作:命に関わることもある呼吸困難

- 喘息発作とは喘息発作は、気管支喘息という病気を抱えている人に起こる、発作性の呼吸困難のことを指します。発作は突然起こり、激しい息苦しさに襲われます。同時に、「ゼーゼー」という喘鳴音や咳が出るのも特徴です。この発作は、気管支と呼ばれる、肺に空気を送り込むための管が狭くなってしまうことが原因で起こります。気管支が狭くなると、肺に十分な空気を吸い込んだり、吐き出したりすることが難しくなり、息苦しさや喘鳴、咳などの症状が現れるのです。喘息発作のきっかけは人それぞれで、例えば、ダニやハウスダスト、ペットの毛、花粉などのアレルギー物質を吸い込むことや、風邪やタバコの煙、激しい運動、天候の変化、ストレスなどが挙げられます。喘息発作は、適切な治療を行えば症状を和らげ、コントロールすることができます。しかし、重症化すると呼吸困難がさらに悪化し、命に関わる危険性もあります。そのため、喘息と診断された場合は、医師の指示に従ってきちんと治療を続けることが重要です。また、発作の兆候を感じたら、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
皮膚科

光と皮膚の関係:光接触皮膚炎とは?

- 光接触皮膚炎とは光接触皮膚炎は、太陽光などの紫外線に当たると、特定の物質がアレルギー反応を起こし、皮膚に炎症を引き起こすことを言います。これは、紫外線と物質が組み合わさることで、通常では無害な物質が、皮膚にとって刺激の強いものに変ってしまうために起こります。光接触皮膚炎は、大きく分けて光毒性と光アレルギー性の二つに分類されます。光毒性は、特定の物質が紫外線を吸収することで、皮膚に直接ダメージを与えることで起こります。この反応は、誰にでも起こる可能性があり、日焼けで赤くなるのと似たような症状が出ます。症状としては、赤み、腫れ、かゆみ、痛み、水ぶくれなどが挙げられます。光毒性を引き起こす物質としては、一部の香水、抗生物質、消炎鎮痛剤などが知られています。一方、光アレルギー性は、特定の物質が紫外線と反応することで、アレルギー反応を引き起こすことで起こります。アレルギー反応は、特定の物質に対して免疫システムが過剰に反応することで起こります。光アレルギー性は、誰でも起こるわけではなく、特定の物質に対してアレルギー体質を持つ人のみが発症します。症状は光毒性と似ていますが、より強く現れる傾向があります。光アレルギー性を引き起こす物質としては、日焼け止め、化粧品、香水などが挙げられます。光接触皮膚炎を予防するためには、原因となる物質を含む製品の使用を控えたり、紫外線を避けることが重要です。外出時には、長袖、長ズボン、帽子、日傘などを着用して皮膚を保護しましょう。また、日焼け止めはこまめに塗り直すことが大切です。もし、光接触皮膚炎の症状が出た場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

オマリズマブ:重症アレルギー疾患の治療薬

- オマリズマブとはオマリズマブは、近年開発された注射薬で、重いアレルギー症状に苦しむ患者さんのために用いられています。従来の治療法では十分な効果が得られない、重症のアトピー型喘息や、原因が特定できない慢性蕁麻疹の患者さんに対して、医師の判断のもとで使用されます。アトピー型喘息は、アレルギー反応が原因で気道に炎症が起こり、息苦しさや咳などの症状が出る病気です。オマリズマブは、このアレルギー反応を引き起こす物質である「IgE抗体」にくっつき、その働きを抑えることで効果を発揮します。具体的には、IgE抗体がマスト細胞と結合するのを阻害し、ヒスタミンなどの化学伝達物質の放出を抑え、アレルギー症状を和らげます。慢性蕁麻疹は、皮膚に赤みやかゆみのある膨疹が繰り返し現れる病気ですが、その原因が特定できない場合も多いです。オマリズマブは、慢性蕁麻疹の中でも、従来の抗ヒスタミン薬などの治療では効果が不十分な場合に、その症状を改善する効果が期待できます。オマリズマブは画期的な薬ですが、すべてのアレルギー患者さんに効果があるわけではありません。また、副作用のリスクもゼロではありません。医師の指示に従って適切に使用することが大切です。
血液

免疫の番人:好酸球の役割

- 好酸球とは私達の身体は、常に目に見えない細菌やウイルスなどの脅威に晒されています。これらの外敵から身を守るため、私達の体には免疫と呼ばれる防御システムが備わっています。この免疫システムの中で、重要な役割を担っている細胞の一つが好酸球です。好酸球は、血液の中を流れている白血球の一種です。白血球は、体内に入ってきた異物を排除する役割を担っており、好酸球もその仲間として活躍しています。顕微鏡で観察すると、好酸球には細胞質の中に赤い顆粒が存在していることが分かります。この赤い顆粒こそが、好酸球の特徴と言えるでしょう。顆粒の中には、外敵を攻撃するための様々な物質が蓄えられています。好酸球は、寄生虫感染に対する防御において特に重要な役割を果たします。寄生虫が体内に侵入してくると、好酸球は活性化し、顆粒から寄生虫を攻撃する物質を放出します。また、アレルギー反応にも深く関わっており、気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患では、好酸球の数が増加することが知られています。このように、好酸球は私達の身体を守るために無くてはならない細胞と言えるでしょう。
耳鼻科

アレルギー性鼻炎:鼻の不快感の原因と対策

- アレルギー性鼻炎とは?アレルギー性鼻炎は、特定の物質(アレルゲン)に対する体の過剰な反応が原因で鼻に炎症が起こる病気です。 例えば、花粉、ハウスダスト、ダニなどがアレルゲンとして挙げられます。これらのアレルゲンを吸い込むと、体内に侵入したと体が認識し、排除しようとして様々な反応を起こします。その結果として、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりといった不快な症状が現れます。これらの症状は、日常生活に支障をきたすこともあります。集中力の低下や睡眠不足、倦怠感など、日常生活に様々な影響を与える可能性があります。 また、アレルギー性鼻炎は、適切な治療を行わないと、喘息などの他のアレルギー疾患を引き起こすリスクもあるため、注意が必要です。よく知られている花粉症も、実はアレルギー性鼻炎の一種です。スギやヒノキなどの花粉が原因で、毎年決まった時期に症状が現れるのが特徴です。花粉症のように季節性のあるものだけでなく、一年中症状が出る通年性のアレルギー性鼻炎もあります。アレルギー性鼻炎は、症状を和らげる薬物療法や、アレルゲンを体内に入れないようにする環境整備、アレルゲンに対する体の反応を抑える免疫療法など、様々な治療法があります。ご自身の症状や生活スタイルに合った治療法を選択することが大切です。症状が気になる場合は、医療機関を受診し、医師に相談しましょう。
アレルギー

現代社会の落とし穴:シックハウス症候群とは?

近年、新築の家やビルに入ると、何となく気分が悪くなったり、決まった症状が出たりする人が増えています。もしかしたら、それは「シックハウス症候群」かもしれません。 シックハウス症候群は、建物の材料に使われているものや、家具などから出る化学物質、ダニやカビなどの小さな生き物、さらには空気の入れ替えが足りなくて部屋の中に溜まってしまった汚れた物質によって、様々な体の不調が起きてしまうことをまとめて呼ぶ言葉です。 目には見えませんが、私たちの健康を脅かす、現代社会の深刻な問題の一つと言えるでしょう。 具体的な症状としては、頭痛、めまい、吐き気、目の痛み、喉の痛み、湿疹、呼吸困難など、人によって様々です。これらの症状は、新しい家に引っ越した直後や、ビルの中で長時間過ごした後に強く現れることが多いようです。 シックハウス症候群の原因となる物質は、ホルムアルデヒドやトルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)が代表的です。 家具や建材、壁紙の接着剤、塗料などに含まれており、目に見えない小さな粒となって空気中に漂い、私たちの体の中に入ってしまいます。 また、ダニやカビもアレルギー症状を引き起こす原因となりますし、換気不足によって室内の空気が汚染されると、私たちの健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
アレルギー

身近に潜む脅威、アレルゲンを理解する

- アレルギーの原因物質、アレルゲンとはアレルギー反応を引き起こす原因となる物質を、アレルゲンと呼びます。私たちの身の回りには、実に様々なものがアレルゲンとなり得ます。例えば、植物が繁殖のために飛ばす花粉は、代表的なアレルゲンの一つです。特に、スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉は、多くの人にとって悩みの種となっています。また、家の中に潜むダニや、ダニの死骸やフンなどを含むハウスダストも、アレルギーの原因として知られています。さらに、ペットの毛やフケ、鳥の羽根なども、アレルギーを引き起こす可能性があります。食べ物の中にも、アレルゲンとなるものが多く存在します。卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツなどは、アレルギーを引き起こしやすい食品として特に注意が必要です。これらの食品は、加工食品にも含まれていることが多いため、食品表示をよく確認することが大切です。アレルゲンは、人によって反応するものが異なり、その症状も様々です。全く症状が出ない人もいれば、ごくわずかな量のアレルゲンに反応して、激しいアレルギー症状を起こす人もいます。くしゃみや鼻水、目の痒みといった比較的軽い症状から、呼吸困難や意識障害といった重篤な症状まで、その反応は多岐にわたります。自分にとって何がアレルゲンとなるのかを把握しておくことは、アレルギー症状の予防や悪化防止のために非常に重要です。気になる症状がある場合は、自己判断せず、医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けるようにしましょう。

アレルギー反応を抑える薬:ヒスタミン受容体拮抗薬

私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るために「免疫」というシステムが備わっています。この免疫システムは、通常は無害な物質であっても、体に害を及ぼすものと誤って認識してしまうことがあります。これがアレルギー反応であり、この反応を引き起こす物質をアレルゲンと呼びます。 代表的なアレルゲンとしては、花粉やダニ、ハウスダストなどが挙げられます。 アレルギー反応が起こると、体内では様々な変化が起こり、その結果としてくしゃみや鼻水、涙、かゆみなどの症状が現れます。これらの症状を引き起こす原因物質の一つがヒスタミンです。 ヒスタミンは、体内に広く分布している細胞から放出される化学伝達物質であり、血管を拡張したり、神経を刺激したりする作用があります。 例えば、花粉が体内に入ると、免疫細胞はヒスタミンを放出します。すると、鼻の血管が拡張して鼻水が出たり、鼻の神経が刺激されてくしゃみが出たりするのです。 このように、ヒスタミンはアレルギー反応において重要な役割を担っており、アレルギー症状を抑えるためには、ヒスタミンの働きを抑える薬がよく使われています。

第二世代抗ヒスタミン薬:眠気の少ないアレルギー治療薬

近年、アレルギーの治療法は大きく進歩しています。アレルギー性鼻炎や蕁麻疹など、アレルギーによって日常生活に支障が出てしまう人は少なくありません。アレルギー症状は、本来は無害なはずの花粉やダニ、食べ物などが体内に入ってくることで体が過剰に反応してしまうために起こります。このようなアレルギーを引き起こす物質をアレルゲンと呼びます。 従来のアレルギー治療では、この過剰な反応を抑えるために抗ヒスタミン薬などの薬が用いられてきました。抗ヒスタミン薬は、くしゃみや鼻水、かゆみなどの症状を和らげる効果がありますが、アレルギー反応そのものを根本的に抑えるものではありませんでした。 しかし、近年ではアレルゲン免疫療法という新しい治療法が注目されています。アレルゲン免疫療法は、少量のアレルゲンを体に繰り返し投与することで、体をアレルゲンに慣らし、過剰な反応を抑えるという治療法です。アレルゲン免疫療法には、皮下注射によってアレルゲンを投与する方法と、舌の下に投与する方法があります。 アレルゲン免疫療法は、アレルギー症状を根本的に改善する可能性を秘めた治療法として期待されています。効果が期待できるまでには時間がかかる場合もありますが、長期的には症状の改善や薬の使用量を減らす効果が期待できます。
アレルギー

一年中続く?通年性アレルギーとは

通年性アレルギーは、特定の季節に限定されず、一年を通して症状が現れる可能性のあるアレルギー疾患です。これは、私たちの生活環境に常に存在する特定の物質に対して、体が過剰に反応してしまうことで起こります。花粉症のようにスギやヒノキの花粉が飛散する季節にのみ症状が出る季節性アレルギーとは異なり、通年性アレルギーの原因となる物質は、一年中私たちの身の回りに存在します。そのため、季節の変化に関わらず、継続的にアレルギー症状に悩まされる可能性があります。 通年性アレルギーを 引き起こす代表的な物質としては、室内に潜むものが挙げられます。例えば、家の中のホコリに潜むダニは、非常に強力なアレルゲンとして知られています。また、ペットの毛やフケ、鳥の羽根なども、アレルギーの原因として一般的です。さらに、カビもまた、家の中や外に広く存在し、通年性アレルギーを引き起こす可能性があります。カビは、湿気の多い場所に繁殖しやすく、浴室や台所のほか、壁紙の裏側などに発生することもあります。 これらのアレルゲンは、空気中に漂いやすく、知らずに吸い込んでしまうことが多いため、注意が必要です。症状としては、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、涙目など、花粉症と似たような症状が現れます。また、皮膚にアレルギー症状が出る場合もあり、湿疹やかゆみ、赤みなどがみられることもあります。

第一世代抗ヒスタミン薬:その特徴と歴史

春になると悩まされる人が多い花粉症や、特定の食品を食べて発症する蕁麻疹。これらの症状に共通するのは、アレルギー反応です。アレルギー反応は、本来ならば身体を異物から守るはずの免疫システムが、特定の物質に対して過剰に反応してしまうことで起こります。 このアレルギー反応を抑え、症状を和らげるために用いられるのが抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を引き起こす物質であるヒスタミンの作用を阻害することで効果を発揮します。 抗ヒスタミン薬には、大きく分けて二つの種類が存在します。初期に開発された「第一世代抗ヒスタミン薬」と、その後開発された「第二世代抗ヒスタミン薬」です。第一世代抗ヒスタミン薬は、効果の発現が早く、様々なアレルギー症状に効果があるという特徴を持っています。 しかし、その一方で、眠気などの副作用が出やすいという側面も持ち合わせています。これは、第一世代抗ヒスタミン薬が脳にまで作用してしまうためです。

抗ヒスタミン薬:アレルギー反応を抑える薬

私たちの体は、細菌やウイルスなど、外部から侵入してきた異物から身を守るために、「免疫」と呼ばれる防御システムを持っています。この免疫システムは、侵入者を撃退するために様々な反応を起こしますが、その反応が過剰に起こってしまうことがあります。これが「アレルギー反応」で、花粉症や食物アレルギーなどが代表的な例です。 アレルギー反応において中心的な役割を果たしているのが「ヒスタミン」という化学物質です。ヒスタミンは、体の中に存在する「肥満細胞」や「好塩基球」といった細胞内に蓄えられており、アレルゲンが体内に侵入してくると、これらの細胞から放出されます。 ヒスタミンは、放出されると周囲の血管や筋肉、神経などに作用し、様々な症状を引き起こします。例えば、血管を拡張させて permeability を亢進させることで、鼻水やくしゃみ、皮膚の発疹や腫れなどの症状を引き起こします。また、気管支を収縮させることで、息苦しさや咳などの症状を引き起こすこともあります。 このように、ヒスタミンはアレルギー反応において重要な役割を果たしており、アレルギー症状を抑えるためには、ヒスタミンの働きを抑える薬が有効です。

アレルギー治療の頼もしい味方:抗アレルギー薬

- 抗アレルギー薬とは?アレルギー疾患は、本来であれば体に害のない物質に対して、私たちの体が過剰に反応してしまうことで引き起こされます。例えば、スギ花粉やダニ、ハウスダストなどが原因で、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみなどの症状が現れます。このようなアレルギー症状を和らげたり、抑えたりする効果を持つ薬を、総称して抗アレルギー薬と呼びます。抗アレルギー薬は、花粉症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、様々なアレルギー疾患の治療に用いられています。抗アレルギー薬の効果は、大きく分けて二つあります。一つ目は、アレルギー反応を引き起こす物質の働きを抑える効果です。アレルギー反応は、特定の物質(アレルゲン)が体内に侵入すると、体がその物質を攻撃してしまうことから始まります。抗アレルギー薬の中には、このアレルゲンが体に結合するのを防いだり、アレルゲンに対する体の反応を抑えたりすることで、アレルギー症状の発生を抑えるものがあります。二つ目は、アレルギー反応によって生じる炎症を抑える効果です。アレルギー反応が起こると、体内で様々な化学物質が放出され、炎症を引き起こします。この炎症が、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす原因となります。抗アレルギー薬の中には、この炎症を抑えることで、アレルギー症状を和らげるものがあります。抗アレルギー薬は、症状や体質に合わせて適切に選択することが大切です。自己判断で服用せず、必ず医師の診断を受けてください。
皮膚科

摩擦で起こる蕁麻疹、機械性蕁麻疹とは?

- 機械性蕁麻疹とは 機械性蕁麻疹は、皮膚に加わった摩擦や圧迫といった物理的な刺激がきっかけで、じんましんの症状が現れる病気です。じんましんは、皮膚の一部分が赤く盛り上がり、強いかゆみを生じるアレルギー反応の一つです。この赤く腫れ上がった部分を膨疹(ぼうしん)と呼びます。 機械性蕁麻疹の場合、この膨疹は、皮膚を掻いたり、衣服でこすれたり、長時間座ったりするなど、物理的な刺激を受けた場所にのみ現れるのが特徴です。 例えば、ベルトや下着の締め付けによってお腹や腰に膨疹が現れたり、長時間椅子に座っていたために太ももやお尻に膨疹が現れたりします。症状の現れ方には個人差があり、数分から数時間程度で症状が治まる人もいれば、数日間症状が続く人もいます。 機械性蕁麻疹の原因はまだはっきりとは解明されていませんが、皮膚への刺激によって皮膚内の肥満細胞という細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されることが関係していると考えられています。 日常生活で生じる些細な刺激によって症状が出るため、生活の質を低下させてしまう病気ですが、適切な治療を行うことで症状を抑えることが可能です。
アレルギー

減感作療法:アレルギー反応を抑える治療法

- 減感作療法とは減感作療法は、特定のアレルギーの原因物質(アレルゲン)に対して、体が過剰に反応することを抑え、アレルギー症状を軽減させることを目的とした治療法です。アレルギー反応を引き起こす原因となる物質は人それぞれ異なり、ダニやハウスダスト、スギ花粉、動物の毛など様々です。この治療法では、まず少量のアレルゲンを注射や内服薬によって体内に投与することから始めます。そして、時間をかけて徐々に投与量を増やしていくことで、体がアレルゲンに徐々に慣れていくことを目指します。このプロセスを通じて、体がアレルギー反応を引き起こしにくくなるため、くしゃみ、鼻水、かゆみ、皮膚の発疹などのアレルギー症状が軽減されることが期待できます。減感作療法は、根本的な体質改善を目指す治療法であるため、効果が現れるまでに時間がかかる場合があり、一般的には数ヶ月から数年間、継続して治療を行う必要があります。また、すべてのアレルギー疾患に効果があるわけではなく、治療の効果や期間には個人差があります。減感作療法を受ける場合は、医師に相談し、自分の症状や体質に合った治療法を選択することが重要です。

オマリズマブ:喘息・蕁麻疹の新しい治療薬

- オマリズマブとはオマリズマブは、喘息や慢性蕁麻疹といったアレルギー疾患の治療に用いられる注射薬です。従来の治療薬とは異なる、新しいタイプの薬として注目されています。私たちの体には、外部から侵入してきた異物から体を守る「免疫」というシステムが備わっています。ところが、この免疫システムが過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギー反応です。 アレルギー反応を引き起こす原因物質はアレルゲンと呼ばれ、ダニやハウスダスト、花粉など、人によって様々です。オマリズマブは、このアレルギー反応において中心的な役割を担う「IgE抗体」に直接作用します。IgE抗体は、アレルゲンと結びつくことで、マスト細胞と呼ばれる細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質を放出させ、くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみといったアレルギー症状を引き起こします。オマリズマブは、IgE抗体に結合することで、アレルゲンとIgE抗体との結合を阻害します。その結果、マスト細胞からの化学伝達物質の放出が抑えられ、アレルギー症状が軽減されるのです。従来の治療薬では十分な効果が得られなかった患者さんや、長期にわたる治療が必要な患者さんにとって、オマリズマブは新たな選択肢となることが期待されています。
アレルギー

命に関わるアレルギー反応:アナフィラキシーショック

- アナフィラキシーショックとはアナフィラキシーショックは、特定の物質(アレルゲン)に対して、体が過剰に防御反応を示すことで引き起こされる、重篤なアレルギー反応です。 この反応は非常に速く、まるで体内で嵐が吹き荒れるように症状が現れます。 通常、私たちの体は侵入してきた異物(細菌やウイルスなど)から身を守るために、免疫というシステムを働かせます。しかし、アナフィラキシーショックの場合、本来無害な物質(食物や薬、虫の毒など)に対して、免疫システムが過剰に反応してしまうのです。 その結果、体内で様々な物質が放出され、血管が拡張したり、気道が収縮したりすることで、様々な症状が現れます。 代表的な症状としては、血圧の急激な低下、呼吸困難、意識消失などが挙げられます。その他にも、皮膚のかゆみ、じんましん、嘔吐、下痢なども見られることがあります。 アナフィラキシーショックの原因となるアレルゲンは人それぞれですが、食物アレルギー、薬物アレルギー、虫刺されが代表的です。また、症状の重さや現れ方も人によって大きく異なります。 アナフィラキシーショックは、適切な処置を行わなければ死に至る可能性もあるため、迅速な対応が重要となります。
PAGE TOP