新生児の呼吸 distress:新生児呼吸窮迫症候群とは

小児科

新生児の呼吸 distress:新生児呼吸窮迫症候群とは

病院での用語を教えて

先生、新生児呼吸窮迫症候群って、どんな病気ですか?難しそうな名前だけど、赤ちゃんにとって危険な病気なの?

体の健康研究家

良い質問だね。新生児呼吸窮迫症候群は、生まれたばかりの赤ちゃんがうまく呼吸できなくなる病気なんだ。特に、お腹の中にいる期間が短くて早く生まれてきた赤ちゃんに多く見られる病気だよ。

病院での用語を教えて

そうなんだ。赤ちゃんが呼吸できないって、一体どういうこと?何かが詰まっちゃうの?

体の健康研究家

肺の中で、空気と血液の間で酸素のやり取りをするのに必要な物質が足りないと、肺がうまく膨らまなくなって呼吸が苦しくなってしまうんだ。治療法はあるから、きちんと治療を受ければ多くの赤ちゃんは元気に成長できるよ。

新生児呼吸窮迫症候群とは。

生まれたばかりの赤ちゃんに起こる呼吸の病気で、「新生児呼吸窮迫症候群」というのがあります。これは、肺の中で息を吸ったり吐いたりする時に必要な物質が足りなくなることで、十分な酸素を取り込めなくなる病気です。

特に、妊娠37週よりも早く生まれた赤ちゃんに多く見られ、早く生まれるほど、この物質が不足しやすくなります。

この病気の原因としては、お母さんのお腹の中で赤ちゃんを包んでいる組織が早く剥がれてしまったり、出血したりすることが挙げられます。また、陣痛が始まる前に帝王切開で生まれた場合や、双子や三つ子などの多胎妊娠、お母さんが糖尿病を患っている場合、男の子である場合なども、発症のリスクが高まります。

症状としては、肺の中の小さな袋がうまく広がらず、呼吸が苦しくなって、呼吸の回数が多くなります。息を吸う時に、肋骨や胸の骨の下の部分がへこんで見えるのが特徴です。症状が進むと、うなり声をあげたり、唇や顔が青紫色になったり、ぐったりして眠りがちになったり、呼吸のリズムが乱れたり、呼吸が止まってしまうこともあります。

治療としては、不足している肺の物質を補ったり、必要に応じて酸素を与えたりします。治療の効果は高く、生まれてから4日から5日ほど経つと、症状が大きく改善することがほとんどです。ただし、生まれてから1日から2日目の間に症状が急激に悪化し、呼吸ができなくなって亡くなってしまうこともあります。

新生児呼吸窮迫症候群の概要

新生児呼吸窮迫症候群の概要

新生児呼吸窮迫症候群(NRDS)は、生まれたばかりの赤ちゃん、特に早く生まれてきた赤ちゃんに多く見られる、命に関わる可能性もある呼吸器の病気です。この病気は、赤ちゃんの肺が十分に発達していないために起こります。

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間、肺の中では呼吸に必要な物質が作られています。その中でも特に重要なのがサーファクタントと呼ばれる物質です。サーファクタントは、肺の中にある小さな空気の袋である肺胞が、呼吸のたびにぺちゃんこにつぶれてしまわないように、表面張力を弱める働きをしています。

NRDSの赤ちゃんは、このサーファクタントが足りていないため、呼吸をするたびに肺胞がつぶれてしまい、十分に酸素を取り込むことができません。そのため、生まれた直後や生後数時間以内に呼吸が速くなったり、苦しそうに息をするなどの症状が現れます。

NRDSは、早産で生まれるほど発症のリスクが高くなります。なぜなら、赤ちゃんが肺を成熟させ、十分な量のサーファクタントを作るには、ある程度の時間が必要だからです。

項目 説明
疾患名 新生児呼吸窮迫症候群(NRDS)
症状 – 呼吸が速くなる
– 苦しそうに息をする
原因 – 肺の未発達
– サーファクタント不足
サーファクタントの役割 肺胞がつぶれるのを防ぎ、呼吸をスムーズにする
リスク因子 早産

新生児呼吸窮迫症候群の原因

新生児呼吸窮迫症候群の原因

新生児呼吸窮迫症候群は、生まれたばかりの赤ちゃんに呼吸困難を引き起こす病気です。これは主に、赤ちゃんの肺が未熟で、十分に膨らまないことが原因です。

肺の内部は、薄い膜で覆われた小さな空気の袋で満たされています。この膜の表面には、サーファクタントと呼ばれる物質が存在します。サーファクタントは、水の表面張力を弱める働きがあり、肺が縮んでしまうのを防いでいます。

サーファクタントは、妊娠後期に胎児の肺で作られ始めます。そのため、妊娠期間が短い早産児の場合、サーファクタントが十分に作られず、新生児呼吸窮迫症候群を発症しやすくなります。

また、早産以外にも、帝王切開で生まれた赤ちゃんや、母親が糖尿病を患っている場合、双子の赤ちゃんや三つ子の赤ちゃんにも、新生児呼吸窮迫症候群のリスクが高まります。これは、帝王切開や糖尿病などが、赤ちゃんの肺の成熟を遅らせたり、サーファクタントの産生を妨げたりする可能性があるためと考えられます。

項目 説明
病気 新生児呼吸窮迫症候群
症状 呼吸困難
原因 肺の未熟
サーファクタント不足
サーファクタントの役割 肺胞の表面張力を弱め、肺の収縮を防ぐ
リスク因子 早産
帝王切開
母体の糖尿病
多胎妊娠

新生児呼吸窮迫症候群の症状

新生児呼吸窮迫症候群の症状

新生児呼吸窮迫症候群は、生まれたばかりの赤ちゃんに起こる呼吸障害です。この病気は、赤ちゃんの肺が未熟で、十分に膨らむことができないために起こります。 その結果、赤ちゃんは呼吸をするのに苦労し、様々な症状が現れます。

新生児呼吸窮迫症候群の症状は、生まれてすぐ、あるいは生後数時間のうちに現れ始めます。 代表的な症状としては、まず、呼吸が速くなる「多呼吸」が挙げられます。これは、赤ちゃんが懸命に呼吸をしようとしているサインです。また、呼吸をするたびに、胸の下や肋骨の間がへこむ「陥没呼吸」もみられます。さらに、鼻の穴をひくひくさせる「鼻翼呼吸」も特徴的な症状です。

これらの症状に加えて、赤ちゃんは呼吸をするのにとても苦労するため、苦しそうに息をする「呻吟」や、皮膚や唇の周りが青紫色になる「チアノーゼ」がみられることもあります。チアノーゼは、血液中の酸素が不足していることを示す危険なサインです。重症の場合、赤ちゃんは自分で呼吸をすることができなくなり、「無呼吸発作」を起こしたり、「呼吸不全」に陥ったりすることがあります。このような状態に陥ると、命に関わる可能性もあります。

新生児呼吸窮迫症候群は、早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。

症状 説明
多呼吸 呼吸が速くなる。赤ちゃんが懸命に呼吸をしようとしているサイン
陥没呼吸 呼吸をするたびに、胸の下や肋骨の間がへこむ
鼻翼呼吸 鼻の穴をひくひくさせる
呻吟 苦しそうに息をする
チアノーゼ 皮膚や唇の周りが青紫色になる。血液中の酸素が不足していることを示す危険なサイン
無呼吸発作 自分で呼吸をすることができなくなる
呼吸不全 呼吸困難に陥る。命に関わる可能性もある

新生児呼吸窮迫症候群の治療法

新生児呼吸窮迫症候群の治療法

新生児呼吸窮迫症候群は、主に早産で生まれた赤ちゃんに見られる呼吸障害です。この病気の赤ちゃんは、肺が未熟なため、呼吸するために必要な物質(肺サーファクタント)が十分に作られず、呼吸が苦しくなります。新生児呼吸窮迫症候群と診断された赤ちゃんは、新生児集中治療室(NICU)という、新生児のための特別な治療室で集中的な治療を受けます。

NICUでは、赤ちゃんの呼吸を助けるために、人工呼吸器が使われます。人工呼吸器は、赤ちゃんが自分で呼吸できない時や、呼吸が弱い時に、肺に空気を送り込むための機械です。人工呼吸器にはいくつかの種類があり、赤ちゃんの状態に合わせて適切なものが選ばれます。

また、呼吸を助けるために、サーファクタント補充療法という治療法も用いられます。サーファクタント補充療法は、不足している肺サーファクタントを、赤ちゃんの気管に直接投与する治療法です。この治療法により、肺の機能を改善し、呼吸を楽にすることができます。

さらに、赤ちゃんの体温を維持すること、栄養を補給すること、感染症を防ぐことも重要です。新生児呼吸窮迫症候群の赤ちゃんは、体温が低下しやすく、感染症にもかかりやすい状態です。そのため、NICUでは、赤ちゃんの状態を常に注意深く観察し、適切な処置を行います。

新生児呼吸窮迫症候群は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、多くの赤ちゃんが後遺症を残さずに回復することができます。

項目 説明
対象 主に早産で生まれた赤ちゃん
原因 肺が未熟なため、呼吸に必要な肺サーファクタントが不足する
治療 ・ 新生児集中治療室(NICU)での集中的な治療
 ・ 人工呼吸器による呼吸補助
 ・ サーファクタント補充療法
 ・ 体温維持
 ・ 栄養補給
 ・ 感染症予防
予後 早期発見と適切な治療で、多くの赤ちゃんは後遺症なく回復可能

新生児呼吸窮迫症候群の予後

新生児呼吸窮迫症候群の予後

新生児呼吸窮迫症候群は、生まれたばかりの赤ちゃんに起こる呼吸障害です。この病気にかかると、肺が十分に膨らまず、赤ちゃんは呼吸をするのが苦しくなります。 新生児呼吸窮迫症候群の赤ちゃんのその後については、病気の程度や治療の効果によって大きく変わってきます。

軽い新生児呼吸窮迫症候群の場合、適切な治療を行うことで、多くの赤ちゃんは後遺症もなく、無事に成長することができます。しかし、重症化してしまうと、慢性的な肺疾患や他の病気のリスクが高くなってしまいます。新生児呼吸窮迫症候群は、新生児死亡の主な原因の一つとなっているため、注意が必要です。

新生児呼吸窮迫症候群の赤ちゃんの中には、肺の機能が不完全に終わってしまうために、呼吸困難や発育の遅れなどの後遺症が残ってしまう場合があります。また、集中治療室での長期入院が必要となるケースもあり、その場合には、家族にとって大きな負担となる可能性もあります。新生児呼吸窮迫症候群は、早期発見と適切な治療が重要となる病気です。

新生児呼吸窮迫症候群 症状 予後 備考
軽症 肺が十分に膨らまない、呼吸困難 適切な治療で後遺症なく成長可能
重症 呼吸困難、発育の遅れなど 慢性的な肺疾患や他の病気のリスク増加、後遺症が残る可能性あり 新生児死亡の主な原因の一つ、集中治療室での長期入院が必要となるケースも

新生児呼吸窮迫症候群の予防

新生児呼吸窮迫症候群の予防

新生児呼吸窮迫症候群は、主に肺の未熟によって引き起こされる、生まれたばかりの赤ちゃんに多くみられる呼吸障害です。この病気の予防には、赤ちゃんが小さく未熟な状態で生まれてくることを防ぐことが最も重要になります。

まず、妊娠中は定期的に医療機関を受診し、医師の指示に従って健康管理を心がけましょう。お母さんと赤ちゃんの健康状態をこまめに確認することで、早期発見・早期治療につながります。

また、喫煙や飲酒は早産のリスクを高めることが知られています。妊娠中はもちろんのこと、妊娠を希望する場合は、その前から禁煙と禁酒を心がけましょう。

さらに、妊娠中にステロイド剤を投与することがあります。これは、赤ちゃんの肺の成熟を促し、新生児呼吸窮迫症候群のリスクを減らす効果が期待できるためです。ステロイド剤の使用については、医師とよく相談し、指示に従うようにしましょう。

新生児呼吸窮迫症候群は、早期に適切な治療を行えば、多くの場合、後遺症を残さずに回復する病気です。しかし、予防が何よりも大切です。妊娠中の健康管理をしっかり行い、赤ちゃんが無事に生まれてくるように準備しましょう。

新生児呼吸窮迫症候群の予防 詳細
定期的な妊婦健診 医師の指示に従い、お母さんと赤ちゃんの健康状態をこまめに確認する。
禁煙と禁酒 早産のリスクを避けるため、妊娠前から心がける。
ステロイド剤の投与 医師と相談の上、赤ちゃんの肺の成熟を促す。

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