慢性穿孔性中耳炎:耳の穴と聞こえの関係

耳鼻科

慢性穿孔性中耳炎:耳の穴と聞こえの関係

病院での用語を教えて

『慢性穿孔性中耳炎』って、どんな病気ですか?

体の健康研究家

簡単に言うと、中耳炎になった後、鼓膜に開いた穴が塞がらずに慢性化した状態を指します。鼓膜に穴が開いたままなので、細菌が入りやすく、耳漏が続いたり、難聴になることがあります。

病院での用語を教えて

へぇー。放っておいても大丈夫なものなんですか?

体の健康研究家

いいえ、放っておくと、めまいや顔面麻痺、さらにひどいと髄膜炎になることもあるので、しっかり治療する必要があります。耳の穴を塞いだり、手術で鼓膜を治す方法がありますよ。

慢性穿孔性中耳炎とは。

「慢性穿孔性中耳炎」は、中耳炎になった後、耳の鼓膜に開いた穴が塞がらずに残ってしまう病気です。中耳炎になってから3か月以上経っても鼓膜の穴が塞がらない場合は、慢性化していると見なされます。鼓膜に穴が開いているだけでは、音が聞こえにくくなることはあっても命に関わることはほとんどありません。しかし、炎症が長引くと耳だれが続いたり、顔の神経が麻痺したり、めまいや頭痛、さらにひどい場合は髄膜炎や脳膿瘍といった合併症を引き起こす可能性があります。また、穴の開いた部分から真珠腫性中耳炎という病気を併発することもあるので注意が必要です。

中耳炎や怪我などによって鼓膜に穴が開いた場合、通常は自然に治って穴は塞がります。しかし、穴が大きかったり、細菌感染を併発したりすると、治りが悪く鼓膜に穴が開いたままになってしまいます。その結果、耳の内部が常に外と通じている状態になり、細菌が入りやすくなってしまいます。また、耳と鼻をつなぐ管の働きが悪い人は、耳の中の空気の入れ替えや貯まった液体の排出がうまくいかず、中耳の炎症が長引いてこの病気を発症しやすくなります。

この病気になると、音が聞こえにくくなる、耳だれが出るといった症状が現れます。音が聞こえにくい場合は、通常は低い音が聞こえにくくなる「伝音難聴」という状態になりますが、炎症が内耳にまで及ぶと高い音が聞こえにくくなる「感音難聴」を伴うこともあります。耳だれは、膿のような状態で臭いがないことが多いですが、細菌感染や骨の破壊を伴うと悪臭を放つようになります。

診断は、鼓膜の状態を見ることで行います。

治療法としては、まず、抗菌薬やステロイドの点耳薬を使って、傷の治りを良くしたり炎症を抑えたりします。耳だれが出ている場合は、耳の中をきれいにした後、細菌培養検査を行い、その結果に基づいて適切な抗菌薬を内服または点耳投与します。日常生活では、お風呂やプールに入る時は耳栓をするなどして耳の中を水から守りましょう。また、鼓膜の穴を塞ぐ手術が必要となる場合もあります。

慢性穿孔性中耳炎とは

慢性穿孔性中耳炎とは

– 慢性穿孔性中耳炎とは慢性穿孔性中耳炎は、中耳炎が治った後も、鼓膜に開いた穴(穿孔)が塞がらず残ってしまう病気です。通常、急性中耳炎にかかると、耳の痛みや発熱、耳だれなどの症状が現れます。多くの場合、適切な治療を行うことでこれらの症状は改善し、鼓膜の穴も自然に塞がっていきます。しかし、急性中耳炎にかかってから3ヶ月以上経っても鼓膜の穴が塞がらない場合は、慢性穿孔性中耳炎になっていると考えられます。慢性穿孔性中耳炎になると、耳だれや難聴といった症状が繰り返し現れることがあります。また、耳だれによって耳の中が常に湿った状態になるため、細菌が繁殖しやすくなります。そのため、放置すると、さらに重症化し、手術が必要になる場合もあります。慢性穿孔性中耳炎は、適切な治療と日々のケアが重要な病気です。気になる症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

項目 説明
定義 中耳炎が治った後も、鼓膜に開いた穴(穿孔)が塞がらず残ってしまう病気
経過 急性中耳炎にかかってから3ヶ月以上経っても鼓膜の穴が塞がらない場合
症状
  • 耳だれ
  • 難聴
合併症のリスク
  • 細菌感染による重症化
  • 手術が必要になる可能性
重要な点 適切な治療と日々のケアが必要

症状と合併症

症状と合併症

– 症状と合併症

慢性穿孔性中耳炎になると、主に聞こえにくくなる、耳だれが出るといった症状が現れます。聞こえにくくなるのは、鼓膜に穴が開いているために音が内耳までうまく届かなくなることが原因です。

耳だれは、中耳の中で細菌が増殖することによって起こります。細菌と戦うために集まった白血球や、炎症によって生じた分泌物が、膿のような状態になって耳の穴から流れ出てきます。

慢性穿孔性中耳炎は、放置すると深刻な合併症を引き起こす可能性があります。例えば、顔の表情筋を動かす顔面神経が炎症の影響を受けることで、顔が麻痺したり、うまく動かせなくなったりすることがあります。

また、めまいが起こることもあります。さらに、炎症が内耳よりも奥にある脳にまで広がってしまうと、髄膜炎や脳膿瘍といった命に関わる危険な病気を引き起こす可能性もあります。

この他にも、中耳の中で炎症が長く続くことで、真珠腫という腫瘤ができることがあります。真珠腫は周囲の骨を破壊しながら大きくなっていくため、放置すると難聴やめまいが悪化するだけでなく、顔面神経麻痺や髄膜炎などのリスクを高めることになります。

症状・合併症 説明
聞こえにくい 鼓膜の穴により音が内耳に届きにくくなるため
耳だれ 中耳の細菌増殖による膿の排出
顔面神経麻痺 顔面神経が炎症の影響を受けるため
めまい 炎症による内耳への影響
髄膜炎・脳膿瘍 炎症が脳にまで広がることで発症する危険な病気
真珠腫 中耳の炎症が続くことでできる腫瘤。放置すると難聴、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎などのリスクが増加

病気のしくみ

病気のしくみ

私たちの耳は、外側から外耳、中耳、内耳という構造に分かれています。音は外耳から入り、鼓膜を振動させ、その振動が中耳にある小さな骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)に伝わって内耳に届き、音として認識されます。

中耳は鼓膜によって外耳と隔てられた空洞のような構造をしており、通常は空気で満たされています。この中耳と鼻の奥をつなぐ細い管の働きによって、中耳内の気圧は外気と同じに保たれています。これが耳管と呼ばれる器官です。

通常、鼓膜に小さな穴が開いても自然に治る場合がほとんどです。しかし、穴が大きかったり、細菌感染を併発したりすると、治癒がうまくいかず、鼓膜に穴が残ってしまうことがあります。これが穿孔性中耳炎と呼ばれる病気です。

耳管の機能が低下すると、中耳の気圧調節がうまくいかなくなり、中耳に滲出液が溜まりやすくなります。また、細菌が入り込みやすくなるため、中耳炎を繰り返してしまうこともあります。このような状態が続くと、慢性穿孔性中耳炎に移行しやすくなります。

慢性穿孔性中耳炎は、鼓膜の穴と耳漏が長期間続く状態を指します。耳漏は、炎症によって中耳に膿のような分泌物が溜まり、それが耳の穴から流れ出てくる症状です。慢性穿孔性中耳炎は、難聴や耳鳴りを引き起こすだけでなく、放置すると中耳炎を繰り返したり、周囲の骨に炎症が広がったりする可能性があります。そのため、早期に適切な治療を受けることが大切です。

部位 構造・機能 病気 症状・合併症
中耳 鼓膜によって外耳と隔てられた空洞。

耳管で鼻とつながり、気圧を調整
穿孔性中耳炎 鼓膜に穴が開く

細菌感染の可能性
慢性穿孔性中耳炎 耳管の機能低下による

中耳の気圧調整不良

滲出液貯留、中耳炎の繰り返し
鼓膜の穴と耳漏

難聴、耳鳴り

中耳炎の繰り返し、周囲の骨への炎症

診断

診断

鼓膜穿孔の診断は、耳鼻咽喉科の専門医による診察と検査によって行われます。

患者さんの訴えや症状を詳しく伺った後、医師は耳鏡と呼ばれる医療器具を用いて耳の中を観察します。耳鏡は、先端に光源と拡大鏡が付いた器具で、これを使用することで外耳道から鼓膜までの状態を詳細に確認することができます。

医師は耳鏡を通して、鼓膜に穴が空いていないか、穴の大きさや位置、そして耳だれが出ていないかなどを調べます。鼓膜穿孔の大きさや位置によって、聴力への影響や治療方針が変わってくるため、これらの情報は非常に重要です。さらに、中耳炎を併発している場合には、鼓膜の redness や swelling の程度も併せて確認します。

診断 方法 詳細
鼓膜穿孔 耳鼻咽喉科専門医による診察と検査 患者の訴えや症状の聴取、耳鏡を用いた観察
耳鏡検査 耳鏡を使用 – 鼓膜に穴が空いているか
– 穴の大きさや位置
– 耳だれが出ているか
– 鼓膜の redness や swelling の程度

治療

治療

鼓膜に穴が開いてしまった場合の治療は、まずはお薬を使った治療から始めます。これは、手術をせずに治すことを目指す治療法で、保存的治療とも呼ばれます。

お薬としては、主に2つの種類があります。一つは、細菌による感染を抑えるための抗菌薬です。もう一つは、炎症を抑え、痛みや腫れを和らげるためのステロイド薬です。これらのお薬は、点耳薬として耳の中に直接垂らして使います。

お薬による治療と並行して、日常生活では耳の清潔を保つことが非常に重要です。また、耳の穴に水が入ると、症状が悪化したり、治りが遅くなったりする可能性があります。そのため、洗顔や洗髪の際には特に注意し、入浴や水泳の際には、必ず耳栓をするようにしましょう。

これらの治療を行っても効果が不十分な場合や、鼓膜の穴が自然に塞がらない場合には、手術が必要となることもあります。手術では、鼓膜の穴を塞ぐために、自分の体の組織や人工材料を移植します。

治療法 詳細 備考
薬物療法(保存的治療)
  • 抗菌薬:細菌感染の抑制
  • ステロイド薬:炎症の抑制、痛み・腫れの緩和
点耳薬として耳に直接投与
日常生活では、耳の清潔を保つことが重要
洗顔や洗髪の際は注意し、入浴や水泳では耳栓をする
手術 鼓膜の穴を塞ぐための手術
自分の体の組織や人工材料を移植
薬物療法で効果がない場合や、鼓膜の穴が自然に塞がらない場合に検討

手術が必要な場合

手術が必要な場合

鼓膜に穴が開いてしまうと、自然に治癒する場合もありますが、穴が大きかったり、薬による治療が効かない場合は、手術が必要になることがあります。手術には、主に次の二つの方法があります。

一つ目は、「鼓膜形成術」と呼ばれる手術です。これは、自分の体の組織を移植して、鼓膜に開いた穴を塞ぐ手術です。もう一つは、「鼓室形成術」と呼ばれる手術です。これは、鼓膜の奥にある鼓室という空間の構造を改善する手術です。

いずれの手術も、全身麻酔を用いて行われます。そのため、手術後は数日間入院する必要があります。手術は、高い確率で成功し、手術後は耳が聞こえにくい、耳だれが出るといった症状が改善されることが期待できます。

手術方法 説明 麻酔 入院
鼓膜形成術 自分の体の組織を移植して、鼓膜に開いた穴を塞ぐ手術 全身麻酔 数日間
鼓室形成術 鼓膜の奥にある鼓室という空間の構造を改善する手術 全身麻酔 数日間

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