ムンテラとは:医師の説明責任の変遷
病院での用語を教えて
先生、「ムンテラ」って言葉は聞いたことがあるんですけど、インフォームド・コンセントとは何が違うんですか?
体の健康研究家
良い質問ですね。確かにどちらも医師から患者への説明という意味では似ていますね。大きな違いは、昔のムンテラは医師が一方的に説明することが多かったのに対し、インフォームド・コンセントは患者さんと一緒に治療方法などを決めていくという点です。
病院での用語を教えて
なるほど。患者が自分の意見を言えるようになったということですか?
体の健康研究家
その通りです。医師の説明に納得してから治療を受けるかどうかを、患者自身が判断することができるようになったのです。
ムンテラとは。
「ムンテラ」という言葉は、お医者さんが患者さんに、病気の状態や治療について説明することを指します。昔は、お医者さんが治療方針を決めて、それを患者さんに伝えることが「ムンテラ」で、患者さんはそれに従うことが多かったのです。しかし、1997年以降は医療法が変わり、「インフォームド・コンセント」という方法がとられるようになりました。これは、お医者さんや医療チームが、病気や治療について患者さんにきちんと説明し、患者さんがそれを理解した上で治療を受けるかどうかを決めるというものです。
ムンテラの意味
– ムンテラの意味ムンテラという言葉は、医療現場において医師が患者に行う、病気や治療方針に関する説明を指します。 これは、ドイツ語で「口頭陳述」を意味する「ムントエルンク(mundelung)」に由来しています。 かつては、医師が自らの診断や治療方針を患者に口頭で説明することが一般的であり、ムンテラは医師の説明責任の中核を担っていました。患者は医師の説明に耳を傾け、医師の言葉に基づいて治療を受けることを選択していました。しかし、医療技術の進歩やインフォームド・コンセントの普及に伴い、ムンテラは単なる口頭説明にとどまらず、患者と医師が共に治療方針を決定するための重要なコミュニケーションの場として認識されるようになりました。現代のムンテラでは、医師は患者に対して、病名、症状、治療法の選択肢、それぞれの治療法のメリットやデメリット、治療に伴うリスクなどを丁寧に説明します。さらに、患者が自身の病気や治療について理解し、納得した上で治療方針を選択できるように、図や模型を用いたり、患者からの質問に時間をかけて答えたりするなど、分かりやすい説明を心がけることが重要視されています。ムンテラを通じて、患者と医師の信頼関係が築かれ、より良い医療の実現につながると考えられています。
項目 | 内容 |
---|---|
意味 | 医師が患者に行う、病気や治療方針に関する説明 |
由来 | ドイツ語の「ムントエルンク(mundelung)」(口頭陳述) |
変遷 | かつては医師による口頭説明が中心だったが、現在は患者と医師が共に治療方針を決定するためのコミュニケーションの場として重要視されている |
現代のムンテラのポイント | – 病名、症状、治療法の選択肢、メリット・デメリット、リスクなどを丁寧に説明する – 図や模型を用いたり、質問に時間をかけて答えるなど、分かりやすい説明を心がける |
意義 | 患者と医師の信頼関係を築き、より良い医療の実現につながる |
かつての医療現場におけるムンテラ
かつての医療現場では、医師は患者にとって雲の上の存在のような、絶対的な権威を持つ存在として認識されていました。医師は長年の研鑽によって得られた豊富な知識と経験に基づいて患者の病状を判断し、最適な治療方針を決定します。患者は医師の判断に疑問を持つことなく、言われた通りに治療を受けることが求められました。このような医療現場は、例えるならば、父親が家庭の中で絶対的な権力を持つ patriarchal な家族のような、paternalism(父権主義)的な医療体制と言えます。ムンテラはこのような医療体制の中で行われていました。当時の医師は、患者に対して病気の説明や治療方針を伝える際、専門用語を多用したり、抽象的な表現を用いたりすることが少なくありませんでした。これは、患者に余計な不安や混乱を与えることを避けるため、あるいは、医師の権威を保つためだと考えられていました。しかし、その結果として、患者は自身の病気や治療内容について十分に理解できないまま、治療を受けることになってしまっていました。医師と患者との間には、知識や情報の格差だけでなく、心の壁のようなものも存在していました。ムンテラは、このような状況で行われていたため、患者は医師に対して疑問や不安を口に出すことができず、ただ医師の言葉に黙って耳を傾けるだけでした。
項目 | 説明 |
---|---|
過去の医療現場における医師の立場 | 絶対的な権威を持つ存在、患者の病気や治療に関する意思決定の主導権を持つ |
当時の医療体制 | paternalism(父権主義)的な医療体制 |
医師と患者のコミュニケーション | 医師は専門用語や抽象的な表現を用いることが多く、患者は自身の病気や治療内容について十分に理解できなかった。 医師と患者との間には心の壁が存在し、患者は疑問や不安を医師に伝えづらかった。 |
医療法改正とインフォームド・コンセントの導入
1997年の医療法改正は、それまでの日本の医療において大きな転換点となった出来事でした。この改正によって、患者さんの意思を尊重し、患者さんを中心とした医療が重要視されるようになったのです。
改正以前は、医師の説明責任は今ほど重視されていませんでした。しかし、改正によって医師は患者さんに対して、病状や治療法について具体的に説明することが義務付けられるようになりました。
具体的には、医師は患者さんに対して、診断内容や治療方針だけでなく、考えられる危険性や副作用、他の治療法、治療を受けなかった場合のリスクなどを分かりやすく説明しなければなりません。患者さんは、医師から十分な説明を受け、その内容を理解した上で、治療を受けるかどうかを自分で決める権利を持つようになりました。これが「インフォームド・コンセント」と呼ばれるものです。
インフォームド・コンセントは、患者さんが自らの健康や医療について積極的に関与することを促し、医師と患者さんの信頼関係を築く上で重要な役割を果たしています。
項目 | 改正前 | 改正後 |
---|---|---|
医療の考え方 | 医師中心 | 患者中心 |
医師の説明責任 | 重視されていなかった | 義務化 |
医師が説明すべき内容 | – | 診断内容、治療方針、危険性や副作用、他の治療法、治療を受けなかった場合のリスクなど |
患者の権利 | – | 医師の説明を理解した上で、治療を受けるかどうかを自分で決める権利(インフォームド・コンセント) |
ムンテラからインフォームド・コンセントへ
かつては、医師が患者に対して一方的に病気の説明や治療方針を伝えることが一般的でした。これは「ムンテラ」と呼ばれ、医師の言葉は絶対的なものとして受け止められる傾向がありました。
しかし、医療を取り巻く状況は大きく変化しました。患者さんの権利意識の高まりや、医療情報の入手経路の多様化に伴い、医師と患者が対等な立場で医療に向き合うことの重要性が認識されるようになったのです。
このような背景から生まれたのが「インフォームド・コンセント」です。これは、医師が一方的に説明するのではなく、患者さんと医師が医療情報を共有し、共に治療方針を決定していくという、双方向的なコミュニケーションを重視した考え方です。
インフォームド・コンセントにおいては、患者さんは医師の説明に納得がいくまで質問することができます。また、自身の価値観や生活背景、希望などを医師に伝えることで、自分に最適な治療法を選択することができるようになりました。
インフォームド・コンセントの導入は、患者さんが医療に参加する権利を保障し、患者さん主体の医療を実現する上で、大きな前進と言えるでしょう。
項目 | 従来の医療 (ムンテラ) | インフォームド・コンセント |
---|---|---|
医師と患者の関係 | 医師が絶対的な立場、患者は受け身 | 医師と患者は対等な立場 |
医療情報の提供 | 医師から患者への一方的な説明 | 医師と患者で医療情報を共有 |
治療方針の決定 | 医師が決定 | 医師と患者が共に決定 |
患者の権利 | 制限的 | 医療に参加する権利、自分に最適な治療を選択する権利 |
現代医療におけるコミュニケーションの重要性
今日の医療において、医師と患者との間で良好な意思疎通を図ることは非常に大切になっています。
医師は、患者にとって難しい専門用語を使わずに、わかりやすい言葉で丁寧に説明するよう努めなければなりません。患者が病気や治療について不安や疑問を抱えている場合には、しっかりと耳を傾け、共感する姿勢が求められます。
一方、患者も医師とのコミュニケーションを積極的に図る必要があります。自身の病気や治療法について疑問があれば、遠慮なく医師に質問し、解消していくことが重要です。また、自分の症状や気持ちの変化を医師に伝えることも大切です。
医師と患者がお互いに信頼関係を築き、良好なコミュニケーションを取ることによって、より適切な診断と治療、そして患者の不安の軽減につながります。これは、医療の質向上にも大きく貢献すると言えるでしょう。
役割 | コミュニケーションのポイント |
---|---|
医師 | ・ 専門用語を使わずに、わかりやすい言葉で丁寧に説明する ・ 患者の不安や疑問に耳を傾け、共感する |
患者 | ・ 病気や治療法について疑問があれば、遠慮なく医師に質問する ・ 自分の症状や気持ちの変化を医師に伝える |