広背筋:背中の広がりを支える筋肉
病院での用語を教えて
『広背筋』って、体のどこにある筋肉で、どんな働きをするんですか?
体の健康研究家
いい質問だね!広背筋は背中側にある筋肉で、人体の中で一番面積が広いんだよ。腕を後ろに引いたり、内側に回したりする時に働くんだ。
病院での用語を教えて
へえー、背中の一番広い筋肉なんですね!面積が広いと、どんなことに役立つんですか?
体の健康研究家
広背筋は、物を持ち上げたり、引っ張ったりする動作に貢献しているんだ。例えば、重い荷物を持ち上げるときや、懸垂運動をする時に活躍する筋肉だよ。
広背筋とは。
「広背筋」は、背中下の方で三角形の形をした筋肉で、背中の浅い部分にある筋肉の一つです。腰から胸にかけて広がる三角形の板状の筋肉で、背中の中で一番面積が広い筋肉です。昔は「闊背筋」とも呼ばれていました。広背筋は、第5胸椎から第5腰椎の棘突起、仙骨、腸骨稜後内側部、第9から12肋骨から始まり、外側上方に向かって集まりながら腋窩を通り、上腕骨上部前面の小結節稜に付着します。広背筋の働きは、腕を内側にひねることで、さらに腕を内側後方に引き寄せる働きもします。また、腕を内側に回転させる働きもあります。さらに、広背筋は、息を強く吐き出す時の呼吸を助ける筋肉の一部でもあります。神経支配は胸背神経(C6-8)が行い、広背筋と反対の働きをする筋肉は三角筋と僧帽筋です。広背筋は体の構造上、様々な目印になります。広背筋の外側下の縁と腸骨稜と外腹斜筋の後縁が作る三角形は「腰三角」と呼ばれ、お腹を覆う膜の抵抗力が弱い部分で、腰ヘルニアの原因となります。また、広背筋の上縁と肩甲骨の内側の縁と僧帽筋の外側の縁が作る三角形は「聴診三角」と呼ばれ、筋肉の層が薄いため呼吸音がはっきり聞こえるので聴診に適しています。
広背筋の位置と形状
– 広背筋の位置と形状広背筋は、名前の通り背中を広範囲に覆う、人体の中でも比較的大きな筋肉です。まるで一枚の薄い板のように平たく広がっており、その形状は三角形に似ています。起始部は腰の骨である仙骨や腸骨稜、そして背骨である胸椎の下部に付着しており、そこから背中全体を覆うように上に向かって広がっています。そして、腕の骨である上腕骨に停止部を持ちます。この筋肉は、背中の上部から腰、そして腕へと繋がるその広がりから、腕を動かす際に重要な役割を果たすと同時に、姿勢を維持するためにも貢献しています。例えば、腕を後ろに引いたり、体側に引き寄せたりする動作は、広背筋の働きによって行われます。また、物を持ち上げる際にも、この筋肉は大きな力を発揮します。広背筋は、その大きさから、背中のトレーニングでは特に注目される筋肉の一つです。鍛えれば背中の厚みや幅を出すことができ、逆三角形の逞しい背中を作ることができます。
項目 | 詳細 |
---|---|
筋肉名 | 広背筋 |
形状 | 薄い板状、三角形 |
起始部 | 仙骨、腸骨稜、胸椎下部 |
停止部 | 上腕骨 |
機能 | – 腕を後ろに引く – 体側に腕を引き寄せる – 物を持ち上げる – 姿勢の維持 |
広背筋の起始と停止
筋肉は骨と骨を繋ぎ、その収縮によって体の動きを生み出します。筋肉が骨に付着する部分を起始と停止といい、筋肉の動きや役割を理解する上で重要な要素となります。今回は、背中を広く覆う大きな筋肉である広背筋の起始と停止について詳しく見ていきましょう。
広背筋は、その名の通り背中の中心部から腰にかけて広範囲に渡って起始します。具体的には、第7胸椎から第5腰椎にかけての棘突起、仙骨、腸骨稜後部など、複数の骨にまたがっています。また、第10~12肋骨からも起始し、肋骨の動きにも関与します。このように、広背筋は複数の骨から起始することで、より大きな力を発揮することができます。
一方、広背筋の停止は上腕骨の上部前面、結節間溝と呼ばれる部分です。広背筋は背中から脇の下を通って腕の骨へとつながり、この起始と停止が離れている構造によって、腕を大きく動かすことが可能になります。腕を後ろに引いたり、体側に近づける動作、腕を内側に捻る動作など、広背筋は様々な動きに関与しています。
項目 | 詳細 |
---|---|
筋肉名 | 広背筋 |
起始 | ・第7胸椎から第5腰椎にかけての棘突起 ・仙骨 ・腸骨稜後部 ・第10~12肋骨 |
停止 | 上腕骨上部前面(結節間溝) |
特徴 | ・背中を広く覆う大きな筋肉 ・複数の骨から起始することで大きな力を発揮 ・起始と停止が離れている構造により、腕を大きく動かすことが可能 |
広背筋の働き
広背筋は、人間の背中にある筋肉の中で最も広い面積を持つ筋肉で、その名の通り背中に広く分布しています。肩甲骨の下部から腰の骨盤にかけて始まり、腕の骨である上腕骨に繋がっています。この広背筋は、腕を様々な方向に動かすだけでなく、呼吸や姿勢の維持にも関与する重要な筋肉です。
広背筋の主な働きとしては、腕を内側に閉じる動き、腕を後ろに引く動き、腕を内側に捻る動きなどがあります。これらの動きは、日常生活の様々な場面で見られます。例えば、重い荷物を持つ時には、腕を内側に閉じる動きと腕を後ろに引く動きが使われます。また、椅子から立ち上がる時には、腕を後ろに引く動きが重要な役割を果たします。
スポーツにおいても、広背筋は重要な役割を担っています。水泳では、腕を大きく動かすことで水をかき、推進力を得ますが、この時、広背筋は腕を内側に閉じる動きや腕を後ろに引く動きを力強く行うことで、スムーズな泳ぎを可能にしています。クライミングでは、壁を登る際に腕で身体を支えたり、引き上げたりする動作が必要となりますが、この際にも広背筋の力が大きく貢献しています。
さらに、広背筋は呼吸にも関わっています。呼吸をする際、息を吸う時には横隔膜が収縮しますが、息を吐き出す時には広背筋が収縮することで、肋骨を下方に引き下げ、肺から効率的に空気を押し出すのを助けます。このように広背筋は、運動機能だけでなく、呼吸機能にも貢献しているのです。
項目 | 詳細 |
---|---|
筋肉名 | 広背筋 |
位置 | 背中の下部、肩甲骨から骨盤にかけて |
起始 | 肩甲骨下部、腰の骨盤 |
停止 | 上腕骨 |
主な働き | – 腕を内側に閉じる – 腕を後ろに引く – 腕を内側に捻る – 呼吸(呼気)の補助 – 姿勢の維持 |
日常生活での役割 | – 重い荷物を持つ – 椅子から立ち上がる |
スポーツでの役割 | – 水泳:腕を動かす推進力 – クライミング:身体を支えたり、引き上げたりする |
広背筋と神経
背中を広範囲に覆う大きな筋肉、広背筋。この筋肉は、腕を後ろに引いたり、物を持ち上げたりする動作に大きく貢献しています。広背筋の動きをコントロールしているのが、脳からの指令を伝える伝令役、神経です。広背筋には、胸背神経と呼ばれる神経が繋がっています。
胸背神経は、首の骨のあたりから出発し、複雑な経路をたどって広背筋に到達します。その道中は、まるで人体の中を縫うように、首から肩、そして脇の下を通過していきます。この重要な神経が、何らかの原因で傷ついてしまうことがあります。交通事故による衝撃や、スポーツ中の激しい動き、あるいは病気の影響など、その原因は様々です。
胸背神経が損傷すると、広背筋は脳からの指令を正しく受け取ることができなくなります。そのため、思い通りに腕を動かすことが難しくなったり、腕を持ち上げる動作で力が入りづらくなったりします。また、広背筋の感覚が鈍くなり、触れられた感覚が弱くなることもあります。このように、胸背神経の損傷は、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。
項目 | 詳細 |
---|---|
筋肉 | 広背筋(背中を広範囲に覆う大きな筋肉) |
機能 | 腕を後ろに引く、物を持ち上げる |
神経支配 | 胸背神経 |
胸背神経の経路 | 首(出発点) – 肩 – 脇の下 – 広背筋 |
胸背神経損傷の原因 | 交通事故、スポーツ中の激しい動き、病気など |
胸背神経損傷の影響 | 腕の運動障害、腕の筋力低下、広背筋の感覚鈍麻 |
広背筋と他の筋肉との関係
人間の背中を広範囲に覆う筋肉、広背筋。この筋肉は単独で働くことは少なく、他の多くの筋肉と連携することで、様々な動作を可能にしています。
例えば、腕を頭上に持ち上げる動作を考えてみましょう。この時、広背筋は肩の前方に位置する三角筋と共に働きます。広背筋が腕を後ろへ引く力を生み出す一方で、三角筋は腕を前方へと持ち上げる力を生み出し、両者のバランスが取れることでスムーズな腕の動きが実現するのです。
また、腕を内側に閉じる動作には、胸板を形成する大胸筋と協力して働きます。この場合、広背筋は腕を身体の中心へと引き寄せる役割を担い、大胸筋は腕を胸の前で閉じる役割を担います。これらの筋肉の共同作業によって、私たちは物を抱えたり、重い物を持ち上げたりすることが可能になります。
このように、広背筋は他の筋肉との複雑な連携を通じて、私たちの日常生活における様々な動作を支えています。これらの筋肉のバランスが崩れると、身体の動きが制限されたり、痛みを生じたりする可能性があります。日頃からバランスの取れた運動を心がけ、広背筋と他の筋肉との調和を保つことが大切です。
動作 | 広背筋の役割 | 連携する筋肉 | 連携する筋肉の役割 |
---|---|---|---|
腕を頭上に持ち上げる | 腕を後ろへ引く | 三角筋 | 腕を前方へと持ち上げる |
腕を内側に閉じる | 腕を身体の中心へと引き寄せる | 大胸筋 | 腕を胸の前で閉じる |
広背筋と健康
– 広背筋と健康広背筋は、背中下部から脇の下にかけて広がる大きな筋肉で、腕を後ろに引いたり、下に引っ張ったりする際に使われます。日常生活では、重い荷物を持ったり、スポーツでボールを投げたりする際に活躍します。この広背筋は、実は肩や腰の健康にも深く関わっています。広背筋が硬くなると、肩甲骨の動きが悪くなり、肩こりの原因になることがあります。肩甲骨は、広背筋を含む複数の筋肉によって支えられていますが、広背筋が硬くなると、肩甲骨の動きが制限され、周囲の筋肉に負担がかかりやすくなります。その結果、肩こりや肩の痛みを引き起こしやすくなってしまうのです。また、広背筋は、腰を支える役割も担っているため、広背筋が弱くなると、腰痛を引き起こす可能性があります。腰は、上半身の重みを支える重要な部位ですが、広背筋は、腰の筋肉と連動して、腰を安定させる働きをしています。そのため、広背筋が弱くなると、腰への負担が増大し、腰痛のリスクが高まるのです。このように、広背筋は、肩や腰の健康に大きく関わっています。日頃から、ストレッチや軽い運動を取り入れることで、広背筋を柔らかく保ち、肩こりや腰痛を予防しましょう。
筋肉 | 機能 | 硬くなった場合の影響 | 弱くなった場合の影響 |
---|---|---|---|
広背筋 | 腕を後ろに引いたり、下に引っ張ったりする。重い荷物を持ったり、ボールを投げたりする際に使われる。 | 肩甲骨の動きが悪くなり、肩こりの原因になる。 | 腰を支える力が弱まり、腰痛を引き起こす可能性がある。 |