中心静脈栄養法:口からの食事が難しいときの選択肢

看護技術

中心静脈栄養法:口からの食事が難しいときの選択肢

病院での用語を教えて

先生、「中心静脈栄養法」って、どんな治療法ですか?

体の健康研究家

良い質問だね。「中心静脈栄養法」は、口から食べられない患者さんのために、栄養を直接血管に入れる方法なんだ。心臓に近い大きな血管に管を入れて、そこから栄養剤を送り込むんだよ。

病院での用語を教えて

へえー、そうなんですね。どうして心臓に近い血管に入れる必要があるんですか?

体の健康研究家

心臓に近い太い血管に入れることで、栄養が体全体に quickly 行き渡るようにするためだよ。口から食べるのとは違って、消化する必要がないからね。

中心静脈栄養法とは。

『中心静脈栄養法』っていうのは、体の真ん中にある太い血管に管を入れて栄養剤を入れる治療法のことだよ。 栄養を入れるための管は、鎖骨の下あたりか首の血管から入れて、心臓に近い太い血管まで届かせるんだ。 この方法では、たくさんのカロリーを含んだ栄養剤を入れることが多いよ。 昔は『高カロリー輸液』って呼ばれていたこともあったけど、今は『中心静脈栄養法』っていう名前が正しいんだ。

中心静脈栄養法とは

中心静脈栄養法とは

– 中心静脈栄養法とは中心静脈栄養法(TPN)は、口から十分な栄養を摂取することが難しい患者さんに対して、必要な栄養を直接血液中に送り込む治療法です。私たちの体は、健康を維持し、活動するためのエネルギー源として、また、組織の成長や修復のために栄養が必要です。 通常、私たちは食事から必要な栄養を摂取しますが、病気や怪我など様々な理由で、口から十分な栄養を摂取できない場合があります。 このような場合に、中心静脈栄養法が用いられます。 中心静脈栄養法では、心臓に近い太い静脈である中心静脈にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入します。カテーテルは、通常、鎖骨の下を通る鎖骨下静脈や首にある内頚静脈から挿入され、その先端は心臓の近くにある上大静脈という大きな静脈に位置します。 そして、このカテーテルを通じて、糖分、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなど、体に必要な栄養素をバランス良く含んだ高カロリーの栄養輸液を直接血液中に送り込みます。中心静脈栄養法は、生命維持に不可欠な場合もあれば、患者さんの栄養状態を改善し、回復を早めることを目的とする場合もあります。

項目 説明
中心静脈栄養法(TPN)とは 口から十分な栄養を摂取することが難しい患者さんに対して、必要な栄養を直接血液中に送り込む治療法
目的
  • 病気や怪我などで口から十分な栄養を摂取できない場合に栄養を補給する
  • 生命維持
  • 栄養状態を改善し、回復を早める
方法
  • 心臓に近い太い静脈(鎖骨下静脈や内頚静脈など)にカテーテルを挿入
  • カテーテルを通じて、糖分、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く含んだ高カロリーの栄養輸液を直接血液中に送り込む

中心静脈栄養法の対象

中心静脈栄養法の対象

中心静脈栄養法は、口から十分な栄養を摂ることが難しい患者さんにとって、命をつなぐための大切な治療法です。では、具体的にどのような場合に中心静脈栄養法が行われるのでしょうか。

中心静脈栄養法が必要となる主なケースとして、まず挙げられるのが消化管の病気です。例えば、栄養を吸収する上で重要な役割を担う小腸の機能が低下する短腸症候群や、腸に炎症が起こることで激しい下痢や腹痛を引き起こすクローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患が挙げられます。また、腸が詰まってしまう腸閉塞も、中心静脈栄養法が必要となるケースの一つです。

さらに、がんの治療においても、中心静脈栄養法は重要な役割を担います。抗がん剤治療は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を及ぼすため、消化器官の機能が低下し、食欲不振や吐き気などを引き起こすことがあります。このような場合には、中心静脈栄養法によって栄養を補給することで、治療の継続を可能にします。

その他、事故や火傷などによる重症の患者さんに対しても、中心静脈栄養法が行われることがあります。重症の患者さんは、体力が著しく低下しているため、口から食事を摂ることが難しく、集中的な栄養管理が必要となります。中心静脈栄養法は、このような患者さんの栄養状態を改善し、回復を促す上で、非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。

中心静脈栄養法が必要となるケース 具体的な疾患例
消化管の病気 ・短腸症候群
・クローン病
・潰瘍性大腸炎
・腸閉塞
がんの治療 ・抗がん剤治療による消化器官機能の低下
事故や火傷 ・重症状態による経口摂取困難

投与される栄養素

投与される栄養素

– 投与される栄養素中心静脈栄養法で体内に入れる栄養剤は、高カロリー輸液と呼ばれ、たくさんのエネルギーを作り出すブドウ糖や体の構成成分となるアミノ酸、エネルギー源となる脂質、体内の水分調整に欠かせない電解質、そして体の機能を調整するビタミンや微量元素など、様々な栄養素を含んだ液体です。これらの栄養素は、患者さんの病気の状態や、普段からどのくらい食べられているかといった栄養状態、体内で栄養がどのように変化し使われているかを示す代謝機能などを考えて、一人ひとりに合わせて配合されます。栄養剤の投与は、通常、24時間体制で途切れることなく行われます。しかし、患者さんの生活リズムに合わせて、夜間のみ行う場合もあります。投与する期間は、患者さんの病気の回復具合や体の状態によって大きく異なり、数日から長い場合は数ヶ月、場合によっては数年以上に及ぶこともあります。

項目 内容
名称 高カロリー輸液
成分 ブドウ糖, アミノ酸, 脂質, 電解質, ビタミン, 微量元素
配合 患者さんの状態(病気, 栄養状態, 代謝機能など)に合わせて調整
投与方法 通常は24時間体制.
患者によっては夜間のみの場合も.
投与期間 数日~数ヶ月(数年以上に及ぶ場合も)

中心静脈栄養法のメリット

中心静脈栄養法のメリット

– 中心静脈栄養法のメリット中心静脈栄養法は、口から食事を摂ることが難しい患者さんにとって、生命を維持し、健康を回復するために欠かせない治療法です。その最大の利点は、必要な栄養を確実に体内に届けることができる点にあります。口から食事ができない状態が続くと、体はエネルギー不足に陥り、体重が減ったり、免疫力が低下したりします。また、傷の治りも遅くなり、感染症のリスクも高まります。中心静脈栄養法は、このような事態を防ぎ、患者さんの体づくりと健康回復を支えるために重要な役割を担います。具体的には、高カロリーの栄養剤を直接血管に投与することで、効率的に栄養を補給することができます。そのため、食事が摂れないことによる体重減少や体力低下を予防し、むしろ体重増加や体力回復を目指すことができます。また、免疫力を高める効果も期待できるため、感染症などの合併症のリスクを減らすことも可能です。さらに、中心静脈栄養法は、消化管に負担をかけずに栄養を供給できるという点も大きなメリットです。消化管の手術後や、消化管に炎症や潰瘍がある場合、消化管の安静が必要となることがあります。このような場合でも、中心静脈栄養法であれば、消化管を使わずに栄養を摂取できるため、治療をスムーズに進めることができます。このように、中心静脈栄養法は、様々な理由で食事が困難な患者さんにとって、多くのメリットをもたらす有効な治療法です。

中心静脈栄養法のメリット 説明
確実な栄養補給 高カロリーの栄養剤を直接血管に投与することで、口から食事が摂れない場合でも効率的に栄養を補給できます。体重減少や体力低下を防ぎ、回復を目指します。
免疫力向上 栄養状態が改善されることで免疫力が高まり、感染症などの合併症リスクを減らす効果も期待できます。
消化管への負担軽減 消化管を使わずに栄養を摂取できるため、消化管の手術後や、炎症や潰瘍がある場合でも治療をスムーズに進めることができます。

中心静脈栄養法のリスク

中心静脈栄養法のリスク

中心静脈栄養法は、口から食事を摂ることが難しい患者さんにとって、栄養を補給し、生命を維持するために非常に大切な治療法です。しかし、体にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入するという処置を行うため、いくつかのリスクが伴います。

中心静脈栄養法で最も注意すべき合併症の一つが、カテーテル挿入部からの感染症です。カテーテルが体内に入っているため、細菌が血液中に侵入しやすくなり、菌血症や敗血症などを引き起こす可能性があります。また、血液中にカテーテルを留置することで、血栓という血液の塊が生じやすくなる血栓症のリスクもあります。血栓は、肺に飛び、呼吸困難や胸の痛みを引き起こす肺塞栓症などの重篤な病気を引き起こす可能性があります。

さらに、中心静脈栄養では、高濃度の栄養液を直接血液中に投与するため、肝臓に負担がかかり、肝機能障害が起こる可能性があります。その他、血糖値のコントロールが難しくなり、高血糖を引き起こすこともあります。

これらのリスクを最小限に抑えるために、医師や看護師は、カテーテル挿入部の清潔を保ち、感染予防対策を徹底するとともに、患者さんの状態を注意深く観察し、合併症の早期発見と治療に努める必要があります。また、患者さん自身も、体調の変化に気を配り、発熱や倦怠感、息切れ、胸の痛み、カテーテル挿入部の痛みや腫れ、発赤などの症状が現れた場合には、速やかに医師や看護師に伝えることが重要です。

合併症 症状
カテーテル感染症(菌血症、敗血症など) 発熱、倦怠感など
血栓症(肺塞栓症など) 息切れ、胸の痛みなど
肝機能障害
高血糖

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