沈黙の石?胆石について解説
病院での用語を教えて
先生、「胆石」って、どういうものですか? なぜできるのでしょうか?
体の健康研究家
胆石は、簡単に言うと、胆汁の成分が固まって石のように硬くなったものだよ。胆汁は肝臓で作られて、脂肪の消化を助ける働きをしているんだ。
病院での用語を教えて
じゃあ、胆汁が固まってしまうのはなぜですか?
体の健康研究家
いくつか理由はあって、まだはっきりとはわかっていない部分もあるんだけど、食生活の偏りや、運動不足、体質などが関係していると言われているよ。
胆石とは。
「胆石」は、肝臓で作られる胆汁の成分が固まって、胆道という胆汁の通り道にできた石のことです。胆石によって症状が出る病気を胆石症と言いますが、症状が出なくても胆石症と呼ぶことがよくあります。特に中年以降、年を重ねるにつれて胆石を持っている人の割合は高くなり、日本では約5~10%の人が胆石を持っていると言われています。
胆汁の結晶化
– 胆汁の結晶化
胆汁は、肝臓でつくられ、脂肪の消化を助ける液体です。通常はサラサラとしていますが、成分のバランスが崩れると、結晶が生じてしまいます。この結晶が成長すると、やがて石のように固くなり、胆石と呼ばれます。
胆汁に含まれる成分のうち、結晶化しやすいものとして、コレステロールとビリルビンが挙げられます。コレステロールは脂肪の一種で、細胞膜やホルモンの材料となる重要な物質ですが、胆汁中に過剰に存在すると結晶化しやすくなります。また、ビリルビンは赤血球が壊れる際に生じる色素で、通常は胆汁とともに体外へ排出されますが、何らかの原因で胆汁中の濃度が高くなると、結晶化しやすくなることがあります。
胆石は、胆のうや胆管に発生することが多く、その大きさや数も様々です。小さな結晶のうちは自覚症状がない場合もありますが、結石が大きくなると、胆のうや胆管を詰まらせ、激しい腹痛や吐き気などを引き起こすことがあります。さらに、結石が胆管に詰まった状態が続くと、胆汁の流れが滞り、黄疸などの症状が現れることもあります。
胆石は、食生活の欧米化や運動不足などが原因で増加傾向にあり、近年では、比較的若い世代での発症も増えています。胆石を予防するためには、バランスの取れた食事や適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
胆汁とは | 肝臓でつくられ、脂肪の消化を助ける液体。成分のバランスが崩れると結晶化し、胆石となる。 |
胆汁の結晶化しやすい成分 |
|
胆石の発生場所 | 胆のう、胆管 |
胆石の症状 |
|
胆石の予防 | バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がける。 |
胆石の種類
胆石は、胆のうや胆管にできる結石のことで、その成分によって大きく二つに分けられます。
まず一つ目は、コレステロール胆石です。名前の通り、コレステロールを主成分とする胆石で、欧米人に多く見られます。食生活の欧米化に伴い、日本でも増加傾向にあると言われています。
二つ目は、ビリルビン胆石です。こちらは、赤血球が壊れる際にできるビリルビンという色素が主成分となっています。ビリルビン胆石は、アジア人に多く見られる傾向があります。
このように、胆石は大きく分けて二つの種類に分けられますが、その原因やできやすい人の特徴は異なります。どちらの胆石も、食生活の乱れや肥満、遺伝などがリスク要因として挙げられますが、コレステロール胆石の場合は、高脂肪食やコレステロールの過剰摂取、急激なダイエットなどが、ビリルビン胆石の場合は、溶血性貧血や胆道感染症などが、それぞれ発症に深く関わっていると考えられています。
種類 | 主成分 | 特徴 | リスク要因 |
---|---|---|---|
コレステロール胆石 | コレステロール | 欧米人に多い、日本で増加傾向 | 高脂肪食、コレステロール過剰摂取、急激なダイエットなど |
ビリルビン胆石 | ビリルビン | アジア人に多い | 溶血性貧血、胆道感染症など |
気付きにくい胆石
– 気付きにくい胆石胆石は、胆汁に含まれるコレステロールなどが固まって石のように硬くなったもので、胆のうや胆管にできます。胆石を持っている方は多くいらっしゃいますが、自覚症状がない場合も多いです。健康診断でたまたま見つかった、という方も少なくありません。症状がない胆石は、基本的には経過観察となります。定期的に検査を行い、石の大きさや位置の変化を確認します。しかし、症状がないからといって油断は禁物です。胆石はある日突然、激しい痛みを引き起こすことがあるからです。胆石が胆のうの出口や胆管に詰まってしまうと、激しい腹痛や背中の痛み、吐き気などを引き起こします。このような状態を「胆石発作」と呼びます。胆石発作は、食後や夜間に起こりやすい傾向があります。胆石は食生活の欧米化や肥満、運動不足などが原因で増加傾向にあります。胆石を予防するためには、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を習慣化することが大切です。また、健康診断を定期的に受けることも早期発見・治療につながります。
項目 | 説明 |
---|---|
胆石とは | 胆汁中のコレステロールなどが固まって硬くなったもの |
症状 |
|
経過観察 |
|
原因 | 食生活の欧米化、肥満、運動不足など |
予防 | バランスの取れた食事、適度な運動、定期的な健康診断 |
胆石症の症状
胆石症は、胆のうや胆管に石のようなかたまり(胆石)ができる病気です。胆石は、コレステロールやビリルビンといった成分が固まってできることが多く、大きさは数ミリのものから数センチのものまで様々です。
胆石症自体は自覚症状がないこともありますが、胆石が胆のうや胆管をふさいでしまうと、突然激しい痛みが生じます。これが胆石症の代表的な症状である「胆石発作」です。胆石発作の痛みは、みぞおちや右の肋骨の下あたりに強く、数十分から数時間続くこともあります。吐き気や嘔吐を伴うことも多く、発汗や顔面蒼白といった症状が現れることもあります。
また、胆石症を放置することで、胆のう炎や胆管炎、膵炎といった合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症は、高熱や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)といった症状を伴うことが多く、重症化すると命に関わることもあります。特に、発熱を伴う場合は、これらの合併症が疑われるため、早急に医療機関を受診する必要があります。
胆石症は、食生活の欧米化や肥満などによって増加傾向にあり、誰にでも起こりうる病気です。日頃からバランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、胆石症の予防に努めることが大切です。
項目 | 詳細 |
---|---|
定義 | 胆のうや胆管に石のようなかたまり(胆石)ができる病気 |
胆石の成分 | コレステロール、ビリルビンなど |
胆石の大きさ | 数ミリ~数センチ |
代表的な症状 | 胆石発作:みぞおちや右の肋骨の下あたりに強い痛み(数十分~数時間)、吐き気、嘔吐、発汗、顔面蒼白などを伴うこともある |
合併症 | 胆のう炎、胆管炎、膵炎(高熱、黄疸などを伴う) |
予防 | バランスの取れた食事、適度な運動 |
胆石の治療
胆石は、胆汁に含まれる成分が固まって石のように硬くなったもので、胆のうや胆管にできます。胆石自体は特に症状を引き起こさないこともありますが、胆石が移動して胆管に詰まってしまうと、激しい腹痛や発熱などの症状が現れます。胆石の治療法は、胆石の存在する場所、大きさ、数、そして症状の有無によって異なります。
症状がなく、小さな胆石の場合は、経過観察が行われることが多いです。定期的な検査で胆石の状態を確認し、症状が出現した場合や胆石が大きくなった場合に治療を検討します。
一方、腹痛や発熱などの症状がある場合や、胆石が大きい場合は、積極的な治療が必要となります。胆石の治療には、大きく分けて手術と薬物療法の二つがあります。
手術は、胆石を取り除くための最も確実な方法です。近年では、お腹を大きく切開する開腹手術に代わり、お腹に小さな穴を数カ所開けて行う腹腔鏡下手術が普及しており、体の負担が少なく、入院期間も短縮されています。
薬物療法は、胆石を溶解する薬を内服する方法です。しかし、効果が期待できるのはコレステロール系の胆石のみであり、治療に時間がかかることや、胆石が再発する可能性もあるため、適応は限られています。
胆石の治療法は、患者さんの状態に合わせて選択されます。医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが大切です。
治療法 | 説明 | 対象 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
経過観察 | 定期的な検査で胆石の状態を確認 | 症状がなく、小さな胆石の場合 | 体に負担が少ない | 胆石が大きくなる可能性がある、症状が出るまで待つ必要がある |
手術 | 胆石を取り除く | 症状がある場合や、胆石が大きい場合 | 胆石を確実に取り除ける、体の負担が少ない(腹腔鏡下手術の場合) | – |
薬物療法 | 胆石を溶解する薬を内服 | コレステロール系の胆石 | 体に負担が少ない | 効果が限定的、治療に時間がかかる、胆石が再発する可能性がある |