沈黙の臓器からの警告?:脂肪肝について
病院での用語を教えて
先生、「脂肪肝」ってよく聞くんですけど、どんな病気なんですか?
体の健康研究家
そうだね。「脂肪肝」は、肝臓に脂肪が溜まりすぎた状態を指すんだよ。
病院での用語を教えて
肝臓に脂肪…? お酒の飲みすぎでなるって聞きました!
体の健康研究家
そう、お酒の飲みすぎでなることもあるけど、実はお酒を飲まない人でも、食べ過ぎや運動不足でなることもあるんだよ。現代では、そちらの方がむしろ多いくらいなんだ。
脂肪肝とは。
「脂肪肝」っていう言葉は、医学や健康について考える時に出てきますよね。これは、肝臓の細胞の中に「中性脂肪」っていう脂肪が溜まってしまう病気のことです。肝臓の細胞の3割以上に脂肪の粒が見つかったら、脂肪肝と診断されます。脂肪肝の原因は、お酒の飲み過ぎで起こるものと、それ以外の原因で起こるものと、2種類に分けることができます。
脂肪肝とは
– 脂肪肝とは脂肪肝とは、文字通り肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。肝臓は、体内で重要な役割を担う臓器の一つであり、「沈黙の臓器」と呼ばれることもあります。これは、初期段階では自覚症状が現れにくいという特徴を持つためです。しかし、自覚症状がないまま放置してしまうと、肝臓の機能は徐々に低下していき、最終的には生命に関わるような深刻な病気を引き起こす可能性があります。脂肪肝によって引き起こされる病気には、肝硬変や肝臓がんなどが挙げられます。脂肪肝は、その原因となるものによって大きく二つに分類されます。一つは、過度なアルコール摂取が原因となる「アルコール性脂肪肝」です。もう一つは、アルコール以外の要因によって引き起こされる「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」です。 NAFLDは、食生活の乱れや運動不足、肥満などが原因で発症しやすく、近年では、これらの生活習慣の変化に伴い、患者数が増加傾向にあります。脂肪肝は、初期段階では自覚症状が現れにくい病気ですが、進行すると、疲労感や食欲不振、腹部の膨張感といった症状が現れることがあります。また、健康診断などで肝機能の異常を指摘されることもあります。脂肪肝と診断された場合は、原因に応じて適切な治療を行う必要があります。アルコール性脂肪肝の場合は、禁酒が最も有効な治療法となります。NAFLDの場合は、食生活の改善や運動療法など、生活習慣の見直しによって改善が期待できます。
分類 | 原因 | 症状 | 治療法 |
---|---|---|---|
アルコール性脂肪肝 | 過度なアルコール摂取 | 初期段階では自覚症状は少ない 進行すると、疲労感、食欲不振、腹部の膨張感など |
禁酒 |
非アルコール性脂肪肝(NAFLD) | 食生活の乱れ 運動不足 肥満など |
初期段階では自覚症状は少ない 進行すると、疲労感、食欲不振、腹部の膨張感など |
食生活の改善 運動療法 生活習慣の見直し |
アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝
– アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝アルコール性脂肪肝は、その名の通り、過度な飲酒によって肝臓に脂肪が蓄積してしまう病気です。長期間にわたって大量のアルコールを摂取し続けると、肝臓でのアルコール処理が追いつかなくなり、中性脂肪が肝細胞に溜まっていってしまうのです。初期段階では自覚症状がほとんどないため、気づかずに放置してしまうケースも多いですが、放置すると肝硬変や肝臓がんといった、より深刻な病気を引き起こすリスクが高まります。一方、非アルコール性脂肪肝は、アルコール摂取量が少ない、あるいは全くお酒を飲まない人でも発症するのが特徴です。近年、食生活の欧米化が進み、高カロリー・高脂肪な食事を摂る機会が増えたことや、運動不足の人が増加していることなどが原因で、患者数は増加傾向にあります。アルコール性脂肪肝と同様に、初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると疲労感や食欲不振、腹部膨満感などが現れることがあります。また、放置すると肝硬変や肝臓がん、さらに糖尿病や脂質代謝異常症などの生活習慣病のリスクも高まるため注意が必要です。どちらも肝臓に脂肪が蓄積するという点では共通していますが、その原因は大きく異なるため、治療法や予防法も異なります。ご自身の生活習慣を振り返り、気になる点があれば医療機関を受診しましょう。
項目 | アルコール性脂肪肝 | 非アルコール性脂肪肝 |
---|---|---|
原因 | 過度な飲酒 | 食生活の欧米化、運動不足など |
症状 | 初期段階ではほぼなし 進行すると肝硬変、肝臓がんのリスク |
初期段階ではほぼなし 進行すると疲労感、食欲不振、腹部膨満感など 肝硬変、肝臓がん、糖尿病、脂質代謝異常症のリスク |
共通点 | 肝臓に脂肪が蓄積する | 肝臓に脂肪が蓄積する |
脂肪肝の症状
– 脂肪肝の症状脂肪肝は、初期の段階では自覚症状がほとんど現れない病気として知られています。 気づかないうちに病気が進行してしまうケースも少なくないため、注意が必要です。しかし、脂肪肝が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。* -慢性的な疲労感- 脂肪肝によって肝臓の働きが低下すると、エネルギー代謝がうまくいかなくなり、疲れやすくなります。 日頃から活動的な生活を送っている人でも、以前よりも疲れを感じやすくなった、体がだるいといった異変を感じたら、脂肪肝の可能性も疑ってみましょう。* -食欲不振- 脂肪肝になると、肝臓が消化に必要な胆汁を十分に生成できなくなることがあります。 その結果、消化機能が低下し、食欲不振や吐き気などの症状が現れることがあります。* -黄疸- 肝臓の機能低下が進むと、血液中のビリルビンという黄色い色素が分解されずに増加し、皮膚や白目が黄色くなる黄疸の症状が現れることがあります。 黄疸は、脂肪肝だけでなく、他の肝臓疾患でもみられる症状なので、注意が必要です。* -腹部の張り- 脂肪肝が進行すると、肝臓が腫れて大きくなり、お腹の張りや圧迫感を感じることがあります。 また、腹水が溜まることによって、お腹が張ることもあります。* -むくみ- 肝臓の機能が低下すると、体内の水分調整がうまくいかなくなり、足首や顔などにむくみが現れることがあります。これらの症状は、脂肪肝以外にも、様々な病気が原因で起こることがあります。 そのため、自己判断は危険です。少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診し、適切な検査を受けるようにしましょう。
症状 | 説明 |
---|---|
慢性的な疲労感 | 肝機能低下によるエネルギー代謝の低下が原因で、疲れやすくなります。 |
食欲不振 | 胆汁生成の低下により消化機能が低下し、食欲不振や吐き気を引き起こすことがあります。 |
黄疸 | ビリルビン分解の低下により、皮膚や白目が黄色くなります。 |
腹部の張り | 肝臓の腫れや腹水により、お腹の張りや圧迫感が生じます。 |
むくみ | 体内の水分調整がうまくいかなくなり、足首や顔などにむくみが現れます。 |
脂肪肝の診断
– 脂肪肝の診断脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。沈黙の臓器とも呼ばれる肝臓は、自覚症状が出にくいため、気づかないうちに病気が進行している場合もあります。そのため、脂肪肝の早期発見は非常に重要です。脂肪肝の診断には、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断します。まず、血液検査では肝機能の状態を調べます。AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPといった数値は、肝細胞が損傷を受けると血液中に流れ出す酵素です。これらの数値が高い場合は、肝臓に炎症が起こっている可能性を示唆しています。また、肝臓は栄養の貯蔵や代謝にも関与しているため、血糖値やコレステロール値、中性脂肪値なども重要な指標となります。次に、画像検査によって肝臓の状態を直接観察します。腹部超音波検査(エコー検査)は、体への負担が少なく簡便に行える検査です。超音波を用いて肝臓の大きさや形状、脂肪の蓄積状態などを確認します。脂肪肝になると、肝臓が腫大したり、脂肪によって白っぽく映し出されます。さらに詳細な検査が必要な場合は、CT検査やMRI検査を行います。CT検査はX線、MRI検査は磁気と電波を用いて、肝臓の内部構造をより鮮明に描出することができます。これらの検査によって、脂肪肝の程度や他の肝臓疾患の有無を詳しく評価します。脂肪肝は、適切な治療や生活習慣の改善によって改善が期待できる病気です。早期発見、早期治療のためにも、定期的な健康診断の受診を心がけ、少しでも気になる症状があれば、医療機関への相談をお勧めします。
検査方法 | 検査内容 | 詳細 |
---|---|---|
血液検査 | 肝機能の状態を調べる | AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、血糖値、コレステロール値、中性脂肪値などを測定する。これらの数値が高い場合は、肝臓に炎症が起こっている可能性を示唆している。 |
腹部超音波検査(エコー検査) | 肝臓の状態を直接観察する | 超音波を用いて肝臓の大きさや形状、脂肪の蓄積状態などを確認する。脂肪肝になると、肝臓が腫大したり、脂肪によって白っぽく映し出される。 |
CT検査、MRI検査 | 肝臓の内部構造をより鮮明に描出する | X線や磁気と電波を用いて、肝臓の内部構造をより鮮明に描出する。これらの検査によって、脂肪肝の程度や他の肝臓疾患の有無を詳しく評価する。 |
脂肪肝の治療
– 脂肪肝の治療脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。この状態を放置すると、肝臓の炎症や線維化を引き起こし、最終的には肝硬変や肝臓がんに進行する可能性もあるため、早期の治療が大切です。脂肪肝の治療で最も重要なのは、生活習慣の見直しです。脂肪肝の主な原因として、過剰なエネルギー摂取と運動不足が挙げられます。そこで、まずは食生活を見直し、バランスの取れた食事を心掛ける必要があります。具体的には、野菜、海藻、きのこなどを中心とした食事を意識し、脂肪分の多い食品や糖分の過剰摂取は控えましょう。また、揚げ物や炒め物など、調理方法にも注意が必要です。運動不足の解消も重要です。毎日、30分程度の軽い運動を継続することで、肝臓に蓄積された脂肪を燃焼させる効果が期待できます。ウォーキングやジョギング、水泳など、体力に合わせた運動を選びましょう。過度な飲酒も脂肪肝のリスクを高めるため、アルコールの摂取量を控える必要があります。アルコール性脂肪肝と診断された場合は、禁酒が必要です。これらの生活習慣の改善を継続することで、多くの場合、脂肪肝の改善が見込めます。しかし、改善が見られない場合や、既に肝臓の炎症や線維化が進行している場合は、医師の指示のもと、薬物療法が行われることもあります。脂肪肝は、自覚症状が出にくい病気ですが、放置すると重篤な病気を引き起こす可能性もあります。日頃から、バランスの取れた食生活と適度な運動を心掛け、脂肪肝の予防に努めましょう。
脂肪肝の治療 | 詳細 |
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生活習慣の見直し | 脂肪肝治療の基礎となるもので、食事療法と運動療法が中心です。 |
食事療法 |
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運動療法 |
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アルコール摂取について |
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薬物療法 |
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脂肪肝の予防
脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積される病気です。放置すると、肝炎や肝硬変に進行するリスクもあるため、予防が非常に重要です。
脂肪肝を予防する上で最も大切なのは、健康的なライフスタイルを維持することです。具体的には、以下の3つのポイントに気をつけましょう。
まず、食生活の改善が重要です。脂肪や糖分の過剰な摂取を控え、野菜や海藻、きのこなど食物繊維を多く含む食品を積極的に食べることが大切です。また、たんぱく質も意識して摂取するようにしましょう。
次に、適度な運動を心がけましょう。運動は、肝臓に蓄積された脂肪を燃焼させる効果があります。激しい運動である必要はありません。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理なく続けられる運動を毎日30分程度行うようにしましょう。
最後に、お酒の飲み過ぎに注意が必要です。アルコールは肝臓に負担をかけ、脂肪肝の原因となります。お酒を飲む場合は、適量を守り、休肝日を設けるなど、肝臓を休ませることを心がけましょう。
これらの生活習慣の改善に加え、定期的な健康診断を受けることも大切です。脂肪肝は自覚症状がない場合も多いので、健康診断で早期発見し、適切な治療を受けるようにしましょう。
予防ポイント | 具体的な方法 |
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食生活の改善 | – 脂肪や糖分の過剰摂取を控える – 野菜、海藻、きのこなど食物繊維を多く含む食品を食べる – たんぱく質を意識して摂取する |
適度な運動 | – 無理なく続けられる運動(ウォーキング、軽いジョギングなど)を毎日30分程度行う |
お酒の飲み過ぎに注意 | – 適量を守り、休肝日を設ける |