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生命維持の要!小腸の役割と健康

私たちは毎日食事を楽しみますが、口にした食べ物が体の中でどのように消化され、吸収されているのか、深く考える機会は少ないかもしれません。食べ物の長い旅路の中で、小腸は栄養を吸収する重要な役割を担っています。胃から続く小腸は、全長6~7メートルにも及ぶ管状の臓器で、お腹の中では腸間膜によって支えられながら、複雑に折りたたまれています。もしも小腸を広げることができたら、テニスコート一面を覆ってしまうほどの大きさになるといわれています。 小腸は、ただ栄養を吸収するだけの単純な管ではありません。その内壁は、輪状ひだと呼ばれる無数のヒダで覆われており、さらにその表面には絨毛と呼ばれる小さな突起がびっしりと生えています。絨毛はまるで、ベルベットのような質感を持っています。この輪状ひだや絨毛があるおかげで、小腸の内壁の表面積は大きく広がり、テニスコートの約2倍にもなると言われています。この広大な表面積こそが、効率よく栄養を吸収する上で欠かせない要素なのです。 小腸に送られてきた食べ物は、胃で分泌される胃液や、小腸自身から分泌される消化液、そして膵臓や肝臓から分泌される消化酵素によって、さらに細かく分解されます。そして、分解された栄養素は、絨毛の表面にある細胞から吸収され、血液やリンパ液によって全身に運ばれていきます。このように、小腸は驚くべき構造と機能によって、私たちの生命を維持するために必要な栄養を効率よく吸収しているのです。
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体の重要な一部:直腸の役割と健康

- 直腸の基礎知識私達の体の中で、食べ物は口から入り、胃や小腸で消化・吸収されていきます。そして、最後に残ったものが便として直腸にたどり着きます。直腸は大腸の最終部分を指し、長さは約20cmほどです。直腸は肛門へとつながっており、便が体外へ排出されるまでの重要な役割を担っています。直腸は、単なる便の通り道ではありません。便を一時的に貯蔵する大切な役割を担っています。直腸の壁は伸縮性に優れており、ある程度の量の便が溜まると、その情報は脳に伝わります。すると、私達は便意を感じ、トイレに行くタイミングを判断します。つまり、直腸は排便をコントロールする上でも重要な器官と言えるでしょう。また、直腸は肛門括約筋と連携して、排便を調節しています。肛門括約筋は、肛門を閉じておく筋肉で、便意を感じても、適切なタイミングまで便が漏れるのを防ぎます。そして、トイレに行くと、脳からの指令によって肛門括約筋が緩み、直腸が収縮することで、便は体外へ排出されます。このように、直腸は食べ物の消化・吸収過程において、最後の重要な役割を担っています。直腸の働きを知ることは、自身の健康状態を把握する上でも役立つでしょう。
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食物の通り道:食道の役割と構造

私たちは毎日食事を楽しみますが、口にした食べ物がどのようにして体の中に取り込まれていくのか、詳しく知る人は少ないかもしれません。食べ物の入り口である口から、栄養を吸収する胃までをつなぐ重要な器官、それが「食道」です。 食道は、ちょうど口と胃を繋ぐパイプのようなもので、長さは約25cmあります。普段は食べ物が通らない時は、薄い板状の形をしていますが、食べ物が通過する際には大きく広がり、その柔軟性によって食べ物をスムーズに胃へと送り込みます。 食道自体には、食べ物を消化する機能はありません。しかし、内壁にある筋肉が規則的に収縮と弛緩を繰り返す「蠕動運動」によって、食べ物を胃へと押し出すという重要な役割を担っています。この蠕動運動のおかげで、私たちは重力に逆らって食べ物を飲み込むことができるのです。 このように、食道は食べ物を胃に運ぶだけの単純な管のように思えるかもしれません。しかし実際には、柔軟性と蠕動運動という2つの特徴によって、私たちが食事を安全かつスムーズに楽しむために、重要な役割を担っているのです。
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胃潰瘍:原因と症状、治療法について

- 胃潰瘍とは胃は、食べ物を消化するために重要な役割を担う臓器ですが、その内壁は強い酸性の胃液に常にさらされています。健康な状態であれば、胃の粘膜は胃液から自身を守り、消化活動に支障が出ないように働いています。しかし、何らかの原因でこの粘膜が傷つけられ、深くえぐれてしまった状態を「胃潰瘍」と呼びます。胃潰瘍を引き起こす要因は様々ですが、かつては暴飲暴食やストレスなどが主な原因だと考えられていました。しかし近年では、ピロリ菌という細菌の感染が大きく関与していることが明らかになっています。ピロリ菌は、胃の粘膜に生息し、炎症を引き起こすことで潰瘍を形成しやすくしてしまうのです。胃潰瘍になると、みぞおちのあたりに痛みを感じることが多く、特に空腹時に痛みが強くなる傾向があります。また、吐き気や食欲不振、胸やけなどの症状が現れることもあります。さらに、症状が進行すると、吐血や下血、さらには胃に穴が開いてしまう「穿孔」といった重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。胃潰瘍は、早期に発見し、適切な治療を行うことで、多くの場合症状は改善します。そのため、少しでも気になる症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。そして、ピロリ菌の除菌治療など、医師の指示に従って治療を進めていくことが大切です。
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十二指腸潰瘍:知っておきたい病気の基礎知識

- 十二指腸潰瘍とは十二指腸潰瘍は、胃のすぐ下流に位置する十二指腸と呼ばれる臓器にできる潰瘍です。食べ物を消化するために分泌される胃液や消化酵素が、様々な要因で十二指腸の粘膜を傷つけてしまい、その結果、粘膜に深い穴があいてしまう病気です。胃の出口付近にできる潰瘍である胃潰瘍と症状や原因が似ていることから、どちらも消化性潰瘍と呼ばれることがあります。しかし、十二指腸潰瘍と胃潰瘍は発生する場所や詳細な特徴が異なります。十二指腸は、胃で消化された食べ物が送られてくる最初の消化管です。胃酸を含む強い酸性の食べ物が十二指腸に送られてくるため、十二指腸は胃酸から自身を守るために粘液を分泌し、粘膜を保護しています。しかし、何らかの原因でこの保護機能が弱まったり、胃酸の分泌量が多くなりすぎたりすると、十二指腸の粘膜が傷つけられ、潰瘍ができてしまうのです。十二指腸潰瘍は、腹痛や胸焼けなどの症状が現れます。特に、空腹時にみぞおち付近に痛みを感じることが多く、食事をすると痛みが和らぐという特徴があります。また、吐き気や嘔吐、食欲不振などを伴うこともあります。十二指腸潰瘍は、放置すると十二指腸の穿孔や出血などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、早期に発見し、適切な治療を受けることが大切です。
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逆流性食道炎とは?

- 逆流性食道炎の概要逆流性食道炎は、食べ物が胃から食道へ逆流することで、胸やけや炎症を引き起こす病気です。普段は、食道と胃の境目にある筋肉(下部食道括約筋)がしっかりと閉まり、胃の内容物が逆流するのを防いでいます。しかし、様々な要因でこの筋肉の働きが弱まったり、胃酸の分泌が増えたりすると、胃の内容物が食道に逆流してしまうことがあります。これが繰り返し起こることで、食道の粘膜が胃酸によって刺激され、炎症を引き起こします。主な症状としては、胸やけ、吐き気、口の中に酸っぱい液体がこみ上げてくるなどがあります。その他にも、咳、声がれ、胸の痛み、喉の違和感、飲み込みにくさなどの症状が現れることもあります。これらの症状は、食後や横になった際に悪化する傾向があります。逆流性食道炎は、食生活の乱れ、肥満、喫煙、飲酒、ストレスなどが原因で起こると考えられています。また、加齢に伴い下部食道括約筋の機能が低下することも、発症のリスクを高める要因となります。症状が軽度の場合は、生活習慣の改善や市販薬の使用で症状が和らぐこともあります。しかし、症状が重い場合や長期間続く場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受ける必要があります。放っておくと、食道狭窄や食道がんといった合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
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大腸がん:知っておきたいこと

- 大腸がんとは?大腸がんは、私たちが食事を摂ってから排泄するまでの消化管の一部である大腸に発生するがんです。大腸は、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸という連続した部分からなり、主に食べ物の残りかすから水分を吸収し、便を作るという大切な役割を担っています。 この大腸の壁の最も内側にある粘膜という部分に、最初はポリープと呼ばれる腫瘍ができることがあります。ポリープ自体は多くの場合、自覚症状がなく、健康に影響を与えることはほとんどありません。しかし、このポリープの一部が、長い年月をかけてがん細胞へと変化することがあります。そして、がん細胞は周囲の組織に深く入り込んでいく、いわゆる「浸潤」を起こしたり、リンパの流れや血液の流れに乗って、リンパ節や肝臓、肺などの他の臓器に移動して増殖する「転移」を起こすことがあります。このように、大腸がんが進行すると、腸閉塞などの深刻な合併症を引き起こしたり、他の臓器への転移によって生命に関わる危険性も高まる可能性があります。そのため、早期発見と適切な治療が非常に重要となります。
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医療現場で使われる「KOT」って何?

病院で働く医療従事者たちは、専門的な単語や略語を用いて日々の業務を行っています。これは、限られた時間の中でお互いに情報を正確に伝え合い、スムーズな連携を図る上で非常に重要です。特に、患者さんの状態や治療の経過を記録するカルテには、独特の略語が多く使われています。これらの略語は、医療現場で働く人々にとっては共通の理解のもとで使われていますが、一般の方には馴染みのないものがほとんどでしょう。 今回は、数ある医療略語の中から「KOT」について詳しく解説していきます。KOTは「Keep on Temperature」の略で、日本語では「体温を継続的に測定する」という意味になります。つまり、患者さんの体温変化を注意深く観察し、記録することを指します。体温は、健康状態や病気の進行度合いを判断する上で重要な指標となるため、医療現場では頻繁に測定が行われます。そして、KOTの指示が出された場合は、その指示に従って、例えば3時間ごとや、食後30分後など、指定された時間間隔で体温を測り、記録していく必要があります。 このように、医療現場では様々な略語が使われていますが、それぞれに重要な意味があります。これらの略語を理解することで、医療従事者同士のコミュニケーションがより円滑になり、ひいては、患者さんの安全な治療につながっていくのです。
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現代人よ、悩める便秘と向き合おう

- 便秘の定義とは?便秘というと、ただ単に排便がない状態と思っていませんか? 実は、排便の回数や状態によって便秘は定義されています。一般的に、一週間に3回未満しか排便がない場合は、便秘と診断される可能性があります。また、排便の回数に関わらず、排便時に苦労する場合は注意が必要です。強い力が必要となる、排便後もスッキリとせず残便感がある、便が硬くて出にくいといった症状が見られる場合も、便秘と診断されることがあります。便秘は、私たちが考える以上に多くの人が抱えている一般的な症状です。もし心当たりがある場合は、一人で悩まずに、医師に相談してみることをおすすめします。
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虚血性大腸炎:原因、症状、治療法

- 虚血性大腸炎とは虚血性大腸炎は、読んで字のごとく、大腸に血液が十分に行き渡らなくなることで起こる炎症性疾患です。 私たちの体は、心臓から送り出された血液によって、酸素や栄養を全身に届けています。 大腸も例外ではなく、常に新鮮な血液が供給されることで、正常な働きを保っています。しかし、何らかの原因で大腸への血流が悪くなると、大腸の粘膜が酸素不足に陥り、炎症を起こしてしまいます。これが、虚血性大腸炎と呼ばれる病気です。 主な症状としては、腹痛や下痢が挙げられます。 腹痛は、キリキリとした痛みや、締め付けられるような痛みなど、患者さんによって様々です。また、下痢には、血液が混じることもあり、これは、炎症を起こした大腸の粘膜から出血しているためです。 多くの場合、虚血性大腸炎は一時的なものであり、適切な治療を行えば、後遺症なく治癒します。 治療としては、絶食や点滴によって、腸に負担をかけないように安静を保ちながら、炎症を抑える薬を投与します。 ただし、重症化すると、大腸に穴が開いてしまうこともあり、手術が必要になるケースもあります。
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盲腸(虫垂炎)とは?

- 虫垂炎とは虫垂炎は、盲腸の先端にある細い管状の器官である虫垂に炎症が起こる病気です。一般的に「盲腸」と呼ばれることも多いですが、これは正確ではありません。盲腸は大腸の一部であり、虫垂は盲腸から突き出た器官です。虫垂の役割は完全には解明されていませんが、腸内細菌のバランスを調整したり、免疫機能に関与していると考えられています。 虫垂炎は、虫垂の入り口が便や異物によって塞がってしまうことで、細菌が増殖し、炎症を引き起こすと考えられています。主な症状としては、初期にはみぞおちのあたりに鈍い痛みを感じることがあります。その後、痛みが右下腹部に移り、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。発熱することもあります。 虫垂炎は放置すると虫垂が破裂し、腹膜炎を引き起こす可能性があります。腹膜炎は命に関わる危険な状態であるため、早期に診断し、治療することが重要です。虫垂炎の治療法は、抗生物質による薬物療法と、手術による虫垂の切除の二つがあります。
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嘔吐:その原因とメカニズム

- 嘔吐とは嘔吐は、私たちが食べたものが胃から食道を通って口に戻り、最終的には体外へ出てしまう現象のことを指します。多くの人が経験する現象ですが、不快で苦しいものです。嘔吐が起こる前には、吐き気を催したり、体が冷えて汗が出てきたり、顔が青白くなったりすることがあります。このような症状は、体が嘔吐に向けて準備をしているサインと言えるでしょう。嘔吐の原因は様々です。食べ過ぎや消化不良など、一時的な要因で起こることもあれば、病気の症状として現れることもあります。例えば、風邪やインフルエンザなどの感染症、胃腸炎、食中毒、乗り物酔い、脳腫瘍などが挙げられます。そのため、嘔吐が続く場合や、発熱、腹痛、下痢、頭痛、意識障害などの症状を伴う場合には、自己判断せずに、速やかに医療機関を受診することが重要です。自己判断で市販薬を服用するのも危険です。嘔吐を繰り返すと、体内の水分や塩分が失われて脱水症状に陥ることがあります。そのため、嘔吐後は、経口補水液やスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給するように心がけましょう。また、しばらくは消化の良いものを食べるようにして、胃腸を休ませることが大切です。
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急性虫垂炎の診断:キュンメル点とは

お腹の痛みは、誰もが経験するありふれた症状です。食べ過ぎや消化不良など、一時的なものから、虫垂炎や胆嚢炎といった緊急を要する病気まで、その原因は実に様々です。そのため、医療従事者は、患者さんからお腹の痛みの訴えがあった場合、その場所や痛みの性質、いつから痛むのかなどを詳しく聞き取り、身体診察を行います。 身体診察において重要な役割を果たすのが、圧痛点の確認です。圧痛点とは、お腹を押したときに、他の場所に比べて特に痛みを感じる場所のことです。この圧痛点は、病気の種類によって現れる場所が異なります。例えば、おへその右側が痛む場合は虫垂炎、みぞおちの右側が痛む場合は胆嚢炎などが疑われます。また、痛みの強さも重要な判断材料となります。軽く押しただけで強い痛みを感じる場合は、腹膜炎など、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。 このように、お腹の痛みと一口に言っても、その原因は様々であり、圧痛点は痛みの原因を探る上で重要な手がかりとなります。自己判断は危険ですので、お腹の痛みが続く場合は、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
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急性虫垂炎の診断:モンロー点

お腹の痛みは、日常生活で誰もが経験するありふれた症状です。食べ過ぎや消化不良、風邪によるものなど、その原因は実に様々です。多くの場合、お腹の痛みは一時的なもので自然と治まりますが、中には緊急の治療が必要な深刻な病気が隠れていることもあります。そのため、お腹の痛みを感じた際には、その種類や痛む場所、症状の出方など、痛みに関する情報を詳しく確認することが重要です。 お腹の痛みの中でも、右下腹部に見られる痛みは特に注意が必要です。右下腹部には、盲腸の先端にある虫垂という器官が存在します。この虫垂に炎症が起こる病気を急性虫垂炎、一般的には「盲腸」と呼びますが、右下腹部に激しい痛みが生じることが特徴です。初期はみぞおちのあたりが痛むこともありますが、時間の経過とともに痛みが右下腹部へと移動していきます。また、吐き気や嘔吐、発熱、食欲不振などを伴うこともあります。 もちろん、右下腹部の痛みが必ずしも急性虫垂炎を示唆するわけではありません。しかし、急性虫垂炎は放置すると命に関わる危険性もある病気です。そのため、少しでも気になる症状があれば、自己判断せず、医療機関を受診し、医師の診断を受けるようにしましょう。
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胆汁を蓄える重要な器官:胆嚢

肝臓の下側に位置する胆嚢は、洋梨のような形をした小さな臓器です。胆嚢の主な役割は、脂肪の消化吸収に欠かせない胆汁を一時的に貯蔵し、濃縮して十二指腸に送り出すことです。 胆汁は肝臓で絶えず生成されますが、胆嚢はその胆汁を濃縮して蓄えておくことができます。食べ物、特に脂肪分の多い食事を摂取すると、胆嚢は収縮を始めます。そして、蓄えられていた濃縮胆汁は胆管という管を通って十二指腸へと送り出されます。 十二指腸に送られた胆汁は、脂肪を小さな粒子に分解する働きを助けます。脂肪が小さな粒子に分解されることで、消化酵素がより効率的に作用し、脂肪の消化吸収が促進されます。このように、胆嚢は脂肪の消化吸収を円滑に進めるために重要な役割を担っているのです。
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胆嚢炎:胆嚢に起こる炎症

- 胆嚢炎とは胆嚢炎は、肝臓の下にある袋状の臓器である胆嚢に炎症が起こる病気です。この胆嚢は、脂肪の消化を助ける消化液である胆汁を肝臓から一時的に蓄え、濃縮する役割を担っています。食事をすると、胆嚢は収縮し、濃縮された胆汁を胆管と呼ばれる管を通して十二指腸へ送り出します。胆嚢炎は、主に胆石が胆嚢管に詰まることで発症します。胆石は、コレステロールや胆汁色素が結晶化してできた石のようなもので、胆嚢内に形成されます。胆石が胆嚢管に詰まると、胆汁の流れが滞り、胆嚢内に胆汁が過剰に溜まってしまいます。その結果、胆嚢壁に圧力がかかり、炎症を引き起こすと考えられています。胆嚢炎の主な症状は、みぞおちから右上腹部にかけての激しい痛みです。痛みが背中や右肩に広がることもあります。また、発熱、吐き気、嘔吐を伴うこともあります。症状が重い場合は、胆嚢が破裂する危険性もあり、緊急の治療が必要となります。胆嚢炎は、食生活の欧米化に伴い、日本でも増加傾向にあります。胆石の形成リスクを高める要因としては、コレステロールの高い食事、肥満、糖尿病などが挙げられます。胆嚢炎を予防するためには、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、胆石の形成リスクを減らすことが重要です。
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沈黙の石?胆石について解説

- 胆汁の結晶化 胆汁は、肝臓でつくられ、脂肪の消化を助ける液体です。通常はサラサラとしていますが、成分のバランスが崩れると、結晶が生じてしまいます。この結晶が成長すると、やがて石のように固くなり、胆石と呼ばれます。 胆汁に含まれる成分のうち、結晶化しやすいものとして、コレステロールとビリルビンが挙げられます。コレステロールは脂肪の一種で、細胞膜やホルモンの材料となる重要な物質ですが、胆汁中に過剰に存在すると結晶化しやすくなります。また、ビリルビンは赤血球が壊れる際に生じる色素で、通常は胆汁とともに体外へ排出されますが、何らかの原因で胆汁中の濃度が高くなると、結晶化しやすくなることがあります。 胆石は、胆のうや胆管に発生することが多く、その大きさや数も様々です。小さな結晶のうちは自覚症状がない場合もありますが、結石が大きくなると、胆のうや胆管を詰まらせ、激しい腹痛や吐き気などを引き起こすことがあります。さらに、結石が胆管に詰まった状態が続くと、胆汁の流れが滞り、黄疸などの症状が現れることもあります。 胆石は、食生活の欧米化や運動不足などが原因で増加傾向にあり、近年では、比較的若い世代での発症も増えています。胆石を予防するためには、バランスの取れた食事や適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
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大腸ポリープとは?

- 大腸ポリープの定義大腸ポリープとは、大腸の粘膜から内側に向かって異常増殖した組織のことを指します。その形状は、ちょうど腸の内側にきのこが生えたような姿をしており、大きさも数ミリ程度のものから数センチに及ぶものまで様々です。大腸ポリープは、初期段階では自覚症状がほとんどないことが特徴です。そのため、健康診断や人間ドックなどで偶然発見されるケースが多く見られます。しかし、ポリープが大きくなると、下血や腹痛、便秘などの症状が現れることがあります。また、ごく稀にですが、ポリープが腸を塞いでしまい、腸閉塞を引き起こす可能性もあります。大腸ポリープは、良性と悪性に分類されます。一般的に、ポリープが小さい場合は良性であることが多く、経過観察が行われます。しかし、ポリープが大きい場合や、特定の種類のポリープは、将来的に大腸がんに進行する可能性もあるため、注意が必要です。大腸ポリープの予防には、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などが有効とされています。また、定期的な検査を受けることで、早期発見・早期治療にも繋がります。
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知っておきたい胃炎の基礎知識

- 胃炎とは胃炎とは、食べ物を消化する上で重要な器官である胃に炎症が生じる病気です。胃の内部は、食べたものを消化するために胃酸と呼ばれる強い酸性の液体で満たされています。通常、胃の粘膜はこの胃酸から自身を守る役割を担っていますが、様々な原因によってこの粘膜が傷つけられることで炎症が起こり、胃炎を発症します。胃炎を引き起こす要因は多岐に渡り、大きく分けて2つの種類に分類されます。一つは、細菌やウイルスなどの微生物が原因となる急性胃炎です。代表的な原因として、ピロリ菌という細菌の感染が挙げられます。ピロリ菌は胃の粘膜に生息し、炎症を引き起こすことで胃炎や胃潰瘍などの病気を発症させます。また、食中毒のように、ウイルスや細菌に汚染された食べ物が原因で急性胃炎を発症することもあります。もう一つは、ストレスや特定の薬剤、アルコール、刺激物の摂取など、生活習慣が深く関わる慢性胃炎です。暴飲暴食や脂っこい食事、香辛料の過剰摂取、過度な飲酒や喫煙、ストレスなども胃の粘膜に負担をかけ、慢性的な炎症を引き起こす要因となります。胃炎になると、みぞおちの痛みや不快感、吐き気、嘔吐、食欲不振などの症状が現れます。これらの症状は、他の消化器疾患でも見られるため、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが大切です。
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タンパク質を分解する酵素: プロテアーゼ

- プロテアーゼとは私たちの体を含む生物の体を構成する重要な要素の一つにタンパク質があります。 このタンパク質は、多数のアミノ酸が鎖のようにつながり、複雑な立体構造を持つことで様々な機能を発揮しています。このアミノ酸同士をつないでいる結合をペプチド結合と呼びます。プロテアーゼはこのペプチド結合を切断する、いわば「タンパク質分解酵素」の役割を担っています。プロテアーゼは、タンパク質をより小さな断片であるペプチドや、最小単位であるアミノ酸へと分解します。この働きは、不要になったタンパク質の分解や、食物中のタンパク質の消化吸収、体内の様々な反応の調整など、生命維持に欠かせないものです。例えば、食事で摂取した肉や魚などのタンパク質は、そのままでは体が吸収できません。そこで、胃や腸で分泌されるプロテアーゼがタンパク質を分解し、吸収しやすい形に変えています。また、細胞内では、不要になったタンパク質や、異常なタンパク質をプロテアーゼが分解することで、細胞内環境の維持に貢献しています。このように、プロテアーゼは生命活動の維持に欠かせない酵素であり、その種類や働きは多岐にわたります。
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クローン病:現代社会の難病

- 概要 クローン病は、口から肛門まで続く消化管のどこにでも炎症を起こす可能性のある病気で、現代社会における重要な健康問題の一つとなっています。この病気は、本来、体を守るはずの免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一種と考えられていますが、その詳しい仕組みはまだ完全には解明されていません。 クローン病は、腹痛や下痢、血が混じった便、発熱、体重減少など、日常生活に大きな影響を与える深刻な症状を引き起こす可能性があります。これらの症状は、炎症が起こっている場所や重症度によって大きく異なります。 さらに、クローン病は腸管が狭くなったり詰まったりする狭窄や閉塞、膿が溜まった腫れである膿瘍の形成などの合併症を引き起こすこともあり、場合によっては手術が必要となることもあります。クローン病は、現在のところ完治させる治療法は見つかっていませんが、薬物療法や食事療法、生活習慣の改善などによって症状をコントロールし、患者さんがより良い生活を送れるように様々な取り組みがなされています。
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盲腸と虫垂炎

- 盲腸とは解剖学において「盲腸」とは、大腸の一部を指す言葉です。食べ物の消化・吸収を終えた残渣は、小腸から大腸へと送られます。小腸と大腸の接続部分には、「回盲弁」と呼ばれる逆流防止弁のような構造があり、ここから大腸が始まります。回盲弁から続く大腸は、まず上行結腸、横行結腸、下行結腸と続き、S状結腸を経て直腸へとつながっていきます。そして、このうち回盲弁から続く大腸の始まりの部分、行き止まりになっている部分を「盲腸」と呼びます。通常、盲腸の長さは5~6cmほどです。盲腸の後内側壁には、「虫垂」と呼ばれる直径3~5mmほどの袋状の臓器が付いています。虫垂は、リンパ組織が集まってできた器官で、免疫機能に関与していると考えられていますが、その詳細な役割についてはまだ解明されていません。虫垂は、一般的には右下腹部に位置していますが、人によっては発生過程の違いにより、右上腹部や骨盤内など、様々な場所に位置する可能性があります。虫垂に炎症が起きると「虫垂炎」となりますが、世間一般では虫垂炎のことを「盲腸」と呼ぶことが多く見られます。医学的には、虫垂と盲腸は明確に区別されるため、注意が必要です。例えば、医療機関を受診する際には、「盲腸が痛い」ではなく、「右下腹部が痛い」と症状を伝えるようにしましょう。
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潰瘍性大腸炎:原因不明の炎症性腸疾患

- 潰瘍性大腸炎とは潰瘍性大腸炎は、大腸の最も内側の層である粘膜に炎症が起こり、びらんや潰瘍といった傷ができてしまう病気です。この炎症は、直腸から始まり、連続的に上行して大腸全体に広がっていくという特徴があります。原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫システムの異常が大きく関わっていると考えられています。本来、免疫システムは細菌やウイルスなどの外敵から体を守る働きをしていますが、潰瘍性大腸炎の患者さんの場合、何らかの原因で自分の体の細胞や組織を攻撃してしまうと考えられています。また、遺伝的な要因も指摘されています。家族に潰瘍性大腸炎の方がいる場合、発症するリスクが高くなるというデータがあります。さらに、食生活やストレスなどの環境要因も発症に関与している可能性が示唆されています。潰瘍性大腸炎は、10代後半から20代の若い世代に多く発症する傾向があります。そして、症状がほとんどない寛解期と、下痢や血便、腹痛などの症状が現れる再燃期を繰り返すという経過をたどることが多く、患者さんにとって大きな負担となっています。症状の程度は患者さんによって異なり、日常生活に支障をきたすほどの激しい症状が出る場合もあれば、ほとんど症状を感じない軽症の場合もあります。症状が重い場合は、適切な治療を行わないと、貧血や脱水症状、腸閉塞などの合併症を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。
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B型肝炎:沈黙のウイルスとの闘い

- ウイルスによる肝臓の病気肝臓は、栄養の分解や貯蔵、有害物質の解毒など、生命維持に欠かせない役割を担う重要な臓器です。この肝臓は、沈黙の臓器とも呼ばれ、初期段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。しかし、ウイルスなどの影響で炎症が起き、放置すると徐々に機能が低下し、肝硬変や肝臓がんといった重い病気へと進行する可能性があります。ウイルスによる肝臓の病気の一つに、B型肝炎が挙げられます。これは、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液を介して肝臓に感染することで発症する病気です。HBVに感染すると、肝臓に炎症が起こり、倦怠感や食欲不振、黄疸などの症状が現れます。HBVの主な感染経路は、血液感染、性行為感染、母子感染の3つです。血液感染は、HBVに汚染された血液を輸血したり、注射針を共用したりすることで感染します。性行為感染は、HBVに感染している人と性交渉を持つことで感染します。母子感染は、HBVに感染している母親から出産時に赤ちゃんに感染します。B型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝臓がんのリスクが高まるため、早期発見・早期治療が重要となります。ワクチンを接種することで、HBVの感染を予防することができますので、医療機関に相談するようにしてください。
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