生命維持の要!小腸の役割と健康
私たちは毎日食事を楽しみますが、口にした食べ物が体の中でどのように消化され、吸収されているのか、深く考える機会は少ないかもしれません。食べ物の長い旅路の中で、小腸は栄養を吸収する重要な役割を担っています。胃から続く小腸は、全長6~7メートルにも及ぶ管状の臓器で、お腹の中では腸間膜によって支えられながら、複雑に折りたたまれています。もしも小腸を広げることができたら、テニスコート一面を覆ってしまうほどの大きさになるといわれています。
小腸は、ただ栄養を吸収するだけの単純な管ではありません。その内壁は、輪状ひだと呼ばれる無数のヒダで覆われており、さらにその表面には絨毛と呼ばれる小さな突起がびっしりと生えています。絨毛はまるで、ベルベットのような質感を持っています。この輪状ひだや絨毛があるおかげで、小腸の内壁の表面積は大きく広がり、テニスコートの約2倍にもなると言われています。この広大な表面積こそが、効率よく栄養を吸収する上で欠かせない要素なのです。
小腸に送られてきた食べ物は、胃で分泌される胃液や、小腸自身から分泌される消化液、そして膵臓や肝臓から分泌される消化酵素によって、さらに細かく分解されます。そして、分解された栄養素は、絨毛の表面にある細胞から吸収され、血液やリンパ液によって全身に運ばれていきます。このように、小腸は驚くべき構造と機能によって、私たちの生命を維持するために必要な栄養を効率よく吸収しているのです。