感染性胃腸炎: 冬の流行に注意
病院での用語を教えて
先生、「感染性胃腸炎」ってよく聞くけど、どんな病気なんですか?
体の健康研究家
そうだね。「感染性胃腸炎」は、小さな生き物(細菌やウイルス)が原因で、お腹や腸に炎症が起きる病気だよ。秋から冬にかけて流行することが多いんだ。
病院での用語を教えて
小さな生き物がお腹に入ると、どうして炎症を起こすんですか?
体の健康研究家
お腹や腸に、その小さな生き物が住み着いて増えてしまうと、体がそれを追い出そうとして、炎症を起こすんだ。その時に、吐き気や下痢、腹痛といった症状が出るんだよ。
感染性胃腸炎とは。
お腹や腸にばい菌やウイルスなどの病気がうつることで、吐いたりお腹が痛くなったりする病気を「感染性胃腸炎」といいます。毎年秋から冬にかけて流行しやすく、特にウイルスによるものが多くなっています。また、小さな子供がかかりやすい病気です。
感染性胃腸炎とは
– 感染性胃腸炎とは感染性胃腸炎は、食べ物や飲み物、あるいは感染者の便などを通して、体の中に微生物が侵入し、胃や腸などの消化管に炎症を引き起こす病気です。この微生物には、主に細菌やウイルスなどが挙げられます。代表的な症状としては、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などがあり、発熱や頭痛を伴うこともあります。これらの症状は、体内に入った微生物を排除しようとする体の防御反応によって起こります。感染性胃腸炎は、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。特に、免疫力が十分に発達していない乳幼児や、免疫力が低下しやすい高齢者は、重症化しやすい傾向にあるため注意が必要です。感染性胃腸炎は、年間を通して発生しますが、特に冬場に流行しやすいと言われています。これは、気温が低く乾燥した環境では、ウイルスが空気中を漂いやすく、感染が広がりやすいためと考えられています。また、夏場には、細菌による食中毒が原因で発症するケースも多くなります。感染性胃腸炎を予防するためには、こまめな手洗いが重要です。特に、食事の前やトイレの後には必ず手を洗いましょう。また、食品は十分に加熱してから食べるようにし、生水は飲まないようにしましょう。周りの人に感染を広げないためにも、咳エチケットを心がけることも大切です。
項目 | 説明 |
---|---|
定義 | 食べ物や飲み物、感染者の便などから微生物が侵入し、消化管に炎症を起こす病気 |
原因 | 細菌、ウイルスなど |
症状 | 吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛 |
リスクが高い年齢層 | 乳幼児、高齢者 |
発生時期 | 年間を通して(冬場に流行しやすい) |
予防策 | こまめな手洗い、食品の加熱、生水の摂取回避、咳エチケット |
主な原因となる病原体
食べ物を介して、あるいは人から人に伝播する感染性胃腸炎は、主に細菌とウイルスが原因で発症します。細菌性の胃腸炎は、サルモネラ菌、カンピロバクター、腸管出血性大腸菌といった細菌によって引き起こされます。サルモネラ菌は、鶏肉や卵などの poultry 製品に生息しており、十分に加熱調理しないことで感染します。カンピロバクターは、鶏肉や牛肉、また、ペットからも感染する可能性があり、特に夏場に多く発生します。腸管出血性大腸菌は、牛の腸内に生息しており、汚染された牛肉や井戸水などが感染源となります。
一方、ウイルス性の胃腸炎では、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが主な原因となります。特にノロウイルスは、冬季に流行しやすく、わずか10~100個程度のウイルス粒子でも感染するほど感染力が強いため注意が必要です。ロタウイルスは、乳幼児を中心に流行しやすく、嘔吐や下痢、発熱などの症状を引き起こします。アデノウイルスは、年間を通して感染が見られ、乳幼児を中心にプールなどを介して集団感染を起こすこともあります。これらの病原体は、それぞれ感染経路や潜伏期間、症状が異なるため、それぞれの特性を理解することが重要となります。
原因 | 病原体 | 主な感染源 | 特徴 |
---|---|---|---|
細菌性胃腸炎 | サルモネラ菌 | 鶏肉、卵などの poultry 製品 | 十分に加熱調理しないことで感染 |
カンピロバクター | 鶏肉、牛肉、ペット | 特に夏場に多く発生 | |
腸管出血性大腸菌 | 汚染された牛肉、井戸水 | 牛の腸内に生息 | |
ウイルス性胃腸炎 | ノロウイルス | – | 冬季に流行しやすく、感染力が強い。わずか10~100個程度のウイルス粒子でも感染 |
ロタウイルス | – | 乳幼児を中心に流行しやすく、嘔吐や下痢、発熱などの症状を引き起こす。 | |
アデノウイルス | – | 年間を通して感染が見られ、乳幼児を中心にプールなどを介して集団感染を起こすことも。 |
感染経路
– 感染経路
感染性胃腸炎は、主に口からウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入することで感染します。これを経口感染と呼びます。
経口感染の主な原因としては、病原体が付着した食品や飲料水を口にすることが挙げられます。食品は、加熱が不十分な場合や、調理器具や手指を介して汚染されることがあります。また、水道水が十分に消毒されていない場合や、井戸水などのように、もともと病原体が含まれている場合があります。
感染者の吐瀉物や糞便には大量の病原体が含まれており、これらに直接触れることで感染することもあります。直接触れるだけでなく、汚染された手で食品を扱ったり、口や鼻を触ったりすることでも感染が広がります。
さらに、ドアノブや手すり、おもちゃなど、様々なものに病原体が付着することがあります。感染者がこれらのものを触った後、健康な人が触れることで、間接的に病原体が手に付着し、その手で口や鼻を触ることで感染に至ります。
ノロウイルスなど、一部のウイルスは空気感染もします。これは、患者の吐瀉物や糞便が乾燥して微粒子となり、空気中に漂うことで、それを吸い込むことで感染する経路です。そのため、患者の近くにいるだけで感染する可能性があります。
感染性胃腸炎は、このように様々な経路で感染するため、日頃から予防対策を心がけることが重要です。
感染経路 | 詳細 |
---|---|
経口感染 | – 病原体が付着した食品や飲料水を口にする – 調理器具や手指を介して食品が汚染される – 水道水や井戸水の汚染 |
接触感染 | – 感染者の吐瀉物や糞便に直接触れる – 汚染された手で食品を扱ったり、口や鼻を触る – ドアノブ、手すり、おもちゃなどを介した間接的な接触 |
空気感染(ノロウイルスなど) | – 患者の吐瀉物や糞便が乾燥し、微粒子となって空気中に漂う – それを吸い込むことで感染 |
予防対策
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などに汚染された飲食物を口にすることで感染し、腹痛や下痢、嘔吐などを引き起こす病気です。しっかりと予防対策をすることで、感染のリスクを減らすことができます。
最も重要な予防対策は、こまめな手洗いです。トイレに行った後や食事の前、調理の前後には必ず石鹸と流水を使って丁寧に手を洗いましょう。特に、爪の間や指の間、親指は念入りに洗い、流水でしっかりと洗い流すことが大切です。
食品は十分に加熱調理しましょう。細菌やウイルスは加熱することで死滅します。特に、肉や魚介類は中心部までしっかりと火を通すようにしましょう。また、生水は飲まずに、煮沸するか、市販の飲料水を飲むようにしましょう。
タオルの共用は避け、定期的に洗濯しましょう。タオルにはウイルスや細菌が付着しやすく、共用することで感染が広がる可能性があります。家族全員がそれぞれ専用のタオルを使うようにし、定期的に洗濯して清潔に保ちましょう。
調理器具は使用後すぐに洗い、清潔に保ちましょう。特に、まな板は肉や魚介類などの生ものと、野菜など加熱せずに食べるものとで使い分けるようにすると、より安全です。また、定期的に消毒用アルコールなどで拭くことも効果的です。
これらの予防対策を実践して、感染性胃腸炎から身を守りましょう。
予防対策 | 具体的な方法 |
---|---|
こまめな手洗い | ・トイレに行った後、食事の前、調理の前後には必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗う ・爪の間や指の間、親指は念入りに洗い、流水でしっかりと洗い流す |
食品の加熱 | ・細菌やウイルスは加熱することで死滅するため、食品は十分に加熱する ・肉や魚介類は中心部までしっかりと火を通す ・生水は飲まずに、煮沸するか、市販の飲料水を飲む |
タオルの共用を避ける | ・タオルは個人専用にし、定期的に洗濯して清潔に保つ |
調理器具の清潔を保つ | ・調理器具は使用後すぐに洗い、清潔に保つ ・まな板は肉や魚介類などの生ものと、野菜など加熱せずに食べるものとで使い分ける ・定期的に消毒用アルコールなどで拭く |
治療法
– 治療法感染性胃腸炎にかかってしまった場合、その治療の中心となるのは、あくまで症状を和らげるための対症療法です。というのも、ウイルスや細菌に対する特効薬はなく、多くの場合、人間の自然治癒力によって回復するからです。最も重要なのは、脱水症状を防ぐことです。下痢や嘔吐が続くと、体内の水分と電解質が失われてしまいます。これを補うために、経口補水液をこまめに摂取することが推奨されます。経口補水液は、水に比べて体内に吸収されやすく、効率的に水分と電解質を補給することができます。薬局などで購入できますが、家庭でも水、砂糖、塩を使って簡単に作ることができます。スポーツドリンクも水分補給に役立ちますが、糖分が多く含まれているため、飲み過ぎには注意が必要です。つらい症状を和らげるためには、症状に合わせて薬を使用することもあります。吐き気がひどい場合には吐き気止めを、下痢が続く場合には下痢止めを服用します。ただし、これらの薬は自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従って下さい。症状によっては、薬の使用を控えた方が良い場合や、異なる治療が必要な場合もあるからです。ほとんどの場合、感染性胃腸炎は数日間の安静と適切な処置によって回復に向かいます。しかし、症状が改善しない場合や、高熱が続く場合、血便が出る場合などは、重症化している可能性があります。このような場合には、迷わず医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。場合によっては、入院が必要となることもあります。
治療のポイント | 詳細 |
---|---|
対症療法 | ウイルスや細菌に対する特効薬はなく、基本的には対症療法で症状を和らげながら自然治癒を待つ。 |
脱水症状の予防 | 下痢や嘔吐による脱水を防ぐため、経口補水液をこまめに摂取する。 |
経口補水液について | 水よりも効率的に水分・電解質を補給できる。薬局で購入または家庭でも作成可能。 |
市販薬の利用 | 吐き気止めや下痢止めなど、症状に合わせて薬を使用する場合は、必ず医師の指示に従う。 |
医療機関受診の目安 | 症状が改善しない場合、高熱が続く場合、血便が出る場合などは、迷わず医療機関を受診する。 |
日常生活での注意点
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌によって引き起こされる、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れる病気です。非常に感染力が強く、日常生活で感染を広げないよう注意が必要です。感染性胃腸炎を発症した場合は、まず、外出は控え、自宅で安静にしましょう。仕事や学校は休み、十分な休息を取り体力の回復を優先することが大切です。
感染性胃腸炎は、患者の便や嘔吐物などに触れることで、ウイルスや細菌が口から体内に入り込み、感染します。そのため、トイレの後や嘔吐物の処理は特に注意が必要です。トイレの後は石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。嘔吐物の処理は、使い捨ての手袋とマスクを着用し、ペーパータオルなどで丁寧に拭き取ります。その後、消毒用アルコールや塩素系漂白剤を用いて、周囲をしっかりと消毒することが大切です。
また、タオルや食器、寝具などの共用も感染を広げる原因となります。家族とはなるべく距離を置き、それぞれ個別のものを使用するよう心がけましょう。
これらの点に注意することで、周囲への感染拡大を防ぐことができます。感染性胃腸炎は、つらい症状が伴いますが、安静と適切な処置によって、通常数日で回復します。ご自身と周りの方の健康を守るためにも、感染予防と早期回復に努めましょう。
場面 | 具体的な対策 |
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発症時 |
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トイレの後・嘔吐物の処理時 |
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日常生活 |
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