隠れた危険信号?肝脾腫について解説
病院での用語を教えて
先生、「肝脾腫」って、どういう意味ですか?
体の健康研究家
いい質問だね。「肝脾腫」は、「かんぴしゅ」って読むんだけど、肝臓と脾臓の両方が腫れている状態を指す言葉なんだ。
病院での用語を教えて
肝臓と脾臓が腫れているって、どういうことですか?
体の健康研究家
肝臓や脾臓は、病気になると大きくなることがあるんだ。例えば、ウイルス感染や、血液の病気などが原因で大きくなることがあるよ。
肝脾腫とは。
『肝脾腫』っていう言葉は、医学とか健康に関する言葉で、病気の症状として肝臓と脾臓が大きくなることをいいます。肝臓が大きくなるのは『肝腫大』、脾臓が大きくなるのは『脾腫大』っていうんだけど、この二つを合わせて『肝脾腫』って言うんです。
肝脾腫とは
– 肝臓と脾臓の腫れ肝脾腫とは肝脾腫とは、体の右側上腹部にある肝臓と、左側上腹部にある脾臓の両方が腫れている状態を指します。それぞれの臓器の役割と、腫れが生じる原因について詳しく見ていきましょう。-# 重要な役割を担う肝臓肝臓は、体の右側上腹部、肋骨の下に位置する、人体の中で最大の臓器です。その働きは多岐にわたり、栄養分の分解と合成、胆汁の生成、アルコールや薬物などの解毒、血液の貯蔵など、生命維持に欠かせない役割を担っています。-# 免疫と血液に関わる脾臓脾臓は、体の左側上腹部、肋骨の下、胃の近くに位置する臓器です。血液中の老廃物や古くなった赤血球をろ過して破壊する役割や、免疫機能において重要な役割を担っています。具体的には、リンパ球という免疫細胞を生成し、細菌やウイルスなどの病原体から体を守る働きをしています。-# 肝脾腫の原因肝臓と脾臓は、それぞれ異なる役割を担っていますが、共通して、様々な病気によって腫れが生じることがあります。肝臓の病気では、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、脂肪肝などが挙げられます。脾臓の病気では、感染症、血液疾患、自己免疫疾患などが挙げられます。肝脾腫は、これらの病気の症状の一つとして現れることが多く、腫れの程度や原因によって、自覚症状や治療法が異なります。そのため、肝臓や脾臓の腫れを感じたら、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。
臓器 | 位置 | 役割 | 腫脹の原因 |
---|---|---|---|
肝臓 | 体の右側上腹部、肋骨の下 | – 栄養分の分解と合成 – 胆汁の生成 – アルコールや薬物などの解毒 – 血液の貯蔵 |
– ウイルス性肝炎 – アルコール性肝障害 – 脂肪肝 |
脾臓 | 体の左側上腹部、肋骨の下、胃の近く | – 血液中の老廃物や古くなった赤血球のろ過と破壊 – 免疫機能(リンパ球の生成など) |
– 感染症 – 血液疾患 – 自己免疫疾患 |
肝脾腫の原因
肝臓と脾臓は、どちらも体の中で重要な役割を担う臓器です。肝臓は栄養分の分解や貯蔵、解毒などを行い、脾臓は血液中の老廃物を除去したり、免疫機能に関わったりしています。これらの臓器が腫れて大きくなることを「肝脾腫」と呼びますが、肝脾腫は、それ自体が病気なのではなく、他の病気によって引き起こされる症状の一つです。
肝脾腫を引き起こす原因は、大きく分けて感染症、血液疾患、腫瘍、自己免疫疾患、代謝性疾患などが考えられます。
まず、ウイルス、細菌、寄生虫などの感染症によって肝臓や脾臓に炎症が起こると、腫れが生じることがあります。肝炎ウイルスによる肝炎や、結核菌による結核などがその代表的な例です。
また、血液の病気が原因となることもあります。白血病や悪性リンパ腫など、血液細胞の異常増殖を伴う病気では、腫大した血液細胞が肝臓や脾臓に蓄積し、腫れを引き起こします。
さらに、肝臓や脾臓自身の腫瘍、あるいは他の臓器から肝臓や脾臓に転移したがんなども、腫れの原因となりえます。
その他にも、自己免疫疾患と呼ばれる、本来は体を守るための免疫システムが自分の体を攻撃してしまう病気や、代謝性疾患と呼ばれる、体内の代謝機能に異常が生じる病気なども、肝脾腫を引き起こす可能性があります。
このように肝脾腫の原因は多岐にわたるため、その原因を特定し適切な治療を行うためには、医師による診察と検査が必要不可欠です。
原因 | 詳細 | 例 |
---|---|---|
感染症 | ウイルス、細菌、寄生虫などの感染による肝臓や脾臓の炎症 | 肝炎ウイルスによる肝炎、結核菌による結核 |
血液疾患 | 血液細胞の異常増殖を伴う病気で、腫大した血液細胞が肝臓や脾臓に蓄積 | 白血病、悪性リンパ腫 |
腫瘍 | 肝臓や脾臓自身の腫瘍、あるいは他の臓器からの転移がん | 肝臓がん、脾臓がん |
自己免疫疾患 | 免疫システムが自分の体を攻撃する病気 | – |
代謝性疾患 | 体内の代謝機能に異常が生じる病気 | – |
肝脾腫の症状
– 肝脾腫の症状肝臓と脾臓は、身体の重要な機能を担う臓器です。肝臓は栄養の貯蔵や解毒、胆汁の生成などを、脾臓は血液の濾過や免疫機能に関与しています。これらの臓器が何らかの原因で腫れてしまう病気を肝脾腫と呼びます。肝脾腫は、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断などで指摘されて初めて気付くというケースも少なくありません。しかし、肝臓や脾臓の腫れが進行するにつれて、様々な症状が現れてきます。初期症状としてよく見られるのが、お腹の張りや膨満感です。これは、腫大した肝臓や脾臓が周囲の臓器を圧迫するために起こります。また、食欲不振や吐き気、倦怠感なども現れやすく、これらの症状によって体重が減少することもあります。さらに症状が進行すると、腹痛や黄疸、呼吸困難などの深刻な症状が現れることもあります。腹痛は、腫大した肝臓や脾臓の表面を覆う膜が引っ張られるために起こり、鈍痛や締め付けられるような痛みを感じることが多いようです。また、黄疸は、肝機能の低下によってビリルビンという黄色い色素が血液中に増加し、皮膚や白目が黄色くなる状態です。さらに、腫大した肝臓や脾臓が横隔膜を押し上げることで、呼吸が浅く苦しくなる呼吸困難が起こることもあります。肝脾腫は、その原因となる病気によって様々な症状が現れる可能性があります。例えば、肝炎ウイルスによる肝炎では、発熱や全身倦怠感、黄疸などが、肝硬変では、腹水や食道静脈瘤などがみられることがあります。肝脾腫の症状に気付いたら、自己判断せずに、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
段階 | 症状 |
---|---|
初期 |
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進行期 |
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原因疾患による症状 |
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肝脾腫の診断
– 肝脾腫の診断肝臓や脾臓は、肋骨の下に隠れるように位置しており、通常は触っても分かりません。しかし、何らかの原因でこれらの臓器が腫れて大きくなると、触診で確認できるようになります。これが肝脾腫と呼ばれる状態です。肝脾腫の診断には、まず医師による診察が行われます。診察では、患者さんを仰向けに寝かせ、腹部を優しく触診します。これにより、肝臓や脾臓の大きさ、硬さ、表面の状態などを確認します。また、圧痛の有無も重要な情報となります。触診である程度の情報は得られますが、肝脾腫の原因を探り、適切な治療法を決定するためには、さらなる検査が必要となります。血液検査では、肝機能や脾機能に異常がないか、感染症や炎症の有無などを調べます。具体的には、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)、ALP(アルカリフォスファターゼ)、総ビリルビン、直接ビリルビン、血小板数などが測定されます。これらの数値は、肝臓や脾臓の機能や炎症の程度を反映しており、診断の重要な手がかりとなります。さらに、画像検査を用いることで、肝臓や脾臓の大きさや形状、腫瘍の有無などを詳しく調べることができます。腹部超音波検査は、広く普及しており、体に負担の少ない検査として、最初に実施されることが多いです。 CT検査やMRI検査は、超音波検査よりも詳細な情報を得ることができ、肝臓や脾臓の内部構造や病変の広がりなどを正確に把握することができます。これらの検査結果をもとに、肝脾腫の原因となる病気を特定します。原因としては、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、脂肪肝などの肝臓の病気、白血病、悪性リンパ腫などの血液の病気、肝硬変など様々な病気が考えられます。 原因疾患に応じて適切な治療法が決定されるため、肝脾腫が疑われる場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
検査 | 目的 | 詳細 |
---|---|---|
身体診察 | 肝臓・脾臓の腫大の確認 | 患者を仰臥位にし、腹部を触診して、大きさ、硬さ、表面の状態、圧痛などを確認する。 |
血液検査 | 肝機能・脾機能の評価、感染症や炎症の有無の確認 | AST、ALT、γ-GTP、ALP、総ビリルビン、直接ビリルビン、血小板数などを測定する。 |
腹部超音波検査 | 肝臓・脾臓の大きさや形状、腫瘍の有無の確認 | 体に負担が少ない検査。 |
CT検査、MRI検査 | 肝臓・脾臓の内部構造や病変の広がりなどを確認 | 超音波検査よりも詳細な情報を得ることができる。 |
肝脾腫の治療
肝臓と脾臓は、どちらも体にとって重要な役割を担う臓器です。肝臓は栄養の貯蔵や分解、有害物質の解毒などを行い、脾臓は古くなった血液細胞の破壊や免疫機能に関与しています。これらの臓器が何らかの原因で腫れてしまう病気を肝脾腫と呼びます。
肝脾腫は、その原因によって治療法が異なってきます。肝臓や脾臓で炎症を起こしているウイルスや細菌などの感染症が原因の場合は、原因となる病原体を抑えるために、抗生物質や抗ウイルス薬などの薬を用いた治療が行われます。また、自分の免疫システムが誤って自分の体組織を攻撃してしまう自己免疫疾患が原因で肝脾腫が起きている場合は、過剰な免疫反応を抑えるために、免疫抑制剤などの薬が使われることがあります。
さらに、血液のがんや一部の肝臓がんなど、腫瘍によって肝脾腫が引き起こされている場合は、抗がん剤による化学療法や、放射線を照射する放射線療法、外科手術など、原因となる病気に対して appropriate な治療が行われます。
肝脾腫は、放置すると様々な合併症を引き起こす可能性があります。肝臓の機能が低下すると、黄疸や腹水などの症状が現れたり、血液凝固異常などが起こりやすくなることがあります。また脾臓の機能が低下すると、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります。さらに、肝臓が腫れて硬くなることで、門脈と呼ばれる血管の圧力が高くなり、食道静脈瘤や腹水などの症状が現れる門脈圧亢進症を引き起こす可能性もあります。
このように、肝脾腫は放置すると様々なリスクを伴うため、早期に発見し、原因に合わせた適切な治療を行うことが非常に重要です。
原因 | 治療法 |
---|---|
ウイルス、細菌感染など | 抗生物質、抗ウイルス薬など |
自己免疫疾患 | 免疫抑制剤など |
血液がん、肝臓がんなど | 化学療法、放射線療法、外科手術など |
日常生活での注意点
– 日常生活での注意点「肝脾腫」と診断された場合、医師の指示に従って治療を続けることが何よりも大切です。 肝臓や脾臓は、身体の重要な機能を担っています。自己判断で治療を中断したり、放置したりすると、症状が悪化する可能性があります。日常生活では、まず食生活に気を配りましょう。栄養バランスの取れた食事を心がけ、肝臓や脾臓への負担を減らすことが大切です。特に、脂肪や糖分の過剰摂取は肝臓に負担をかけるため、控えるようにしましょう。また、十分な休息をとることも重要です。睡眠不足は身体の回復力を低下させ、肝臓や脾臓にも悪影響を及ぼす可能性があります。お酒やタバコも、肝臓に大きな負担をかけます。過度な飲酒は、脂肪肝や肝硬変などのリスクを高めるため、できるだけ控えましょう。タバコに含まれる有害物質も、肝臓の機能を低下させる要因となります。禁煙することで、肝臓への負担を軽減することができます。適度な運動は、健康維持に役立ちます。軽い運動を継続することで、血液循環が促進され、肝臓や脾臓の機能維持にもつながります。ただし、激しい運動は、逆に肝臓や脾臓に負担をかける可能性があります。 運動の種類や強度については、必ず医師に相談し、自身の体調に合った運動を選びましょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
食事 | – 栄養バランスの取れた食事を心がける – 脂肪や糖分の過剰摂取を控える |
休息 | – 十分な睡眠をとる |
飲酒・喫煙 | – 過度な飲酒を控える – 禁煙する |
運動 | – 適度な運動を継続する – 激しい運動は避ける – 運動の種類や強度については医師に相談する |