B型肝炎:沈黙のウイルスとの闘い
病院での用語を教えて
先生、「B型肝炎」ってよく聞くけど、どんな病気なのかよくわからないんです。大人になってからかかるのと、子どもの時になるのとでは何か違いがあるんですか?
体の健康研究家
良い質問ですね。B型肝炎はウイルスによって肝臓に炎症が起こる病気です。大人になってから感染すると、多くの場合は一時的な病気で治ることが多いのですが、子どもの頃に感染すると、ウイルスが体からいなくならず、大人になってから病気として出てくることがあるんだ。
病院での用語を教えて
そうなんですね。子どもの方が重くなるってことですか?
体の健康研究家
必ずしもそうとは言い切れないけど、子どもの頃に感染すると、自覚症状がないまま大人になって、知らないうちに病気が進んでしまうことがあるんだ。だから、小さい頃にワクチンを打って、あらかじめ予防しておくことが大切なんだよ。
B型肝炎とは。
「びーがたかんえん」っていう病気は、びーがたかんえんウイルスが血液とか体液を通して肝臓に入って炎症を起こす病気の総称です。
この病気は大きく分けて、急性のものと慢性のものがあります。大人の場合、血液や体液を通して初めて感染すると、たいてい急性になります。一方、赤ちゃんや子どもの頃に母親から感染した場合は、免疫の働きが弱いのでウイルスが体から追い出されずに慢性化しやすくなります。
急性の場合、1ヶ月から半年くらいの潜伏期間の後、体がだるい、食欲がない、吐き気がする、熱が出る、黄疸が出る、肝臓が腫れるといった症状が現れます。血液検査では、肝臓の値や黄疸の数値が悪くなったり、血液が固まるまでの時間が長くなったりします。
慢性の場合、自覚症状がないまま数年から数十年たってから、健康診断などで偶然見つかることが多いです。肝硬変が進んでくると、体がだるくなったり、血液検査で異常が見つかったりします。
この病気かどうかを調べるには、ウイルスの検査が役立ちます。まず、HBs抗原というものを調べます。もしこれが陽性で、なおかつIgM-HBc抗体も陽性だったら、急性と診断されます。HBe抗原が陽性だと、肝臓の炎症が強いことを意味します。
治療していくうちにHBe抗原が陰性に変われば、回復に向かっていることが分かります。さらにHBs抗原も陰性になり、HBs抗体が陽性になれば、治ったと判断されます。
慢性の場合、HBs抗原とHBe抗原はずっと陽性のままです。その後、HBe抗体が陽性になり、比較的おとなしいウイルスに変わります。このウイルスが再び活発になると、慢性肝炎を引き起こします。
急性の場合、多くの場合自然に治るので、安静にして様子を見る治療を行います。ただし、劇症肝炎に移行する場合は、抗ウイルス薬や血漿交換、肝臓移植などが必要になることがあります。
慢性の場合、核酸アナログ製剤やインターフェロンを使いますが、ウイルスを完全に消すことはできません。
ウイルスによる肝臓の病気
– ウイルスによる肝臓の病気肝臓は、栄養の分解や貯蔵、有害物質の解毒など、生命維持に欠かせない役割を担う重要な臓器です。この肝臓は、沈黙の臓器とも呼ばれ、初期段階では自覚症状が出にくいという特徴があります。しかし、ウイルスなどの影響で炎症が起き、放置すると徐々に機能が低下し、肝硬変や肝臓がんといった重い病気へと進行する可能性があります。ウイルスによる肝臓の病気の一つに、B型肝炎が挙げられます。これは、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液を介して肝臓に感染することで発症する病気です。HBVに感染すると、肝臓に炎症が起こり、倦怠感や食欲不振、黄疸などの症状が現れます。HBVの主な感染経路は、血液感染、性行為感染、母子感染の3つです。血液感染は、HBVに汚染された血液を輸血したり、注射針を共用したりすることで感染します。性行為感染は、HBVに感染している人と性交渉を持つことで感染します。母子感染は、HBVに感染している母親から出産時に赤ちゃんに感染します。B型肝炎は、慢性化すると肝硬変や肝臓がんのリスクが高まるため、早期発見・早期治療が重要となります。ワクチンを接種することで、HBVの感染を予防することができますので、医療機関に相談するようにしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
肝臓の役割 | 栄養の分解・貯蔵、有害物質の解毒など |
ウイルス性肝疾患の特徴 | 初期は自覚症状が出にくい。放置すると肝硬変や肝臓がんのリスクあり。 |
B型肝炎 | B型肝炎ウイルス(HBV)による肝臓の炎症性疾患。 |
B型肝炎の症状 | 倦怠感、食欲不振、黄疸など |
B型肝炎の感染経路 | 血液感染、性行為感染、母子感染 |
B型肝炎の予防 | ワクチン接種 |
静かに進行する病気
「静かに進行する病気」という名前からもわかるように、B型肝炎は初期症状がほとんどありません。そのため、自覚症状がないまま病気が進行し、知らないうちに慢性化してしまうケースが多いのです。健康診断などでたまたま肝機能の数値に異常が見つかり、検査を受けた結果、B型肝炎と診断されるケースも少なくありません。
B型肝炎ウイルスに感染すると、肝臓で炎症が起きます。しかし、初期段階ではほとんど自覚症状が現れないため、多くの人は自分がB型肝炎であることに気づきません。そして、放置された状態が続くと、肝臓の炎症は徐々に進行し、慢性肝炎へと移行していきます。慢性肝炎になると、肝臓は線維化という状態になり、硬くなってしまいます。さらに病気が進行すると、肝硬変や肝臓がんといった、命に関わる合併症を引き起こすリスクが高まります。
B型肝炎は早期発見と適切な治療が重要です。自覚症状がないからといって油断せず、定期的な健康診断を受け、肝機能検査などを受けるようにしましょう。そして、B型肝炎と診断された場合は、医師の指示に従ってきちんと治療を継続することが大切です。
段階 | 症状・状態 |
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感染初期 |
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慢性肝炎 |
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重症化 |
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急性と慢性、二つの顔
B型肝炎は大きく分けて、急性肝炎と慢性肝炎という二つの異なるタイプに分類されます。
急性肝炎は、B型肝炎ウイルスに初めて感染した際に発症する病態です。感染すると、倦怠感や食欲不振、発熱、皮膚や白目が黄色くなる黄疸といった症状が現れます。多くの場合、これらの症状は数週間から数ヶ月で自然に治癒し、健康な状態へと回復します。しかし、ごくまれに、劇症肝炎と呼ばれる非常に重篤な状態になることもあり、注意が必要です。
一方、慢性肝炎は、急性肝炎が完全に治癒せず、6ヶ月以上持続している状態を指します。慢性肝炎の特徴は、自覚症状がほとんどないことが多く、自分自身では気づかないうちに病気が進行してしまう点です。知らず知らずのうちに病気が進行し、肝硬変や肝臓がんといった、より深刻な病気を引き起こす可能性も孕んでいます。そのため、B型肝炎ウイルスに感染した可能性がある場合は、たとえ症状が軽くても、医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。
分類 | 急性肝炎 | 慢性肝炎 |
---|---|---|
定義 | B型肝炎ウイルスに初めて感染した際に発症する | 急性肝炎が治癒せず6ヶ月以上持続する状態 |
症状 | 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸 多くの場合、数週間から数ヶ月で自然に治癒 |
自覚症状がほとんどないことが多い |
経過 | まれに劇症肝炎になることも | 肝硬変や肝臓がんに進行する可能性あり |
血液検査でわかる感染状態
健康診断などでおなじみの血液検査ですが、実は体内の感染状態を知る上でも重要な役割を担っています。特に、B型肝炎ウイルスに対する体の反応を調べることで、感染の有無だけでなく、その状態まで詳しく把握することが可能です。
B型肝炎ウイルスは、肝臓に炎症を引き起こすウイルスです。血液検査では、このウイルスに対する体の免疫反応を調べることで感染状態を診断します。検査では、主に「抗原」と「抗体」と呼ばれる物質を測定します。
「抗原」とは、ウイルスが持つ特定のタンパク質のことです。血液中にB型肝炎ウイルスの抗原が検出されるということは、現在体内でウイルスが増殖していることを意味します。
一方、「抗体」は、ウイルスに対抗するために体が作り出すタンパク質です。血液中にB型肝炎ウイルスに対する抗体が検出された場合、過去に感染したことがある、あるいはワクチンによって免疫を獲得している可能性があります。
これらの検査項目には、HBs抗原、HBe抗原、HBc抗体、HBs抗体などがあります。これらの検査結果を組み合わせることで、急性肝炎、慢性肝炎、キャリアといったB型肝炎の段階を診断します。急性肝炎は、感染初期に見られる強い炎症を伴う状態で、慢性肝炎は炎症が長く続く状態です。キャリアとは、ウイルスは保有しているものの、自覚症状がない状態を指します。
このように、血液検査の結果から、B型肝炎ウイルスに対する体の反応を詳細に分析することで、適切な治療や経過観察につなげることが可能となります。
検査項目 | 説明 |
---|---|
HBs抗原 | B型肝炎ウイルスが存在することを示す。陽性であれば、現在感染している可能性が高い。 |
HBe抗原 | B型肝炎ウイルスが活発に増殖していることを示す。 |
HBc抗体 | B型肝炎ウイルスに感染したことがあることを示す。 |
HBs抗体 | B型肝炎ウイルスに対する免疫があることを示す。ワクチン接種や過去の感染によって獲得される。 |
治療法と予防策
– 治療法と予防策
急性B型肝炎の治療では、安静にして十分な栄養を摂ることが重要です。安静にすることで、弱った肝臓を休ませ、回復を促します。また、栄養をしっかりと摂ることで、肝臓の再生を助けます。症状が重い場合は、入院して点滴によって栄養や水分を補給することがあります。
一方、慢性B型肝炎の治療は、ウイルスを減らし、肝臓の炎症を抑えることを目標に行われます。ウイルスを減らす薬として、インターフェロンや核酸アナログ製剤などが使われています。これらの薬は、ウイルスの増殖を抑えることで、肝臓へのダメージを軽減します。
B型肝炎は、ワクチンで予防できる病気です。ワクチンを接種することで、B型肝炎ウイルスに対する抵抗力がつき、感染を防ぐことができます。乳幼児期からのワクチン接種が推奨されています。B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染するため、日常生活で感染する可能性は低いですが、海外渡航や医療行為など、感染リスクの高い行動をする場合は、事前にワクチン接種を検討することが大切です。
種類 | 治療法 | 予防策 |
---|---|---|
急性B型肝炎 | – 安静 – 十分な栄養摂取 – (症状が重い場合)入院、点滴による栄養・水分補給 |
– |
慢性B型肝炎 | – ウイルスを減らす薬(インターフェロン、核酸アナログ製剤など) | – ワクチン接種 |