内視鏡を用いた胆道ドレナージ治療

消化器

内視鏡を用いた胆道ドレナージ治療

病院での用語を教えて

先生、「内視鏡的経鼻胆道ドレナージ」って、どんな治療法ですか?

体の健康研究家

「内視鏡的経鼻胆道ドレナージ」は、鼻から細い管を入れて胆汁の流れをよくする治療法だよ。胆汁は肝臓で作られて、胆道を通って十二指腸に流れるんだけど、胆石などで胆道が詰まると胆汁が流れなくなってしまって、体に悪い影響が出てしまうんだ。

病院での用語を教えて

鼻から管を入れるって、苦しそうですね…。

体の健康研究家

そうだね。でも、口から入れるよりも体の負担が少なく、安全性が高いとされているんだ。それに、この治療法は胆管炎の治療にとても効果的で、多くの患者さんを助けているんだよ。

内視鏡的経鼻胆道ドレナージとは。

「内視鏡的経鼻胆道ドレナージ」は、漢字で書くと難しい医療用語ですが、簡単に言うと鼻の穴から管を入れて胆汁を外に出す治療法のことです。この治療法は、胆管に炎症が起きた際に用いられます。

胆道閉塞と胆管炎

胆道閉塞と胆管炎

私たちの体には、栄養の吸収を助ける胆汁と呼ばれる液体を運ぶための胆道という管が存在します。胆汁は肝臓で作られ、十二指腸へと送られます。しかし、この胆道が胆石や腫瘍などによって塞がれてしまうことがあります。この状態を胆道閉塞と呼びます。

胆道閉塞が起こると、胆汁が流れなくなり、胆道内に溜まってしまいます。そして、この溜まった胆汁に細菌が繁殖しやすくなり、炎症を引き起こします。この胆道の炎症を胆管炎と言います。

胆管炎になると、高熱や激しい腹痛、黄疸などの症状が現れます。黄疸とは、血液中のビリルビンという黄色い色素が増加し、皮膚や白目が黄色くなる状態です。胆汁が流れなくなることで、ビリルビンが体内に蓄積してしまうために起こります。

胆管炎は、放置すると命に関わる危険な病気です。疑わしい症状がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

項目 説明
胆道 体内で胆汁を運ぶ管
胆汁 肝臓で作られ、十二指腸に送られる、栄養吸収を助ける液体
胆道閉塞 胆石や腫瘍などによって胆道が塞がれた状態
胆管炎 胆道閉塞により胆汁が溜まり、細菌感染による炎症が起こった状態
胆管炎の症状 高熱、激しい腹痛、黄疸など
黄疸 血液中のビリルビンが増加し、皮膚や白目が黄色くなる状態

内視鏡的経鼻胆道ドレナージとは

内視鏡的経鼻胆道ドレナージとは

– 内視鏡的経鼻胆道ドレナージとは

内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)は、胆管炎という、胆汁の通り道である胆管に炎症が起こる病気を治療する方法の一つです。

胆管炎は、胆石や腫瘍などによって胆汁の流れが悪くなることで起こり、放置すると重症化する可能性もある病気です。ENBDは、鼻から内視鏡と呼ばれる細い管を入れて、食道や胃を通り抜けて胆道に到達させます。そして、内視鏡の先端からさらに細いチューブを胆管内に挿入し、体外に排出するためのルートを作ります。このチューブをドレナージチューブと呼び、これを通して胆汁を体外に排出することで、胆管内の圧力を下げ、炎症を抑える効果があります。

ENBDは、従来の外科手術と比べて体への負担が少ない治療法として注目されています。というのも、開腹手術をする必要がなく、鼻から内視鏡を挿入するだけで治療を行うことができるからです。そのため、身体への負担が少なく、回復も早いというメリットがあります。

項目 説明
治療法名 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)
対象疾患 胆管炎(胆汁の通り道である胆管に炎症が起こる病気)
ENBDの方法 鼻から内視鏡を挿入し、食道、胃を通り胆道に到達。
そこからさらに細いチューブ(ドレナージチューブ)を胆管内に挿入し、胆汁を体外に排出するルートを作る。
効果 胆汁を体外に排出することで、胆管内の圧力を下げ、炎症を抑える。
メリット 開腹手術と比べて体への負担が少ない。
鼻から内視鏡を挿入するだけなので、身体への負担が少なく、回復も早い。

内視鏡的経鼻胆道ドレナージの手順

内視鏡的経鼻胆道ドレナージの手順

内視鏡的経鼻胆道ドレナージは、胆管が閉塞し、胆汁の流れが滞っている患者さんの体外に胆汁を排出するための治療法です。

通常、この治療は、患者さんにリラックスしていただくために鎮静剤を使用し、眠っているような状態で行います。まず、鼻腔内に局所麻酔を施した後、内視鏡と呼ばれる、先端にカメラの付いた細い柔軟な管を鼻から挿入します。

内視鏡は、鼻腔、咽頭、食道、胃を通過し、最終的に十二指腸に到達します。十二指腸は胃の出口に位置し、胆管と膵管がこの部分に開口しています。内視鏡のカメラで観察しながら、胆汁が流れ出る出口である乳頭部を探します。

乳頭部を確認後、ここから細いワイヤーを胆管内に挿入します。このワイヤーはガイドワイヤーと呼ばれ、次に挿入するドレナージチューブの道筋となります。ガイドワイヤーに沿ってドレナージチューブを胆管内に挿入し、チューブの先端が胆汁で満たされていることを確認します。

チューブは鼻に固定され、その先端は体外に誘導されます。胆汁はこのチューブを通して体外に排出され、胆管内の圧力が軽減されます。ドレナージチューブは、胆管の閉塞が改善されるまで、または他の治療法に切り替えるまで、挿入されたままになります。

手順 詳細
1. 準備 患者に鎮静剤を投与し、鼻腔内に局所麻酔を施します。
2. 内視鏡挿入 先端にカメラの付いた細い柔軟な管(内視鏡)を鼻から挿入し、十二指腸に到達させます。
3. 乳頭部確認 内視鏡のカメラで観察しながら、胆汁の出口である乳頭部を探します。
4. ガイドワイヤー挿入 乳頭部から細いワイヤー(ガイドワイヤー)を胆管内に挿入します。
5. ドレナージチューブ挿入 ガイドワイヤーに沿ってドレナージチューブを胆管内に挿入します。
6. チューブ固定と誘導 チューブを鼻に固定し、先端を体外に誘導します。
7. 胆汁排出 胆汁はチューブを通して体外に排出され、胆管内の圧力が軽減されます。
8. チューブ留置 ドレナージチューブは、胆管の閉塞が改善されるまで、または他の治療法に切り替えるまで、挿入されたままになります。

内視鏡的経鼻胆道ドレナージのメリット

内視鏡的経鼻胆道ドレナージのメリット

– 内視鏡的経鼻胆道ドレナージのメリット内視鏡的経鼻胆道ドレナージは、鼻から内視鏡と呼ばれる細い管を入れて、胆管にドレナージチューブを設置する治療法です。この治療法の最大のメリットは、お腹を切開する必要がないため、患者さんへの身体的な負担が非常に少ないという点です。従来の開腹手術では、術後の痛みや傷跡、長期入院など、患者さんへの負担が大きいため、この点は大きなメリットと言えるでしょう。また、内視鏡的経鼻胆道ドレナージは、比較的短時間で処置が完了するというメリットもあります。通常、1時間程度で治療を終えることができ、患者さんの負担を軽減することができます。さらに、この治療法は治療効果も高く、胆管の閉塞を改善し、胆汁の流れをスムーズにすることで、黄疸や腹痛などの症状を速やかに改善することができます。内視鏡的経鼻胆道ドレナージは、胆管炎を繰り返す場合や、緊急性の高い場合にも有効な治療法です。特に、高齢者や他の病気を持っている方など、開腹手術が難しい患者さんにとっては、非常に有効な選択肢となりえます。

メリット 詳細
身体的負担の軽減 お腹を切開しないため、術後の痛みや傷跡、長期入院などがなく、患者さんの負担が少ない。
治療時間の短縮 通常1時間程度で治療が完了し、患者さんの負担を軽減できる。
高い治療効果 胆管の閉塞を改善し、胆汁の流れをスムーズにすることで、黄疸や腹痛などの症状を速やかに改善できる。
緊急性への対応 胆管炎を繰り返す場合や、緊急性の高い場合にも有効な治療法である。
リスクの高い患者への有効性 高齢者や他の病気を持っている方など、開腹手術が難しい患者さんにとって、非常に有効な選択肢となる。

治療後の注意点

治療後の注意点

– 治療後の注意点内視鏡を用いて鼻から胆管にチューブを挿入し、胆汁を体外に排出する治療後、チューブは数日から数週間、体内に入れたままになります。治療の効果を十分に得るため、また合併症を防ぐためにも、いくつか注意すべき点があります。まず、体内に留置されたチューブは、常に清潔に保つ必要があります。チューブに汚れが付着すると、そこから細菌が入り込み、感染症を引き起こす可能性があります。そのため、医師や看護師から指導された方法で、チューブの管理と清潔を保つようにしてください。次に、胆汁は体外に排出されるため、体内の水分と電解質のバランスが崩れやすくなります。これは、脱水症状や倦怠感、食欲不振などを引き起こす可能性があります。医師の指示に従って、水分や電解質を適切に補給するように心がけましょう。具体的には、経口補水液やスポーツドリンクを摂取したり、食事に塩分を少し多めに加えるなどの方法があります。さらに、胆のうや胆管の炎症が落ち着くまでは、食事の内容に制限があります。脂肪分の多い食事は消化に負担がかかるため控える必要があります。また、アルコールや刺激物の摂取も控えるようにしてください。食事については、医師や管理栄養士から適切な指導を受けてください。日常生活においても、激しい運動や長時間の入浴は控えた方が良いでしょう。これらの行動は、体内に留置されたチューブの位置がずれたり、体への負担が大きくなる可能性があります。退院後も、体に違和感や異常を感じたら、すぐに医療機関に相談してください。医師や看護師の指示をよく聞き、治療後の生活を安全に過ごすように心がけましょう。

項目 注意点
チューブ管理 常に清潔に保つ。
医師や看護師の指導に従って管理と清潔を保つ。
水分・電解質 医師の指示に従って水分や電解質を適切に補給する。
経口補水液、スポーツドリンク摂取、食事に塩分を多めに加えるなど。
食事 脂肪分の多い食事、アルコール、刺激物の摂取を控える。
医師や管理栄養士の指導を受ける。
日常生活 激しい運動、長時間の入浴を控える。
退院後 体に違和感や異常を感じたら、すぐに医療機関に相談する。

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