知っておきたい病気:イレウス
病院での用語を教えて
先生、「イレウス」ってよく聞くんですけど、どんな病気ですか?
体の健康研究家
そうだね。「イレウス」は腸の動きが悪くなって、食べたものがうまく流れなくなる病気だよ。
病院での用語を教えて
腸の動きが悪くなるんですか? どうしてですか?
体の健康研究家
色々な原因があるんだけど、例えばお腹の手術の後や、腸の病気で起こることがあるね。腸が詰まってしまうこともあるんだよ。
イレウスとは。
「イレウス」とは、医学や健康で使われる言葉で、腸の動きが悪くなって、中のものがうまく流れなくなる状態のことです。
イレウスとは
– イレウスとはイレウスとは、食べ物を消化し、栄養を吸収する上で非常に重要な役割を担っている腸の働きが、何らかの原因で阻害され、本来ならばスムーズに送られるべき内容物が腸内に滞ってしまう状態を指します。私たちの体は、口から摂取した食べ物を胃で消化し、腸で栄養分を吸収することで生命を維持しています。この消化吸収という過程は、胃や腸などの消化器官が蠕動運動と呼ばれる規則正しい収縮運動を行うことで成り立っています。しかし、様々な要因によってこの蠕動運動が弱まったり、あるいは完全に停止してしまうことで、イレウスは引き起こされます。腸は栄養の吸収だけでなく、体内の水分調整にも深く関わっています。イレウスによってこの機能が損なわれると、体全体の水分バランスが崩れ、脱水症状を引き起こす可能性があります。さらに、イレウスを放置すると、腸閉塞や腸穿孔といった命に関わる重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。そのため、早期の診断と適切な治療が非常に重要となります。
項目 | 説明 |
---|---|
イレウスの定義 | 腸の働きが阻害され、内容物が腸内に滞ってしまう状態 |
原因 | 腸の蠕動運動の弱体化または停止 |
イレウスの影響 |
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合併症のリスク |
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重要性 | 早期診断と適切な治療が必要 |
イレウスの症状
– イレウスの症状
イレウスとは、腸の運動がなんらかの原因で阻害され、消化物がうまく先に進めなくなる状態です。食べ物が消化されずに腸内に留まってしまうため、腹痛や腹部膨満、嘔吐といった特徴的な症状が現れます。
腹痛は、腸がけいれんを起こしたり、ガスや内容物が腸内で詰まることで発生します。痛みの程度や持続時間は患者さんによって異なり、断続的に痛みが生じる場合もあれば、常に強い痛みを感じ続ける場合もあります。
腹部膨満は、腸内にガスや内容物が過剰に溜まることでお腹が張ったように感じます。腸の動きが弱くなっているため、ガスや便が排出されにくくなり、腹部膨満を引き起こします。
また、腸の内容物が正常な方向とは逆に逆流することで、嘔吐が起こる場合もあります。嘔吐物の内容や回数は患者さんや症状の重さによって異なり、吐き気だけの場合もあれば、頻繁に嘔吐を繰り返す場合もあります。
さらに、腸の動きが低下することで便秘になることが多く、ガスも排出されにくくなるため、お腹にガスが溜まって苦しいと感じることもあります。
これらの症状が続く場合は、重症化して命に関わる可能性もあるため、速やかに医療機関を受診することが重要です。
症状 | 説明 |
---|---|
腹痛 | 腸のけいれんやガス、内容物の貯留による。程度や持続時間は様様。 |
腹部膨満 | ガスや内容物の貯留による。 |
嘔吐 | 腸内容物の逆流による。内容や回数は様様。 |
便秘 | 腸の運動低下による。 |
ガス貯留 | ガスの排出困難による。 |
イレウスの原因
腸閉塞、つまり食べ物が腸の中をスムーズに通らなくなる状態であるイレウス。このイレウスを引き起こす原因は実に様々で、大きく二つに分けられます。
一つ目は「機械的イレウス」と呼ばれるタイプです。これは、腸そのものや腸の周りの物理的な障害物が原因で起こります。例えば、腸の中に腫瘍ができてしまったり、手術の後などに腸同士が癒着してしまったりすることで、食べ物が通る道が狭くなってしまうことがあります。また、腸の一部が腸に入り込んでしまう腸重積や、誤って異物を飲み込んでしまうことも、機械的イレウスの原因となります。
二つ目は「機能的イレウス」と呼ばれるタイプです。これは腸自身の動きが悪くなることで起こります。例えば、お腹を開く手術の後などに腸の動きが一時的に弱まってしまう腸管麻痺や、腹膜に炎症が起こる腹膜炎などが原因として挙げられます。また、体内の電解質のバランスが崩れたり、特定の薬の影響を受けたりすることでも、腸の動きが悪くなることがあります。
このようにイレウスの原因は多岐にわたるため、医師は原因を特定するために、患者さんから詳しくお話を伺ったり、身体の状態を診察したり、レントゲンやCTなどの画像検査を行ったりします。そして、これらの情報をもとに、適切な治療法を検討していきます。
分類 | 原因 | 詳細 |
---|---|---|
機械的イレウス | 腸の狭窄 | 腫瘍、癒着などにより腸管が狭くなる |
腸重積 | 腸の一部が腸に入り込んでしまう | |
異物 | 誤飲などにより異物が腸管を塞ぐ | |
機能的イレウス | 腸管麻痺 | 手術後などの腸の動き低下 |
腹膜炎 | 腹膜の炎症による腸の運動障害 | |
その他 | 電解質異常、薬の影響など |
イレウスの診断
イレウスの診断は、まず患者さんから詳しくお話を伺うことから始まります。いつから、どのような症状が出ているのか、痛む場所、吐き気や嘔吐の有無、排便や排ガスの状況などを丁寧に尋ねます。
次に、実際に腹部を触って診察を行います。お腹が張っているか、痛みがあるかを調べます。特に、腸が詰まっている部分を押すと強い痛みを感じることがあります。また、聴診器を使って腸の動きを聴診し、異常がないかを確認します。
問診や触診である程度の状況を把握した後、腹部レントゲン検査を行います。レントゲン写真を見ることで、腸の中にガスや便がたまっていないか、腸が異常に膨らんでいないかなどを確認できます。レントゲン検査である程度の判断はつきますが、さらに詳しく腸の状態を調べる必要がある場合には、腹部超音波検査や腹部CT検査などの画像検査を追加します。これらの検査では、腸の動きや腸の壁の厚さ、周囲の臓器との位置関係などをより詳細に把握することができます。
これらの検査結果と患者さんの症状を総合的に判断することで、イレウスの診断を確定します。
診断項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
問診 | – 症状の開始時期 – 症状の種類(痛む場所、吐き気、嘔吐の有無、排便状況など) |
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身体診察 | – 腹部の張り – 圧痛の有無 – 腸の動き(聴診) |
腸が詰まっている部分を押すと強い痛みを感じることがある |
画像検査 | – 腹部レントゲン検査 – 腹部超音波検査 – 腹部CT検査 |
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イレウスの治療
– イレウスの治療イレウスの治療法は、原因や症状の重さによって異なってきます。軽いイレウスの場合には、外科手術を行わずに治療することを目指します。 まず、食事を摂らずに腸管を休ませることで、腸の内容物を減らし、腸の動きを正常化させます。 同時に、点滴によって水分や栄養を補給することで、脱水症状を改善し、体内の電解質バランスを整えます。 さらに、鼻から細い管を入れて腸内のガスや内容物を体外に排出する「腸管減圧」を行うことで、腸の膨らみを軽減します。一方、腸が完全に詰まってしまっている場合や、腸に穴が開いてしまっている場合など、重症のイレウスや、保存的治療を行っても効果が見られない場合には、外科手術が必要となります。 手術では、腸閉塞の原因となっている部分を切除したり、腸の癒着を剥がしたりする処置を行います。イレウスは、早期に発見して治療を開始することが重要です。 そのため、腹痛、嘔吐、便秘などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
イレウスの重症度 | 治療方針 | 具体的な治療法 |
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軽症 | 外科手術を行わずに治療 | – 食事摂取中止 – 点滴による水分・栄養補給 – 腸管減圧 |
重症(腸閉塞、腸に穴が開いている場合など) 保存的治療で効果が見られない場合 |
外科手術 | – 腸閉塞の原因部分の切除 – 腸の癒着剥離 |