脳への血液供給路:総頚動脈
病院での用語を教えて
『総頚動脈』って、体のどこにあるんですか?どんな働きをするんですか?
体の健康研究家
いい質問ですね。『総頚動脈』は、首のあたりにある血管で、心臓から血液を脳に送るための大切な役割を担っています。ちょうど、耳の下あたりからあごの下あたりを通っている血管ですよ。
病院での用語を教えて
首にあるんですね!脳に血液を送るということは、とても重要な血管なんですね!
体の健康研究家
その通りです。総頚動脈は、人間の生命維持に欠かせない脳に血液を送るという重要な役割を担っているんです。
総頚動脈とは。
「総頚動脈」は、簡単に言うと頭の方に血液を送る血管である左右の「総頚動脈」を合わせた呼び名です。左側の総頚動脈は大動脈弓から、右側の総頚動脈は腕頭動脈から出てきており、どちらも気管と食道の外側を通っています。総頚動脈は、のど仏の上あたりで内頚動脈と外頚動脈に分かれます。この分かれるところが詰まると、頚動脈狭窄症という病気を引き起こします。
重要な役割を担う血管
人間の頭部、特に脳は、生命維持や日々の活動に欠かせない重要な器官です。脳が正常に機能するためには、酸素や栄養を豊富に含んだ血液を常に供給する必要があります。この重要な役割を担っているのが、左右の首筋に1本ずつ、合計2本通っている総頚動脈です。
総頚動脈は、心臓から送り出された血液を脳へと運ぶ、いわば生命の太いパイプラインと言えるでしょう。心臓から上半身へと向かう大動脈から枝分かれした総頚動脈は、首の部分を通りながら頭部へと血液を送り届けます。そして、脳に到達した血液は、脳の隅々まで行き渡り、思考や記憶、運動機能など、人間らしさを支える様々な活動に必要な酸素や栄養を供給します。
もしも、事故や病気などで総頚動脈が損傷したり、血流が途絶えてしまうと、脳への酸素供給が滞り、脳細胞がダメージを受けてしまいます。最悪の場合、意識障害や運動麻痺などの重い後遺症が残ったり、死に至る可能性もあるのです。このように、総頚動脈は、私たちが健康な状態で日常生活を送る上で、極めて重要な役割を担っていると言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
総頚動脈の役割 | 心臓から脳へ血液を送り、酸素と栄養を供給する |
総頚動脈の本数と位置 | 左右の首筋に1本ずつ、合計2本 |
総頚動脈の起点 | 心臓から上半身へ向かう大動脈から枝分かれ |
総頚動脈の重要性 | 損傷や血流途絶により、脳への酸素供給が滞り、深刻な後遺症や死に至る可能性もある |
総頚動脈の走行
心臓から送り出された血液は、まず体の中で一番太い血管である大動脈へと流れ込みます。心臓から出た大動脈は一度上に向かってから弓状に曲がり、再び下に向かって体の奥へと進んでいきます。この弓状の部分を大動脈弓と呼びます。左右の総頚動脈は、この大動脈弓からそれぞれ異なる形で分岐します。
体の左側を通る左総頚動脈は、大動脈弓の始まりの部分から直接枝分かれします。一方、体の右側を通る右総頚動脈は、大動脈弓から直接分岐するのではなく、一度腕頭動脈という血管から分岐します。腕頭動脈は大動脈弓から分岐した後、すぐに右総頚動脈と右鎖骨下動脈に分かれます。このように、左右の総頚動脈は大動脈弓からの分岐の仕方が異なりますが、その後は気管と食道の間という共通のルートを通って首の方へと進んでいきます。
首の部分に達した総頚動脈は、気管と喉頭のすぐ外側を上行し、耳の高さよりも少し下のあたりで内頚動脈と外頚動脈の2本の血管に分かれます。内頚動脈は脳へ、外頚動脈は顔面や頭皮へ血液を供給する重要な役割を担っています。
血管名 | 経路 | 特徴 |
---|---|---|
大動脈 | 心臓→大動脈弓→体の奥 | 体の中で一番太い血管 |
左総頚動脈 | 大動脈弓の始まりの部分から直接分岐→気管と食道の間→首 | 脳や顔面などに血液を供給 |
右総頚動脈 | 大動脈弓→腕頭動脈→右総頚動脈→気管と食道の間→首 | 脳や顔面などに血液を供給 |
腕頭動脈 | 大動脈弓→右総頚動脈と右鎖骨下動脈に分岐 | |
内頚動脈 | 総頚動脈→耳の高さよりも少し下のあたりで分岐 | 脳へ血液を供給 |
外頚動脈 | 総頚動脈→耳の高さよりも少し下のあたりで分岐 | 顔面や頭皮へ血液を供給 |
二つの分岐
人間の首の両側には、心臓から脳へと血液を送り出す重要な血管である総頚動脈が通っています。この総頚動脈は、およそ4〜5センチメートルほどの長さで、首の前側にある喉仏(甲状軟骨)の上部の高さで二手に分かれます。
これが内頚動脈と外頚動脈と呼ばれる二つの重要な動脈です。
内頚動脈は、頭蓋骨の中に入り込み、脳を包むクモ膜下腔というスペースを通りながら、脳全体に広がっていきます。そして、脳の前方部分や側方部分など、脳の大部分を栄養する重要な役割を担っています。思考や言語、運動など、私たちが人間らしく生きていく上で欠かせない様々な機能は、この内頚動脈から供給される血液によって支えられています。
一方、外頚動脈は、頭蓋骨の外側にある組織に血液を供給します。顔の表情筋や頭皮、耳下腺などの組織は、すべてこの外頚動脈から血液の供給を受けています。つまり、外頚動脈は、私たちの顔の表情や感覚、そして頭の外側の部分の健康を維持するために重要な役割を果たしているのです。
血管 | 特徴 | 役割 |
---|---|---|
総頚動脈 | ・心臓から脳へ血液を送る ・喉仏上部で内頚動脈と外頚動脈に分かれる |
脳への血液供給 |
内頚動脈 | ・頭蓋骨内に入り、脳全体に広がる | ・脳の大部分(前方、側方など)への栄養供給 ・思考、言語、運動など脳機能の維持 |
外頚動脈 | ・頭蓋骨の外側の組織に血液を供給 | ・顔の表情筋、頭皮、耳下腺などへの栄養供給 ・顔の表情、感覚、頭の外側の健康維持 |
総頚動脈の病気
首の前側には、脳に血液を送る重要な血管である総頚動脈が走っています。この総頚動脈は、加齢に伴い動脈硬化が起きやすい場所として知られています。動脈硬化とは、血管の壁が硬く、もろくなってしまう病気です。
総頚動脈で動脈硬化が起こると、血管の内側が狭くなり、脳に十分な血液が流れにくくなってしまいます。この状態を総頚動脈狭窄症と呼びます。さらに、血管の内側が完全に塞がってしまうこともあり、こちらは総頚動脈閉塞症と呼ばれます。
総頚動脈狭窄症や閉塞症になると、脳への血流が不足し、脳梗塞を引き起こす危険性が高まります。脳梗塞は、脳の細胞が壊死してしまう病気であり、命に関わる場合もあるほか、後遺症が残る可能性もあります。
総頚動脈の病気は自覚症状がない場合もあるため、早期発見と適切な治療が重要となります。生活習慣の見直しや、薬物療法、手術など、様々な治療法がありますので、医師の指示に従って下さい。
病気 | 原因 | 症状 | リスク | 治療法 |
---|---|---|---|---|
総頚動脈狭窄症 | 動脈硬化による血管の狭窄 | 脳への血流不足 | 脳梗塞 | 生活習慣の見直し、薬物療法、手術 |
総頚動脈閉塞症 | 動脈硬化による血管の閉塞 | 脳への血流不足 | 脳梗塞 | 生活習慣の見直し、薬物療法、手術 |
健康な総頚動脈を維持するために
私たちの体にとって重要な血管である総頚動脈は、脳に血液を送る役割を担っています。この総頚動脈が健康な状態であるためには、日々の生活習慣の見直しや改善が重要です。 総頚動脈の病気を予防するために、まずはバランスの取れた食事を心がけましょう。脂肪分の多い食事は、血管内にコレステロールを溜めてしまうため、動脈硬化のリスクを高めます。野菜や果物、魚などを積極的に摂るように心がけ、栄養バランスの整った食生活を送りましょう。
適度な運動も、総頚動脈の健康維持に役立ちます。毎日30分程度の軽い運動を続けることで、血流が促進され、動脈硬化の予防効果も期待できます。激しい運動は逆効果になる可能性もあるため、ウォーキングや軽いジョギングなど、ご自身の体力に合わせた運動を選びましょう。
また、喫煙は総頚動脈にとって非常に有害です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させるため、動脈硬化を進めてしまう原因になります。総頚動脈の健康、そして健康な体を守るためにも、禁煙を強くお勧めします。
さらに、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患をお持ちの方は、これらの疾患が動脈硬化を進行させる要因となります。医師の指導のもと、適切な治療を継続することで、総頚動脈への負担を軽減し、健康な状態を保つようにしましょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
食事 | – バランスの取れた食事を心がける – 野菜、果物、魚などを積極的に摂取する – 脂肪分の多い食事は控える |
運動 | – 毎日30分程度の軽い運動 (ウォーキング、軽いジョギングなど) |
喫煙 | – 禁煙する |
基礎疾患 | – 高血圧、糖尿病、脂質異常症などは医師の指導のもと適切な治療を継続する |