側頭動脈炎:巨細胞が織りなす血管の炎症

循環器

側頭動脈炎:巨細胞が織りなす血管の炎症

病院での用語を教えて

先生、『側頭動脈炎』って聞いたことがないんですけど、どんな病気なんですか?

体の健康研究家

簡単に言うと、頭の横あたりを通っている血管に炎症が起こる病気だよ。特に、おでこのあたりから耳の上を通って頭の後方まで伸びている『側頭動脈』という血管に炎症が起こりやすいんだ。

病院での用語を教えて

頭の血管に炎症ですか!なんだか怖いです…。具体的にどんな症状が出るんですか?

体の健康研究家

そうだな、頭痛がしたり、おでこのあたりを押すと痛かったりするんだ。ひどくなると、視力が落ちたり、物が二重に見えたりすることもあるんだよ。高齢の人に多い病気だから、気をつけないといけないね。

側頭動脈炎とは。

「側頭動脈炎」は、医学や健康の分野で使う言葉です。これは、主に体の大きな血管に炎症が起こる病気です。太い動脈とその枝分かれした動脈に症状が現れますが、特に首の外側を通る動脈によく見られるため、「側頭動脈炎」と名付けられました。今では、「巨細胞性血管炎」という名前に統一されています。

あまり聞き馴染みのない病気?側頭動脈炎

あまり聞き馴染みのない病気?側頭動脈炎

– あまり聞き馴染みのない病気?側頭動脈炎側頭動脈炎、この病名を耳にしたことがあるでしょうか?おそらく、多くの人にとってあまり聞き馴染みがない病気かもしれません。しかし、これは私たちが普段何気なく触れている、こめかみの少し上を通る血管、側頭動脈に起こる炎症性疾患なのです。側頭動脈炎は、中高年以降、特に50歳以上の人に多く発症する病気です。男女差はありますが、女性に多く見られ、また、北欧系の人に発症が多いという報告もあります。具体的な原因は未だ解明されていませんが、免疫の異常が関係していると考えられています。自覚症状としては、こめかみ周辺の痛みや頭痛が挙げられます。その他、発熱や食欲不振、体重減少、視力障害などの症状が現れることもあります。特に、視力障害は放置すると失明に至る可能性もあるため、早期発見と適切な治療が重要となります。側頭動脈炎は、比較的稀な病気ではありますが、決して他人事ではありません。もし、こめかみ周辺に原因不明の痛みや、その他関連する症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

病気 患者 原因 症状 その他
側頭動脈炎
(あまり聞き馴染みのない病気)
・50歳以上の中高年
・女性に多い
・北欧系の人に多い
免疫の異常が関係していると考えられているが、具体的な原因は不明。 ・こめかみ周辺の痛みや頭痛
・発熱
・食欲不振
・体重減少
・視力障害(放置すると失明の可能性あり)
・比較的稀な病気
・早期発見と適切な治療が重要

血管の炎症が引き起こす様々な症状

血管の炎症が引き起こす様々な症状

側頭動脈炎は、その名の通り、頭の両側にあるこめかみのあたりを通る側頭動脈に炎症が起きる病気です。この炎症は、側頭動脈だけでなく、頭部や首にある他の太い血管にも広がることがあります。発症すると、激しい頭痛に悩まされることが多く、特にこめかみ周辺に強い痛みを感じます。また、多くの場合で、発熱も伴います。

側頭動脈炎は、血管の炎症によって血管の内側が狭くなったり、血流が悪くなったりするため、様々な症状が現れます。例えば、炎症が目の周りの血管に及ぶと、視力に影響が出て、物が二重に見えたり、視界がぼやけたり、最悪の場合には失明することもあります。また、顎を使うと痛みが出たり、食べ物を噛む際に痛みを感じたりすることもあります。これは、顎の筋肉に血液を供給する血管にも炎症が広がるためです。

このように、側頭動脈炎は放置すると日常生活に大きな支障をきたす可能性のある病気です。もし、激しい頭痛やこめかみの痛み、発熱などの症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、視力障害などの重篤な合併症のリスクを減らすことができます。

症状 原因 リスク
激しい頭痛
こめかみ周辺の痛み
発熱
側頭動脈を含む頭部や首の太い血管の炎症 視力障害
顎の痛み
咀嚼時の痛み

実は全身の病気?

実は全身の病気?

– 実は全身の病気?

「側頭動脈炎」という病気を聞いたことがありますか? 耳の周辺の血管に炎症が起こり、激しい頭痛を引き起こす病気として知られていますが、実は炎症は側頭動脈のみにとどまるわけではありません。

側頭動脈炎は、全身の血管に炎症を引き起こす可能性を秘めた病気なのです。放置すると、生命に深く関わる大動脈にまで炎症が波及する危険性があります。大動脈に炎症が起こると、血管の壁が弱くなり、「大動脈解離」「大動脈瘤」といった非常に重篤な病気を引き起こす可能性があります。

これらの病気は、突然死につながる可能性もあり、決して軽視できません。そのため、側頭動脈炎は早期発見と早期治療が極めて重要なのです。初期症状は、頭痛やこめかみの痛み、発熱など、風邪に似た症状であることが多いため、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。

もしも、ご自身や周囲の方がこれらの症状に心当たりがある場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

病気 概要 危険性
側頭動脈炎 耳周辺の血管に炎症が起こる病気。頭痛などの症状が出る。 全身の血管に炎症が波及する可能性があり、放置すると大動脈解離や大動脈瘤を引き起こす可能性がある。
大動脈解離 大動脈の壁が破れてしまう病気。 突然死につながる可能性がある。
大動脈瘤 大動脈の一部が膨らむ病気。 破裂すると大出血を起こし、死に至る可能性がある。

診断の鍵は?

診断の鍵は?

– 診断の鍵は?

側頭動脈炎は、頭部、特にこめかみのあたりを通る血管に炎症を起こす病気です。早期に診断し、適切な治療を開始することが重要となります。診断には、いくつかの検査を組み合わせて総合的に判断します。

まず、血液検査では炎症の有無を調べます。炎症反応を反映する指標として、CRP(C反応性タンパク質)や赤沈(赤血球沈降速度)を測定します。これらの数値が高い場合は、体内で炎症が起きていることを示唆します。側頭動脈炎では、これらの数値が特徴的に上昇することが多く、診断の重要な手がかりとなります。

次に、画像検査を行います。超音波検査では、音波を用いて血管の壁の厚さや、血液の流れの状態を観察し、炎症の兆候がないかを確認します。さらに詳細な検査が必要な場合は、MRI検査を行います。MRI検査では、強力な磁場と電波を用いて、より鮮明な血管の断面画像を得ることができ、炎症の範囲や程度を正確に把握することができます。

これらの検査で側頭動脈炎が疑われる場合、確定診断のために側頭動脈生検を行います。これは、こめかみの後ろの血管の一部を採取し、顕微鏡で組織を調べる検査です。血管の壁に炎症細胞の浸潤や血管の壁の破壊が見られる場合は、側頭動脈炎と診断されます。

このように、側頭動脈炎の診断には、血液検査、画像検査、側頭動脈生検の結果を総合的に判断することが重要です。これらの検査によって、早期に診断し、適切な治療を開始することができます。

検査方法 目的 詳細
血液検査 炎症の有無を確認 CRP、赤沈などを測定し、数値が高い場合は体内で炎症が起きている可能性を示唆します。
超音波検査 血管の状態を観察 音波を用いて血管の壁の厚さや血液の流れの状態を観察し、炎症の兆候がないかを確認します。
MRI検査 血管の断面画像の取得 強力な磁場と電波を用いて、より鮮明な血管の断面画像を得ることができ、炎症の範囲や程度を正確に把握することができます。
側頭動脈生検 確定診断 こめかみの後ろの血管の一部を採取し、顕微鏡で組織を調べます。血管の壁に炎症細胞の浸潤や血管の壁の破壊が見られる場合は、側頭動脈炎と診断されます。

新しい名前は『巨細胞性動脈炎』

新しい名前は『巨細胞性動脈炎』

近年、「側頭動脈炎」という病名は、「巨細胞性動脈炎」と呼ばれることが多くなりました。これは、病気の診断に欠かせない顕微鏡による観察で、炎症を起こした血管の中に「巨細胞」と呼ばれる特徴的な細胞が見られるためです。
この巨細胞は、私たちの体を守る免疫細胞の一種である「マクロファージ」がいくつか融合してできたもので、巨細胞性動脈炎の炎症反応において中心的な役割を担っていると考えられています。
現在では、側頭動脈炎は巨細胞性動脈炎に呼称が統一されつつあります。これは、側頭動脈だけでなく、頭部や首、その他の部位の血管にも炎症が広がる可能性があり、全身の様々な血管に影響を及ぼす可能性があることを明確にするためです。このように、病気の理解が進むにつれて、病名がより適切なものへと変更されることがあります。

旧病名 新病名 変更理由
側頭動脈炎 巨細胞性動脈炎 ・診断に必須の巨細胞が存在すること
・側頭動脈以外の血管にも炎症が広がる可能性があるため

ステロイド薬が治療の要

ステロイド薬が治療の要

側頭動脈炎は、頭部、特にこめかみの付近を通る血管に炎症が起こる病気です。放置すると視力に影響が出ることもあるため、早期に治療を開始することが重要です。

この病気の治療において中心的な役割を担うのが、ステロイド薬です。ステロイド薬は、炎症を抑える効果が非常に高く、側頭動脈炎の症状を速やかに改善することが期待できます。頭痛やこめかみの痛み、発熱といった症状に、ステロイド薬は効果的に作用します。

しかし、ステロイド薬は、長期にわたって使用すると、骨がもろくなる、糖尿病のリスクが上がる、感染症にかかりやすくなるなどの副作用が現れる可能性があります。そのため、医師の指示に従い、適切な量と期間を守って服用することが非常に大切です。自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは避けなければなりません。

ステロイド薬による治療の効果や副作用の出方には個人差があります。医師は、定期的な診察を通じて、患者さんの状態を注意深く観察し、その人に最適な治療法を見極めていきます。疑問や不安があれば、医師に相談するようにしましょう。

項目 内容
病気 側頭動脈炎 (頭部、特にこめかみの血管の炎症)
治療薬 ステロイド薬
効果 炎症を抑え、頭痛、こめかみの痛み、発熱などの症状を改善
副作用(長期使用) 骨粗鬆症、糖尿病リスク増加、感染症リスク増加
注意点 医師の指示を守り、適切な量と期間を守って服用。自己判断での服用中止や量変更は禁止。定期的な診察と相談。

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