免疫の記憶を探る:抗体検査とは
- 抗体検査とは抗体検査とは、血液などを用いて、体の中に特定の病原体に対する抵抗力となる物質が存在するかどうかを調べる検査です。私たちの体には、外から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体から身を守る仕組みが備わっています。この仕組みを「免疫」と呼びます。病原体が体内に侵入してくると、私たちの体はそれと戦うための特別な物質を作ります。これを「抗体」と言います。抗体は、特定の病原体だけを攻撃する性質を持っています。例えば、はしかウイルスに対する抗体は、はしかウイルスだけを攻撃し、インフルエンザウイルスには作用しません。このように、抗体は鍵と鍵穴の関係のように、特定の病原体だけにぴったりと結合して、それを攻撃します。一度病気に感染すると、その病原体に対する抗体が体の中に作られ、その後も長い間、体内に残る場合があります。このため、再び同じ病原体に感染したときに、体はすばやく病原体を撃退することができます。これを「免疫記憶」と呼びます。抗体検査は、この免疫記憶を利用した検査です。血液中に特定の病原体に対する抗体が存在するかどうかを調べることで、過去にその病気に感染したことがあるかどうかを調べることができます。ただし、抗体検査はあくまでも過去の感染の可能性を示唆するものであり、現在の感染状態や病気の診断を確定するために行うものではありません。