検査

検査

肝臓からのメッセージ:ICGテストで知る

- ICGテストとはICGテストは、インドシアニングリーンという緑色の色素を使って、肝臓の働きを調べる検査です。正式にはインドシアニングリーン試験といい、色素排泄試験と呼ばれることもあります。私たちの体には、食事や薬など、様々なものが入ってきます。その中には、体に悪い影響を与える有害物質も含まれています。肝臓は、これらの有害物質を分解し、無毒化する役割を担っています。この働きは解毒作用と呼ばれ、肝臓の重要な機能の一つです。ICGテストでは、この解毒作用がどれくらい正常に行われているかを評価します。具体的には、インドシアニングリーンという色素を静脈に注射し、肝臓がどれくらいの時間でこの色素を分解して、体外に排出するかを測定します。肝臓の働きが正常であれば、色素は速やかに分解され体外に排出されます。しかし、肝臓の働きが低下していると、色素の分解・排泄が遅くなり、血液中に色素が残ってしまうため、検査結果に異常が現れます。ICGテストは、肝臓の機能を調べる検査の中でも、比較的体に負担の少ない検査です。そのため、肝臓病の診断や治療効果の判定など、幅広い目的で利用されています。
検査

健康のバロメーター:ラボデータを読み解く

- ラボデータとはラボデータとは、病院やクリニックで血液検査や尿検査などを行った際に得られる、検査結果の数値のことです。これは、私たちの健康状態を詳しく知るための重要な手がかりとなります。例えば、血液検査であれば、血液中の赤血球や白血球の数、血糖値、コレステロール値などを調べることができます。尿検査では、尿中の糖やタンパク質の量などを調べることで、腎臓や膀胱の病気を発見する手がかりになります。これらの検査結果は、医師にとって、患者さんの体の状態を客観的に判断するための重要な情報源となります。医師は、ラボデータと患者さんの自覚症状、診察結果などを総合的に判断し、病気の診断や治療方針の決定を行います。ラボデータは、数値化されているため、健康状態の変化を客観的に把握することができます。例えば、健康診断で毎年同じ検査を受けていれば、経年的な変化を捉えることができ、病気の早期発見・早期治療に繋がる可能性があります。また、治療の効果を判定したり、薬の量を調整したりする際にも、ラボデータは重要な指標となります。ラボデータは、いわば体の内部からのメッセージを数値化したものと言えるでしょう。そのため、検査結果の数値だけを見るのではなく、その意味や背景を理解することが大切です。医師は、患者さん一人ひとりの状況に合わせて、ラボデータの結果を分かりやすく説明しますので、検査結果について疑問があれば、遠慮なく質問するようにしましょう。
検査

心臓超音波検査:心臓の働きを目で見えるようにする検査

心臓超音波検査は、超音波を用いて心臓の状態を詳しく調べる検査です。身体に害の少ない超音波を用いるため、痛みや負担が少なく、繰り返し検査を受けることが可能です。検査中は、左胸に検査機器を当てて、心臓の動きを超音波で捉えます。この超音波は、人間の耳には聞こえない音波であり、身体に害を与える心配はありません。検査で得られた超音波の反射波は、コンピューターで処理され、心臓の断面図や動画として映し出されます。 心臓超音波検査では、心臓の大きさや形、壁の厚さ、動き、弁の状態などを確認することができます。これにより、心臓弁膜症や心筋症、心不全などの心臓病の診断、病状の進行度、治療効果の判定などに役立ちます。さらに、心臓内の血流をカラーで表示するカラードプラ法や、血流の速度を測定するドプラ心エコー法などの検査方法を組み合わせることで、より詳細な情報を得ることができ、心臓の病気の早期発見・早期治療に繋がります。
検査

医療の原点:問診の重要性

- 問診とは何か問診とは、医師が患者さんから直接お話を伺い、病気の診断の手がかりを得るための大切なプロセスです。患者さんが自分の言葉で症状や経過を伝えることで、医師は病気の全体像を把握することができます。問診では、まず現在の症状について詳しく伺います。いつから、どのような症状が現れたのか、痛みの程度や部位、症状の変化などを具体的に伝えてください。過去の病気や怪我、手術の経験なども、診断の重要な手がかりになります。次に、生活習慣や体質に関する質問をします。喫煙や飲酒の習慣、食生活、睡眠時間、運動習慣、アレルギーの有無、服用中の薬、過去の海外渡航歴などを伺うことで、病気の原因やリスク因子を特定していきます。また、家族の病歴も重要な情報です。 血縁者に同じような病気にかかった人がいる場合は、遺伝的な要因も考慮する必要があります。問診は、医師が患者さんを理解し、信頼関係を築くための第一歩です。 安心して話せる雰囲気の中で、包み隠さず伝えるように心がけましょう。医師も患者さんの訴えに耳を傾け、丁寧な説明と適切な診療を心がけています。
検査

体の内部を探る:コンピューター断層撮影

- コンピューター断層撮影とはコンピューター断層撮影(CT)は、体の内部を鮮明に映し出すことができる、医療現場において欠かせない検査方法の一つです。CT検査と呼ばれることもあり、X線撮影をさらに進化させた検査といえます。従来のX線撮影では平面的な画像しか得られませんでしたが、CT検査では体の周囲を回転しながらX線を照射し、その情報をコンピューターで処理することで、体の断面画像、つまり輪切りにしたような画像を多数作成することができます。この検査で得られる画像は非常に精細で、臓器、骨、血管、筋肉、脂肪といった体の様々な組織を細かく見分けることが可能です。そのため、病気の早期発見や正確な診断、治療方針の決定などに大きく役立っています。具体的には、がんなどの腫瘍の有無や大きさ、位置、形状などを詳しく調べたり、骨折や内臓の損傷の程度を評価したりする際に用いられます。CT検査は、従来のX線撮影と比較して、より多くの情報を得ることができるという点で優れています。一方で、X線を使用するという点では共通しているため、検査を受ける際には放射線被ばくがあるという点に留意する必要があります。ただし、近年では技術の進歩により、低線量で撮影できるCT装置も開発されており、被ばく量の低減が図られています。
検査

骨髄穿刺:血液疾患診断の決め手

- 骨髄穿刺とは骨髄穿刺は、血液の病気である血液疾患を診断する上で、非常に重要な検査の一つです。人の血液は、骨の中心部に存在する、スポンジのように柔らかく、多くの空洞を持つ組織である骨髄で作られています。この骨髄で作られた血液細胞は、やがて骨髄から血液中に移動し、体全体へと循環していきます。 骨髄穿刺では、この骨髄で作られる血液の状態を詳しく調べるために、骨髄液を採取します。具体的には、腰の骨に針を刺し、そこから少量の骨髄液を採取します。採取した骨髄液は、顕微鏡を用いて観察することで、血液細胞の種類や数、成熟度などを詳しく調べることが可能となります。 これらの情報から、白血病や悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの血液疾患の有無や、その進行状況を診断することができます。また、病気の治療効果を判定したり、再発の兆候を早期に発見するためにも重要な検査です。
検査

超音波:音の波が拓く医療の未来

- 超音波とは超音波は、人間の耳では聞くことのできない、高い周波数を持つ音波のことです。私たちは、空気の振動によって音を聞いていますが、この振動が1秒間に何回繰り返されるかを表すのが周波数で、単位はヘルツ(Hz)を用います。人間が耳で聞くことのできる音の周波数は、一般的に20ヘルツから2万ヘルツ程度とされています。これに対し、超音波は2万ヘルツを超える高い周波数を持つ音波のことを指します。この高い周波数を持つ超音波は、様々な分野で利用されていますが、特に医療分野における活躍が目覚ましいと言えるでしょう。医療分野では、超音波は主に画像診断に用いられています。人体に超音波を当てると、その一部は体内の組織や臓器の境界面で反射されて戻ってきます。この反射された超音波を捉え、画像化することで、体内の様子を詳しく観察することが可能となります。超音波検査は、放射線を使用しないため人体への負担が少なく、安全性の高い検査方法として広く普及しています。また、リアルタイムで体内の様子を観察できるため、心臓などの動きの速い臓器の診断にも適しています。
検査

CRP値でわかる体の炎症

- CRPとはCRPは、C反応性蛋白(しーはんのうせいたんぱく)を省略した呼び方で、血液の中に存在する蛋白質の一種です。このCRPは、普段は私達の体の中にごく少量しか存在していません。しかし、体内で炎症が起こったり、組織の損傷が起こると、肝臓で作られ、血液中に放出されて急激に増加します。 CRPは、炎症や組織の損傷に反応して増加するため、体の状態を知るための重要な指標となります。例えば、風邪などの感染症、関節リウマチなどの自己免疫疾患、心筋梗塞などの病気になると、CRPの値が上昇します。検査は血液検査で行われ、採血した血液中のCRP濃度を測定します。CRPの値が上昇している場合は、炎症や組織の損傷が suspected されている可能性があり、医師は他の検査結果と合わせて、診断を行います。CRPは、病気の診断だけでなく、治療の効果判定や再発の兆候を捉えるためにも用いられます。このように、CRPは、様々な病気と関連して変化する指標であり、健康状態を把握する上で非常に重要なものです。
検査

乳がん検診の要!マンモグラフィを理解しよう

- マンモグラフィとは?マンモグラフィは、乳房を調べるための特別なレントゲン検査です。 健康診断などで行われる通常のレントゲン検査では、胸全体を撮影しますが、マンモグラフィでは、乳房だけを細かく調べるために設計された専用の装置を使用します。検査を受ける際には、乳房を装置に挟み、薄く広げた状態で撮影します。これは、乳房内部の構造をより鮮明に写し出すためです。 また、少ない量のX線を当てることで、身体への負担を最小限に抑えながら検査を行うことができます。撮影された画像は、医師によって注意深く分析されます。 医師は、画像から、しこりや石灰化といった、乳がんを疑わせるサインがないかを調べます。 特に、早期の乳がんは、小さなしこりとして現れることが多く、マンモグラフィは、これらの微細な変化を見つけるのに非常に優れています。マンモグラフィは、乳がんの早期発見に大きく貢献しており、広く普及している検査方法です。
検査

肝臓の健康を知る指標:ALTとは?

- ALTの概要ALTとは、アラニンアミノトランスフェラーゼという酵素の略称です。 この酵素は、主に肝臓の細胞内に存在し、体内でのアミノ酸代謝に重要な役割を担っています。具体的には、アラニンというアミノ酸をピルビン酸という物質に変換する反応を触媒します。この反応は、エネルギー生産や糖新生といった重要な代謝経路に関与しています。健康な状態であれば、血液中のALT濃度は低く保たれています。 これは、ALTが主に肝細胞内に存在し、血液中に漏れ出す量はごくわずかだからです。しかし、肝炎や脂肪肝、肝臓がんといった病気によって肝細胞が損傷を受けると、ALTが血液中に流れ出してしまいます。そのため、血液検査でALT値が上昇している場合は、肝臓に何らかの異常がある可能性を示唆していると考えられます。ただし、ALT値が上昇していても、必ずしも重い肝臓病であるとは限りません。一時的な疲労や飲酒、薬の服用などによってもALT値は上昇することがあります。ALT値の上昇の原因を特定し、適切な治療を行うためには、医師による診察と、他の検査結果と組み合わせた総合的な判断が必要となります。
検査

健康のバロメーター:BMIについて

- 体格指数(BMI)についてBMIとは、Body Mass Indexの略称で、日本語では体格指数と訳されます。これは、身長と体重から算出される数値であり、肥満度を客観的に評価するために広く用いられています。BMIの計算式は非常に簡単です。体重(キログラム) ÷ 身長(メートル) ÷ 身長(メートル)で求められます。例えば、身長が1.75メートル、体重が70キログラムの人のBMIは、70 ÷ 1.75 ÷ 1.75 = 22.9となります。BMIは、国際的な基準値に基づいて、以下の通りに分類されます。* 18.5未満低体重* 18.5以上25未満普通体重* 25以上30未満肥満(1度)* 30以上35未満肥満(2度)* 35以上40未満肥満(3度)* 40以上肥満(4度)BMIは、肥満の判定に役立つ指標ですが、体脂肪率や筋肉量を考慮していないため、アスリートや高齢者の方などでは、BMIだけで肥満度を判断することが適切ではない場合があります。あくまでも目安として捉え、健康状態の確認には、医師の診断を受けるようにしましょう。
検査

PCR検査でわかること

- PCR検査とは近年、ニュースや新聞で「PCR検査」という言葉を耳にする機会が増えましたね。では、PCR検査とは一体どのような検査なのでしょうか。PCR検査は、「ポリメラーゼ連鎖反応」の略称で、検体の中に特定のウイルスや細菌の遺伝子があるかどうかを調べる検査です。例えば、新型コロナウイルスかどうかを調べる場合には、鼻の奥や唾液などから採取した検体に、新型コロナウイルスの遺伝子が含まれているかどうかを調べます。PCR検査の最大の特徴は、その感度の高さにあります。従来の検査方法では、検体中にウイルスや細菌がある程度の量まで増えないと検出できませんでしたが、PCR検査ではごくわずかな量の遺伝子でも検出することが可能です。これは、PCR検査が遺伝子を増幅させるという仕組みを持っているからです。少ない遺伝子量でも増幅することで、高い精度で検出できるのです。また、PCR検査は、従来の検査方法と比較して、短時間で結果が得られることも大きなメリットです。そのため、感染症の早期発見・早期治療に大きく貢献しています。近年では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために広く活用され、その名が知られるようになりました。
検査

血液ガス分析:健康状態を知る窓

血液ガス分析とは、私たちの体内を流れる血液を採取し、その成分を分析することによって、全身の状態、特に呼吸機能や酸塩基平衡の状態を評価する検査です。 私たちの身体は、細胞が正常に機能するために常に酸素を必要とし、活動によって生じた二酸化炭素を体外へ排出する必要があります。血液は、肺から取り込んだ酸素を全身の細胞へ運び、細胞から排出された二酸化炭素を肺へ運搬する役割を担っています。 血液ガス分析では、血液中に含まれる酸素や二酸化炭素の量や圧力、血液のpH(酸性・アルカリ性の度合い)などを測定します。これらの値を調べることで、肺が正常に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出できているか、また体内の酸とアルカリのバランスが適切に保たれているかを評価することができます。 血液ガス分析は、呼吸器疾患の診断や治療効果の判定、集中治療室などでの重症患者の状態把握など、幅広い目的で活用されています。
検査

BMI:肥満度を知るための指標

- BMIとはBMIは、Body Mass Indexの頭文字を取ったもので、日本語では体格指数と訳されます。これは、身長と体重から算出される数値で、あなたの体が身長に対してどの程度の重さであるかを示す指標です。このBMIの値を見ることで、肥満度を客観的に判断することができます。計算式は単純で、体重(キログラム) ÷ 身長(メートル) ÷ 身長(メートル)で求められます。例えば、身長が1.75メートル、体重が70キログラムの方であれば、70 ÷ 1.75 ÷ 1.75 = 22.9となります。BMIは、単に太っているか痩せているかを判断するだけでなく、健康状態の目安として用いられます。一般的に、BMIが18.5未満は「低体重」、18.5以上25未満は「普通体重」、25以上30未満は「肥満度1」、30以上35未満は「肥満度2」、35以上は「肥満度3」と分類され、それぞれに健康上のリスクが異なります。ただし、BMIはあくまで目安であり、体脂肪率や筋肉量などを考慮していないため、人によってはBMIだけでは正確な肥満度を測れない場合もある点は留意が必要です。例えば、アスリートのように筋肉量が多い方は、BMIが高くても肥満と判断できないことがあります。BMIは健康状態を把握する上で参考になる指標の一つです。日頃から自身のBMIを意識し、健康的な生活習慣を心がけましょう。
検査

赤血球沈降速度:炎症を測る指標

- 赤血球沈降速度とは赤血球沈降速度(せっけっきゅうちんこうそくど)は、一般的に赤沈や血沈と略され、血液検査の項目の一つです。 この検査では、採血した血液を細いガラス管に入れ、垂直に立てて1時間放置します。そして、その間に赤血球が沈んでいく速さを測定します。 健康な状態では、赤血球はゆっくりと沈んでいきます。しかし、体内で炎症が起きている場合、赤血球は互いにくっつきやすくなり、塊となった状態で速く沈んでいきます。これは、炎症によって血液中のタンパク質のバランスが崩れ、赤血球の表面の電荷が変化することが原因です。赤沈は、炎症の程度を大 crude に把握する検査であり、その値が速いほど、体内で炎症が起きている可能性が高いことを示唆します。 ただし、赤沈だけで、どの部位にどのような炎症が起きているかを特定することはできません。具体的な病気の診断には、他の検査結果や症状と合わせて総合的に判断する必要があります。赤沈は、関節リウマチや血管の炎症など、様々な病気の診断や経過観察に用いられます。 また、原因不明の発熱や炎症症状がある場合にも、有用な検査となります。
検査

HbA1cでわかる!過去1~2ヶ月の血糖値コントロール

- HbA1cとはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という言葉を耳にしたことはありますか? これは、過去1~2ヶ月間の血糖値の状態を把握するための重要な指標です。 日々の血糖値を測ることも大切ですが、HbA1cを調べることで、より長期的な血糖コントロールの状態を知ることができるのです。私たちの体内にある赤血球には、酸素を全身に運ぶ役割を担うヘモグロビンというタンパク質が存在します。 グルコース(ブドウ糖)は、食事から摂取されエネルギー源となる重要な栄養素ですが、血液中のグルコースがヘモグロビンと結合するとHbA1cが生成されます。 血液中のグルコース値が高い状態が続けば、それだけ多くのグルコースがヘモグロビンと結合するため、HbA1cの値も高くなります。 HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値を反映して変化するため、日々の血糖値の変動に左右されにくく、安定した指標として糖尿病の診断や治療効果の判定に広く用いられています。
検査

腫瘍マーカー:がん診断の羅針盤

- 腫瘍マーカーとは 腫瘍マーカーとは、がん細胞が作り出す特殊な物質、あるいはがん細胞の影響を受けて体内で作られる物質のことです。 これらの物質は、血液や尿、組織などの中にごく微量ながら存在しており、その量を測定することで、がんの診断や治療効果の判定などに役立てることができます。 例えるならば、池に鯉が住み着くと、池の水質が変化する様子に似ています。普段は澄んでいる池に鯉が住み始めると、鯉の排泄物などによって水が濁ったり、特定の成分が増えたり減ったりするでしょう。 私たちの体も、がん細胞という“異物”が存在することで、内部環境が変化し、特定の物質が増減するのです。この変化を捉えるのが腫瘍マーカー検査です。 ただし、腫瘍マーカーは、がん細胞だけが作り出すとは限りません。正常な細胞からもごく微量ながら分泌されるものもあり、炎症や臓器の機能障害など、がん以外の原因でも数値が上昇することがあります。 そのため、腫瘍マーカー検査だけで、がんの確定診断を行うことはできません。あくまでも、がんの可能性を評価する指標の一つとして、画像検査や病理検査などと組み合わせて総合的に判断されます。
検査

健康の鍵!体のpHバランス

- pHとは?私たちの身の回りには、レモンや梅干しのように酸っぱいものと、石鹸のようにぬるぬるするアルカリ性のものが存在します。この酸性・アルカリ性の度合いを示す指標がpHです。pHは0から14までの数値で表され、ちょうど真ん中の7が中性となります。7より数値が小さいと酸性を示し、数値が小さくなるほど酸性が強くなります。逆に、7より数値が大きいとアルカリ性を示し、数値が大きくなるほどアルカリ性が強くなります。例えば、酸っぱいレモン汁はpH2ほどの強い酸性を示し、梅干しはpH3程度の酸性です。一方、石鹸はpH9~10、重曹はpH8程度の弱いアルカリ性を示します。私たちの体内にも、胃液や血液など様々な液体があり、それぞれ異なるpHを持っています。胃液は食べ物を消化するために強い酸性(pH1~2)を示しますが、血液はほぼ中性(pH7.4前後)に保たれています。これは、私たちの体が健康を維持するために、それぞれの器官や組織に適したpHを保つように精巧に調整されているからです。体のpHバランスが崩れると、様々な体調不良を引き起こす可能性があります。このように、pHは私たちの身の回りや体の中で重要な役割を担っています。
検査

心臓のリズムを探る:EPS検査とは?

心臓は、全身に血液を送り出すために休むことなく働き続けています。この心臓の動きは、規則正しいリズムを刻む電気信号によってコントロールされています。しかし、様々な原因でこの電気信号の伝わり方に異常が生じると、脈が乱れたり、速くなったり、遅くなったりといった不整脈が起こることがあります。 心臓の電気信号を調べる検査であるEPS検査(電気生理学的検査)は、このような不整脈の原因を突き止め、適切な治療法を選択するために重要な役割を担っています。 EPS検査では、足の付け根や首の血管からカテーテルと呼ばれる細い管を心臓まで挿入します。そして、カテーテルの先端から心臓内の様々な場所に電極を配置し、電気信号の伝わり方を詳細に記録します。 EPS検査によって、不整脈が心臓のどの部分で発生しているのか、どのようなメカニズムで起こっているのかを正確に把握することができます。さらに、薬剤や電気刺激に対する心臓の反応を調べることで、患者さん一人ひとりに最適な治療法を検討することができます。EPS検査は、不整脈の診断と治療に大きく貢献している検査と言えるでしょう。
検査

免疫の謎を探る: 抗原検査

- 抗原検査とは私たちの体は、外から侵入してくる細菌やウイルスなどの病原体から身を守るために、免疫という優れたシステムを持っています。この免疫システムは、体内に入ってきた異物をいち早く見つけ出し、それを排除しようと働きます。では、免疫システムはどのようにして、体にとって害となる病原体と、そうでないものを見分けているのでしょうか?その鍵となるのが抗原です。抗原とは、細菌やウイルスなど、主に体外から侵入してくる異物の表面にある物質で、免疫システムはこれを「敵の目印」として認識します。抗原検査とは、この免疫システムの仕組みを利用した検査方法です。例えば、特定のウイルスに感染しているかどうかを調べたい場合、そのウイルスが持つ特有の抗原と結合する検査薬を用います。もし、検査対象者の体内にそのウイルスが存在すれば、ウイルス表面の抗原と検査薬が結合し、陽性反応を示します。逆に、ウイルスが体内に存在しなければ、検査薬は反応せず、陰性という結果になります。このように、抗原検査は、体内に特定の病原体が存在するかどうかを、比較的短時間で調べることができるため、病気の早期発見や感染拡大の防止に役立っています。
検査

SpO2:酸素の状態を知る指標

- SpO2とはSpO2(エスピーオーツー)は、正式には「経皮的動脈血酸素飽和度」といい、血液中の酸素の飽和度を表す指標です。一体、この数値が何を意味するのでしょうか? 簡単に言うと、体内の血液中にどれだけの酸素が含まれているかを割合で示したものです。私達の身体は、呼吸によって肺から酸素を取り込みます。 酸素は、血液中の赤血球という細胞に含まれるヘモグロビンと結合し、体の隅々まで運搬されます。 SpO2は、このヘモグロビンが酸素とどれだけ結合しているかをパーセンテージで表しているのです。健康な人の場合、SpO2の値は通常96%以上と considered 高く、ほぼ全てのヘモグロビンが酸素と結合している状態です。 しかし、肺炎や喘息などの呼吸器疾患、心不全などの循環器疾患があると、肺から十分な酸素を取り込めなくなったり、酸素を運ぶ力が弱まったりするため、SpO2の値が低下します。 近年では、指先などに光を当てるだけで簡単に測定できるパルスオキシメーターが普及しており、健康管理や医療現場で広く活用されています。
検査

梅毒検査の基礎:STSとは?

- 梅毒検査STSの概要梅毒は、「トレポネーマ・パリダム」という細菌が原因で発症する性感染症です。感染すると、皮膚や粘膜に病変が現れ、放置すると全身に様々な症状を引き起こします。早期発見・早期治療が重要となるため、梅毒の感染を調べるための検査がいくつかあります。 その中でも、「STS」は、Serologic Test for Syphilisの略称で、梅毒の感染を調べるための血液検査の一つです。STSは、トレポネーマ・パリダム自体を検出するのではなく、感染によって体内で作られる抗体を検出することで、間接的に梅毒の感染を診断します。 体内に梅毒トレポネーマが侵入すると、私たちの体はこれに対抗するために「抗体」と呼ばれるタンパク質を作ります。STSでは、この抗体の有無を調べることで、過去に梅毒に感染したことがあるか、現在感染しているかを判断します。 STSには、「非特異的抗体検査」と「特異的抗体検査」の二種類があります。非特異的抗体検査は、梅毒トレポネーマ以外の細菌感染でも陽性反応が出る可能性がありますが、検査費用が安く、広く実施されています。一方、特異的抗体検査は、梅毒トレポネーマに特異的な抗体を検出するため、より正確性が高い検査と言えます。 STSは、梅毒の診断に有効な検査ですが、検査結果だけで梅毒感染の確定診断はできません。医師は、STSの結果と合わせて、症状や診察 findings、その他の検査結果などを総合的に判断して診断を下します。
検査

PCR検査:ウイルスの検出

近年、ニュースや新聞などで「PCR検査」という言葉を耳にする機会が増えましたね。では、PCR検査とは一体どのような検査なのでしょうか? PCR検査とは、「ポリメラーゼ連鎖反応」の略称で、特定のウイルスや細菌の遺伝物質を人工的に増幅させて、その有無を調べる検査方法です。 私たちの体の中には、細胞の中に遺伝情報をつかさどるDNAが存在しています。ウイルスも同様に、遺伝情報を持つDNAやRNAを持っています。PCR検査では、このウイルス特有のDNAやRNAを検出することで、感染の有無を判断します。 検査では、まず、鼻の奥や喉の粘膜を綿棒でこすり、検体を採取します。この検体には、もし感染していれば、ごくわずかな量のウイルスが含まれています。PCR検査では、このわずかな量のウイルス遺伝子を、試験管の中で増幅させることで、検出を容易にします。 PCR検査は、従来の検査方法と比べて、感度が高く、微量のウイルスでも検出することができるという特徴があります。そのため、感染初期の段階でもウイルスの有無を調べることができ、早期発見・早期治療に繋がると期待されています。
検査

検査に欠かせないスピッツ:種類と用途

- スピッツとは病院で血液検査や尿検査を受けるとき、採血や採尿の後に、看護師さんが薄いガラス管に血液や尿を入れているのを見たことはありませんか?あのガラス管こそが「スピッツ」です。スピッツは、検査のために採取した血液や尿を一時的に保管しておくための小さな容器です。検査を行うまでの間、血液や尿を清潔な状態で保ち、検査に適した状態に保つ役割があります。多くのスピッツは、片方の先端が細くなっている円錐形をしています。この独特な形が、ドイツ語で「尖ったもの」を意味する「スピッツ」の由来となっています。先端が細い形状をしているため、採取した血液や尿をスムーズに入れることができます。また、検査機器にセットしやすいという利点もあります。スピッツには、血液検査用と尿検査用があります。さらに、検査項目に応じて、中に添加されている試薬が異なる場合もあります。例えば、血液を固まらせないようにするための凝固防止剤が入っているものや、特定の成分を分離しやすくするための分離剤が入っているものなどがあります。このように、スピッツは、一見シンプルながらも、検査を正確に行うために欠かせない重要な役割を担っているのです。
PAGE TOP